安保法制、安倍の詭弁会見!武力行使でも、米国の戦争に巻き込まれない!と、言い張る安倍…詭弁の全て
出典:報道ステーション、NEWS23より/みんなが知るべき情報/今日の物語

先送りされた年金の財政検証 制度維持のため「死ぬまで働く社会」を提唱か
年金制度を維持するために、どんな社会が待ち受けているのか

先送りされた年金の財政検証 制度維持のため「死ぬまで働く社会」を提唱か 7/18(木) 7:00配信 マネーポストWEB

 金融庁が6月にまとめた報告書で、年金だけでは老後資金が2000万円不足すると指摘されたことで、年金制度への不安が高まっている。今後の年金制度はどうなっていくのか。経済アナリストの森永卓郎氏は、政府・厚生労働省が目論む年金制度の将来と、高齢者の生活がどうなるかについて、次のように展望する。
 * * *
 政府はすでに、このままでは年金制度が立ちいかなくなることがわかっていたため、「一億総活躍社会」という謳い文句のもと、「みんな70歳まで働け!」という方針を押し進めている。

 たとえば、2014年に行なわれた公的年金の将来見通しを試算した厚生労働省の財政検証では、高齢者の労働市場への参加が進むケースとして、2030年の65~69歳男性の労働力率を67%と想定し、そうなれば現行水準並みの年金給付が維持できると結論づけた。
 この試算が意味するのは、3分の2の男性が70歳まで働き続け、年金保険料を払い続けることが、年金制度の崩壊を免れるための絶対条件ということである。逆にいえば、それが実現できなければ、所得代替率(厚生年金収入の現役世代の手取り収入に対する割合)50%以上の年金給付は維持できなくなるということだ。

 2019年は5年に1度の財政検証の年だ。その新しい財政検証の結果はすでに出ているが、参議院選挙を考慮してか、今はまだその内容が隠されている。参院選後に公表を延ばしたこと自体、国民にとって相当厳しい内容であることは想像に難くない。

 おそらく、65~69歳男性の労働力率は70.1%、65~69歳女性の労働力率も53%台に設定され、それなら所得代替率50%以上を維持できる。すなわち、「みんな死ぬまで働け!」という結論になるのは間違いないだろうろう。

 これらが象徴するように、政府は今、年金制度維持のために給付期間を短縮することで帳尻を合わせようと躍起になっている。

 現在の年金支給開始年齢は原則65歳だが、受給開始を60歳から70歳の間で自由に選べる制度となっている。それを75歳まで繰り延べて選択可能にするというのが、政府の次の一手だ。

 そして、年金受給を繰り下げれば割増しとなって受給額が増えると謳って、事実上70歳代から受給を開始する人を増やしていく。そのうえで、「みんながそうしているのだから」という機運を高めて、最終的に支給開始年齢自体を原則70歳に繰り延べすることを狙っている。

 現在、65歳時点の男性の平均余命は17年だ。支給開始を原則70歳にすれば、男性の平均受給期間は17年から12年に減り、3割カットできることになる。それなら年金制度はギリギリ崩壊せずに済むというのが政府の思惑なのだ。

 しかし、このまま政府の目論見通りになったら、国民の老後はどうなるのか。男性の健康寿命は72歳である。70歳まで働いてようやく年金をもらえるようになり、これから悠々自適の老後が送れると思っても、わずか2年後には介護施設などに入所しなければならなくなる人が大半となる。そんな老後で本当に幸せだろうか。


【出典】7/18(木) 7:00配信 マネーポストWEB


関連資料
なぜ庶民は怒らないのか 「死ぬまで働け」という安倍政治
2018/10/06 日刊ゲンダイ
http://www.asyura2.com/18/senkyo251/msg/783.htm
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死ぬまで働け!年金支給開始が70歳から…まるで詐欺!秘密裏に進行する計画…どこまで国民をバカに…
みんなが知るべき情報/今日の物語 2015-12-20 21:45:58
https://blog.goo.ne.jp/kimito39/e/cc2592c10cce1362f9b5b5a9834599fc
【出典】LITERA 2019.07.15 12:22

安倍首相の 「野党は年金不安煽るだけ」デマに騙されるな!
首相官邸HPより

安倍首相の「野党は年金不安煽るだけ」デマに騙されるな! 野党は対案提示も無視し、共産党・小池晃には逆ギレ LITERA 2019.07.15 12:22

首相がこの選挙戦で誇示しているデータや数字がいかにデタラメなものであるかをお伝えしてきたが
 前編 https://lite-ra.com/2019/07/post-4832.html
 後編 https://lite-ra.com/2019/07/post-4833.html

安倍首相の街頭演説のなかでも、とくに度肝を抜かれたのは、この嘘だ。
「この選挙、年金問題も大きな議論であります。野党は財源の裏打ちのある具体的な議論をせずに、不安ばっかり煽っている。残念です」

 いやいや、参院決算委員会や党首討論でも、野党は財源案も出して年金の見直しについて安倍首相に提案をさんざんおこなってきた。そもそも、年金2000万円問題のきっかけは金融庁の報告書案であって、それを「受け取らない」などとないことのような態度に出て国民の不安を煽りに煽ったのは安倍政権だ。
 そのトップが、党首討論や国会で野党に対案を突きつけられたことも完全無視して「具体的な議論なし」「残念です」と国民に平然と嘘をつくとは──。

 この嘘ひとつだけでも、到底信用ならないことがよくわかるかと思うが、いまこそ強調したいのは、この安倍首相が無視している野党の「対案」こそ、今回の選挙の最大の争点と言えるものだということだ。

 それは、安倍首相が率先してきた大企業・富裕層の優遇をやめる、という税の見直しだ。
 まずひとつ目は、金融所得課税だ。所得税は年収が高くなるほど税率も上がる累進税率になっているが、株式の配当や売却益といった金融所得は累進課税を免れており、住民税を含めると所得税が最高55%の税率であるのに対し、金融所得は一律20%でしかない。しかも、高所得者ほど金融所得の割合が多いため、所得税の負担率は年収1億円を超えると右肩下がりになっている。

 たとえば、2020年から年収850万円超の会社員は所得税が増税されるが、それによって見込まれる増収は約900億円。対して、金融所得課税を現在の20%から25%に引き上げた場合は、増収は財務省の試算でも2500億円で、数千億~1兆円の増収になるとの試算もある(中日新聞2007年12月12日付)。

 低所得者であるほど負担が重くなる逆進性の高い消費税を増税するならば、この不公平極まりない優遇を真っ先に見直すべきだが、しかし、安倍首相は金融所得への課税の増税を見送った。

 そして、もうひとつは法人税。第二次安倍政権の発足以降、アベノミクスの成長戦略として法人税率はどんどん引き下げられ、法人実効税率は37%から2018年度には29.74%にまで減少している。

 しかも、実質的に企業が負担する法人税率も、2016年度のデータでは資本金1億円以下の小規模企業の負担率は18.1%である一方、資本金100億円超の大企業は12.4%で、連結納税法人はわずか5.2%。資本金10億円超の企業と連結納税法人を合わせた大企業全体だと10.4%になったという(しんぶん赤旗2018年4月20日付)。

 なぜこのように大企業の法人税負担率が低くなっているかといえば、大企業のために莫大な数の租税特別措置が設けられているからだ。こうした法人税減税の一方で、大企業の内部留保は6年連続で過去最高を更新し続け昨年は446兆円を記録している。

 富裕層や大企業を優遇し、その分を消費税によって庶民に肩代わりさせる──。これが、安倍首相がやってきたことなのだ。

■ 国会で共産党・小池晃に対案を突きつけられた安倍首相は…
 にもかかわらず、安倍首相は日本記者クラブでの党首討論会で、こんなことを言い出した。
「安倍政権においてですね、消費税率をこれ以上引き上げることは、まったく考えておりません」

 こう言われると「これ以上は上げないと言っているし、10%への引き上げも仕方がないか」と思う人もいるだろう。だが、騙されてはいけない。
 そもそも安倍首相は総裁任期を延長しつづけており、一体いつまでのさばるつもりなのか未知数な上、法人税率の引き下げなどで安倍首相が言いなりになってきた経団連は、昨年4月に政府への提言として公表した「わが国財政の健全化に向けた基本的考え方」のなかで〈税率10%超への消費増税〉を提唱。
 ちなみに、2015年の提言「『豊かで活力ある日本』の再生」では、経団連は消費税率10%台後半への引き上げを政府に求めている。

 賃金は上がらず、消費増税で生活はさらに苦しくなり、その上、老後は自助でどうにかしろと迫るのに、大企業や富裕層を優遇しつづける安倍政権。──そんななか、これに「NO!」を叩きつけているのが野党だ。

 安倍政権と対峙する野党は、こうした優遇税制と庶民への痛みの押し付けを批判し、今回の参院選で税制の見直しを打ち出している。
 たとえば、立憲民主党は、選挙公約で〈消費税率10%への引き上げは凍結〉〈金融所得課税や法人税などを見直し、税の累進制を強化して公平な税制へ転換〉と明記。

 共産党は消費増税の中止はもちろん、さらに具体的な財源提案をおこなっており、「大企業優遇税制の見直し」で4兆円、「法人税率引き下げをやめ、中小企業を除いて安倍政権以前の水準に戻す」ことで2.5兆円、「富裕層への証券課税の強化」で1.2兆円、「富裕層の各種控除の見直しなど」で1.9兆円など、合計で17.5兆円の当面の財源確保案を提示し、同時に「マクロ経済スライド」の中止も訴えている。

 また、山本太郎氏が立ち上げた「れいわ新選組」は消費税廃止を訴え、法人税に累進性を導入することを公約に謳っている。
 しかし、こうした野党の提案を安倍首相は無視。6月10日の参院決算員会では、マクロ経済スライドと富裕層・大企業優遇税制の見直しを迫った共産党・小池晃議員に対し、安倍首相はこう言って一蹴した。
「まったく馬鹿げた政策なんだろうと、こう言わざるを得ない。間違った政策だと思いますよ、それは」

 ようするに、安倍首相は「野党は財源の裏打ちのある具体的な議論をせずに、不安ばっかり煽っている」と言うが、実際には「議論をせずに不安を煽っている」のは、安倍首相のほうなのである。
 そして、馬鹿げているのは、現実には国民の多くを苦しい生活に追い込んでいる政策をあらためるでもなくありもしない成果を謳い、「年金は増やせる」などと無責任に言い放っている安倍首相のほうなのではないか。

 だからこそ、繰り返したい。今回の選挙の争点は「憲法改正」などではなく「わたしたちの生活」であり、消費税の増税中止・廃止、大企業・富裕層の優遇税制を見直すと公約で掲げる野党か、それともそれを「馬鹿げた案」だと言い、経済悪化のなかで消費増税を決行しようとしている与党か、どちらを選ぶかという選挙なのだ。
(編集部)


【出典】LITERA 2019.07.15 12:22
【出典】LITERA 2019.07.15 12:22

安倍首相「年金増やせる」発言は言い逃れ 老後資産が奪い取られる未来へ
安倍首相は「政策次第で年金を増やすことは十分可能だ」と言うが…

安倍首相「年金増やせる」発言は言い逃れ 老後資産が奪い取られる未来へ

7/2(火) 7:00配信 マネーポストWEB


 通常国会閉会後の記者会見で安倍晋三・首相はこう言い放った。
「政策次第で年金を増やすことは十分可能だ」──。松下幸之助氏が聞いたら「やってみなはれ」と言うだろう。サントリーの鳥井信治郎氏ならこう返すかも知れない。「やらなわからしまへんで」と。
 だが、国民にはもうわかっている。年金2000万円不足を隠す言い逃れに過ぎないことを。
 政治家はカネが足りなくなると「改革」を唱え始める。安倍首相は何歳になっても働ける「エイジフリー社会」、「過労死ゼロの働き方改革」と耳当たりの良いスローガンを並べてきたが、真に受けると大変な目に遭う。
 待ち受けているのは増税、年金減額、保険料アップと国民の老後資産が奪い取られる未来だからだ。

 目前に迫ってきたのが10月の消費増税だ。政府は「ポイント5%還元制度」や「軽減税率」で国民の目を誤魔化そうとしているが、よく見ると増税されないはずの食料品の値上げが相次いでいる。この4月から6月にかけて大容量のペットボトル飲料が一斉に20円値上げされ、食品では6月出荷分からカップ麺、ポテトチップス、アイスなどの値上げが続いている。

 次は年金改革。政府は「70歳までの雇用延長方針」を打ち出しているが、次に間違いなく来るのは「75歳定年制」導入だ。そうなると高齢者は、黙っていると死ぬまで年金をもらえなくなる。
 そして定年や年金受給を控えた現役世代には、働き方改革で来年から大幅な賃下げ時代がやってくる。残業規制などによる手取り収入の大幅ダウンで、住宅ローン返済に行き詰まる人も出てくるだろう。

 さらには、子供や孫の世代にまで、「就職氷河期世代」対策や「大学無償化」など、“バラ色の約束手形”がバラ撒かれようとしている。だからこそ、国民はスローガンの裏にある意図を見抜いて自分の資産を守らなければならない。


【出典】週刊ポスト 2019年7月12日号


関連資料
アベノミクスのためのギャンブル運用で年金15兆円が溶けた!
女性自身 記事投稿日:2019/02/21 06:00

安倍政権“運用益44兆円”の危うさ 年金原資で株ギャンブル
日刊ゲンダイ 公開日:2019/07/01 06:00 更新日:2019/07/01 06:00


年金積立金151兆円を運用するGPIFは2014年10月、国内株と外国株の比率をそれぞれ12%から25%に引き上げ、全体の50%にし、株価を下支えしてきた。
年金積立金を原資にした株ギャンブルをやめさせないと「100年安心」どころか、
明日が不安だ。
参院選“年金問題”で大逆風 自民が1人区「14敗」の衝撃予測公開日: 更新日:

安倍政権が選挙後まで隠す 「老後2000万円」よりヤバい年金文書
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安倍政権が選挙後まで隠す「老後2000万円」よりヤバい年金文書 6/27(木) 11:03配信 女性自身

 世間をにぎわせている金融庁の“2000万円報告書”。多くの人が、その内容の厳しさに愕然となったが、じつはこれよりも“ヤバい”文書が隠されているのだ――。
 「新しい『財政検証』をなぜ速やかに出さないのか。出てこない限りは、年金制度の安心が保たれているかどうか、判断できません」

 金融庁の報告書に端を発した“老後資金2000万円問題”。6月19日に行われた党首討論では、野党党首が年金問題について、安倍晋三首相を厳しく追及した。

 冒頭の言葉は、国民民主党の玉木雄一郎代表が、安倍首相に投げかけたものだ。“年金博士”として知られる、社会保険労務士の北村庄吾さんが、解説する。
 「『財政検証』とは、厚生労働省が作成する年金財政の“健康診断”のようなものです。年金制度が持続できるように、5年に1度、検証し、発表することが法律で定められています。財政検証の結果に従い、将来の年金の支給計画が立てられたり、法改正が行われたりする。まさに、年金制度にとって、もっとも重要な文書なのです」

 話題の“2000万円報告書”は金融庁の作成。年金だけでは不足する老後資金をどう補うべきか、金融を所有する省庁の立場から“ご提案”したものにすぎない。
 一方、財政検証は、年金を所管する厚生労働省が作成する調査報告書と計画書を兼ねたようなもの。まさに、年金制度の今後を占う要といってもいい。

 ところが、その公表が遅れているという。過去2回の財政検証は、内容を議論する専門委員会の最終会合から3カ月ほどで公表された。今年は3月7日に最終会合が行われたので、6月中旬までには公表されると見込まれていた。だが、いまだ公表の予定はない。
 財政検証を担当する厚労省年金局数理課は、「検証中で、まだ発表時期ではないとしか申し上げられない」と繰り返すのみで、作業の進捗状況すら答えなかった。

政治ジャーナリストの角谷浩一さんは、こう分析する。
 「永田町では『老後2000万円問題で紛糾するなか、よほど悪い検証結果なので、夏の参院選が終わるまで出さないのではないか』といわれています。厚労省が安倍内閣に“忖度”している、あるいは官邸から公表しないように指示された、そんなふうに見られているのです」

 今年3月に公表された「2019年財政検証の基本的枠組み」では、厚生年金の適用拡大や、受給開始年齢の選択化も「財政検証」に盛り込むことが予告されている。
 「政府は、将来的に受給開始年齢を引き上げていく方針です。
 過去の改正を鑑みると、現在50歳以下の女性は、受給開始が68歳に引き上げられることが予想されます。いずれは65歳定年が法制化され、受給開始は70歳にされるでしょう」(北村さん)

 われわれの将来を占ううえで、欠かせない「年金財政検証」。角谷さんは語気を強めた。
 「参院選の前であろうと、後であろうと、財政や数字は変わりません。大事なのは、早急に公表し、この年金不安に対して、どのような対策で取り組んでいくかを議論して、選挙で信を問うことです」

経済評論家の加谷珪一さんはこんな懸念をする。
 「“2000万円報告書”が批判を浴びたのを受けて、財政検証の内容が書き換えられてしまうのではないか。これまでの例を踏襲しなかったり、悲観的な試算を隠したりと、不正確な財政検証が出たら、将来的に被害を受けるのは、われわれ国民なのです」

 目の前の選挙や政局のために、われわれの未来がないがしろにされてはならない。


【出典】6/27(木) 11:03配信 女性自身
【出典】6/27(木) 11:03配信 女性自身

安倍首相「他の制度示した人いない」 年金議論ガン無視発言
見直し案は山ほどある、投票で示すしかない(C)日刊ゲンダイ

安倍首相「他の制度示した人いない」年金議論ガン無視発言 日刊ゲンダイ 公開日:2019/06/24 15:00 更新日:2019/06/24 15:43

 年金がアテにならないとする金融庁の報告書がなかったことにされ、年金の将来見通しを示す財政検証の公表は参院選後に先送り。国民は、年金制度がかなりヤバいことになっていると気づき始めている。今こそ、与野党超えて、制度の抜本的見直しが必要だ。ところが安倍首相は、批判や対案に全く聞く耳を持とうとしない。
◇  ◇  ◇
 安倍首相は22日朝の日本テレビ系「ウェークアップ!ぷらす」に生出演した。
 辛坊治郎キャスターから「今の年金制度はもう相当に時代遅れだ。根本的に見直す必要があるのではないのか」と突っ込まれると安倍首相はこう言ってのけた。
「では(他に)どういう制度があるのかということですが、それを示した人はいません」
 オイオイ、ちょっと待った。急速な少子高齢化が進む中、これまで、年金制度の見直し案は散々語られてきたじゃないか。

■ 見直し案は山ほどある
 例えば、19日の党首討論で立憲民主党・枝野幸男代表は〈総合合算制度〉の早期導入を訴えた。
「家計単位で、医療、介護、保育、障害にかかるトータルの金額に上限をかける。低年金者でもその範囲で一定の医療や介護を受けられる安心をつくる」と具体的な提案を示した。

 給付水準を目減りさせる〈マクロ経済スライドの廃止〉を訴えた共産党・志位和夫委員長は、年金保険料の上限額について、年収1000万円から健康保険並みの2000万円まで引き上げ、かつ高額所得者の給付を抑制すれば、廃止の財源1兆円が捻出できるとした。しかし、番組で安倍首相は枝野提案を「意味がない」、志位提案を「乱暴な議論だ」と一蹴した。

 さらに、民主党政権時代に実現しかけた〈最低保障年金〉も再考すべき制度だ。収入がなく、保険料未払いの人でも最低でも月7万円の年金を受け取れ、上乗せ分は所得比例にする2階建て方式だ。

 政府が国民全員に無条件で生活に必要最低限の現金を支給する〈ベーシックインカム〉は、人工知能(AI)の普及で人間の仕事が減る場合に有効だとして、議論が盛んになっている。
 抜本的見直しとして、現役世代が受給世代を支える賦課方式から、〈積み立て方式への移行〉はあまたの専門家が指摘してきた。
 長年、積み重ねてきた年金をめぐる真面目な議論がなかったかのように「示した人はいません」とはよくも言えたものだ。立正大客員教授の浦野広明氏(税法)が言う。

「安倍政権が野党やメディアの批判や対案に聞く耳を持たない姿勢なのはいつものこと。年金制度についても同じ調子で対応しているのでしょう。しかし、現役世代が減少する中、年金は党派を超えて取り組むテーマです。情報を開示して、非を認めるところは認めて、早く根本的な手を打たないとどんどん傷口が広がっていきます。番組での対応を見ると、安倍首相は深刻さを認識しているようには見えません。野党は年金を争点化し、国民が参院選で民意を示すしかありません」

 参院選は〈年金選挙〉で決まりだ。

【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2019/06/24 15:00 更新日:2019/06/24 15:43


関連資料
年金報告書問題、「内容は正しいが、選挙に不都合だ」と周囲に漏らした議員発言に金子恵美氏「日本の政治は終わった」 AbemaTIMES2019年06月18日 11:59
https://blogos.com/article/385193/
年金”2000万円”問題で森永卓郎氏「安倍総理は増税延期と衆院解散を発表すると思う。私ならベーシックインカムを導入する」 AbemaTIMES2019年06月18日 10:00
https://blogos.com/article/385164/
安倍政権、年金改悪のゴールは【80歳支給開始】 多くの人が命が尽きる寸前まで働き何ももらえず亡くなる!年金保険料支払いは税金か!小泉進次郎も旗振り役!
安倍…国内は増税!外国には血税バラまき株のためには年金献上!
みんなが知るべき情報/今日の物語
https://blog.goo.ne.jp/kimito39/e/b16e3eedcf6a22755cd22f49aa12c9f6 
年金基金で国民1人あたり4万5千円のツケまわし 責任者の面々
佐々木敬一 09:07 10/05 2006
http://www.mynewsjapan.com/reports/459

生保調査で分かった 60歳2000万円貯蓄の内実と迫る消費不況
なかったことにはできない
(「報告書受け取らない」と会見する麻生金融相)/(C)共同通信社

生保調査で分かった 60歳2000万円貯蓄の内実と迫る消費不況 日刊ゲンダイ 公開日:2019/06/18 15:00 更新日:2019/06/18 20:29

 公的年金だけでは老後資金が2000万円不足するとした金融庁の報告書。連日、ワイドショーでも取り上げられ、老若男女誰もが“老後”を考えるきっかけになった。ぼんやりしていた年金への不安がクッキリ明確になったわけだが、不足しそうな人がどれくらいいて、どんな行動に向かうのだろうか。

 プルデンシャルジブラルタファイナンシャル生命保険(PGF生命)の調査結果が興味深い。今年60歳となる男女2000人を対象に4月に実施された。

 貯蓄額の平均は昨年の2725万円から2956万円と231万円増えた。金融庁が示した2000万円を大幅に超えている。金融庁に警告されるまでもなく、着実に老後の備えが厚くなっているように見えるが、内実は散々だ。

■ 60歳の3分の2が2000万円未満
 貯蓄1億円以上が8.1%と2ポイント近く増えたことが平均額を引き上げただけなのだ。逆に、100万円未満が4ポイントも増え、24.7%と4人に1人となった。「貯蓄の格差が広がっているように見えます」(PGF生命広報チームの担当者)

 一部の富める人に高額の貯蓄が集中し、圧倒的多数は厳しい状況なのだ。老後資金が不足するとされる貯蓄2000万円未満はナント、全体の3分の2を超える。この人たちは金融庁の報告書をどう受け止めるのか。

「不足するということで、金融庁は投資を勧めたわけですが、将来不安を抱く人が、儲かるかもわからない投資になけなしのおカネを投じるとは思えません。むしろ、これまで以上にギリギリまで節約を徹底し、少しでも貯蓄しようと考えるはずです。この先、国民の消費マインドは冷え込み、消費大不況が訪れるかもしれません。〈老後2000万円不足〉の件は今や子どもでも知っています。影響は計り知れません」(金融ジャーナリスト・小林佳樹氏)

 おこづかいをねだる子どもに、“老後資金”を盾に渋る親の姿が目に浮かぶ。“消せない報告書”が景気をどん底に落とすことになるのか。


【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2019/06/18 15:00 更新日:2019/06/18 20:29


関連資料

安倍首相は真っ青 「年金返せデモ」でよぎる“12年前の大敗”
ついに「年金返せ・払えデモ」はじまる(C)日刊ゲンダイ

安倍首相は真っ青「年金返せデモ」でよぎる“12年前の大敗” 日刊ゲンダイ 公開日:2019/06/17 14:50 更新日:2019/06/17 14:50

 デタラメな「年金政策」を推し進める安倍政権への怒りが拡大している。ついに、16日、政府の年金政策に抗議する「年金返せ・払えデモ」が、東京の銀座で始まった。

 デモにはSNSの呼びかけに応じた数千人が参加。「年金返せ」「生活できる年金払え」などと声をあげて街を歩いた。若者の参加が多く、デモの先導も若者だった。

 デモに共感したのか、沿道では手を振って応援する人が目立った。この先、「年金返せ・払えデモ」は、全国に広がっていく可能性がある。

■ 対応が裏目
 今ごろ、安倍官邸は、真っ青になっているに違いない。完全に対応を間違えた形だ。<年金だけでは不十分><2000万円貯蓄しろ>という金融庁の報告書もヒドイが、麻生財務相が「報告書は受け取らない」と受け取りを拒否したため、どんどん話が大きくなった。慌てて“火消し”に走ったのだろうが、裏目に出た格好だ。

 しかも、自民党の二階幹事長が「我々選挙を控えておるわけですから」と、ホンネを漏らすなど、7月の参院選に響かないように“隠蔽”しようとしていることがミエミエだった。
「国民が怒りを強めたのは、『安倍政権は年金問題に本気で向き合っていない』と感じたからでしょう。なにしろ、麻生大臣は『金融庁の報告書は読んでいない』と堂々と答弁し、自分が年金を受け取っているかも知らないと答えている。庶民の年金に関心がないのは明らかです。これでは、ただでさえ“年金不信”の強い若者がデモを行うのも当たり前です」(政治評論家・本澤二郎氏)

 安倍官邸は、参院選までには国民の関心を「年金」から「安倍外交」に移すつもりだ。しかし、年金が消えるかどうか。もし、参院選の争点が年金となったら自民党は惨敗する可能性がある。小泉政権も、第1次安倍政権も、年金が争点となった参院選で敗北している。

「いま、安倍シンパのメディアは『年金は政争の具にすべきではない』『与党も野党もない』などと必死になって選挙の争点から外そうとしています。参院選の行方は、有権者が安倍シンパの宣伝にだまされるかどうかでしょう。もし、だまされなかったら、12年前のように自民党は大敗し、あの時のように安倍首相は退陣に追い込まれる可能性がある。実際、あの時のムードに近づいています」(本澤二郎氏)

 デモが大きくなれば、参院選も大きく動くことになるのではないか。 


【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2019/06/17 14:50 更新日:2019/06/17 14:50


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年金返せデモ

安倍首相「未来投資会議」が描く 70歳就労は“姥捨て制度”
15年間過酷な労働、お先真っ暗(未来投資会議で発言する安倍首相)
(C)共同通信社

安倍首相「未来投資会議」が描く 70歳就労は“姥捨て制度” 日刊ゲンダイ 公開日:2019/05/20 15:00 更新日:2019/05/20 15:00


 安倍首相が議長を務める「未来投資会議」は先週、70歳までの雇用確保を企業に求める方針をブチ上げた。改正案を来年の通常国会に提出する。
 70歳雇用なら「年金支給開始」75歳が現実味を帯びる。定年後の継続雇用で給料が激減し、年金ももらえない“貧困老人”が激増しそうだ。

 企業は現在、定年後に希望する労働者に対して65歳まで雇用を継続する義務を負っている。未来投資会議は、これを70歳に引き上げるというのだ。

「今回は、70歳までの就労確保を努力義務にとどめましたが、近い将来の義務化は既定路線です。政府が70歳まで働ける法整備を急ぐ狙いは、年金支給を遅らせたいから。最低でも支給開始を75歳に引き上げたいと考えています」(財務省担当記者)

 だが、定年後の継続雇用の実態はキツイものだ。明治安田生活福祉研究所が昨年、60代前半の継続雇用の男性に対して実施した調査によると、定年直前と比べ、労働時間が「変わらない」は5割を超えているが、年収が半分未満に減少している人は4割もいる。年収が下がった3人に2人は、「モチベーション」も下がっている。

 今はこのような不満だらけの環境でも、何とか65歳まで頑張れば、年金にありつける。ところが、この先、60歳定年制度が変わらず、年金支給開始年齢が75歳になれば、60歳から15年間も継続雇用に耐えなければならなくなる。

 社会保障に詳しい立正大客員教授の浦野広明氏(税法)が言う。
「モチベーションが下がっても、生きていくために働くというのは、過酷な労働環境です。若い人ならともかく、高齢者が10年以上も耐えられるのでしょうか。ほとんど、生殺しです。しかし、国が面倒を見てくれない以上、働けるうちは働こうと無理をすることになる。その結果、心や体を壊すという悪循環が目に見えています。“姥捨て制度”と言っても過言ではありません」

 総務省の労働力調査(2018年)によると、65歳以上の高齢者で働いている人は862万人。前年の807万人から55万人も増えた。
 一方、生活は楽ではない。内閣府の高齢社会白書によると、高齢者世帯の平均所得(15年)は308・1万円で、全世帯から高齢者世帯と母子世帯を除いたその他世帯(644.7万円)の半分以下だ。

「未来投資会議」が描く“未来”は、姥捨て列島じゃないか。


【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2019/05/20 15:00 更新日:2019/05/20 15:00


関連資料
 うばすてやま
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
姥捨て山を聞いて泣いたアインシュタイン

実質賃金マイナス2.5%、 景気動向指数「悪化」へ!
首相官邸ホームページより

実質賃金マイナス2.5%、景気動向指数「悪化」へ! アベノミクス破綻、安倍政権は富裕層を儲けさせただけだった LITERA 2019.05.14 10:30


 ついに、アベノミクスの化けの皮が剥がれてしまった。昨日、内閣府が3月分の景気動向指数の基調判断を発表したが、景気の現状を示す一致指数が前月比で0.9ポイント低い99.6となり、基調判断を1・2月の「下方への局面変化」から景気後退の可能性が高いことを示す「悪化」に引き下げたのだ。「悪化」は、5段階ある判断のうちもっとも悪いもので、じつに6年2カ月ぶりとなる。

 一方、10日に厚労省が公表した3月の「毎月勤労統計」調査の速報でも、物価の影響を考慮した実質賃金は前年同月比でなんとマイナス2.5%と大幅に下落した。しかも、3カ月連続の減少だ。

 これは統計不正問題であきらかになったことだが、これまでの実質賃金の賃金伸び率はまやかしだった。

 中江元哉首相秘書官(当時)の圧力によって、2018年1月から、「毎月勤労統計」の調査手法を変更。それにともない産業構造や労働者数などの変化を統計に反映させるための「ベンチマーク更新」でさかのぼり補正をおこなわなかったり、常用雇用者から日雇い労働者を除いたりと、あの手この手で賃金伸び率を引き上げていたのだ。
 しかし、統計不正の発覚で、今年1月からは数字を上ぶれさせていた不正調査の数値補正やベンチマーク更新がおこなわれなくなったため、「毎月勤労統計」の1月および2月確報値の名目賃金や実質賃金も前年同月比で一転、マイナスになった。

 だが、3月の実質賃金マイナス2.5%という速報値は、1月のマイナス0.7%、2月のマイナス1.0%(ともに確報値)を大幅に上回るもの。これはどう弁解しても、国民生活が悪化しているという証明だろう。

 しかも、恐ろしいのはこの先だ。アメリカが中国に対する追加関税引き上げに踏み切ったが、米中貿易摩擦の激化と中国経済の減速は今後さらに深刻さを増していくだろう。今回の、3月分景気動向指数の「悪化」とする判断でも「中国経済の減速」が要因として挙げられたが、日本経済に及ぼす影響はこれから本格化するはずだ。

 にもかかわらず、安倍首相は10月から消費税を増税するというのだから、正気の沙汰ではない。

 だいたい、これまで安倍首相が「アベノミクスで経済が上向き」などと言っていられたのは、アベノミクスの成果などではなく、たんに世界経済の好調に救われてきただけだ。
 たとえば、安倍政権の前内閣参与で消費税の10%への引き上げに反対してきた藤井聡・京都大学大学院教授の著書『「10%消費税」が日本経済を破壊する』(晶文社)によれば、GDPは2014年の消費増税前から2018年4-6月期までの間に約18兆円(実質値)伸びているが、この間に輸出は約15兆円も増加。ようするに、輸出の増加がなければ〈一年あたり約0.7〜0.8兆円、成長率にして実に年率平均約0.2%しか伸びなかった〉のである。
 また、この4年で、輸出に次いで伸びたのは「民間投資」だが、これも輸出が伸びた結果であると考えられるという。藤井氏はこう述べている。

〈つまり、世界経済の好況という「他力」がなければ、日本経済はやはり、消費増税によって「衰退」していたのである〉
〈万一、消費増税によって内需がこれだけ弱々しい状況に至っている中で世界的な経済危機が勃発すれば、衰弱した日本経済は恐るべきダメージを被るであろう〉

■ 頼みの綱の「外需」がトランプ政権の圧力でなくなり、日本経済は完全破綻
 その上、2014年の消費増税時は「外需の伸び」という幸運があったが、これは「アメリカ経済の好況」と「安い原油価格」があってのこと。ご存じのとおり、トランプ大統領は先日、安倍首相に日本の農産物関税の撤廃を要求したほか、自動車の追加関税をちらつかせており、原油価格も上昇。つまり、〈2019年増税の外需環境は、2014年増税よりも、より深刻な被害をもたらした1997年増税時のそれに類似している〉のである。

 藤井氏は世界各国の経済成長率(1995〜2015年)に目を向け、〈日本の20年間成長率は断トツの最下位〉〈日本の成長率だけが「マイナス」の水準〉であるとし、〈日本はもはや、「経済大国」でないばかりか、「先進国」ですらない〉〈先進国でも発展途上国でもない、世界唯一の「衰退途上国」とでも言わざるを得ない〉と明言。

 こうした元凶が、バブル崩壊後の1997年に実施した消費税の3%から5%への引き上げによって「デフレ不況」に突入したためだと説明している。その再来のような危機的状況を迎えつつあるのに、そこで消費税を増税すれば、一体どうなるのか。
 藤井氏は〈確実に破壊的ダメージがもたらされる〉と警告を発するが、もはや増税中止どころではなく減税すべき局面にあると言っていいだろう。

 本サイトでお伝えしてきたように、今月20日に発表される四半期別のGDP速報値でもマイナスになると見られている。その結果を受けて、参院選を睨んで安倍首相が増税見送りに踏み切るか、その動向に注目が集まっているが、増税見送りなど当然のことであって、むしろ問題は、あきらかな「アベノミクスの失敗」のほうだ。

 安倍首相はつい先日も民主党政権時代を「悪夢」と呼んだが、アベノミクスがほんとうに誇れる結果を出しているならば、そんな昔の話をいつまでも持ち出すわけがない。実際、民主党政権時代の実質賃金の平均賃上げ率が2.59%であるのに対して、第二次安倍政権での平均賃上げ率はわずか1.1%にすぎない。

 また、暮らしぶりが良くなっているのかどうか、現に5月11・12日におこなったJNN世論調査では景気回復について「実感がある」と答えた人はたったの9%で、「実感がない」と答えた人は87%にものぼった。ようするに、「悪夢」と呼ぶべきは、景気は回復などしておらず、むしろ「悪化」しているのに「緩やかに回復している」などと現実を無視して喧伝する安倍政権のほうなのだ。

 大企業や富裕層を優遇する一方でここまで庶民の生活を悪化させたその責任をしっかり取らせなければ、ほんとうの「悪夢」が、これからはじまるだろう。
(編集部)


【出典】LITERA 2019.05.14 10:30

関連資料
 5月10日、厚生労働省が10日発表した毎月勤労統計調査(速報)によると、3月の実質賃金は2.5%のマイナスだった。写真は都内で2016年2月撮影
(2019年 ロイター/Yuya Shino)

厚生年金70歳以上義務化で 日本は“ブラック国家”まっしぐら
メチャクチャ(昨年の未来投資会議での安倍首相)/(C)共同通信社

厚生年金70歳以上義務化で日本は“ブラック国家”まっしぐら 日刊ゲンダイ 公開日:2019/04/17 15:00 更新日:2019/04/17 15:36

〈厚生年金加入、70歳以上も 厚労省 納付義務を検討〉――。16日の日経新聞の朝刊1面トップ記事は衝撃だった。会社員らが加入している厚生年金の保険料を納付する義務年齢について、厚労省が現行の70歳未満から70歳以上に引き上げる検討に入った、というのだ。

 厚労省は今年、5年に1度の公的年金制度の検証作業を実施する。記事によると、6月をめどに厚生年金の加入期間を延長した場合の年金額の試算結果を公表。保険料の支払期間について「75歳まで」といった具体的な数値が盛り込まれるかが焦点になるという。予想されていたとはいえ、いよいよ議論が本格化するのだ。

 記事では〈内閣府の調査では仕事をしている高齢者の約4割が「働けるうちはいつまでも」と答える。長生きに備えて、健康のうちは一定時間以上働く高齢者にとっては、加入期間の延長によるメリットは大きくなる〉などと解説していたが、高齢者のホンネは「年金収入だけでは暮らせないからやむを得ず働く」だろう。仮に保険料の支払い義務が75歳なんて事態になれば、今以上に生活が困窮する高齢者が続出するのは間違いない。

 すでに公的年金制度は受給開始や納付期間の年齢がどんどん引き上げられる一方、将来、きちんと受け取れるのかも分からなくなっている。政府が強調する「100年安心」なんて言葉だけ。本年度以降、国保料の大幅引き上げも始まるが、今の政府は国民からカネを搾取することしか考えていない。米国の言い値で大量の武器を買ったり、外遊の口実にするために海外にカネをバラまいたりしているから税金が足りなくなるのだ。

■ 「死ぬまで働け」ということか
 そもそも「70歳以上の保険料納付の義務化」は、安倍首相が議長を務める「未来投資会議」で打ち出されたものだ。

 この会議は、首相のお友達や取り巻きが大儲けする仕組みを次々とつくる一方、国民はカネを生む奴隷と考えているらしい。
 2020年にも関連法案を国会に提出する可能性があると報じられているが、国民が東京五輪のお祭りムードで浮かれている時期を狙っている魂胆がミエミエだ。

 経済ジャーナリストの荻原博子氏は「問題は納付義務の年齢引き上げだけではない」と言い、こう続ける。
「現行制度では、従業員数501人以上の企業や月額賃金8・8万円以上などの条件を満たした人は厚生年金に加入しなければならないが、政府は、この賃金額の引き下げや従業員規模の縮小なども検討している。あの手この手で年金制度を支える要員を確保したいのです。それでいて、年金資金を株に投資し、昨年10~12月期は14兆円も損失を出している。今の政府は『国民は死ぬまで働け』としか思っていないのでしょう」

 この国は「ブラック国家」の道をまっしぐらだ。


【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2019/04/17 15:00 更新日:2019/04/17 15:36
【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2019/04/17 15:00 更新日:2019/04/17 15:36

国民健康保険料が大幅値上げ、 年収400万円で年間10万円増額のケースも!
安倍政権は“人でなし”政権だ
「人でなし」政権トップの安倍首相(首相官邸HP)

国民健康保険料が大幅値上げ、年収400万円で年間10万円増額のケースも! 安倍政権は“人でなし”政権だ。 LITERA 2019.04.12 11:30

「安倍晋三首相は増税によって、景気を悪化させようと決心しているように見える」──消費税の10パーセントへの引き上げまで半年を切ったなか、米経済紙のウォール・ストリート・ジャーナルが5日、こんな社説を掲載し、話題を呼んでいる。
 日銀短観をはじめとして経済指標がさえない内容であるのに増税を実施するのは「自傷行為になるだろう」と言うのである。

 それでなくても統計不正によって“アベノミクス偽装”がおこなわれていたことが発覚し、景気判断も信用に値するのかと不信感が高まっているというのに、何事もなかったかのように消費増税に踏み切るというのはあり得ない。

 しかも、今年以降、わたしたちの生活を直撃するのは、消費増税だけではない。国民健康保険の保険料が大幅に値上がりするというのだ。

 安倍政権は2018年4月から、市町村が担当していた国保の財政運営を都道府県に移した。国は“財政基盤を拡大することで国保財政を安定化させる”などと説明するが、実際には、これまで市町村が保険料を抑えるためにおこなってきた国保会計への公費の繰り入れをやめさせ、都道府県の算定する「標準保険料率」に合わせることを求めるものだ。
 国はこの変更で国保料が値上がりした市町村は全体の23パーセントだと言うが、しかし、国保の加入者の多い都市圏では値上がりした地域が続出。
 たとえば、「給与年収400万円・30代の夫と専業主婦、子2人の4人家族」の場合、東京都は51市町区村が値上げとなり、10市村が据え置き、値下げとなったのは千代田区のみ。しかも、江戸川区は年1万2300円の値上げで国保料は43万円に達し、21の区で年6800~8600円増となり、国保料は42万円を超えたという。
 また、「年収240万円・非正規雇用の単身者」の場合も、東京都では72.6パーセントが値上げされている(しんぶん赤旗2月24日)。

 しかも、話はこれで終わりではない。この各都道府県の「標準保険料率」をもとに共産党が独自試算したところ、2019年度以降、市区町村が「標準保険料率」通りに国保料(税)を改定した場合、全国の約8割の自治体で平均4万9000円も値上げになることがわかったというのだ。

 この試算によると、たとえば東京都新宿区で「給与年収400万円・4人家族(30歳代の夫婦+子2人)」の場合、「2018年度の実際の国保料の額」は42万6200円だが、「2019年度の市町村標準保険料率で計算した国保料の額」(以下、2019年標準料試算)はなんと52万4700円。その差は9万8500円にもおよぶ。大阪市の場合も41万9500円(2018年度)が、2019年標準料試算では45万9900円となり、4万400円も高くなる。

 そもそも、国保の加入者は高齢者や非正規雇用の若者といった低所得者が多い。だが、「給与年収240万円・単身者(20歳代)」で新宿区の場合、試算では2018年度が16万2600円であるのに対し、2019年標準料試算では20万400円に跳ね上がる。
 こうした値上がりは名古屋市(16万9600円→17万6500円)、大阪市(20万2200円→21万2400円)や京都市(17万7200円→19万1800円)、福岡市(18万4900円→19万7600円)も同様だ。

 また、「年金収入280万円・高齢夫婦世帯(夫230万円・妻50万円、ともに65〜74歳)」で新宿区の場合は15万5000円→19万800円で3万5800円の値上がりで、名古屋市でも12万9000円→14万2300円、大阪市で16万6600円→18万2300円、京都市15万1100円→16万5000円、福岡市15万3400円→16万5400円となっている。

■ 初診料や再診料など医療費が値上げラッシュ、安倍政権は「人でなし」政権
 高齢者や若者の貧困が深刻な社会問題になっているというのに、これほど大幅に値上がりするようなことがあれば、それは命にかかわる問題となるのは必至だ。
 一応、「標準保険料率」の活用は都道府県の判断にかかわり、市区町村も独自に負担抑制などを維持することも可能な状態ではあるが、7日の41同府県議選・17政令市議選で自民党が2015年を上回る議席を獲得した結果を見ると、都道府県や市区町村が国の圧力を撥ねつけるようなことができるのか、疑問だ。
 むしろ、安倍政権の徹底した「弱者切り捨て政策」を考えれば、数年のあいだにこうした試算のように大幅な値上げが起こる可能性のほうが高いだろう。

 いや、現実に、すでに今年秋から、消費増税にともなう医療費の値上げが決まっている。初診料は60円増の2880円、再診料は10円増の730円。入院料も一般病棟の入院基本料の場合、230~590円引き上げられる。
 
 こうした命や生活の質にかかわる、けっして削れない分野で軒並み値上げした挙げ句、追い打ちをかけるように10月からは消費増税……。
 格差・貧困の拡大が叫ばれるなかで、法人税を引き下げる一方、低所得者ほど負担が大きい逆進性の高い消費税を増税しようという安倍政権の弱者に対する鬼畜ぶりはどうだ。
 成果などまるでない口だけの「アベノミクス」の幻想に惑わされず、統一地方選後半や参院選では投票によって、この「人でなし政権」にNOを叩きつけるほかないだろう。

(編集部)

【出典】LITERA 2019.04.12 11:30
【出典】LITERA 2019.04.12 11:30

知事選惨敗で失墜… 麻生財務相「消費増税凍結」のシナリオ
2016年伊勢志摩サミットの再現?(左は麻生財務相)/(C)共同通信社

知事選惨敗で失墜…麻生財務相「消費増税凍結」のシナリオ 日刊ゲンダイ 公開日:2019/04/10 15:00 更新日:2019/04/10 15:00

「やはり消費増税は難しいのではないか」――。
 再び増税延期説が流れている。これまで消費増税を後押ししてきた麻生財務相の発言力が急速に低下するとみられているからだ。
  ◇  ◇  ◇
 地元・福岡県の知事選の大敗は、麻生大臣にとって致命的だ。安倍首相に新人擁立を直談判し、保守分裂選挙を招いた上、現職に95万票もの大差をつけられる惨敗だった。すべて麻生大臣のワガママが原因だ。
 さすがに9日、県連最高顧問を辞任する意向を示している。

「財務官僚が心配しているのは、消費増税に理解がある麻生大臣の影響力が低下するだけでなく、この先、麻生大臣とは“犬猿の仲”である菅義偉官房長官の発言力が大きくなりそうなことです。なにしろ菅長官は、景気を悪化させる消費増税には反対ですからね」(霞が関関係者)

 実際、麻生大臣とは対照的に、新元号発表で「令和オジサン」になった菅長官は今やすっかり時の人だ。7日の統一地方選でも、福岡県知事選では大勝した現職を支援し、北海道知事選も、菅長官が擁立した前夕張市長が野党統一候補に圧勝した。

■ 6月「大阪G20」後か
 そんな中、財務省がビビっているのが「今井ペーパー」だ。

 2016年5月末の伊勢志摩サミット(G7)で安倍首相は各国首脳に「ペーパー」を示し、「世界経済がリーマン・ショック級の危機に陥るリスクに直面している」と説明。サミット直後の6月1日、2年半の増税延期を発表した。
 「ペーパー」の作成は、経産省出身の今井尚哉首相秘書官が主導したとされる。

「6月の大阪G20に向けて、今井秘書官が経産省に『第2の今井ペーパー』の作成を指示したという話が流れています。伊勢志摩の時と同じように、G20で安倍首相が『ペーパー』を使って、各国首脳に世界経済とリーマン・ショックとの類似性を示し、直後に増税の再々延期を発表するのではないかといわれている。この頃なら通常国会は閉会しているので、野党から凍結をアベノミクスの失敗と追及されることもないし、7月の参院選にも追い風になります」(官邸事情通)

 内閣府が8日発表した3月調査では、消費者心理の明るさを示す消費者態度指数は前月比1・0ポイント低下の40・5となり、6カ月連続で悪化。
 また、景気に敏感な小売店主らに聞いた「街角景気」は、3カ月前と比べた現状判断指数が前月比2・7ポイント低い44・8となり、2カ月ぶりに悪化した。

 実際問題、とても消費税率を10%にアップできる状況ではない。麻生氏失墜と増税凍結が現実味を帯びてきた。


【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2019/04/10 15:00 更新日:2019/04/10 15:00
【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2019/04/10 15:00 更新日:2019/04/10 15:00

国民は真っ平ゴメンだ 聞く耳を持たぬ安倍首相との心中
何も考えない(C)共同通信社

国民は真っ平ゴメンだ 聞く耳を持たぬ安倍首相との心中 日刊ゲンダイ 公開日:2019/03/29 17:00 更新日:2019/03/29 17:00


 2019年度予算が27日、自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。一般会計の総額は101兆4571億円で、7年連続で過去最大を更新。当初段階の100兆円超は初めてだ。
「消費税を引き上げられるような状況をつくり出していきたい」
 この日の参院予算委で、安倍首相はこう強調していたが、本気で言っているのであれば正気の沙汰とは思えない。

 政府は先週20日の月例経済報告で3年ぶりに景気判断を下方修正。日銀が4月1日に発表する3月の全国企業短期経済観測調査(短観)の民間シンクタンク予測でも、世界経済の減速を背景に代表的な指標である大企業・製造業の業況判断指数(DI)は前回(12月調査)よりも6ポイント悪化するとみられている。

 中国や欧州など世界経済の減速が指摘され、2月の貿易統計では輸出額が3カ月連続で減少。今の日本を取り巻く経済環境が明らかに悪化する中、とてもじゃないが消費増税に踏み切るタイミングではないことは言うまでもない。

 安倍政権は毎月勤労統計といった景気判断に使われる統計数値を恣意的につまみ食いしたり、サンプルデータを“改ざん”したりして懸命に「戦後最長の景気回復」をアピールしてきたが、現実とのズレは拡大するばかり。今や日経新聞やJNNの世論調査でも、景気回復を「実感していない」との回答は8割にも達しているのだ。

 安倍自身も国会で「景気回復を実感できない人がたくさんいることも承知している」と答弁していたのだから、低所得者層ほど負担が大きい消費税を引き上げれば国民生活が深刻な影響を受けることぐらい分かるはずだ。

■10%増税を強行すれば経済の大混乱が起きる
 しかし、ほんの一握りの「富裕層」と「お友だち」のフトコロさえ潤えば、庶民生活はどうでもいいのだろう。安倍は何が何でも10%の消費増税に突っ走るつもりだ。

 以前から増税反対を訴えている前内閣官房参与の藤井聡京大大学院教授が19日夜に都内で安倍と食事した際、あらためて「このまま増税すれば大変なことになる」と言って増税断念を直談判した――などと、一部のメディアが報じていたが、安倍はてんで耳を貸さなかったらしい。

 あらためて藤井教授がこう言う。
「2014年4月の消費増税(8%)の際には大きな混乱はなかった、と言われていますが、理由は輸出が大きく伸びていたからです。しかし、今は外需が下落傾向にあり、状況が全く違います。そもそも今秋の10%増税は、デフレ経済から脱却しているとの見込みに基づくもの。しかし、デフレ経済から脱却しておらず、外需も厳しいのですから増税すべきではありません。97年4月の増税(5%)時は『幸運な外需拡大』のタイミングではなかったため、直後に激しい経済の混乱が起きました。今回も増税すれば97年と同じか、それ以上の影響が出る可能性があります。今のタイミングで増税はあり得ないというのが私の考えです」

 これがまっとうな政策判断というものだ。

国民生活が壊れる…(C)日刊ゲンダイ

■ 安倍政権は政権延長のために税金を食い潰し、国費を私物化している
 国民の多くが真っ平ゴメンと考えている消費増税は論外だが、その増税対策として本年度予算で約2兆円が計上されたのもムチャクチャだ。
 とりわけ「世紀の愚策」とされるのが、政府が対策の目玉と位置付けている「キャッシュレス決済向けポイント還元」(2798億円)だ。

 ポイント還元は、クレジットカードなど現金以外の決済で商品を購入した消費者にポイントを付け、その費用を国が負担するのだが、「付け焼き刃」感は否めない。決まっているのは「中小店で5%」「コンビニなど大手フランチャイズチェーン加盟店で2%」という還元率だけ。
 どこまでを中小店とするのか、対象品をどうするかといった詳細な制度設計はこれからだ。現場の大混乱は避けられないだろうし、大体、5%還元であれば、実質5%の減税になる。
 強引に増税する理由が全く分からないし、購買力のある富裕層と、そうではない低所得者層の「格差拡大」がさらに広がりかねない。増税目的も対策と称したカネの使い方も、すべてがデタラメの極み。それなのに安倍政権はなぜ、10%増税にこだわるのか。「10%ストップ!ネット」呼び掛け人の醍醐聡東大名誉教授がこう言う。

「政府が予算計上した2兆円の増税対策費用は、増税による国民の実質負担増分とほぼ変わりません。しかも、通常の年間広報予算の5倍にあたる400億円もかけて消費増税をPRするのだから言語道断。
 安倍政権がなりふり構わず消費増税したいのは、中止や延期をして『アベノミクスは失敗』という批判が出るのを避けるためとしか思えません。政権延命のために税金を食い潰し、国費を私物化しているのです」

 安倍は参院予算委で、自由党の森裕子議員が「(旧民主党政権時代の)子ども手当を潰した自民党を許すことが出来ない」と批判したのに対し、「あの頃、愚か者と考えていた人は多いのではないか。率直に言って私もその一人だ」などと言い放っていたが、「真の愚か者」は他ならぬ安倍自身だ。

■ 批判精神を失ったメディアはアベ政治の共犯者
〈あの「美しい国」には「森羅万象を担当」していると自ら公言してはばからない、神様のような首相が鎮座ましまし、その横には「産まなかった方が悪い」を繰り返す副総理が居座り、そして、他人の病気に「がっかりした」りする大臣までが住んでます。

 あの人たちは皆、ご本人がおっしゃるように間違って使っている言葉に、悪気はないのです。すなわち知性が欠如しているだけなのです。どういう所で言葉を学ぶと、ああいう言葉が次から次と、尽きせぬ泉のように湧いて出るのか〉

 劇作家の野田秀樹氏が21日付の東京新聞のコラム「ゴーマンイング・マイウェイ!」に寄稿した内容が「秀逸」と評判になっているが、見識を備えた知識人であればあるほど安倍政権に否定的だ。
 デタラメ政治を評価しているのは国民生活そっちのけで安倍に従うことしか考えていないお友だちとヒラメ化した官僚だけ。これじゃあマトモな政策は到底期待できない。

 本来は、メディアがきちんと批判するべきなのにそれをしない。消費増税についても〈安倍晋三首相は27日、10月に予定する消費税率10%への引き上げに覚悟を示した。(略)2019年度予算の成立は増税延期をしにくくなったことを意味する。(略)政府内にはリーマン・ショックのような危機でなければ経済対策で乗り切るべきだとの意見が広がっている〉(日経)、〈首相官邸幹部は「全部今からなくすことはできない。増税はもう変えられない」とみる〉(朝日)などと、安倍の言い分を垂れ流しだ。

 なぜ、予算成立が増税不可避とイコールなのか。政権側の勝手な言い分、ヘリクツをなぜ真正面から批判しないのか。メディアがこんなテイタラクだから、安倍がやりたい放題になるのだ。

 元NHK政治部記者で評論家の川崎泰資氏がこう言う。 
「テレビ・新聞はこれまでも安倍政権の言うがままを報じていましたが、最近はさらに踏み込んで政権寄りの解説報道までするようになりました。もはや批判精神をまったく失ったメディアはアベ政治の共犯者と言っていいでしょう」

 国民は不幸になる一方だ。


【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2019/03/29 17:00 更新日:2019/03/29 17:00


関連資料
昭恵喚問「拒否」の自民党 こんな安倍首相と心中するのか
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/227226
2018年4月14日 日刊ゲンダイ

「戦後最長景気」はもともと 2014年の消費増税で途切れていた
「戦後最長景気」はもともと2014年の消費増税で途切れていた Photo:PIXTA

「戦後最長景気」はもともと2014年の消費増税で途切れていた 高橋洋一:嘉悦大学教授 2019.3.21

 内閣府は、3月7日、1月の景気動向指数を公表した。
 景気の現状を示す一致指数は97.9で、前月に比べ2.7ポイント低下し、昨年11月(▲1.8)、同12月(▲1.3)に続いて3ヵ月連続の下降となった。
 このため、基調判断も、これまでの「足踏み」から「下方への局面変化」に下方修正された。

 一方で、先月21日に発表された2月の月例経済報告での基調判断は「景気は、緩やかに回復している」と、今回の景気動向指数のものと異なっている。
 これをどう考えればいいのか。

■ 景気は何で見るか 「指数」と「月例」で違う判断
 景気動向指数(一致系列)は、次の9つの統計から算出されている。
 具体的には、生産指数(鉱工業)、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、所定外労働時間指数(調査産業計)、投資財出荷指数(除輸送機械)、商業販売額(小売業、前年同月比)、商業販売額(卸売業、前年同月比)、営業利益(全産業)、有効求人倍率(除学卒)だ。

 指数はこれらから機械的に算出しており、景気の動きを素直に客観的にみるにはいい指標だ。
 内閣府の景気動向指数研究会(座長・吉川洋立正大教授)が、この指数の中期的な動きを確認し、他の経済指標も考慮して、景気が後退局面から拡張局面に移る転換期(「谷」)や、逆に拡大局面から後退局面に移る境目(「山」)を判定する。

 一方で、月例経済報告は、内閣府が資料を作るが、関係閣僚会議に提出された後に、了承という経過を経て公表される「政府の見解」である。
 月例経済報告は、さまざまな経済指数を分析するとともに、指標の動きの背景にある経済環境や企業の景況感などを総合的に勘案した結果であり、機械的な算出ではないからだ。
 ざっくり言えば、景気動向指数は機械的な算出、月例経済報告は総合判断で、それぞれ景気を見ているわけだ。
 もっとも、機械的な算出なはずの景気動向指数でも、これまでの景気判断では首をかしげることも少なくなかった。

■ 2014年消費増税前後で 景気動向指数は動いた
 今回の景気拡大でも、景気動向指数研究会は、2012年12月から続く景気拡大期間が今なお続いていると判定しているが、筆者としては異論がある。
 景気動向指数(一致指数。2015年=100)のデータを素直に見る限り、2014年4月の消費増税の悪影響はその前後ではっきりでており、そこに景気の「山」があり、2016年5月あたりで「谷」があるように見える(図参照)。

 その前の「谷」は、2012年11月(91.2)と、判定されているが、これは指数の動きをみてもはっきりわかり、その後、上り坂になっている。
 これは、野田政権から安倍政権への政権交代と完全に軌を一にしている。この判定については、誰でも異論がないだろう。

景気動向指数の推移 (資料)内閣府

 問題なのは、2014年4月の消費増税によって景気が後退したかどうかだ。
 景気動向指数をみると、2014年3月に105.6とピークになり、その後、ゆっくり低下し、2016年5月の98.0が底だ。
 しかし、この間については、景気の「山」や「谷」が判定できず、景気拡大がずっと続いていたというのが、景気動向指数研究会の判断である。
 研究会は、消費増税後の悪影響により景気が後退したとの見方について、これまで否定してきている。

 そのロジックは、2012年11月の谷以降、明確に「山」が見つからないというものだ。しかし、筆者の目には、2014年3月が「山」であるように見えるが、読者はどうだろうか。
 研究会の吉川座長は、2014年の増税前に、消費増税をしても景気への影響が軽微だと、発言していた。
 それは結果として間違いだったのだが、この座長発言があったために、その後の研究会の景気基準日付けを判断する時の議論が左右されたようにも思われ、すっきりしない印象だ。

 景気動向指数は、消費増税後、2016年5月に底をつけた後、緩やかに上昇し、2017年12月105.2がピークとなっている。そして、1年程度上下を繰り返して、ここ3ヵ月ほどマイナスで低下が顕著になっている。
 こうした指数の動きを見れば、2014年4月の消費増税後の景気判断や、今回の月例経済報告での景気の腰折れを否定する判断は、ちょっとおかしいと、筆者は思っている。

■ 景気の「山」「谷」は経済政策と外的要因の影響
 筆者は、機械的な算出の景気動向指数をより重視しているが、これまでのその動きを見ると、景気の「山」「谷」の転換点は、その時のマクロ経済政策(金融政策、財政政策)と外的要因(リーマンショックと東日本大震災)の影響ということで、ほぼ説明ができる。
 マクロ経済政策の効果ラグ(半年~1年半程度)を考慮すると、2000年11月の「山」は、2000年8月の「ゼロ金利解除」が契機になったことや、2008年2月の「山」は、2006年3月の量的緩和解除で2007年5月にピークの後ずるずると景気後退したことがわかる。
 2009年3月の「谷」(景気が底になった)のは、リーマンショックによるものであり、2012年11月の「谷」(同)は、東日本大震災もあったが、円高に十分、対応できなかった民主党政権の愚策の結果だろう。

 こう考えてみると、今回の2012年11月以降の「戦後最長」とされる景気拡大局面の“実態”は、2014年5月が消費増税による景気後退で「山」、その後、2016年5月あたりが「谷」となって、2017年12月あたりがまた「山」となり、現時点では下降中と考えるのが自然だろう。

 この間の景気に影響したのは、中国経済の要因は確かにあるが、景気は2017年12月あたりがピークでそれ以降、下降している。これは、2016年9月のイールドカーブコントロール導入による金融引き締めの結果とも読める。
 それに最近の中国経済の成長減速要因が加味されたとみるほうがいいだろう。

 国内要因で景気が落ち目になった時の外的ショックは、下り坂で押されるのと同じで、大きく景気が落ち込む悪影響になるので要注意だ。
 こうしたことを考えると、今後の景気の大きな落ち込みを避ける処方箋は、今年10月の消費増税を当然、やってはいけないとなる。
(嘉悦大学教授 高橋洋一)


【出典】高橋洋一:嘉悦大学教授 ダイヤモンド社 2019.3.21


関連資料
相次ぐ調査ミス。「戦後最長の景気回復」は本当か?
週刊SPA!編集部 2019年01月22日  https://nikkan-spa.jp/1544682
日本の景気回復は戦後最長って本当・・・実はこんなカラクリか・・・
仮想通貨 最新時事ニュース 2019.02.01
https://travel-engineer.com/japan-economic-growth/
"戦後最長"の景気回復が実感できない理由 消費が弱いと「腰折れ」のリスクも
RESIDENT Online 2018.1.9 https://president.jp/articles/-/24129

キーマンはスットボケ 消えた給付金に安倍政権のア然対応
笑っている場合か(C)日刊ゲンダイ

キーマンはスットボケ 消えた給付金に安倍政権のア然対応 日刊ゲンダイ 公開日:2019/02/09 17:00 更新日:2019/02/09 17:00


 不毛な審議だった。ようやく国会に出てきた統計不正のキーマンは案の定、真相を語らず、謝罪もなし。
 15年にも及ぶ毎月勤労統計の不正で約567億円、2000万人以上の雇用保険や労災保険などが過少給付されたのに、頭ひとつ下げず妙なドヤ顔で、野党の質問をかわすだけだった。

 厚労省の大西康之前政策統括官が、きのう(8日)午後の衆院予算委員会に招致された。大西氏は統計担当の統括官として、毎勤統計の不正な実態を知り得る立場にいた真相解明の重要人物だ。
 「賃金構造基本統計」でルール違反の郵送調査を知りながら、根本厚労相に報告を怠ったカドで、通常国会の本格審議が始まる直前の今月1日付で更迭。大臣官房付に異動となった。

 自公与党は野党の国会招致要求を「現職ではない」との理由で拒否してきたが、新年度予算案審議と引き換えに渋々承諾。口封じの“幽閉”を解かれたキーマンの発言に注目が集まったが、期待外れもいいところだ。

 肩透かしは、野党の追及不足が要因だ。5日の衆院予算委で立憲民主の西村智奈美議員は「カギを握る大西氏に今日も来ていただけない」と約1時間の持ち時間中、大西氏の名前を10回近く呼び、招致を訴えたが、いざ実現したら、参考人席にほぼ座らせっぱなし。
 質問に立った立憲民主の川内博史議員は「聞きたいことがいっぱいある」と気負っていたのに、大西氏への質問は3、4問程度。それでも、大西氏の答弁は突っ込みどころ満載だった。

■ ネチネチ追及すればボロを出すのに…
 大西氏は毎勤の不正を「昨年12月13日に初めて知った」と説明したが、統計をつかさどる統括官が、それまで何も知らないのは不自然だ。
 13日に知りながら、厚労審議官、官房長、総括審議官ら上司に、部下を通じて報告したのは5日後の18日、事務次官への報告が翌19日、大臣への報告は20日と1週間もかかったことも認めた。

 なぜ、内部対応がここまで遅れたのか。実は裏で、こっそり口裏合わせでもしていたのではないか。
 5日の根本の答弁によると、大西氏は口頭で大臣に説明したことになっている。これだって、おかしい。資料もなく大臣に重要事項の説明をする役人がいるものか。

「野党の持ち時間は約3時間もあったのですから、あらゆる疑問点について大西氏にネチネチ、しつこく追及すれば、いずれボロを出したはず。そのほころびから真相に近づくことだってあり得るのに、野党の追及は尻切れトンボ。不正統計で問われているのは、勝手にルールを破り、違法行為と認識しながら、組織ぐるみで嘘の上塗りを重ね、こっそり修正しようとした厚労省の隠蔽体質であり、バレなきゃ何でもやる安倍政権の政治姿勢です。そのド真ん中にいる大西氏の答弁を真に受けるなんて、野党はおかしい。大西氏を呼び出しただけで成果と胸を張るのか。あまり政権を追い込み過ぎて今、解散されたらマズイとでも思っているのかと疑いたくなります」(政治評論家・本澤二郎氏)
 弱腰野党には国民もがっかりだ。
 
座らせっぱなし(左から定塚厚労省官房長、大西前統括官)(C)日刊ゲンダイ

■ 経済損失の責任取らずヘラヘラ、ニタニタ
 野党がこの体たらくだから、安倍政権も図に乗る。6日付の朝日新聞に「大西氏を招致した上で『現在の担当者が答えます』と言わせればいい」と、自民党ベテラン議員のなめた言葉が載っていたが、何てことはない。野党から鋭い質問が飛び出さないから、そこまでやる必要もなかった。

 この政権は統計不正の真相解明なんて、屁のカッパ。できる限り「アベノミクス偽装」を大ごとにしたくない態度がミエミエだ。国民への説明責任は常にゼロ回答。国会閉幕まで、とにかく、ごまかし続けるハラだ。

 大体、毎勤不正の検証を性懲りもなく、厚労省の特別監察委員会に担わせていること自体、国民を愚弄する政権の体質を物語る。特別監察委は、聴取対象者の3分の2を身内の厚労省職員にやらせ、たった1週間の“お手盛り調査”で「組織的隠蔽は認定できない」との結論を出した。
 第三者性もへったくれもない特別監察委はサッサと解散し、より独立性の高い組織で出直すのが、せめてもの国民への罪滅ぼしだ。

 ところが、きのうの衆院予算委に招致された特別監察委の樋口美雄委員長は「労働政策研究・研修機構理事長として呼ばれているので答弁を差し控える」と繰り返し強弁。再調査の内容を聞かれても「今後の検討に影響を及ぼす危険がある」と答弁逃れだ。

 労働政策研究・研修機構は厚労省の天下り法人。そんな身内同然の樋口委員長に第三者性を期待するだけムダなのに、野党議員は「立派な方と存じ上げている」(立憲民主の大串博史議員)と持ち上げる。
 その様子を安倍首相も麻生財務相もヘラヘラ、ニタニタと余裕たっぷりで見つめる姿は、もうマンガの世界だ。

■ 大臣ないがしろになぜ政権与党は怒らない
 高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言った。 
「統計不正の過少給付で、2000万人以上もの国民に総額567億円もの経済的損失を与えれば、マトモな先進国なら政権は即刻、総退陣です。
 トップは責任を取るために存在するのに、安倍首相は給付金ネコババに居直りですから、唖然とします。
 大西氏は根本厚労相に1週間も不正を報告しなかったことになっていますが、ここまで大臣が役人にないがしろにされたら、政権与党はもっと怒るべきです。それなのに政権与党を挙げて真相解明に後ろ向きなのは、この政権は『アベノミクス偽装』のグルと見られても仕方ありません」

 いつだってそうだ。この政権は、あらゆる不正をごまかし、責任を役人に押しつけ、国民置き去りのウヤムヤ決着が繰り返されてきた。

 モリカケ問題では疑惑の渦中にいる安倍昭恵夫人や、加計学園の加計孝太郎理事長の国会招致を拒み続け、真相解明を妨害。森友文書改ざん発覚で昨年3月、ようやく佐川宣寿元財務省理財局長の証人喚問が実現しても、「刑事訴追を受ける恐れがある」と証言拒否を繰り返させた。

 加計問題で国家戦略特区担当の柳瀬唯夫首相秘書官(当時)は2017年7月の参院予算委で参考人として呼ばれ、15年に加計学園の関係者らと面会したかと問われても「私の記憶する限りお会いしていない」とシラを切り通した。

 学園関係者らと官邸で3回面会したと認めたのは、18年5月に改めて参考人招致に応じた時だ。約1年もしらばっくれて真相を隠し、政権に恩を売り続けたのである。この政権は国民の資産である国有地をタダ同然で、首相夫人の息のかかった小学校に売り払おうとしても、特区制度を悪用して首相の“腹心の友”に過剰な恩恵を与えても、お構いなし。
 国民にバレなきゃ何でもやる。給付金を長年ネコババしても、罪の意識すら感じない。「民は由らしむべし、知らしむべからず」を地で行くのが、安倍政権の本質で、一貫して国民は何も知らずに俺たちに従っていればいいという態度だ。

「安倍政権は数の力で押し切り、強引に疑惑を包み隠してしまう。野党に加え、NHKをはじめとする大マスコミの追及も甘く、何をやっても知らされずに済む。昔の自民党なら、こんな政権はとっくに引きずり降ろしていたはずですが、今や皆、独裁首相の言いなり。国民置き去りの絶望的状況を変えるには、今年の統一地方選と参院選で有権者が目にモノを言わせるしかありません。この政権が亥年選挙を乗り切れば、さらなる絶望と危機が待っているだけ。2019年の日本は戦後最大の岐路に立っています」(本澤二郎氏=前出)

 これ以上、給付金ネコババ政権の居直りを許してはいけない。


【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2019/02/09 17:00 更新日:2019/02/09 17:00


関連資料
厚生労働省 毎月勤労統計 データ改ざん【過少給付2000万人、567億円】
生活の知恵 https://lifetip.net/unemployment-insurance-844/
国会映像館:消えた年金記録-その1 (YouTube動画)
https://www.youtube.com/watch?time_continue=1&v=9Kbug3tSHMs
【消えた年金】党首討論で"一年以内の記録照合作業の完了"を確約する安倍首相
(YouTube動画)https://www.youtube.com/watch?v=EpNRFO-cL9M

やっぱり賃金は下がっている 虚飾の政権で沈む日本経済
アベノミクスに真実なし(C)共同通信社

やっぱり賃金は下がっている 虚飾の政権で沈む日本経済 日刊ゲンダイ 公開日:2019/01/21 17:00

 第1次安倍政権は「消えた年金問題」が火を噴き、ブン投げ辞任の引き金となった。厚労省が15年前から基幹統計のひとつである「毎月勤労統計」のデタラメ調査を続けていた問題は、それを上回る業火となる様相である。

 雇用保険をはじめとする追加給付などにかかる必要経費は、事務費約195億円を含む計約795億円。安倍政権は財源を捻出するため、2019年度予算案の一般会計総額を修正し、異例の閣議決定し直し。6億5000万円を追加計上し、101兆4571億円に増額した。

 過去最大だった当初予算案はさらに膨らみ、増額分は新規国債発行で賄うという。つまり、国民へのツケ回しだ。残りはどこから調達するのかといえば、大半は労使が拠出した保険料をプールした特別会計。ズサン統計のシワ寄せが労使にも重くのしかかるのだから、フザケるにもほどがある。

 デタラメ調査の最大の問題は、ズルズルと不正を働いていた厚労省が昨年1月分からデータ補正を始めていたことだ。厚労省は04年から本来全数調査すべき「500人以上規模の事業所」について、都内計1464事業所のうち、3分の1程度の抽出調査しかしてこなかった。

 それが一転、調査結果を「3倍」にして全数調査に近づける不正処理を開始。そのタイミングは、安倍首相が17年10月の経済財政諮問会議で「3%の賃上げが実現するように期待する」と異例の数値目標に言及し、12月の経団連審議員会では「ズバリ3%以上の賃上げをお願いしたい」とさらに踏み込んだ直後だ。背景にはアベノミクスの“成果”で上がるべきはずの実質賃金がちっとも振るわない現実があったのではないか。

 17年の実質賃金指数は平均で前年比マイナス0.2%という惨憺たる数字だった。データ補正後の昨年1~11月の平均はプラス0.3%。インチキ処理によって物価変動の影響を除いた賃金の動きを示す実質賃金指数まで上昇した結果だ。

 17日の野党合同ヒアリングに出席した厚労省の屋敷次郎大臣官房参事官が「上昇幅はより小さくなる可能性がある」と認めていたように、実際はマイナスだった可能性が高い。「毎勤の不正処理による実質賃金指数の伸び率は0.3~0.8%程度カサ上げされたとみられます」(厚労省関係者)というから、やっぱり実質賃金の下落傾向に歯止めがかからず、下がり続けているのだ。

■ 景気動向指数、労働力調査にも疑惑
 問題はこれだけにとどまらない。他にも怪しげな数値がゴマンとあるアベノミクス効果のイカサマは今後、次々に明らかになっていく。毎勤の再集計によって、雇用報酬や可処分所得ばかりでなく、国際的な経済指標であるGDPの修正にまで追い込まれるのだ。

 経済評論家の斎藤満氏は言う。
「毎勤は国勢統計や国民経済計算と並ぶ56の基幹統計の1つで、政策立案や経営判断のベースになります。政策の根っことなる基幹統計がメチャクチャでは、経済実態の正確な診断ができず、適切な処置もできなくなる。毎勤の不正調査は小泉政権までさかのぼりますが、データ補正の発端は官邸に忖度した厚労省がアベノミクスの成果をデッチ上げるためだと思えてなりません。もっとも、第2次安倍政権発足以降、疑わしい統計がゴロゴロしています。15年9月に安倍首相が名目GDP600兆円の20年度達成を目標に掲げると、すぐさまGDPの算出方法を変更。研究開発費などの参入で約31兆円もカサ上げした結果、15年度の名目GDPは532兆円に膨らんだ。内閣府発表の景気動向指数も怪しい。15年春以降は明らかな下向きで、多くのエコノミストが景気後退懸念を強めているのに、〈景気後退ではない〉との大本営発表で議論さえ封じている。労働力調査にも疑問があります。総務省による最新の昨年11月調査では完全失業率2・5%、完全失業者168万人とされていますが、厚労省発表の有効求職者数は約171万人。有効求職者はハローワークに登録した求職者の総数に過ぎず、それでも少なくとも3万人のギャップが生じている」

 いよいよハッキリしてきたのが、今年の景気悪化と消費増税断行の狂気である。虚飾の政権の暴走によって日本経済はどん底まで沈みゆこうとしている。
 
通常国会は大紛糾必至(C)日刊ゲンダイ

■ 選挙イヤー対策のポイント還元予算は青天井
 安倍政権は実質賃金の伸び率を消費増税の判断材料のひとつとしていたはずだ。「国難突破解散」と銘打った17年10月の総選挙では消費増税を巡る使途変更の是非も争点に掲げ、その前提として「4年連続の賃金アップの流れを更に力強く、持続的なものとする」と胸を張っていた。

 ところが実際は、第2次政権発足以降で実質賃金指数が前年比プラスになったのは16年だけで、それもわずか0.7%。15年マイナス0.8%、14年マイナス2.9%、13年マイナス1.0%だったのだ。

 ほとほと、信用できないペテン政権の場当たりのゴマカシを許していたら、どんどん傷口は広がっていく。10月に予定される消費増税による痛税感緩和を口実に、安倍政権はバラマキを拡大させている。統一地方選と参院選が重なる選挙イヤー対策で大盤振る舞いだ。

 キャッシュレス決済向けのポイント還元向けに、19年度予算案で約2800億円を計上。20年度予算などでも1000億円強の追加が必要と想定している。日経新聞(19日付朝刊)によると、企業が中小店舗から調達する仕入れも対象にするという。法大教授の小黒一正氏は勘定の甘さをこう指摘していた。

「年間の家計消費300兆円の仮に50兆円分が還元対象だとしても1%あたり5000億円が必要」

 ポイント還元費用が2兆~3兆円に膨らむ事態が否定できないというのだ。実際、安倍政権は還元総額の上限を定めない方針だというから、青天井の勢いである。

■ 日銀BSもメチャクチャ
 アベノミクスの片棒を担ぐ日銀のバランスシート(BS)もメチャクチャだ。国債の大量買い入れで市場にマネーを流し込む異次元緩和で円安株高を演出し、ETFの爆買いで官製相場を支え続けてきた。立大大学院特任教授の金子勝氏が日刊ゲンダイコラム(12月26日付)でこう警鐘を鳴らしていた。

〈日銀の「営業毎旬報告」(12日公表)によると、日銀は国債を約471兆円保有。これは購入価格で簿価だ。「日本銀行が保有する国債の銘柄別残高」(同日公表)は額面金額ベースで約459兆円。この差額の12兆円は何か。日銀がマイナス金利下で10年債未満の国債を額面よりも高値で引き受けることで生じたものだ。満期になれば、日銀の赤字となる。これによって、政府は国債の利払いから逃れ、日銀に赤字を付け替えることができる〉

 昨年7~9月期は米中貿易戦争の影響で輸出が1・8%減り、実質GDP成長率はマイナス転落。年率換算で2・5%減に後退した。米中通商協議では日本経済の屋台骨である自動車分野の狙い撃ちは必至。「アメリカ・ファースト」のトランプ大統領に数量規制をねじ込まれてしまえば、GDPの0・8%が吹き飛ぶ。

 日本はガタガタだ。内政でどん詰まりの安倍は「戦後外交の総決算」とうそぶき、ロシアとの平和条約締結交渉に前のめり。国会をサボって訪ロし、25回目の日ロ首脳会談に臨むが、北方領土の旧島民が切望する進展は望むべくもない。

 経済アナリストの菊池英博氏は言う。
「安倍首相はダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)にも出かけて演説するようですが、真剣に耳を傾けるリーダーがいるのでしょうか。安倍首相のひと言をきっかけに官僚が民主主義の根幹を破壊する公文書の隠蔽・改ざんに走り、製造業では長年にわたって検査不正が横行し、果ては基幹統計もインチキだらけ。日本は国家としての信頼を失っています」

 アベノミクスもイカサマ、“外交の安倍”もデタラメ。ウソで塗り固めた政権と心中なんて真っ平御免だ。第1次政権と同じ轍を踏ませなくてどうする。


【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2019/01/21 17:00


関連資料
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実感がないのは当たり前 「いざなぎ景気超え」のマヤカシ
作為的な統計でアベノミクスを演出(C)共同通信社

実感がないのは当たり前 「いざなぎ景気超え」のマヤカシ 日刊ゲンダイ 公開日:2018/12/15 17:00


 景気回復を実感しないのは「感性」の問題なのか。いや、違うだろう。内閣府の景気動向指数研究会(座長・吉川洋立正大教授)の景況感には驚きを禁じ得ない。
 2012年12月を基点とする景気回復が17年9月まで続き、高度成長期に4年9カ月にわたった「いざなぎ景気」(1965年11月~70年7月)を超え、戦後2番目の長さになったと認定したのだ。来年1月まで続けば戦後最長となり、6年1カ月に及んだ「いざなみ景気」(02年2月~08年2月)を抜くという。

「いざなぎ景気」を支えたのは、個人消費の拡大と企業の旺盛な設備投資だった。
 自動車、クーラー、カラーテレビの「3C」の普及が購買欲を刺激し、65年度から70年度を平均した実質成長率は10.1%に上った。
 賃金もぐんぐんアップした。振り返って、足元はどうだ。12年度から17年度の平均実質成長率はわずか1.2%。7~9月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.6%減、年率換算で2.5%減だった。
 前期比0.3%減、年率1.2%減とした速報値から大幅な下方修正だ。生活実感に近い名目GDPも前期比0.7%減、年率2.7%減に引き下げた。

 経済アナリストの菊池英博氏はこう言う。
「第2次安倍政権発足以降、国民生活は確実に苦しくなっている。景気回復の実感がないのは当然です。厚労省のデータによると、13年から17年までの実質所得(1世帯当たりの平均所得額)は5年で80万円減収している。その内訳は3%分の消費増税で60万円。アベノミクスによる異次元緩和で円安が進み、輸入物価高で20万円。円相場は2012年の80円台から120円に値を下げた。円安は40%も進み、実質的な円の切り下げです。この5年間で名目GDPは492兆円から546兆円に膨らみましたが、そのうち32兆円は算出方法の変更による底上げです。実態は20兆円の増加で、年間成長率はわずか0・8%。ゼロ成長です。“いざなぎ超え”はまったくのデタラメ。詐欺的統計と言っていい」

■ 実質賃金プラスは1回だけ
 安倍首相は「有効求人倍率は1倍を超えた」「250万人の新たな雇用を生み出した」と何かと胸を張る。確かに、雇用者はこの5年間で370万人増えたが、そのうち正規社員は26%。非正規社員が73%も増加し、雇用状況は不安定化している。
 正規社員の所得の3分の1程度とされる非正規社員が増えれば、所得水準は下がる。実質賃金指数は12年の104.8から17年は100.5にダウン。4.1%も下げている。この5年間で実質賃金がプラスになったのは16年の1回だけ。実質可処分所得は減る一方なのだ。

 恐るべき政府のイカサマPRに加えて、安倍官邸に近い大メディアは、〈「いざなぎ超え」 戦後2番目に〉〈景気「いざなぎ」超え 内閣府認定、来月で戦後最長〉などの見出しを打ってアベノミクスの“成果”を盛んにヨイショ。官邸を徹底的に忖度した提灯報道をジャンジャン流している。
 麻生財務相は14日、閣議後の記者会見で“いざなぎ超え”にもかかわらず、賃金が上昇しない状況について問われると、「上がっていないと感じる人の感性」の問題だと強弁した。言うに事欠いて、一国の財政を担うトップが何のデータも根拠も示さずに、感覚でモノを言うのだから空恐ろしくなる。“いざなぎ超え”なんて、ちゃんちゃらおかしいのだ。
賃金上昇は「感性」の問題だと(C)日刊ゲンダイ

■ GDP底上げでもマイナス成長へ転落危機
 目端の利く外国人投資家は日本経済をとうに見限り、一斉に逃げ出している。東京証券取引所によると、12月第1週(3~7日)の投資部門別株式売買動向(東京・名古屋2市場、1部、2部と新興企業向け市場の合計)は海外投資家が4週連続で売り越していた。
 売越額は前週の2101億円から約3倍増の6001億円。2月第1週の6446億円以来の大きさだった。11月第2週1369億円↓同第3週1967億円↓同第4週2101億円という経過をたどり、その額は週を追うごとに膨らんでいる。

「日本は実質的にマイナス成長に突入している。海外の投資家は日本経済をそうみていて、日本市場から手を引いているのです。日銀がETFの大量購入で株価を支えているいまのうちに、売ってしまおうということ。官製相場でなければ、日経平均株価はとうに2万円を割ってもおかしくない。安倍政権は算出方法の変更でGDPに化粧をしていますが、その数字でさえ今年はマイナス成長に転落する可能性があります」(菊池英博氏=前出)

 来年以降の日本経済は惨憺たるありさまとなりかねない。キーワードは米国のトランプ大統領、フランスのマクロン大統領、中国の習近平国家主席。保護主義と新自由主義をめぐり、対立は深刻化している。
 マクロンは燃料税引き上げに端を発したデモで求心力をさらに失い、政権はガタガタ。これに一枚噛んでいるとみられているのが、トランプだ。地球温暖化に関心のないトランプはパリ協定から離脱。
 一方のマクロンはトランプに強硬な態度で臨み、国内で燃料税引き上げを図り、ルノーの打ち出の小づちである日産自動車の現地生産を進め、さらに利益を吸い上げようとしている。米国の自動車産業を守るために海外メーカーの現地生産を推し進めるトランプにとっては、マクロンは目の上のたんこぶ以外の何ものでもない。その矢先に起こったのが、日産のカルロス・ゴーン前会長の電撃逮捕劇だった。

 経済評論家の斎藤満氏は言う。
「ゴーン逮捕に動いた東京地検特捜部は伝統的に米国と関係があり、安倍政権をアゴで使うトランプ政権の意向が働いたという指摘がある。その一方で、安倍政権はフランスの意向をくみ、臨時国会で水道法改正を通し、水道民営化を着々と進めています。八方美人なアベ外交は“個人的な信頼関係”をかたってうわべだけのつき合いを重ね、金銭供与でつないでいるだけの“良好な関係”にしか見えない。どの国からも信頼されず、外交で相手にされないリスクが高まっています」

■ 日米通商協議でGDP2%喪失
 トランプに押し込まれた日米通商協議が来年1月中旬から本格化する。米通商代表部(USTR)が開いた対日貿易に関する公聴会に参加した自動車メーカーや業界団体は、米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)よりも強力な為替条項や自動車輸出の数量規制を要求。輸出制限には具体的数字も飛び交っていて、阿達雅志国交政務官が講演で「最大100万台という要求もあった」と交渉の内幕を明かしていた。

「17年の日本車対米輸出は174万台。年間7兆円に上る対米黒字の8割を自動車分野が稼いでいます。それが半分に落ち込めば、GDPの1%が吹き飛んでしまう。現地生産を進めるといっても、対応できるのはトヨタ自動車やホンダくらいでしょう。自動車産業は非常に裾野が広く、関連企業は20万社に上るともいわれます。ヘタをすればGDPの2%を失いかねない。トランプ大統領のさじ加減ひとつで、一気にマイナス成長へ転落です」(斎藤満氏=前出)

 拳を振り上げた中国包囲網から一転、安倍は中国との関係改善を図っているが、米中貿易戦争のあおりで雲行きは怪しくなっている。中国国家統計局によると、小売売上高や工業生産はいずれも伸びが鈍化。
 その影響は日本経済にも表れ始めている。12月の日銀短観では米中新冷戦の懸念から、3カ月後の見通しを示すDI(業況判断指数)はプラス15と4ポイント悪化した。米中関係をさらにこじれさせているのが、米国の要請を受けたカナダによる華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟CFOの逮捕劇だ。米国は次世代通信5Gの覇権争いで、中国を敵視。トランプがそれに拍車を掛け、同盟国にファーウェイの締め出しを求めると、安倍政権も追従。政府調達から排除を決めた。

「民間企業も中国排除に追随する姿勢です。今月上旬に起きたソフトバンクの大規模通信障害はファーウェイCFO逮捕との関わりがあるとされ、ソフトバンクはファーウェイと関係を築いているために狙われたという見方がある。
 現状ではソフトバンクだけの問題とみられていますが、他の日本企業にも波及するとの不安が広がっている」(金融関係者)

 来年10月には消費税が10%に引き上げられる。14年の8%増税の例を引くまでもなく、経済停滞は避けられない。
 政治的思惑も絡んで世界経済が大きな岐路に立つ中、何の処方箋もなく、“いざなぎ超え”と大はしゃぎするだけの安倍政権にこの国を任せていていいのか。

【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2018/12/15 17:00


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景気が拡大したわけではないのはこのグラフを見たら一目瞭然

デタラメの極みだ 暗愚の暴君と取り巻きの“税私物化”
全部オレが決める(C)共同通信社

デタラメの極みだ 暗愚の暴君と取り巻きの“税私物化” 日刊ゲンダイ 公開日:2018/11/29 17:00


 制度設計が不十分なまま衆院を通過した改正入管難民法もメチャクチャだが、安倍政権がブチ上げた来年10月の消費税率引き上げに伴う増税対策もデタラメの極みだ。象徴的なのが軽減税率だろう。NHKが開設している〈基本がわかる消費増税〉と題したサイトを見るとよく分かる。政府が増税対策として公表した軽減税率の対象例、指針などを解説しているのだが、制度設計が不十分どころの話じゃない。

〈「コーヒー回数券」 チケットを販売した時点では、店内で飲むのか持ち帰るのか判断できないため、軽減税率の対象となるか迷うことになりそうですが、コーヒーに交換した時点で、どちらか確認する必要がある。チケットを8%の税率で販売していて、店内で飲むことになった場合には、交換する時点でその差額を客に請求するなどの対応が考えられます〉

〈「すしを途中で持ち帰る場合」 「外食」か「持ち帰り」かは、客に提供した段階で判断されるため、店内で食べるものと区別せずに提供されていれば、「外食」にあたり軽減税率は適用されないとしています。一方で、最初から持ち帰り用にパック詰めして販売する場合は、軽減税率の対象になります〉

 他にも、軽減税率の対象となる飲食料品が土産品で配られるパック旅行や、サラリーマンの出張に支払われる日当……などの例が紹介されているが、どう見ても政府指針は付け焼き刃の思い付きだ。来年10月以降、店舗や消費者が大混乱に陥るのは間違いないだろう。

■ 増税目的の「財政再建」「社会保証の充実」は遠のくばかり
 グチャグチャなのは軽減税率だけじゃない。中小の小売店、飲食店などでクレジットカードや電子マネーといった「キャッシュレス」で支払った場合の「5%ポイント還元」も愚策としか言いようがない。増税時から9カ月間の期限付きとはいえ、この間、事実上の税負担は現在の8%を下回り、5%になる。軽減税率が適用される飲食料品であれば3%だ。減税になるのであれば、一体何のために増税するのか。理解不能だ。

 さらに住民税非課税世帯(年収256万円未満)の低所得層と、0~2歳児を持つ子育て世帯に対して用意される「プレミアム商品券」や、自動車や住宅購入に対する税制優遇、民間企業のポイントをマイナンバーカードに貯めて買い物などに利用できる「自治体ポイント」の導入、幼児教育無償化も増税対策として盛り込まれたが、誰が見ても選挙目当てのマッチポンプ、バラマキは明らかだ。

 日銀は税率を一律10%に引き上げた場合、家計負担の増加額を年間5・6兆円と試算。しかし、軽減税率の導入や各種バラマキによって同2・2兆円に縮小するという。つまり、それだけ税収が減るということで、増税目的だった「財政再建」と「社会保障の充実」は遠のくばかりだから、冗談じゃない。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。

「増税対策は対策でも何でもない。茶番です。バカバカしい策をあれこれ考えるのであれば、政府は増税せずにできる施策や知恵、工夫をするべきです。それを一切せず、安易に増税を決めておいて、後から泥縄のように国民負担を軽くする、といって好き勝手にバラマキ施策を作り、借金をしているのだから、税金の私物化に等しい。まるで国家の体をなしていません」

また出てきた(C)日刊ゲンダイ

■ 安倍政権の横暴を許せばこの国の未来がなくなる
 チグハグを通り越して支離滅裂といっていい国民愚弄策の増税対策の骨格づくりを主導したのは、政府の「未来投資会議」(議長・安倍)だ。2016年9月、第2次安倍政権が「アベノミクス」を進めるためにつくった「日本経済再生本部」の下に位置付けられている組織で、26日付の日経新聞によると、増税対策などの経済財政政策はこれまで財務省の影響力が強かった「経済財政諮問会議」で議論されてきた。

 ところが、最近は経産省の出向者が事務局の大半を占める「未来投資会議」が中心になりつつあるという。運営を取り仕切る経産省の新原浩朗経済産業政策局長は、今回の増税対策で「5%ポイント還元」を進めた人物らしいが、なるほど、どうりで「財政再建」や「社会保障の充実」といった重要な視点が欠落しているワケだ。

 見逃せないのは、この会議で中西宏明経団連会長などと一緒に民間議員に名を連ねているのが、竹中平蔵東洋大教授ということだ。「安倍・竹中」といえば、“利権”の腐臭が漂う最悪のコンビ。代表的なのが愛媛・今治市の加計学園獣医学部新設を巡る問題で注目を集めた「国家戦略特区諮問会議」だろう。

 安倍と近しい関係のメンバーが民間議員として加わり、「規制改革」と称して自分の会社や関係する業界に“利益誘導”する。暗愚の暴君にひれ伏す取り巻き――のような国家私物化システムをつくるために暗躍したとささやかれているのが竹中だ。

 国家戦略特区で外国人労働者の家事代行サービスが解禁された際、政府のあっせん事業を真っ先に受注したのは、竹中が会長を務める人材派遣パソナグループの子会社だったこともある。「未来投資会議」傘下の「第4次産業革命会合」では会長を務め、自治体が公営事業の運営権を民間に売却できるコンセッション方式の積極活用を主張。
 今臨時国会で成立が確実視されている水道事業の民営化にも絡んでいるから、怪しいにおいがプンプンする。投資会議は看板を替えた特区諮問会議のようだ。

■ 「70歳就業義務化」で国民を死ぬまで働かせる
 その「未来投資会議」が打ち出したのが「70歳就業義務化」の検討だ。社会保障政策を管轄する厚労省を抜きに進めた施策で、成長戦略の目玉に位置付けているが、国民を死ぬまで働かせようとする魂胆がミエミエ。
 未来への投資なんて嘘っぱちもいいところだ。大体、増税回避のための異次元緩和はどうなったのか。「2年でインフレ目標2%」は5年経っても達成されず、国の借金(国債及び借入金などの残高)は1091兆7000億円に達し、この1年間で11・3兆円も増えた。

 いくら増税しても「財政再建」も「社会保障の充実」もない。借金だけが増えているなんて、これほどバカな話はない。他方、国民の生命、財産にはてんで目もくれない安倍政権が大盤振る舞いなのが防衛費だ。

 18年度の防衛費は過去最高の5・2兆円。自民党は今年の「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」の見直しに合わせて防衛費の対GDP(国内総生産)比率を現状の約1%から2%に引き上げるように提言しているが、早速、政府は最新鋭ステルス戦闘機「F35」を米国から最大100機購入する方向で検討に入ったという。1機100億円超で計1兆円以上。海自の護衛艦「いずも」を改修して「空母」まで持つというから、防衛費はどこまで青天井になるか分からない。

 トランプ米大統領から武器購入を迫られ、「ハイハイ」と従ったのだろう。政治的ビジョンも理念もない。トランプにちょっと脅されれば、カジノも解禁し、自衛隊も差し出す。これぞ亡国官邸による国会・国民冒涜のペテン政治だ。経済ジャーナリストの荻原博子氏がこう言う。

「未来を奪う施策ばかりを掲げる『未来投資会議』は論外ですが、それ以上に問題なのは、どんどん安倍政権が横暴になっていることです。野党の意見や反論には全く耳を傾けず、時間が過ぎたら『ハイ、オシマイ』です。これは国会ではないし、議会制民主主義もあったものではありません」

 本来は大新聞が批判的に報じるべきなのに「軽減税率」で頭が上がらないのか、腰砕け。まったくだらしない。このままだと、この国の未来が本当になくなってしまう。


【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2018/11/16 17:00


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改憲も北方領土もアドバルーン先行 喜劇的結末になる予感
プーチンの罠にハマった(C)共同通信社

改憲も北方領土もアドバルーン先行 喜劇的結末になる予感 日刊ゲンダイ 公開日:2018/11/16 17:00


「戦後70年以上残されてきた課題を次の世代に先送りすることなく、私とプーチン大統領の手で必ずや終止符を打つ」

 14日にシンガポールで行われた日ロ首脳会談の後、安倍首相が記者団に語ったセリフだ。毎度のごとく大物気取りで、仰々しさは天下一品。「戦後外交の総決算」は9月の自民党総裁選で打ち出した3期目の主要課題だけに、そのひとつである北方領土問題が進展しているという印象を打ち出したいのだろう。

 実際に、今回の首脳会談で合意した内容は、「1956年の日ソ共同宣言を基礎に北方領土交渉を加速させる」「年明けにロシアで首脳会談」であり、何か具体的になったわけではないが、“やってる感”をアピールしたい安倍官邸は前進イメージをメディアに流すのに必死だ。特に9月の東方経済フォーラムで、唐突にプーチンから「前提条件なしの年内の平和条約締結」、つまり事実上の領土棚上げ交渉を提案され、赤っ恥をかかされているだけに、安倍としてはそれを“上書き”するような方向性を見せる必要があった。
 そこで急浮上しているのが、日ソ共同宣言で明記されている「平和条約締結後に歯舞群島と色丹島の2島の引き渡し」を先行させるという選択肢である。日本政府は国後島と択捉島を含めた4島返還を大原則としているため、15日、菅官房長官が会見で「4島の帰属問題を解決し、平和条約を締結する立場に変更はない」と2島先行論を打ち消そうとしてはいたが、“手柄”を急ぐ安倍は長年の政府方針を振り切って、前のめりになっている。

■ 対ロ外交の大失敗になる
 しかし、2島だとしても、北方領土を「戦利品」と考えるロシア国民の反発を抑えてまで、あのプーチンが返還に動く可能性はあるのか。

 そうしたら早速、プーチンはきのう、安倍との首脳会談について記者会見し、「引き渡し後に島がどちらの主権になるかは(日ソ共同宣言に)明記されておらず、今後の交渉対象だ」と牽制してきた。おいおい、そこからですか、ではないか。これでは安倍が平和条約締結へ舵を切っても、領土が本当に日本へ戻ってくるのか分かったもんじゃない。

 元外交官の天木直人氏はこう言う。 
「驚きましたよ。プーチン大統領の発言は、日本にとって北方領土交渉が前進するどころか、むしろ後退したと言っていい。2島の主権交渉から始めるって、いつまでかかるのか、気の遠くなるような話。プーチンにまんまと前提条件をひっくり返された形です。本来なら北方領土交渉は、4島で行くのか2島で行くのか、米軍基地の問題など日米同盟とどう両立させるのか、そうした日本の方針をしっかり決めてから臨むものです。それをしないまま結論だけ急いだ結果がこれ。外交のレベルが低すぎます」

 筑波大教授の中村逸郎氏(ロシア政治)もこの先の見通しに悲観的だ。
「このまま平和条約を締結したら、それだけで終わって、2島どころか1島も帰ってこないでしょう。日ソ共同宣言には、平和条約締結後に、北方領土を『いつ』返すのかの期限は書かれていない。100年後か、200年後か。1000年後だっていいわけです。プーチン大統領の狙いは、平和条約だけ結んで、領土問題は棚上げすることなのです。そしてもうひとつ、日本の世論が2島返還論と4島論とに分断されることもプーチンの狙い。日本国内がモメて、方針が定まらなければ、日本側の問題として領土返還を棚上げできる。日本はプーチンに足元を見られてしまいました。日ソ共同宣言に返るということは、日本の対ロ外交の大転換であり、大失敗になると思います」

改憲では側近が大チョンボ(C)日刊ゲンダイ

■ レガシーを焦って、毒入りのエサに飛びついた
 ここに来て安倍が北方領土交渉に傾注するのは、「戦後外交の総決算」なんてカッコつけながら、どれもレガシーにできるような成果が見通せないからだ。

 拉致問題を抱える北朝鮮との関係について、安倍はきのうも、ASEAN諸国連合との首脳会議の場であらためて、「金正恩朝鮮労働党委員長と直接向かい合い、拉致問題の早期解決を成し遂げる決意だ」と意気込んでいたが、意欲だけが空回りしている。最近も一部報道で、日本の情報当局トップの北村滋内閣情報官と北朝鮮の金聖恵統一戦線策略室長がモンゴルのウランバートルで極秘会談したと報じられた。北村が北朝鮮高官と密かに会ったという情報はこれで3回目である。

 しかし、北朝鮮にとって直近の優先事項は2度目の米朝首脳会談であり、それが来年の正月以降に先送りされている以上、日朝のトップ会談など具体化するわけがない。

 日中関係の正常化も「総決算」の柱のひとつだが、安倍が隷属するトランプ米国が前面に立ちはだかる。先月、安倍は7年ぶりに訪中し、習近平国家主席と会談、「競争から協調へ」「互いに脅威とならない」「自由で公正な貿易体制を発展」という「3原則」を確認したとブチ上げたものの、貿易戦争で対中強硬姿勢を強める米国からの横ヤリが入ってトーンダウン。13日に来日したペンス米副大統領にもクギを刺され、軌道修正を余儀なくされている。

 加えて内政はと言えば、景気にも陰り。内閣府が今月発表した9月の景気動向指数は2カ月ぶりに低下し、景気基調判断が「改善」から「足踏み」へと24カ月ぶりに下方修正された。豪雨や地震など自然災害が理由の一時的なものと解説されているが、電子部品や建設機械などで在庫が積み上がっている状況などから、グローバル経済の減速が日本の輸出の足を引っ張っているとみるエコノミストが少なくない。既に景気後退局面に入っている可能性もあるのだ。

 国会では片山さつき地方創生相や桜田義孝五輪相ら醜聞大臣が野党から集中攻撃を受けボロボロ。懸案の外国人労働者を拡大する法案も、中身がスッカラカンすぎて審議が進まない。

■ 手のひらで踊らされている
 そして、安倍にとって「戦後70年の総決算」として最大のテーマであり、悲願なのが憲法改正。しかしこれも、夏ごろには「秋の臨時国会で議論を前に進め、一気呵成に年内発議」(安倍周辺)などと鼻息が荒かったものの、まったく進んでいない。それどころか、アベ友の下村博文自民党憲法改正本部長の大チョンボで憲法審査会開催のメドすら立たないのだ。下村が改憲審議に乗ってこない野党を「職場放棄」と批判したことに野党が猛反発。下村は発言の陳謝・撤回に追い込まれ、衆院憲法審の幹事就任も辞退させられた。

 安倍が自分の意向に沿って国会の改憲論議を進めさせようと、憲法ド素人である子飼いの側近を本部長に抜擢したことがそもそもの間違いなのだが、後の祭りだ。
 結局、ありとあらゆることが停滞し、焦りまくる安倍が、プーチンがまいた毒入りのエサに飛びついた、ということなのである。

 国際ジャーナリストの春名幹男氏が言う。
「第2次大戦末期に旧ソ連は国際法違反によって日本へ侵攻し、北方領土を奪ったわけです。日ロの研究者がこうした歴史をまとめ、北方4島が日本の主権下にあることは過去、ロシア側も分かっていた。内政や外交で問題を抱えている安倍首相は、そうした歴史を踏まえることなく、プーチン大統領の仕掛けた罠にハマってしまうのではないか。国際的にも、日本は何でも譲歩してしまう甘い国だとみられてしまいますよ」

 毎度毎度、大風呂敷を広げた揚げ句、すべてが尻すぼみ。口先だけ、やってる感だけの目くらましで、空虚なアドバルーンを揚げ続ける安倍政治には辟易する。大メディアも「北方領土交渉加速化」なんて持ち上げているが、首脳会談翌日のプーチンの態度で分かるようにその見通しは甘くない。またもや安倍は、プーチンの手のひらで踊らされている。

【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2018/11/16 17:00


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ロシア通信社「共同経済活動の発表内容で合意」 NHKニュース

 北方領土での共同経済活動について、ロシアのタス通信は、少人数の会談に出席したウシャコフ大統領補佐官が記者団に対して、「両首脳は、島々の共同経済活動に関しての協議開始に向けた発表内容で合意した」と述べたと伝えました。
 具体的な内容については16日、首脳が発表するとしていますが、ウシャコフ補佐官は「島々での共同経済活動はロシアの法律の下で行われることになる」と述べたということです。さらに「専門レベルで数週間にわたって文案を作ろうとして合意できなかったが今回合意に達した」と述べたということです。
ロシアに抗議せず 首相「意欲の表れ」 与野党から批判
朝日新聞 2018年9月13日21時40分
領土問題ゼロ回答へ 安倍首相“プーチン恫喝”に大ショック
日刊ゲンダイ 公開日:2016/12/15 16:12  更新日:2016/12/15 17:04

年金カット、低賃金… 「70歳まで働く社会」の悲惨な風景
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

年金カット、低賃金…「70歳まで働く社会」の悲惨な風景 日刊ゲンダイ 公開日:2018/10/25 06:00


 安倍首相は3選を決めた直後の10月5日、首相官邸で開催された未来投資会議でこう語った。
「生涯現役社会の実現に向けて、意欲ある高齢者の皆さんに働く場を準備するため、65歳以上への継続雇用年齢の引き上げに向けた検討を開始します」

 つまり、65歳定年延長どころか「70歳まで働かせる社会」をつくる「政府方針」を明らかにしたのだ。
 高齢者の雇用年齢の引き上げは始まっている。5月末には空調事業の大手ダイキン工業が、定年を60歳から65歳に引き上げ、希望すれば70歳まで再雇用する方針を発表した。いよいよ、70歳まで働く雇用政策が現実化しつつあるのだ。

 人生100歳時代を迎える中で、より長く働くことはいいに違いない。しかし、70歳まで働かされるということは、年金の受給開始も70歳からになることがセットになる。政府の狙いがそこにあるのは明らかだ。

 70歳まで働く社会はどうなるか――。経済アナリストの森永卓郎氏が言う。
「今、70歳定年がある民間企業はほぼ6分の1で大部分は再雇用、勤務延長で、給与は半分から3分の1に下がります。今後は人手不足から外国人労働者が導入され、さらに賃金水準は下がる。しかし、年金支給が遅くなるため低賃金でも働かざるを得ない。そんな社会になるということです」

 安倍政権になり、人口減少から就業者は増えたが、急増したのは低賃金で働く高齢者だ。では、定年後の高齢者はどんな仕事をしているのか、再雇用の現場について、大手電機メーカー幹部がこう言う。

「役職定年者はまず人材開発関連の子会社に移り、そこで再雇用の会社を紹介されます。しかし、キャリアを生かせる仕事はほとんどありません。中にはグループ会社が手掛ける現場の交通整理の仕事を斡旋される人も少なくありません」
 さらに、再雇用されても、現場の社員は元管理職に遠慮し、一方、元管理職は現場に口出しするなど、部署内の環境はギクシャクしてくるという。

 データブック「国際労働比較2018」(労働政策研究・研修機構)によると、65歳以上の男性労働力率は日本は31.7%、米国24.0%、英国14.4%、ドイツ9.3%だ。すでに日本人は十分働いてきているのだ。
「65歳を過ぎれば肉体的にもきつい。それでも生きていくため、低賃金でも必死に働かなければならない社会になるんです」(森永氏)

 70歳まで働かされる働き方改革で、老後の豊かな生活が待っているとは思えない。


【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2018/10/25 06:00
【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2018/10/25 06:00

「消費増税」「小手先対応」 何から何までデタラメの極み
臨時閣議で増税を表明(C)共同通信社

「消費増税」「小手先対応」何から何までデタラメの極み 日刊ゲンダイ 公開日:2018/10/16 17:00


 この政権に任せていたら、どれだけ増税しても足りやしない。バラマキと公務員の昇給、米国のご機嫌取りに使われるのがオチだ。

 安倍首相が15日、臨時閣議で消費税を19年10月から予定通り10%に引き上げると表明。増税による影響を和らげるための対策を各省庁に指示したというが、景気が悪化すると分かっていながら、なぜ消費税率アップを強行するのか。1年も前から、全省庁を挙げて対策の準備が必要になるような悪手なら、消費税増税なんてやめればいいのだ。
 「消費税を8%に引き上げた時も景気は落ち込みました。何兆円もの購買力を奪うのだから当たり前です。しかも、安倍政権の6年間で実質賃金は下がり、社会保険料の負担増や所得税の控除縮小で可処分所得は減り続けている。家計支出が低下している中で、消費税を上げればどうなるか。庶民生活は破綻してしまいます。どんな対策を講じたところで、小手先対応ではどうにもならない。ただでさえ、世界同時株安などで景気が底割れの懸念もあるのです。今はまだ2020年の東京五輪需要で持っていますが、五輪後の大不況は避けられません。そんな時に消費税を上げるなんて、狂気の沙汰です」(政治学者の五十嵐仁氏)

 安倍は「引き上げによる税収のうち半分を国民に還元する」とエラソーに言っているが、そもそも税金は、国民に再配分するために徴収しているのだ。消費税8%への増税だって、社会保障制度を充実させるためというから、国民もシブシブながら受け入れた。それが、実態はどうだ。少しでも社会保障が拡充されたか? 年金カットに支給先送り、生活保護カット、介護保険料アップ……。社会保障制度の財源確保のための増税なんて、嘘っぱちなのだ。

■ 庶民から召し上げて大企業を優遇
「今回の増税も、『全世代型社会保障制度』への転換とのセットとされていますが、社会保障を持ち出すのは、国民をごまかすための方便でしかありません。消費税を8%に増税してから、肝心の社会保障費を削って軍拡予算を増やしてきたのが安倍政権です。しかも消費税を上げる一方で、法人税はどんどん下げている。消費税は低所得者ほど逆進性に苦しめられるのに、庶民から召し上げて、大企業を優遇し、格差を広げてきた。これはもう詐欺というレベルではなく、国民生活を破壊する行為です」(経済アナリスト・菊池英博氏)

 法人税をいくら引き下げても経済効果がないことは、大企業の内部留保が証明している。6年連続で過去最高額を更新し、17年度には446兆4884億円に達した。安倍政権発足前の11年度末から160兆円以上も積み上がったことになるが、これが賃上げに回ることはない。庶民生活は貧しくなる一方だ。

8%でもカツカツなのに…(C)日刊ゲンダイ

 大企業が儲かっているなら、法人税を上げたらどうなのか。所得税で富裕層から取る方法もある。だいたい、アベノミクスで空前の好景気とうたいながら、庶民の給料が上がらず、負担が増える一方なのはなぜなのか。

 経済学者のスティーブン・ランズバーグは「政府が新たな歳入を再分配せず、無益なプロジェクトに支出すれば、社会はそれだけ貧しくなる」と指摘した。増税分がどこに消えているのか、きっちり説明してもらいたい。

■ 金持ちほどメリットが大きい軽減税率のいかがわしさ
 この消費税増税は、何から何までデタラメの極みだ。そもそも消費税が弱者いじめの金持ち優遇策であるというだけでなく、増税対策とされるメニューがまたヒドイ。酒と外食を除く飲食料品に軽減税率を適用するというが、こんなのインチキもいいところだ。
「軽減税率と聞くと、税負担が軽くなるように錯覚しそうになりますが、現行8%に据え置くというだけの話で、軽減ではなく“継続税率”です。負担軽減策でも何でもない。生活必需品は非課税にするなら分かりますが、1000円の食料品を買って、支払いが1100円か1080円かの違いしかありません」(五十嵐仁氏=前出)

 何もないよりはマシとはいえ、8%据え置きの軽減税率では低所得者の痛税感を緩和する効果はほとんどない。メリットが大きいのは高級食材で自炊できる富裕層だ。庶民にも恩恵があるかのように書く新聞報道にだまされてはいけない。

「軽減税率がいかがわしいのは、恣意的に特定の業界・業種を優遇できるところで、ワイロの温床になるのです。適用を求める業界は自民党に献金し、役人に天下りポストを用意する。大新聞はカネではなく論調を差し出す。メディアがまともに機能していれば、安倍政権はとっくに退陣に追い込まれていました。ところが軽減税率にあやかりたい大新聞は、時々批判するフリだけで、本質的な問題には切り込まない。ヤクザ者にケンカの仲裁を頼んだら、骨の髄までしゃぶられるに決まっています。権力にオネダリしてしまった新聞は、民主主義社会の必要条件である権力を監視する機能を果たせなくなった。だいたい、社会保障制度を維持するために消費税増税が必要だといって国民に痛みを強いておきながら、自分たちだけ特別扱いしてもらおうなんて、おかしいのです。これで、いざ軽減税率の適用が確定するまで大新聞は政権批判をできなくなったし、今後さらに消費税を上げる段にも、軽減税率を8%のままにするか10%にするかの攻防がある。未来永劫、政権には逆らえないということです。そんな大新聞が書く政府の増税対策なんて、デタラメばかりと思った方がいいでしょう」(消費税問題に詳しいジャーナリストの斎藤貴男氏)

 増税実施を1年も前に表明したのは、憲法改正に向けてメディアを飼いならしておく魂胆もあるのだろう。

■ 消費者のための対策ではない
 軽減税率の他に挙がっている増税対策も、住宅や自動車を購入する人を税制と財政で支援する、幼児教育や低所得者の大学無償化を着実に実施、中小の小売店でキャッシュレス決済すれば2%分をポイント還元など、効果が疑わしいものばかりだ。

 住宅や自動車は庶民がそう頻繁に買うものではないし、幼児教育の無償化にしたって、生活保護世帯や非課税世帯はすでに無料もしくは低額だから、恩恵を受けるのは、むしろ高所得世帯だ。 

「いま政府が増税対策と称しているものは、すべて大企業と富裕層のための対策です。消費税増税で苦しむ消費者や中小企業のためではない。住宅や自動車購入の優遇措置は、その業界が困らないようにということです。2%のポイント還元なんて、中小イジメとしか思えません。現金商売でやっているところは、キャッシュレス決済のための設備を導入しなければならないし、カード決済では手数料も取られる。クレジットカードを持っていない人には還元されないのかという問題もある。要は増税対策を名目にして、政府がキャッシュレス化を進めようとしているだけなのです。誰がいつどこで何を買ったか把握できて、マイナンバーと連動させれば、あっという間に監視社会の出来上がりです。消費税そのものが、弱者がより多く負担する汚い税ですが、その対策も腐りきっています」(斎藤貴男氏=前出)

 この増税にも、対策にも、一分の理もないことが分かる。だいたい、消費税増税の前提だった議員定数削減はどうなったのか。学校建設や武器輸入で安倍のお友達を喜ばせるために、税金を納めているわけではないのである。 

 ハッキリしているのは、この人でなし政権が続くかぎり、増税しても社会保障の充実は望めないということだ。人生100年時代などと言って死ぬまで働かせ、病気になれば自助を強いる。なけなしの税金は、安倍のバラマキ外遊やバカ高いだけで役立たずのイージス・アショア代に消えてしまう。それでも国民は黙っていられるのか。

 今回の安倍の増税表明で、さすがに政権の醜悪な正体に気づいたはずだ。


【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2018/10/16 17:00


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ロシア東方経済フォーラムで 大恥をかいた安倍首相
マスコミに載らない海外記事

ロシア東方経済フォーラムで大恥をかいた安倍首相
2018年9月20日 (木)

 日本は敵対的なアメリカの軍事的衛星国だという、ロシアの極めて現実的な懸念を無視して、千島列島と引き換えに、わずかばかりの経済投資の可能性をちらつかせる、彼のロシア政策丸ごと冗談だったのだ。

 Gilbert Doctorow
 2018年9月15日 土曜
 Russia Insider



 第4回東方経済フォーラムは、9月12日水曜日に全体会議を行い、主催者のウラジーミル・プーチンや、様々な北東アジア指導者の重要な演説があったが、世界のマスコミからはほとんど注目されず、経済、地政学、国防分野における分析材料の宝庫のごくわずかな部分だけを強調している。

 演説後の質疑応答で、スクリパリ事件について発言し、一週間前イギリスのテリーザ・メイ首相が、軍諜報機関(GRU)工作員として名前を挙げたロシア人容疑者は、自ら現れており、犯罪人ではなく、普通の市民に過ぎないと述べたウラジーミル・プーチンのうまく仕組まれた発言を取り上げたものもある。

 近くのロシア極東で、ソ連時代以来見られない規模で、中国とモンゴルの部隊も初めて参加して行われているヴォストーク-18軍事演習に注目したものもある。専門家間では、ロシアがあげた兵力数(兵士300,000人、航空機、1,000機、戦車と装甲兵員輸送車、36,000輌)を巡り、水増しではないか、あるいは演習は、短時間で、7,000 kmのロシア連邦を横断するロシアの戦力投射能力を実証しているのか議論されている。

 フィナンシャル・タイムズなど、ごくわずかが、フォーラムがその真価とする経済的重要性を検討している。FTは、ロシア極東とロシア連邦全般に対する継続中の中国投資の背後にあるリスク計算にまつわる記事を掲載した。

 私の知る限り、主要評論家は、誰も北東アジア指導者間の力学を検討していない。
 フォーラム正式開催の前日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、主要賓客、中国国家主席習近平と二国間会談を行った。日本の安倍晋三首相とも会った。いずれの場合も、会談後、マスコミに対して、重要で価値ある長い声明が出された。

 だが、より興味深いのは、全体会議で、五カ国の指導者全員演壇に上がったことだった。ロシア、中国とモンゴルの大統領、日本と韓国の首相が一緒に座り、お互いの演説を聴き、質問に答える姿を見るのはまれなことだった。

 質疑応答は、ロシアの経済政治フォーラムの最近の伝統を破って、司会が、遠慮がちな質問や、クレムリンで、権威主義的連中に立ち向かい、欧米聴衆を喜ばせるためのいじめ質問をするNBCやブルームバーグの人間ではなく、ロシアで最も有能で、最も視聴率の高いテレビ・ジャーナリストの一人、セルゲイ・ブリリョフ(ロシヤ-1)だったことから、一層興味深いものになった。

 彼の質問は事前にクレムリンと調整されている可能性が高く、これまで、このようなフォーラムで見てきたどれより徹底して示唆に富むものだった。
 それ以降のことに関しては、同僚ジャーナリストの目を引かなかったように見える議事の極めて重要で、明白な特徴に注力したい。指導者たちの演説と公的会談が、安倍晋三と地域における日本の政治的位置について一体何を語っているかだ。

 完全なライブ報道、解説無しの、全体会議演説、フォーラム開催に先立つ二国間会談後のウラジーミル・プーチンと賓客たちの記者会見や、フォーラム内や周囲での他の重要な場面を、ロシア国営テレビが、世界中の聴衆に報じてくれるおかげで、こっそり聞き耳を立てる特権的監視所のような立場を利用して、私はこれをしている。

 時差のため、北アメリカの、私の同僚たちはぐっすり眠っていたかも知れないが、ヨーロッパでは、極東からのロシア放送は朝食時間か、それより遅い時間に当たるので、興味をそそられる画像や演説を新鮮な気分で見ることが可能だ。

 最初に、安倍首相は仲間外れだったことを指摘せねばならない。彼は全体会議での演説を主に、この世代のうちに、彼自身とウラジーミル・プーチンの任期中に、ロシアとの平和条約を締結しようという嘆願に割いた。対照的に、他の外国指導者全員が、彼らのロシアと極東地域における、進行中および計画中の大規模投資活動を生き生きと語った。
 安倍には、ロシアとの他の国々の協力に匹敵するようなものがほとんどなく、ロシアにおける取るに足らない日本の取り組みに人間的な顔をかぶせるはずのビデオを上映して補おうとした。映画は、二年前に、全て、二国間関係を新たな高みへと導くため、安倍が提示し、ロシアが受け入れ、日本がロシアで実施している150のプロジェクト中の様々な医療関連やハイテク関係のプロジェクト(交通管理、廃棄物処理)の概要だ。

 日本のプロジェクトは皆安上がりだ。全てが規模の上で実にささやかで、東京が言う通りにロシアが平和条約を調印さえすれば、つまり南千島四島の日本主権への返還に同意すれば、人々の生活向上のため日本がロシアに授けることができる偉大な支援を示唆するよう仕組まれている。

 ロシアにおける日本の協力プロジェクトにまつわるビデオと詳説の効果は、安倍が意図していたであろうものと真逆だ。だが、それは現在のロシアと日本の交渉上の相対的立場に対する彼の全く時代後れの理解と完全に一致している。

 映画編集上の偏向は全く一方的だ。豊かで技術的に優れた日本が、感謝に満ちたロシアに手を差し伸べるのだ。これは、全ての参加国が、いかに開発計画の緊密な協調や、相互の貿易と投資でお互いに助け合うかと言って、フォーラムで語る他の外国指導者たちの全体的主題と矛盾する。

 液化天然ガス輸出用のロシア向けの高度な船舶の主要輸出国でありながら、ウラジオストック近くのロシア最大の造船複合体建設(ズヴェズダ)への韓国の参加に触れた韓国首相のプレゼンは、このバランスのとれた、双方共に利益を得られる取り組み方に見える。
 北朝鮮との関係が正常化され次第、トランス-シベリア経由、更にはヨーロッパへの鉄道輸送を実施したいという韓国の熱意だ。スエズ運河経由、あるいは海上輸送で、アフリカの角を周回する航路の代替としてロシアが開発したがっている北海航路インフラへの韓国参加もそうだ。

 ロシアとの共同エネルギー・プロジェクト、ロシアの鉄道と港湾インフラ経由での石炭出荷拡大の既存と計画中両方の計画/希望を説明するモンゴル大統領の演説でもこれを見た。
 ロシアに対する安倍晋三の手法は、日本が力強いアジアの虎として、世界的尊敬と羨望を享受し、アメリカ合州国の不動産をあちこちで買い占めており、ソ連が、景気衰退ではないにせよ、深刻な景気停滞にあり、エネルギー資源の新たな買い手と新たな投資家を探している時期の1970年代と1980年代にさかのぼる。

 現在中国は、日本が40年前に、そう装っていた戦略的パートナーの地位を占めている。中国はロシアの主要な融資家で、投資家で、顧客だ。中国は日本が昔そうであり、今もそうであるような、ハイテク供給者として、高い位置にはないかも知れないが、民間航空分野などのハイテク共同開発で、中国はロシアと対等のパートナーだ。

 現在の中国貿易と投資の重要性は、フォーラムで目立つメッセージの一つだった。二国間交渉後の記者会見で、ウラジーミル・プーチンは、中国との二国間貿易は今年20%以上伸びて、1000億ドルを上回ることを認めた。一方、全体会議での演説で、1000億ドルという数値が再び現れた。今度は、極東やバイカル地域に対する中国-ロシア共同投資プロジェクトの価値の数値化だ。

 この背景に対し、日本の投資規模と安倍の150の協力プロジェクト全体は二桁小さい。こうした“ニンジン”で、日本の条件に同意し、平和条約締結するようロシアを動かせるという考えは全く非現実的だ。

 安倍は、主権放棄にロシアが抵抗している点を意図的に無視して、南千島の共同統治のための鼻薬を提案した。本当の問題点を、全体会議中のウラジーミル・プーチンへの質問で、セルゲイ・ブリリョフが直接提起した。

 北方諸島が、もし日本主権になれば、アメリカ軍事基地の更なる駐留基地、特に弾道弾迎撃ミサイル装置配備地になるというロシアの懸念を二人の指導者は話し合わなかったのか。プーチンは話したと言ったが、安倍は平和条約締結への障害として、無視することを選んだ。

 求められている平和条約を実現するための“ふとおもいついた”提案だと言って、プーチンは演壇で、二国は“前提条件無しに”年末までに平和条約調印を進めようと提案した。そこで、友人となってから、両国はより強い相互信頼で、北方諸島のような厄介な問題に取り組むことができるだろう。この提案を、後に安倍は始めて聞いたと認めたが、後で同席していた日本人外交官が実行不能だと切り捨てた。

 言い換えれば、ロシアが日本を、アメリカ合州国とペンタゴンの「隠れ馬」と見なしている限り、ロシアは主権の譲渡に同意しない。しかも、フォーラムでの彼の振る舞いで、またしても安倍は、ロシアといかなる協定を結ぶよりも、核の傘のため、ワシントンのご主人への服従が、彼にとって、より重要であることを示したのだ。

 演壇の5人の指導者中で彼だけ、ドナルド・トランプの名を挙げた。斬新かつ大胆に北朝鮮に手を差し伸べ、金正恩とサミット会談をしたと、度を超したトランプ称賛をした。最初に、更に再度、南北朝鮮間や、アメリカと北朝鮮間の会談を建設的大団円に導いた韓国指導者文在寅の取り組みに、彼は全く触れなかった。

 フォーラムで明らかになった、そしてそれを更に遥かに超える地域の戦略的、大規模経済統合の地図のどこにも日本の姿はない。他の結束力は、中国の一帯一路構想とユーラシア経済連合だ。

 安倍晋三の日本は、北東アジアにおける日本の地理的、事業的環境からほとんど切り離された、アメリカ前哨基地のままだ。日本は地域全体を活性化している活力に満ちた過程を見逃している。

 フォーラムで、中国は2,000人を超える実業家と政府の代表団を擁する最大の参加国だった。フォーラムで明らかになった安倍晋三のような生気がなく、小心なリーダーシップの下、日本は日の沈む国となる運命にある。


記事原文のurl

【出典】Gilbert Doctorow


記事原文
Japan's Abe Made a Mighty Fool of Himself at Russia's Eastern Economic Forum
But then his entire Russia policy has been a joke -- dangling the prospect of measly economic investments in return for the Kuriles while ignoring Russia's very real concern that Japan is a military satellite of a hostile USA

Gilbert Doctorow Sat, Sep 15, 2018 | 26,920 104


The 4th Eastern Economic Forum which held its plenary session on Wednesday, 12 September and heard important addresses from its host, Vladimir Putin, and from a constellation of Northeast Asian leaders, has received a smattering of attention in the world press, highlighting only a few elements in what has been a cornucopia of material for analysis in the economic, geopolitical and defense spheres.

Some picked up Vladimir Putin’s well planted remarks in questioning following his address, when he commented on the Skripal case, saying that the Russian suspects named a week ago by British Prime Minister Theresa May as military intelligence (GRU) operatives had presented themselves and were just ordinary citizens, not criminals. Some turned their attention to the Vostok-18 military exercises going on nearby in the Russian Far East on a scale not seen since the days of the Soviet Union and with participation of both Chinese and Mongolian units, a first of its kind. There were discussions among analysts over whether the numbers of forces named by the Russians (300,000 fighting men, 1,000 aircraft, 36,000 tanks and armored personnel carriers) were not inflated and whether the exercise truly demonstrated Russia’s force projection capabilities across the 7,000 km of the Federation in tight timelines. Some very few, like The Financial Times, looked at the economic significance of the Forum taken on its own merits. The FT published an article on the risk calculations behind ongoing Chinese investments in the Russian Far East and in the Russian Federation more generally.

No mainstream commentators to my knowledge have examined the dynamics of the Northeast Asian leaders among themselves.

In the day preceding the formal opening of the Forum, Russian President Vladimir Putin held bilateral meetings with the lead guest, Chinese President Xi Jinping. He also met with Japanese Prime Minister Shinzo Abe. In both cases, the talks were followed by lengthy statements to the press that were substantial and worthy of our time.

Still more interesting were the appearances of the five national leaders present on the dais at the plenary session. It was a rare occasion to witness the presidents of Russia, China and Mongolia, the prime ministers of Japan and South Korea sitting together, hearing one another’s addresses and responding to questions.

The questioning was all the more relevant because, breaking with the recent tradition in Russian economic and political forums, the moderator came not from NBC or Bloomberg, who brought coy or hectoring questions to amuse Western audiences by standing up to the authoritarian in the Kremlin, but from one of Russia’s most capable and most watched television journalists, Sergei Brillyov (Rossiya-1). His questions had likely been coordinated with the Kremlin in advance and were more probing and revealing than anything we have seen hitherto in such formats.

In what follows, I will direct attention to one highly important and obvious feature of the proceedings which seems to have escaped the attention of my peers: what the speeches and public meetings of the leaders tell us about Shinzo Abe and Japan’s political positioning in its region.

I do this taking advantage of the fly-on-the-wall privileged observation post that Russian state television granted to its global audience by presenting full live coverage, without commentary, of the plenary session addresses, of the statements to the press made by Vladimir Putin and his honored guests following their bilateral meetings ahead of the Forum’s opening, and of other significant moments in and around the Forum. While my peers in North America may have been fast asleep, given the time differences, here in Europe the Russian broadcasts from the Far East arrived at breakfast time or later, making it possible to apply a fresh mind to tantalizing incoming images and speeches.

First, it has to be said that Prime Minister Abe was odd man out.. He used his address to the plenary session primarily as a plea for conclusion of a peace treaty with Russia during this generation, during his own and Vladimir Putin’s mandates in office.. By contrast, all of the other foreign leaders spoke glowingly of their ongoing and planned large-scale investment activities in Russia and the Far Eastern region. Abe had little to match their cooperation with Russia and sought to compensate by presenting a video that would put a human face on Japan’s miniscule efforts in Russia. The film was a brief overview of the various health related and technology related projects (traffic management, refuse reprocessing) that Japan is implementing in Russia from among the 150 projects that Abe had presented and Russia accepted two years ago, all to guide their bilateral relations to a new plateau.

The Japanese projects are all on the cheap. All are quite modest in scope and are meant to be indicative of the great assistance Japan can bestow on Russia in improving people’s lives if only Russia signs a peace treaty as dictated by Tokyo, meaning its agreement to the return of the Southern Kurile islands to Japanese sovereignty.

The effect of the video and recitation of Japanese cooperation projects in Russia is quite the opposite of what Abe may have intended. But it is perfectly in line with his wholly outdated understanding of the relative negotiating positions of Russia and Japan today. The film’s editorial slant is all one-way: a wealthy and technologically superior Japan is lending a hand to a grateful Russia. This contradicts the overall theme of the other foreign leaders speaking to the Forum, which is how all the participating countries will help one another by closer coordination of their development plans, by mutual trade and investment.

We saw this balanced and win-win approach in the presentation of the South Korean prime minister, who mentioned his country’s participation in the construction of Russia’s largest shipbuilding complex (Zvezda) close to Vladivostok, while remaining a major supplier of advanced vessels to Russia for transporting liquefied natural gas. Or in South Korea’s eagerness to implement through rail transit to the Trans-Siberian and onward to Europe as soon as relations with North Korea can be normalized. And in the Korean participation in the North Sea route infrastructure for maritime shipping that Russia is keen to develop as an alternative to the routes via the Suez Canal or around the horn of Africa.

We saw this in the address of the Mongolian president describing joint energy projects with Russia and plans/hopes for expanded shipment of coal via Russia’s rail and port infrastructure, both what exists and what is under planning.

Shinzo Abe’s approach to Russia harks back to the 1970s and 1980s, when Japan was enjoying worldwide respect and envy as a dynamic Asian tiger that was buying up properties in the United States right and left and when the Soviet Union was in serious economic stagnation if not decline, looking for new buyers of its energy resources and new investors.

Today China occupies the position of strategic partner to which Japan pretended forty years ago. China is Russia’s major financier, investor and customer. China may not rank as highly as supplier of advanced technology as Japan did back then and continues to be today, but China is an equal partner with Russia in joint development of high-tech, as in the domain of civil aviation.

The present-day importance of Chinese trade and investment was one of the outstanding messages of the Forum. In the meeting with the press after their bilateral talks, Vladimir Putin affirmed that two-way trade with China this year will grow by more than 20% to top 100 billion dollars. Meanwhile, in the addresses to the plenary session the figure 100 billion came up again: this time quantifying the value of the joint Chinese-Russian investment projects directed at the Far Eastern and Baikal regions.

Against this background, the scale of Japanese investment and the whole of Abe’s 150 cooperation projects come in two orders of magnitude less. The notion that these “carrots” could motivate Russia to agree to Japanese conditions for concluding a peace treaty is wholly unrealistic.

Abe’s proffered sweetener of joint administration of the Southern Kuriles intentionally misses the point of Russian resistance to abandoning sovereignty. What is really at issue was brought up directly by Sergei Brillyov in a question to Vladimir Putin during the plenary session: whether the two leaders have not discussed Russian concerns that the Kuriles, if held by Japan, would become yet another stationing point for American military bases and in particular for the installation of anti-ballistic missile units. Putin said they had, but this is something that Abe chooses to ignore as the stumbling block to conclusion of a peace treaty.

In what he described as a “spontaneous” suggestion to achieve the sought-after peace treaty, Putin proposed on stage that the two countries proceed to sign a peace treaty “without preconditions” before the end of this year. Then, having become friends, they might tackle the thorny issues like the Kuriles with more mutual confidence. This proposal, which Abe later acknowledged he was hearing for the first time, was later dismissed as unworkable by the Japanese diplomats present.

Put in other words, Russia does not agree to concessions so long as it sees Japan as a stalking horse for the United States and its Pentagon. And by his performance in the Forum, Abe demonstrated yet again that obedience to his masters in Washington for the sake of the nuclear umbrella is more important to him than striking any deal with the Russians. He alone among the five leaders put the name of Donald Trump in play from the dais: he extended his fulsome praise to Trump for an innovative and brave outreach to North Korea, for holding a summit with Kim Jong-Un. No mention on his part of the initiative shown first and shown again most recently by the South Korean leader Moon Jae-In to bring the talks to a constructive finale between the Koreas and between the USA and North Korea.

Japan is nowhere on the map of strategic and large-scale economic integration of the region that includes but goes well beyond what was on show in the Forum. The other binding forces are China’s Belt and Road initiative and the Eurasian Economic Union. Shinzo Abe’s Japan remains a US outpost largely cut off from its geographical and business environment in Northeast Asia. It is missing out on the dynamic processes energizing the whole area. At the Forum. China was the single largest player with its delegation exceeding 2,000 businessmen and government representatives. Under leadership as stale and timid as Shinzo Abe proved to be at the Forum, his country is fated to become the Land of the Setting Sun.

Source: Gilbert Doctorow

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古賀茂明「安倍外交が完全破たん?プーチン、トランプと隙間風で頼みは
大嫌いな習近平?」〈dot.〉 2018/9/17(月) 7:00配信 AERA dot.

安倍首相の総裁選 “デフレ脱却アピール”の裏で…
政府の「賃金データ」操作が発覚! GDPアップにもからくり
データ操作を報じる西日本新聞(公式ウエブサイトより)

安倍首相の総裁選“デフレ脱却アピール”の裏で…政府の「賃金データ」操作が発覚! GDPアップにもからくり LITERA 2018.09.14


 「真っ当な経済を私たちは取り戻すことができました」──総裁選への出馬表明会見でそう胸を張った安倍首相に、経済データの“恣意的な操作”疑惑が浮上した。厚労省が発表している賃金関連統計である「毎月勤労統計調査」が今年に入ってからデータ作成手法を変えたことで、統計上の賃金が高めになっていると12日付けの西日本新聞が報じたのだ。

 問題の「毎月勤労統計調査」は、厚労省が全国約3万3000の事業所から得た賃金や労働時間のデータをまとめたもので、従業員に支払われる「現金給与総額」(名目賃金)などが公表される。これが今年に入ってから月ごとに発表される前年比増加率が昨年の平均0.4%を大きく上回るようになり、8月に発表された6月の同調査では、労働者1人当たりの現金給与総額(名目賃金)の平均が速報で前年同月比3.6%増を記録(確報は3.3%)。「21年5カ月ぶりの高水準」「アベノミクスの成果」などと報じられた。

 だが、これにはカラクリがあった。これまで「毎月勤労統計調査」では、調査対象事業所のうち30人以上の事業所については2~3年ごとに無作為抽出した事業所に総入れ替えしていたが、今年1月分の調査からいろいろな名目をつけて半数弱を入れ替える方式に変更。しかも、従来は総入れ替え時におこなっていた指数や増減率の遡及改訂を取りやめたのだ。これでは正しい比較はできないだろう。

 結果、どうなったのか。たとえば、前年比3.3%増となった6月も、入れ替えられなかった事業所だけで集計した参考値では1.3%増でしかなく、2.1%増と公表された5月も0.3%増にしかならない。

 つまり、名目賃金が高い伸び率を記録しているのは「アベノミクスの成果」などではなく、恣意的な作成手法の見直しによって“かさ上げ”されていると考えられるのだ。
 さらに、西日本新聞は13日付け朝刊でも続報を展開し、今度は内閣府の「雇用者報酬」も過大に推計されている可能性を指摘。この「雇用者報酬」は問題の毎月勤労統計を用いているために、同様に上振れしているというのだ。

 だが、問題はこれだけにとどまらない。じつは西日本新聞が名目賃金の数字の嘘を指摘した12日、東京新聞もアベノミクス最大の問題を追及。そう、名目GDPのかさ上げだ。
 安倍首相は自民党総裁選でも、名目GDPが過去最高の551兆円となったことを大々的に喧伝し、「戦後最大のGDP600兆円を実現」を目標に掲げている。

 しかし、本サイトでもたびたび指摘してきたように、この名目GDPも恣意的に導き出された数字だ。というのも、安倍政権は2016年にGDPの推計方法を変更し、「研究開発投資」なる項目を追加して加算するなどの見直しをおこなった。その結果、2015年度の名目GDPは、旧基準では500.6兆円にしかならないところが532.2兆円に跳ね上がったのである。

 この名目GDPのかさ上げをはじめとする「アベノミクスの成果」の嘘をデータをもとに検証した『アベノミクスによろしく』(集英社インターナショナル)の著書である弁護士の明石順平氏は、東京新聞の取材に対し、「(建設投資の推計手法の変更など)国際基準とは関係ない部分の上げ幅が、安倍政権の時期だけ突出して大きく、都合よくデータを選んでいることが疑われる」と答えているが、これこそが安倍政権の特徴であり詐術と言えるだろう。

 事実、安倍首相が「70年振りの大改革」の目玉にした「裁量労働制の拡大」では、安倍首相が「裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般労働者より短いというデータもある」と答弁。しかし、そのデータは実際には1日の残業時間が1カ月分より長いという異常値が大量に見つかるなど完全にデタラメなシロモノだった。さらに、「高度プロフェッショナル制度の創設」でも、安倍首相は「労働者のニーズに応えるもの」などと述べていたが、その肝心の労働者の聞き取り調査の内実は“ヤラセ”というべきもので、完全に後付けの杜撰なものだったことが判明している。

 政治の私物化を隠蔽するために公文書を改ざんし、作為的に都合のよい数字をつくり出して国民を欺く──。安倍首相は総裁選でこのほかにも都合のいい数字を並べ立ててアベノミクスの実績を前面に押し出しているが、それは嘘やカラクリに塗り固められたものだと暴いていくしかない。西日本新聞や東京新聞といったブロック紙の奮闘に、他のメディアもつづいてほしいと願うばかりだ。
(編集部)

【出典】 LITERA 2018.09.14


関連資料

地銀は悲鳴!
アベノミクスこそ総裁選の争点にすべきだ
日銀・黒田総裁(C)日刊ゲンダイ

地銀は悲鳴! アベノミクスこそ総裁選の争点にすべきだ 日刊ゲンダイ 2018年8月23日


「このままアベノミクスを続けて本当にいいのか」――。総裁選の最大の争点は、アベノミクスなのではないか。5年続けた「異次元緩和」が、いよいよ限界に近づいてきたからだ。
 大新聞テレビは伝えようとしないが、企業業績が一気に急降下しそうなのだ。SMBC日興証券の集計によると、上場企業の2019年3月期の最終利益は、2・1%減の減益になる見通しだという。中でも、銀行は8・2%も減少するという。

 5年間「異次元緩和」を続けた安倍政権は、市場にマネーを大量に流すことで「円安」と「株高」を演出し、企業業績をアップさせてきたが、さすがに無理なやり方は限界に達しつつある。

「本来、金融政策は主役ではありません。“3本の矢”でいえば、主役は、あくまで“成長戦略”です。しっかりした成長戦略がないと、強い経済にはならない。金融政策だけでは、どうしても限界があります。その証拠に、株価も2万2000円で頭打ちとなっています。このままアベノミクスを続けても、景気が上昇することはないでしょう」(経済評論家・斎藤満氏)

 振り返ってみれば、アベノミクスが威力を発揮したのは、最初の2年間だけだった。株価は1万1000円台から2万円へと2倍になり、為替も急速に「円安」が進んだが、その後は完全な頭打ち状態。とうとう企業業績の拡大にもブレーキがかかり、これから急降下が予想されている。

■ 追い詰められた銀行は不正にまで手を染め…
 最悪なのは、アベノミクスが限界に達しただけでなく、“副作用”ばかり大きくなっていることだ。
 モロに直撃されているのが銀行だ。中でも地方銀行は深刻な打撃を受けている。金融庁によると、何と地銀106行のうち54行が、融資などの本業で赤字に陥っているという。銀行の利益の根幹は、長短金利差である。

 ところが「異次元緩和」によって長期金利も急低下し、金利差がなくなってしまった。銀行は利ざやを稼げなくなっている。このままでは、地銀の半数は“救済合併”などで姿を消してもおかしくない。

 追い詰められた地方銀行は、とうとう不正にまで手を染めている。超優良地銀だった「スルガ銀行」までが、書類を改ざんするなど不正融資をやっていたのだから、信じられない話だ。
 地方銀行が苦境に陥れば、地方経済も疲弊してしまう。

 さすがに、日銀OBも「異次元緩和」を批判し始めている。日銀の理事だった安斎隆氏(セブン銀行特別顧問)は、日経新聞「私の履歴書」で次のように語っている。
<金融システムは、金融政策が効果を上げるための「舞台装置」である。舞台装置がしっかりしなければ、いくら金融政策を実行しても効果が出ないし、経済全体も、がたついてしまう。舞台装置が揺らいでしまうのはなぜか。実はその原因は金融・財政政策の失敗にある。金融・財政政策を間違えると舞台装置にしわ寄せがきて揺らいでしまう>

 黒田日銀の政策失敗によって、「舞台装置」である金融機関が揺らいでいるのは間違いない。さらに、こう続けている。
<それでは現在はどうか。政府は金融・財政政策に過度に依存しているのではないか><これでは再び舞台装置が壊れ、民間金融機関は自らリスクを取る気迫がなくなってしまう>

 日銀の大物OBが、ここまで公然と古巣を批判するのは異例のことだ。前出の斎藤満氏が言う。
「もともとアベノミクスは、銀行に犠牲を強いる政策です。銀行を犠牲にする代わりに景気を良くしようとした。当初の計画通り2年の短期決戦だったら地銀も体力がもったでしょう。でも、5年という長期戦になり、多くの地銀が窮地に陥ってしまった。スルガ銀行をかばうつもりはありませんが、優良地銀だったスルガ銀行を不正融資に走らせた責任の一端は日銀にあります」

 金融システムを守るはずの日銀が、地銀を窮地に追い込んでいる。

金融機関が揺らいでいる(C)日刊ゲンダイ

■ アベノミクスの成果は粉飾
 このままアベノミクスを続けたら、この国は一体どうなるか。本当に大丈夫なのか。
 アベノミクスは国民生活に直結するだけに、総裁選の大きな争点にするのが当たり前だ。なのに、争点になる気配はまったくなく、対抗馬である石破茂も取り上げようとしないのだから摩訶不思議である。大新聞テレビは、「アベノミクス以外に対案がないから経済政策は争点になりづらい」などと、まるでアベノミクスが成功しているかのように報じているが、大嘘もいいところだ。

 安倍首相は「安倍内閣の発足以来、5年間で名目GDPは56兆円増えました」などと威張っているが、安倍政権が誇る実績は、ほとんど嘘で塗り固められたものである。

 たとえば、GDPが増えたのは、2016年12月に算出方法が変更され、数値が一気にカサ上げされただけの話だ。株価が2万2000円をキープしているのも、日銀、年金、ゆうちょ、共済を総動員して下支えしているからに過ぎない。

 もし“公的資金”がなければ、株価はとっくに2万円を大きく下回っているはずである。アベノミクスの成果は一事が万事、この調子。ほとんど粉飾である。筑波大名誉教授の小林弥六氏(経済学)がこう言う。

「大手メディアの報道を真に受けている国民は、『とりあえず景気はいいらしい』と思い込まされているようですが、完全に騙されています。潤っているのは、大企業と富裕層だけです。地方は廃れ、商店街はシャッター通りとなっている。そもそも、一番大事な労働者の実質賃金は増えていません」 

 トリクルダウンは、どこにいったのか。

■ カジノが最大の“成長戦略”という異常
 このままいったら、日本経済は年末にも暴風雨に突入しかねない。上場企業が19年3月期の最終利益を減益になると予想しているのも、年末から年明けにかけて景気が急速に冷え込むとみているからだろう。

 ヤバイのは、日本経済が危機に直面しても、すでに異常な低金利政策を続けている黒田日銀には、打つ手が残っていないことだ。
 しかも、メガバンクも地銀も体力を失っている。日本経済は、地方を中心に、なす術もなく海底に沈む恐れがある。

「異次元緩和は本来、カンフル剤や麻薬みたいなものです。劇薬が効いている間に手術を行い、“成長戦略”を実行に移す必要があった。ところが、5年経っても成長戦略はひとつも出てこなかった。電気自動車にしろ、IoTにしろ、世界で戦える新産業はまったく育っていない。この5年間、安倍首相は何をやっていたのか。銀行を疲弊させただけです。しかも、粉飾した数字を掲げて『アベノミクスは成功している』と吹聴している。神経を疑いますよ。その揚げ句、カジノが最大の成長戦略だというのでしょう。バクチを成長戦略にする国が、どこにありますか。総裁選に出馬する石破茂も、『政策論争をしたい』と口にしながら、どうしてアベノミクスの問題点を突かないのか。大手メディアも、アベノミクスの是非を問おうとしない。どうかしていますよ」(小林弥六氏=前出)

“安倍3選”となったら、アベノミクスは続くことになる。国民は覚悟した方がいい。


【出典】日刊ゲンダイ 2018年8月23日


関連資料

日朝交渉やる気なしの安倍が 嘘の武勇伝でごまかし
首相官邸ホームページより

安倍首相は日朝交渉やる気なし! 北とのパイプない北村内閣情報官を担当にすえ “北朝鮮にだまされない俺”キャンペーン
LITERA 2018.06.18

  また安倍首相の“北朝鮮やるやる詐欺”が始まった。安倍首相は、16日に生出演した『ウェークアップ!ぷらす』(読売テレビ)で日朝首脳会談について「拉致問題の解決に資する会談にしないといけない」と述べ、前向きな姿勢をアピールした。しかし一方で、西村康稔官房副長官は17日朝、『報道プライムサンデー』(フジテレビ)に出演し、「(日朝会談を)8月や9月までにやるのは難しい」と漏らした。こちらが安倍首相の本音だろう。

 ようするに、日朝会談をやるというポーズはとっているものの、実際にやって全面解決ができなければ、政権に大きなダメージとなり、自民党総裁3選もおぼつかなくなる。そこで、9月の総裁選よりあと、できればもっと先に伸ばしていく作戦らしい。

 そして、この“やるやる詐欺”を隠すために、官邸はいま、御用マスコミに「拉致被害者を取り戻せるのは、これまで北朝鮮と渡り合ってきた安倍首相しかいない」というストーリーを拡散させるよう、大号令をかけている。

「たしかに、安倍首相の側近たちがここにきて一斉に『北朝鮮に騙されず交渉できるのは、安倍首相しかいない。小泉訪朝のときも安倍さんがいたから北朝鮮に騙されずに5人を取り戻せた』と、当時の安倍首相の活躍をやたら語り始めています。ようするに、今後、北朝鮮との交渉が遅々として進まない状況が起きても、それは安倍首相が北朝鮮に騙されないように慎重にやっているからだ、というエクスキューズに使うつもりなのでしょう」(全国紙官邸担当記者)

 賭けてもいいが、「正論」(産経新聞社)や「月刊Hanada」(飛鳥新社)、「WiLL」(ワック)などの応援団メディアは今後、必ずや「拉致問題を解決するのは安倍首相しかいない!」「安倍首相がいかに果敢に北朝鮮と戦ってきたか」とのキャンペーンを展開していくだろう。“拉致タブー”に縛られたテレビも、こうした大合唱を追従するはずだ。

 いや、すでにそれは始まっているのかもしれない。たとえば15日には、産経新聞が朝刊の一面で「北との会談 私の番だ」「私はだまされない」なる唖然とする大見出しを打った。記事によると、安倍首相が14日に「北朝鮮による拉致被害者家族会」のメンバーと官邸で面会した際、〈「私は北朝鮮にだまされない。1994年から拉致問題に取り組んできたが、何度もだまされてきた。北朝鮮のだましの手口は分かっている」と強調〉したという。なお、この面会自体は他紙も報じているが、安倍首相のこの「だまされない」発言を報じたのは産経だけだった。

■ 羽鳥慎一が紹介した安倍首相武勇伝を蓮池透氏が「真っ赤なウソ」と
(写真)livedoorニュース

 さらに15日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)では、拉致問題の歴史を振り返る説明のなかで、2002年10月の拉致被害者5人の「一時帰国」について、MCの羽鳥アナウンサーがフリップを使いながらこのような解説を入れていた。

「安倍総理はこの当時、官房副長官でした。このときに、帰ってきた5人に対して『絶対に(北朝鮮に)戻したらだめだ』と。これを戻したら2度とあの5人は戻ってこないということで、安倍さんが結局、戻さなかったんです」

 前後の流れとは関係なく、帰国しなかったというエピソードが安倍首相の手柄としてわざわざ語られたのは、明らかに不自然だった。

 もし、安倍官邸が“やるやる詐欺”をごまかすために「拉致の安倍」エピソードを再び喧伝しようとしているのならば、あらためて釘を刺しておかなければならないだろう。実は、こうした安倍首相の北朝鮮武勇伝は、ほとんどが安倍氏自らが吹聴した自己宣伝のデタラメである。

 その典型が、前述の『モーニングショー』が紹介した「安倍首相が拉致被害者5人の北朝鮮への帰国を止めた」という話だ。

 たしかにこのとき、日本政府は当初、拉致被害者5人は一時的な帰国であり、その後北朝鮮に戻すと約束していたが、結果的に5人が日本に「永住帰国」する決断をしたという経緯があった。そして、マスコミでは「安倍官房副長官(当時)が止めた」という話がまことしやかに報道され、安倍首相自身もFacebookで“帰さないという自分の判断は正しかった”と書き込むなど、あたかも自分の手柄のように吹聴してきた。

 しかし、これはまったくの嘘である。このことを著書『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(講談社)のなかで告発したのは、当時、拉致被害者である蓮池薫さんたちと行動をともにしていた兄の蓮池透氏だ。透氏は今回、本サイトに改めてこう語った。

「安倍さんが弟たちを北朝鮮に返さないように説得したというのは、真っ赤なウソです。少なくとも弟を説得したのは私であり、安倍さんではありません。当時の官房長官だった福田康夫さんが朝日新聞のインタビューで、2002年の10月23日の夕方に安倍さんが官房長官室に飛び込んできて、『携帯で全員の確認を取りました。帰らなくてもよいということでした』という報告を受けたと言っているのですが、私や弟にそんな電話はなかった。そのとき私は弟たちと新潟の温泉宿にいましたが、安倍さんからの連絡なんてひとつもなかったんですから」

■ 身内の自民党市議も   「安倍さんは拉致被害者に一度北朝鮮に戻るべきだと話をした」
 透氏によれば、安倍氏は一貫して一時帰国した5名を北朝鮮に戻すとの既定路線を主張し、日本政府はスケジュールを変更できないものとして進めていたという。もし、安倍氏が政府方針に逆らってでも「帰さないという判断をした」というのならば、拉致被害者や家族に対して、その気持ちを暗に伝えたり意思確認するなど何かしらのアプローチがあってしかるべきだ。しかし、安倍氏はそうした行動を一切起こしていない。透氏が当時の状況を振り返りながら続ける。

「断言しますが、当時の安倍さんから『本当は、私は薫さんたちを北朝鮮に戻したくないと思っている』というような言葉を聞いたことは、一度たりともありませんでした。一度もです。弟にとっては、このまま日本に留まり親兄弟をとるか、北朝鮮に戻り子どもたちをとるか“究極の選択”を迫られたのです。生きるか死ぬかというような本当に大きな問題。私は弟を何度も必死で説得しました。それも弟のみならず、国家、マスコミ、多くの国民の皆さんを向こうに回しての本当に孤独な闘いでした。最終的に弟は『北朝鮮には戻らない』と決断してくれた。これは日本政府の方針に逆らうものでしたが、あえて本人の口からその意思を日本政府に伝えたのです。決して安倍さんに説得されたものでも、意向に応えたものでもありません。その葛藤のなかで、もし安倍さんが一言でも『北に戻したくない』と声をかけてくれていたら、どんなに救われたでしょうか。仮定のことを言っても仕方がないですけど、とにかく、安倍さんが弟たちを止めたというのは事実無根です。なのに、新聞でもテレビでもいまだに『安倍総理が戻さなかった』と言い続けている。マスコミの騙されかたをみていると心底残念です。私と弟の闘い、互いの苦悩の末やっとの思いで到達した“決断”を、自分の売名のために安売りすることは非常に不愉快で許されません」

 しかも、これは透氏だけが証言していることではない。安倍氏の身内である自民党所属の札幌市議・勝木勇人氏も、2003年1月30日の自身のブログで、当時の安倍氏の言動についてこのように記していた(後に掘り起こされ騒ぎになった後、現在は削除)。

〈(安倍晋三氏は)地村さんたちには、最初、「とにかく一度北朝鮮に戻って、子供を連れて帰国するべきだ」という話をしたそうです。しかし、地村さんたちは、この申し入れを断固拒否したそうです。「一度、戻ったら、二度と帰国はできない」ということだったそうです。「私(安倍)他、政府の人間がたくさん同行すれば、変なことにはならないでしょう」と言うと、「みんなで一緒に行っても、突然銃をもった者が部屋に入って来て、我々を引き離そうとしたら、どうしますか? 安倍さんたちは、その場で何ができますか? 自衛隊も一緒に行ってくれるなら話は別ですが、」と言われ、結局、彼らの言うとおりにしたそうです。〉(現在は削除)

 これは同年の1月14日に札幌で行われた「安倍晋三先生を囲む会」に出席した勝木市議が、その席で安倍氏自身が発言した内容として紹介しているものだ。つまり、当時、安倍氏は地村保志さんら拉致被害者に対して「とにかく一度北朝鮮に戻れ」と言ったことを自ら認め、しかも周辺に吹聴していたことになる。つまり、「安倍氏は一貫して5人を北朝鮮に戻すことを既定路線として主張していた」という蓮池透氏の証言にピタリと一致するのである。

■ 元公安で北とのパイプない   “官邸のアイヒマン”北村滋内閣情報官抜擢の理由
 しかも、安倍氏の拉致問題をめぐる“武勇伝”の嘘はこれだけではない。2002年9月、当時の小泉純一郎首相と金正日総書記による日朝首脳会談と平壌宣言をめぐっても、「安倍氏が『金総書記が謝罪しなければ席を立って帰国しましょう』と小泉首相に直訴した」なる武勇伝が新聞やテレビでばらまかれた。

 しかし、本サイトでも何度も伝えているように、これも事実ではなかったのだ。日朝首脳会談をセッティングし、会談にも同行した田中均・アジア大洋州局長(当時)が、後にフリージャーナリストの取材に対して、安倍氏が署名見送りの進言をしたと発言したことは「記憶にない」と証言している。田中氏はその際、そもそも金総書記が拉致を認めて謝罪しなければ平壌宣言に署名できないのは会談関係者全員の基本認識だったから、わざわざそんなことを言う必要もなかった、という趣旨の解説もしていたという。

「対北朝鮮強硬派」「闘う政治家・安倍晋三」の印象を与える、この有名すぎる逸話も、実のところ偽の情報だったのだ。しかも、その発信源は安倍氏本人だった。実は当時、官房副長官だった安倍氏は帰国後のオフレコ懇談で「僕が首相に言ったんだよ。共同調印は見直したほうがいいって」などと各社に語っていたのだ。このことは複数記者のオフレコメモからも確認されている。

 そして、安倍氏はこうした自己宣伝と同時に、日朝首脳会談実現の立役者である田中氏について「北朝鮮の意向で動いている」といったマイナス情報をリーク、世論を煽り、田中氏を悪者に仕立て上げ、拉致問題の主導権を自分の手に握ってしまったのだ。

 ようするに、拉致問題で一躍脚光を浴び、総理への階段を駆け上がった安倍氏だったが、実際にはあらゆる手柄を横取り・独り占めにし、でっち上げを拡散して、自分の権力掌握のために政治利用したにすぎない。その結果、拉致問題は安倍氏の意向どおり、圧力一辺倒になり、まったく解決のメドもたたないまま野ざらしにされてきたのである。
 そして、それから16年たったいまもまた、安倍首相は拉致問題を本気で解決するのでなく、情報操作を使ったごまかし、政治利用を行おうとしている。

 それは、これまで指摘してきた過去の北朝鮮武勇伝デマの再利用だけではない。安倍首相は日朝交渉の担当窓口に、なんと自らの最側近で、謀略情報操作を得意とする“官邸のアイヒマン”こと北村滋内閣情報官を抜擢したらしいのだ。

「この人事には、我々も驚きました。北村氏は元公安でむしろゴリゴリの反北朝鮮ですから、対話のパイプなんてもっているはずがない。むしろ、北朝鮮の反感を買うだけ。にもかかわらず北村氏を日朝交渉担当にしたのは、いろんな北朝鮮に関するいろんなマイナス情報をマスコミにリークさせて、拉致解決できなくてもやむなしという空気を作るためじゃないのか、といわれています」(前出・全国紙官邸担当記者)

 この国はいつまで、嘘つき首相に騙され続けるのだろうか。

(編集部)

【出典】LITERA 2018.06.18

関連資料


支持率下落が続く安倍政権 今度は対北外交でも国民にウソ
記念撮影では隣同士も…(C)共同通信社

支持率下落が続く安倍政権 今度は対北外交でも国民にウソ 日刊ゲンダイ 2018年6月17日

 どうりで慌てて拉致被害者家族と面会したワケだ。時事通信が8~11日に実施した6月の世論調査で、安倍内閣の支持率は前月比2.6ポイント減の35.5%となった。2012年の第2次安倍政権発足以降、昨年7月の29.9%に次ぐ低水準で、4カ月連続の減少。不支持率は同0.4ポイント増の43.4%で、不支持率が支持率を上回ったのも4カ月連続だ。 

 支持しない理由(複数回答)は「首相を信頼できない」が31.1%で最多。1年以上続く「モリカケ問題」を通じて、ウソにウソを重ねて国民をダマし続ける安倍首相の人間性に対し、多くの国民が怒りを抱いている実態が明らかになった。

 そんなレームダックの安倍首相が総裁3選と支持率回復のために利用しようと必死になっているのが「日朝首脳会談」の開催。複数の日本メディアは、14日にモンゴルで開かれた国際会議「ウランバートル対話」で、外務省の志水史雄アジア大洋州局参事官が、北朝鮮のキム・ヨングク軍縮平和研究所所長と意見交換し、拉致問題についての日本政府の立場を伝えた――と報じたがどこまで本当か怪しいものだ。

 というのも、14日にウランバートルの国際会議場の様子を報道したテレビ朝日系「報道ステーション」の映像を見る限り、とてもじゃないが「意見交換」するような雰囲気じゃなかったからだ。映像では、北朝鮮の関係者に対して、中国の関係者が笑顔で話しかけたり、欧州の関係者が名刺交換をお願いしたりする中、日本政府関係者だけが遠くから物欲しそうな顔で眺めているだけ。あまりに情けなくて恥ずかしい姿だった。

 対照的に余裕シャクシャクだったのが、北朝鮮の関係者だ。メディアから「日本の代表団と会談しないのか」と問われても、「会っても話すことがない」「話すことがないのに会ってどうするのか」とケンモホロロ。こんな状況で、どう考えても日本が北朝鮮と「水面下の交渉」など出来るはずがない。要するに安倍政権は対北外交でも国民にウソをつき続けているのだ。ウソつき安倍首相を引きずり降ろさない限り、北朝鮮問題は進展しないのだ。


【出典】日刊ゲンダイ 2018年6月17日

新潟県知事選も右往左往 安倍政権で日朝会談ができるのか
カナダで“成果”をアピール(C)共同通信社

新潟県知事選も右往左往 安倍政権で日朝会談ができるのか 日刊ゲンダイ 2018年6月11日

 与野党候補の事実上の一騎打ちとなった新潟県知事選は、自公与党が支持した前海上保安庁次長の花角英世候補(60)が辛勝した。ウソとデタラメでモリカケ問題の幕引きを図る安倍首相に審判を下すべく、野党6党派は総力戦で元県議の池田千賀子候補(57)を支援したものの及ばず。自公のなりふり構わない掟破りの組織戦に敗れた。

 現地で取材にあたったジャーナリストの横田一氏はこう言う。
「国政の影響を排除するため、花角陣営は『県民党』を掲げて“安倍隠し”を徹底していましたが、実態は自公与党の丸抱え。花角候補を擁立した二階幹事長をはじめとする党幹部が連日現地入りして企業や支援団体を丹念に回る一方、勤務時間中の期日前投票を露骨に呼び掛けたり、その成果を記載した調査票の提出を迫るほど締め上げていた。池田候補をめぐる誹謗中傷というほかない悪質なデマも盛んに流されていました」

 これで安倍が「信任を得た」とか言い出し、免罪符を得たとばかりにまたデカいツラをするのは目に見えている。

 夜郎自大にはホトホトうんざりだが、政権浮揚を懸けて詰め込んだ外遊の「成果アピール」にもヘドが出そうだ。“外交の安倍”の過剰演出である。

■ 側近が“外交の安倍”をツイッターで喧伝
 10日(日本時間)までカナダで開催されていたG7首脳会議は、米国のトランプ政権がブチ上げた鉄鋼・アルミなどへの輸入関税をはじめとする保護主義的な貿易政策をめぐり対立。侃々諤々の激論が交わされた。

 そこで安倍が議論を主導し、調整役を果たしたというのだが、それを触れ回ったのが同席した安倍側近の西村康稔官房副長官。しかもツイッターまで駆使しているのだから、お笑いである。西村は写真入りで<安倍総理が、G7で結束して自由で公正な貿易の推進を発信すべきと議論を主導>と実況中継さながらにつぶやき、<トランプ大統領から「シンゾーの案に従う」と頼られ、安倍総理が「ルールに基づく貿易システムを発展させていく」と提案し、合意につながりました。フランスのマクロン大統領からも「シンゾーの提案のおかげだ。ありがとう」と声をかけられていました>ともツイート。ここまでくると、読むほうが気恥ずかしさを感じるほどである。

 もっとも、厚顔無恥な安倍はさにあらず。史上初の米朝首脳会談を控える北朝鮮に対して上から目線の発言を連発。「(非核化に向けた)具体的な行動を取らせることが必要不可欠だ」とか、「北朝鮮には豊富な資源と勤勉な労働力がある。北朝鮮が正しい道を歩むのなら、明るい未来を描くことも可能だ」などと、相変わらずの高飛車な態度で日朝首脳会談の実施を呼びかけたが、こうした安倍のセリフの一つ一つがおそらく、北朝鮮の神経を逆なでしているのだろう。朝鮮労働党機関紙の論評などを通じ、北朝鮮は安倍批判をヒートアップさせている。

 デイリーNKジャパン編集長の高英起氏は言う。
「北朝鮮は対米追従の安倍政権を〈カメレオンとも比較にならない〉とコキおろし、〈「政治的ジェスチャー」というくだらない話ばかりするマヌケ〉などと非難を繰り返しています。安倍首相の言動が金正恩党委員長のカンに障っているのは間違いありません。そうでなくても、日朝首脳会談の開催は相当にハードルが高い。安倍政権は拉致問題解決を前提にした経済協力を提案していますが、信頼関係がまったくない日朝間の現状では肝心な部分の協議ができず、いつまで経っても堂々巡りなのです」

■ ルートなし 人脈なし 戦略なしのナイナイ尽くし
シンガポール入りした金正恩委員長はすぐさまリー首相と会談(C)ロイター

 安倍は二言目には「拉致問題の解決は安倍内閣の最重要課題だ」と言うが、この5年半、状況は1ミリも進展しなかった。こんな政権にいまさら日朝首脳会談などできるのか。朝鮮半島情勢に詳しい東京新聞論説委員の五味洋治氏は日刊ゲンダイのインタビュー(4月6日付)で、北朝鮮をめぐる安倍外交をこう指摘していた。 

〈北朝鮮がミサイルを発射するたびに、「政府は北朝鮮に対し、北京の外交ルートを通じて厳重に抗議した」と報じられ、拳を振り上げて怒りを表明したかのようですが、実際は北朝鮮大使館にファクスを送っているだけなんです〉

 南北首脳会談でも金正恩朝鮮労働党委員長が「(拉致問題について)韓国や米国など周りばかりが言ってきているが、なぜ日本は直接言ってこないのか」と口にしていたという。手だてに窮した政府高官が日本生まれの金正恩の母親の親族を頼り、金正恩に宛てた手紙を託したものの、封も開けられずに戻ってきたとも報じられた。

 ルートなし、人脈なし、戦略なし。ナイナイ尽くしのくせに、拳を振り上げていたポンコツ首相の成れの果てがトランプへのしがみつきだから、語るに落ちる。

「トランプ大統領は選挙中、オバマ政権がイランで拘束された米国人解放にあたって“身代金”を支払ったと非難していましたが、先日解放された米国人3人をめぐり、北朝鮮と何らかの取引をしたようなのです。口添えはしてやる、後はわれわれと同じようにやればいいじゃないか。トランプ大統領はこう考えているフシがある。それで早々から日本に対北経済支援を仕向けているようです」(日韓関係筋)

■ トランプの口を借りて拉致収束か
 政府が認定した拉致被害者は12人だが、拉致の可能性がある行方不明者は800人を超える。安倍は一体何をもって「拉致解決」とするのか。

「北朝鮮からすれば拉致問題は解決済み。ストックホルム合意による再調査報告書の受け取りを拒んだのは安倍政権なのに、何をガタガタ言っているんだという認識なのです。安倍首相が救出を訴える横田めぐみさんを死亡とする従来結果は覆っていません。3年以上にわたる頬かむりをごまかすため、トランプ大統領の口を借りて現実を明らかにし、収束を図ろうとしているのではないか。そう思えてなりません」(拉致問題に詳しい国際ジャーナリストの太刀川正樹氏)

 モリカケよれよれ政権の怪しい外交は諸外国に足元を見透かされているのである。

 高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)は言う。
「安倍首相は米朝首脳会談でトランプ大統領に拉致問題に言及する確約を取ったと胸を張り、“外交の安倍”の大勝利を喧伝しています。だとしたら、なぜ日本はまた米国からカネを巻き上げられようとしているのか。なぜ軍用機をはじめとする米国製品を数十億ドル規模で購入すると約束させられたのか。自国の問題である拉致問題の解決に米国の力を借りざるを得ない事態に陥ったのは、安倍政権には今も昔も戦略がないからです。米国の関与を求め続ける限り、トランプ大統領からつけ込まれ、要求のエスカレートは避けられません」

 無定見な亡国首相とともに、この国は沈没しつつあるのか。


【出典】日刊ゲンダイ 2018年6月11日


関連資料
北朝鮮外交でカヤの外 安倍政権が1兆円で懇願する日朝会談
日刊ゲンダイ 2018年4月1日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/226260
ロケットマンと急接近の米韓。カヤの外に置かれた日本の立場は?
MAG2NEWS 2018.03.16
http://www.mag2.com/p/news/353179
不穏な米朝会談、背後にうごめく各国の思惑を国際調停のプロが解説
MAG2NEWS 2018.06.11
http://www.mag2.com/p/news/361489

北への経済支援で 米国が日本に突き付ける200兆円の請求書
米国は北への経済支援に前のめり(C)AP

北への経済支援で米国が日本に突き付ける200兆円の請求書 日刊ゲンダイ 2018年5月17日


 北朝鮮情勢で「蚊帳の外」の安倍政権だが、このままだと、北の非核化プロセス後の経済支援でも、日本の頭越しに枠組みがつくられかねない。米国では日本に突き付ける“請求書”の具体的金額が語られているというから深刻だ。
 14日の衆院予算委で、国民民主党の玉木雄一郎共同代表が、米朝会談で非核化が合意に至った場合の懸念材料について質問。北朝鮮が米国に届くICBMの破棄に応じるものの、日本に届く近距離・中距離ミサイルは温存するとなった場合どうするのかと問い、「日米の利益は必ずしも一致しない」「(経済協力の)請求書だけが日本に回ってくることは避けるべきだ」と訴えた。

 安倍首相は「何をもって経済支援ということかと思います」「外交をやっている最中でありますから、手のうちをここで申し上げるわけにはいかない」と、毎度の曖昧な答弁だった。

 だが、この“請求書問題”は真剣に捉える必要がある。
 というのも、米国が北への経済支援に前のめりだからだ。ポンペオ国務長官は13日のテレビ出演で、北が完全に非核化すれば「体制の保証」を確約するとともに「経済支援」の用意があるとして、電力供給や農業技術など具体的な支援策を披露。

「米国民の税金を使うのではなく、民間企業による投資」と、カネの出し手についても踏み込んだ。この「民間投資」というのがミソだ。

■ 米議会のロビイストが儲け話に蠢く
「すでに米議会周辺では米朝和平後の投資による儲け話でロビイストたちが蠢いています。北朝鮮は地下資源が豊富ですし、観光開発なども含めさまざまなインフラ整備の可能性が広がっている。『巨大プロジェクトになるので日本も巻き込んだらいい』と、ロビイストがトランプ政権に知恵をつけていて、その金額は戦後補償と経済協力という名目で2兆ドルだというのです」(米議会事情通)

 2兆ドル! 日本円にして200兆円超だ。日本の年間の一般会計予算が100兆円弱なのに、あり得ない額だが、民間企業による投資も含め、10年や20年かけて日本に巨額資金を拠出させようということらしい。

 1965年の日韓国交正常化では韓国に対し、有償・無償合わせて5億ドルが支払われた。90年に訪朝した自民党の金丸信副総裁が北朝鮮に対し戦後補償として約束した額は、100億ドルとも500億ドルとも言われている。

 安倍側近の今井尚哉首相秘書官は最近も番記者相手に「拉致問題を解決できるなら、日本は10兆円くれてやってもいいじゃないか」と言い放っているという。トランプべったりの安倍首相だけに、米国に言われるがままカネを出しかねない。

 国際ジャーナリストの春名幹男氏がこう言う。
「日本は『非核化しなければ、経済支援はせず、圧力を強める』と言っていますが、米国のスタンスが明らかに変わってきていることを分かっているのでしょうか。米国は今や『経済支援と同時進行の段階的な非核化』という中朝の方針に乗りつつある。ポンペオ国務長官は韓国外相との会談でも、『非核化に向けた行動を取れば経済支援』『北朝鮮の繁栄』という文言を使っています。ミサイル破棄にしろ経済支援にしろ、日本の頭越しでさまざまなことが決められてしまう恐れがあります」

 主体性のない日本外交。安倍首相ではナメられるばかりだ。


【出典】日刊ゲンダイ 2018年5月17日



関連資料
北への経済支援で 米国が日本に突き付ける200兆円の請求書
日刊ゲンダイ 
南北閣僚級会談が中止に 北は米朝首脳会談の取りやめ示唆
日刊ゲンダイ 2018年5月16日
韓国・北朝鮮関連NEWS
【南北協議ドタキャン】【米朝会談中止で揺さぶり】金正恩
したたかな計算 ボルトンの非核化プロセスに激怒 第三国であるシンガポールを巻き込んで、世紀のビッグ会談の演出に余念がないトランプは、北朝鮮お得意の瀬戸際外交に踊らされてしまうのか(日刊ゲンダイ)
注目の人直撃インタビュー ICAN国際運営委員 川崎哲
 今こそ核兵器禁止条約の出番 北の非核化には「抑止力の論理」を捨てるしかない
(日刊ゲンダイ)
 
安倍政権 金正恩に完全白旗 単細胞の「圧力」外交 惨めな敗北(日刊ゲンダイ
【出典】日刊ゲンダイ 2018年5月12日

世界に取り残される安倍政権… 歴史の節目「6.12」にご臨終
一人ぼっち(C)日刊ゲンダイ

世界に取り残される安倍政権…歴史の節目「6.12」にご臨終 日刊ゲンダイ 2018年5月12日


「加計学園の理事長は総理もいたバーベキュー、ゴルフで見かけましたし、学園関係者には官邸で3回お会いしました。総理には日に5回も10回もお会いしますが、加計の件を報告したことや指示を受けたことは一切、ございません」――。こんなバカげた説得力ゼロ答弁を誰が信じるのか。

 柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人招致で、ますます「加計ありき」が色濃くなった10日夜。トランプ米大統領が自身のツイッターで、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談が6月12日にシンガポールで開かれると明らかにした。

 全世界が注視する米朝トップ同士の史上初めての会談。恐らく世界史にその日付を刻むことになる「6・12」は、史上最悪の無能破廉恥政権が「ご臨終」を迎えた日としても、歴史に記録されることになりそうだ。

 先月の板門店における南北首脳会談以降、北東アジアに広がる融和ムードに置き去りの安倍首相は「蚊帳の外」批判を打ち消すことに躍起だ。

 中韓蔑視外交のツケで宙に浮いていた日中韓首脳会談が今週、2年半ぶりに開かれた際も、情勢急転に取り残されまいと必死。これまで散々敵視してきた両国にすがりつくような格好で、共同宣言の文言に「拉致問題の解決」を差し込むことに血道を上げ、北朝鮮問題に取り組んでいるポーズを示すためだけに中韓両国を振り回した。

 政権に返り咲いてから5年以上、1ミリたりとも拉致問題を進展させてこなかったクセに、いまさら中韓両国に泣きついても後の祭り。これだけ情けない姿をさらけ出しながら、北への強硬姿勢はテコでも曲げない。9日の日中韓、日韓、日中の一連の首脳会談でも、例によって「最大限の圧力をかける」との主張を壊れたレコーダーのように繰り返し、完全に浮きまくっていた。

■ 世界の嘲笑を買う圧力バカ
「北の非核化を目指し、関係各国が対話に向かう中、安倍首相だけが蚊帳の外から圧力一辺倒で吠えまくる。それでいて拉致解決の成果だけを欲しがるのは、ないものねだりの支離滅裂外交です」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学)

 みっともない“圧力バカ”につけるクスリはないが、それでも日朝首脳会談の実現を目指し、拉致解決に淡い期待を抱いているのが、圧力バカのバカたるゆえんだ。

 安倍は10日のトランプとの電話会談でも、米朝首脳会談で「拉致問題を取り上げて」と頼み込む一方で、最近しきりに持ち出すのが、2002年の日朝平壌宣言だ。宣言は「不幸な過去の清算」と「国交正常化後の経済協力」に言及。巨額の戦後補償というニンジンをぶら下げ、金正恩を会談に引きずり出そうとする狙いが透けて見える。

 むろん、こんな卑しい魂胆が成功する兆しは一向に見えず、逆に朝鮮労働党の機関紙・労働新聞には「下心を捨てない限り、1億年経ってもわれわれの神聖な地は踏めないだろう」とコケにされる始末。先日の南北首脳会談で、韓国の文在寅大統領が拉致問題を提起した際、金正恩は「韓国やアメリカなど周りばかりが言ってきているが、なぜ日本は直接言ってこないのか」と語ったという。

 5年以上も「拉致問題は安倍内閣の最重要課題」と豪語しながら、北との直接のパイプも築けていないとは、今まで安倍は何をしてきたのか。就任1年余りで、北に拘束された米国人3人を奪還したトランプを少しは見習ったらどうだ。

 ポツンと蚊帳の外に置かれたアベ外交をアザ笑っているのは、金正恩だけではあるまい。圧力バカ路線が全世界の嘲笑を買う中、トンチンカン首相は運命の「6・12」を迎えることになる。

■ アベ外交が平和と安定に向けた最大の障害
「会談は大成功を収めるだろう」と自信満々(C)AP

 米朝首脳会談の日程を明かした直後の演説で、トランプは「平和と安定の未来を世界全体にもたらすための会談になる」と抱負を語り、「(金正恩との)関係は良好だ。会談は大成功を収めるだろう」と自信満々。米テレビ各社のインタビューに応じたペンス副大統領によれば、トランプは「金正恩が完全な非核化を受け入れる準備があるとの希望の持てるサインを出している」との認識でいるという。

 実際にトランプと金正恩の関係は今のところ、良好のようだ。北朝鮮国営の朝鮮中央テレビによると、9日に訪朝したポンぺオ米国務長官からトランプのメッセージを伝えられた金正恩は、「大統領が新たな代案を持って、対話を通じた問題解決に深い関心を払い、朝米首脳の会談に積極的な対応を取っていることを高く評価する」と応じた。

 トランプの「新たな代案」をめぐり、韓国聯合ニュースは「北朝鮮が非核化の条件としている敵視政策の撤回や、安全保障上の脅威の除去などに関連した内容の可能性もある」と分析。1カ月後に迫る歴史的会談を控え、北の非核化に向けた米朝両国の条件交渉が水面下で熱を帯びている様子が伝わってくるが、圧力バカ首相は口を開けば「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化を達成しない限り、制裁解除はしない」の一点張り。交渉に加えてもらえないのに、この上から目線は何サマのつもりなのか。

 驚くことに6月12日の米朝シンガポール会談には、外交関係者の間で、中国の習近平国家主席が現地入りする可能性が取り沙汰されている。なるほど、金正恩が短期間で習近平との首脳会談を重ねたのも、そのためかと思えてくる。

■ この国の正常化には「障害物」の除去が必要
 前出の五野井郁夫氏はこう言った。
「習主席の現地入りが実現すれば、朝鮮戦争の休戦協定署名当事国である米中朝首脳がそろい踏み。トランプ大統領は『何かとてもいいことが起きつつある』『日本、韓国、中国、みんなにとってとても重要なことだ』と訴えていましたが、それは朝鮮戦争の終結を意味する可能性が高い。板門店宣言で南北両首脳が言及した休戦協定の平和協定転換に、米中両国が合意すれば北東アジアの緊張は一気に解け、安全保障環境はガラリと変わる。その場合、最大の障害となるのが、安倍首相の存在です。北の脅威をあおり、中韓を蔑視してきた外交がアダとなり、朝鮮半島の平和と安定に貢献しようにも発言権は皆無に等しい。対話の輪に押し入れば、強硬路線を支持してきたコアな支援者を失うことになる。もはや、アベ外交は八方ふさがりです」

「6・12」は、日本が世界に取り残される日となる一方で、6月20日の国会会期末も近づく。柳瀬氏の参考人招致で「加計ありき」が色濃くなる中、森友疑惑にも新事実が発覚した。財務省側が森友学園側などと面会や交渉をした際の500ページ近い記録が残っていたことが判明し、佐川宣寿・太田充の新旧理財局長コンビが「ない」と強弁した答弁は、またしても大ウソ。記録には昭恵夫人や複数の政治家の名前も記されているという。

 この調子だと、会期末までにモリカケ疑惑をめぐって、驚愕の新事実や証言が次々と飛び出しても、おかしくない。

「今や、モリカケへの関与を全面否定する安倍首相の居直り答弁のつじつま合わせのため、忖度官僚が嘘やデタラメを重ね、国政の停滞を招いています。得意と自称する外交面も国際社会での孤立化を招き、もはや安倍首相の存在は百害あって一利なし。この国を正常化させるには、最大の障害物である安倍首相を取り除くしかありません。米朝首脳会談や国会会期末を待たずに、一刻も早く退陣を表明して欲しいものです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 もはや存在理由が何一つない安倍政権は、モリカケ疑惑を認めた上で総懺悔し、退陣表明する以外に道は残されていない。百害首相をいつまでも野放しにしておくわけにはいかないのだ。

【出典】日刊ゲンダイ 2018年5月12日



関連資料
世界に取り残される安倍政権…歴史の節目「6.12」にご臨終
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/228962
2018年5月12日 日刊ゲンダイ
核実験・ミサイル発射中止 北朝鮮が対話路線に転換
テレ朝NEWS
共同会見で案の定…トランプが安倍首相に兵器を押し売り|
日刊ゲンダイDIGITAL
【出典】日刊ゲンダイ 2018年5月12日

北を散々政治利用 安倍首相に歴史の転換を任せていいのか
安倍首相のせいで日本は世界の孤児化(C)日刊ゲンダイ

北を散々政治利用 安倍首相に歴史の転換を任せていいのか 日刊ゲンダイ 2018年5月9日


 中韓蔑視のアベ外交のツケで宙に浮いていた日中韓首脳会談が9日、都内の迎賓館で開かれ、関係各国の注目を集めている。2年半ぶりの開催を後押ししたのは、皮肉にも安倍首相が敵視する北朝鮮をめぐる情勢の急転だ。中国の李克強首相と韓国の文在寅大統領が就任後初めて来日したものの、安倍とは同床異夢と言っていい。

 中国は金正恩朝鮮労働党委員長の再訪中を8日受け入れ、習近平国家主席と2度目の首脳会談。朝鮮半島の非核化をめぐる段階的な措置で一致した。史上初の米朝首脳会談への道筋をつくった韓国も融和姿勢を強め、各国に働きかけている。

 ところが、安倍は相も変わらず圧力一辺倒だ。
 口先では一応、「南北首脳会談が朝鮮半島の完全な非核化に向けた重要な一歩となったことを評価する」と言うものの、「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化に向けて最大限の圧力維持」と交渉のハードルを上げている。何のルートも解決策もないくせに、なぜ、居丈高に北朝鮮への圧力を吠え続けるのか。北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の当事国で拉致問題を抱えながら、金正恩には見向きもされず、蚊帳の外に置かれたまま。当事者能力はゼロだ。

■ 北朝鮮を口実に度重なる強行突破
 高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「北朝鮮が政策を変えようが変えまいが、安倍首相の立場からすれば北朝鮮は脅威の対象であり続ける必要があるからでしょう。世論の反対に耳をまったく傾けず、安倍政権が強引に推し進めてきた政策の多くは北朝鮮を口実にしたものでした。集団的自衛権行使を容認する安保法制がそうですし、5年連続で過去最高を更新する防衛費の拡大もそうです。そして安倍首相が悲願とする憲法改正、9条改憲しかりです」

 安倍は政権の屋台骨を揺るがすモリカケ疑惑隠しにも北朝鮮を利用してきた。ミサイル着弾を警告するJアラートを響かせ、全国各地で避難訓練を実施して国民の恐怖心を増幅させた。北朝鮮を「国難」と呼び、昨秋の衆院解散・総選挙を断行。自民党が圧勝すると、麻生財務相は「明らかに北朝鮮のおかげ」と口を滑らせたものだ。安倍にとって北朝鮮は政権浮揚の道具であり、疑惑から国民の目をそらす格好の目くらまし。北朝鮮が脅威的な存在であり続けなければ困るのだ。

 政治評論家の森田実氏もこう言う。
「安倍首相は政権の最重要課題に拉致問題の解決を掲げていますが、事態を動かすには日朝対話の再開が不可欠です。このところしきりに持ち出す日朝平壌宣言にのっとり、対北経済支援を履行する以外の手だてはありません。そんなことは分かり切っているのに、制裁や圧力にこだわり、米中韓に協力を仰ぐみっともない他力本願。拉致問題を本気で解決する気がないからとしか思えません」

■ 半島の緊張緩和はリーダーシップを発揮する好機
(左から)中国の李克強首相、安倍首相、韓国の文在寅大統領(C)共同通信社

 6月初旬までの開催が見込まれる米朝首脳会談に向け、関係国は慌ただしく動き回っている。
 金正恩はわずか1カ月あまりで2度も訪中し、習近平と朝鮮半島の非核化をめぐる綿密なすり合わせを重ねている。金正恩は中国を後ろ盾に交渉を有利に運ぼうともくろみ、習近平は北朝鮮への影響力を誇示して米国を牽制し、朝鮮半島の新体制構築で主導権を握ろうという思惑だ。

 一方、朝鮮半島危機を回避すべく米朝会談を橋渡しした文在寅は、11月に中間選挙を控えるトランプ大統領に手柄をすべて差し出し、舞台回しに徹している。22日に行われる米韓首脳会談でさらに英雄主義をくすぐり、南北首脳会談でまとめられた板門店宣言に基づき、休戦状態にある朝鮮戦争を年内に終結させ、平和協定への転換を目指す。並行して北朝鮮の非核化が進捗すれば、2期目を狙うトランプが喉から手が出るほど欲しがるノーベル平和賞も現実味を帯びてくる。

 各国それぞれの思惑はあれど、朝鮮半島の和平へ向けた動きは加速している。
「朝鮮半島の緊張が緩和されれば、東アジアの安全保障体制は大きく変わります。情勢の変化を先取りすれば、置いてきぼりだった日本が一転してリーダーシップを発揮する千載一遇のチャンス到来です。朝鮮戦争が終結して南北統一に向けた協議が進み、北朝鮮の非核化が実現すれば、在韓米軍の縮小・撤退の議論が本格化するでしょう。在日米軍を含むアジア太平洋地域の米軍再編が俎上にのる可能性がある。韓国と協力して在韓、在日米軍の縮小に向けた機運をもり立てることができれば、米軍を脅威とする中国にメリットをもたらすこともできるでしょう。ひいては日米地位協定や日米安保のあり方の見直しへと発展し、安倍首相が訴える戦後レジームからの脱却へとつながっていく。安倍首相が果たすべき役割はハッキリしているのに、そうした意欲は感じられません」(五野井郁夫氏=前出)

■ 世界の趨勢よりも支持者の目線
 世界情勢に取り残された疑惑まみれの政権がシャカリキにやっていることは、真逆だ。外交で存在感を示そうと制裁や圧力にこだわり、北朝鮮の非核化は理想論にすぎないと片づけ、事態を逆行させんばかり。やることなすことメチャクチャな首相に歴史の転換点を任せていいのか。

「安倍首相という人物はナンセンスを超えて、もはや救いがありません。歴史が大きく変わろうとする局面を目の前にしても、愚かな人間は方針を変えることができないということです。朝鮮半島情勢が安定すれば、安倍首相が北朝鮮を利用して強行しようとしてきた憲法改正の目はついえ、政権を支えてきた支持者は離れてしまう。そうして批判にさらされることを安倍首相は恐れているのでしょう。こんな小物に首相をやらせていたら、日本は世界の孤児になりますよ」(森田実氏=前出)

 デタラメな歴史観にとりつかれ、自分を利する目先の利益しか頭にない亡国首相の居座りを許したツケは、計り知れない。
 

【出典】日刊ゲンダイ 2018年5月9日


関連資料

北を散々政治利用 安倍首相に歴史の転換を任せていいのか
北を散々政治利用 安倍首相に歴史の転換を任せていいのか
【出典】日刊ゲンダイ 2018年5月9日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/228679
安倍政権で事態は動いたか 目に余る拉致被害者の政治利用
2017年11月18日 日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/217943


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「安倍首相に即刻退任してほしい」… 国民から怒り直撃の自民党地方議員たちが退任要求
「首相官邸 HP」より

「安倍首相に即刻退任してほしい」… 国民から怒り直撃の自民党地方議員たちが退任要求 Business Journal 2018.05.10

 森友学園や加計学園問題について、自民党内部からも苦言や批判が漏れ伝わってくる。小泉進次郎筆頭副幹事長も、安倍昭恵首相夫人の証人喚問の必要性について「総理しか説明できない」と発言し、話題になった。次から次へと湧き出る問題について、自民党員はどのような本音を抱えているのだろうか。

 自民党に所属し、ある都市の市議会議員を務める男性議員は、一連の報道によって自民党への風向きが変わってきたと感じるという。

「朝の出勤時間に駅頭で活動しているのですが、いつもは人々が慌しく去っていくか、無言でビラを受け取っていくだけでした。しかし最近では、私が自民党員だとわかると、『お前も安倍の味方か』などと怒りをぶつけられることがあるんです」(男性市議会議員)

 支援者からも、森友・加計問題について問われることがあり、自民党に対する市民の不信感をぶつけられることが増えてきたという。問題解決が先送りにされるなか、同市は来年、市議会議員選を迎える。だが、「不安はあるけれど離党はしない」と断言する。

「安倍首相に対しては、こうした問題を速やかに解決してほしいと思います。間違ったことをしていたなら、辞職もやむを得ないでしょう。しかし、自分は自民党の政策などに共感して入党したわけだから、このまま所属を続けます。それに、この町は自民党支持者が多いので、選挙にも有利ですからね」(同)

 彼の同僚議員にも話を聞くと、「自民党をやめたくないけれど、安倍首相には退任してほしい」と本音を漏らした。

「自民党員というだけで、自分たちも悪者だと思われてしまうことがあり、来年の選挙にもマイナスだと感じています。その原因をつくったのが安倍首相であるならば、一刻も早く退任してほしい」(同僚議員)

 地方都市レベルでもこうした余波を受けているようだが、県政ではどうだろうか。関東地方で県議会議員を務める男性は、「安倍政権への不信感はあるが、誰がトップでも変わらないのではないか」と話す。

「支援者たちとの集いでも、『安倍首相を辞めさせろ』という声を聞きます。でも、ほかの人に代わったところで、別の問題が噴出するだけです。それに、もしも首相が退任して衆議院解散となれば、私たち地方議員もその手伝いに駆り出されます。昨年、衆院選を行ったばかりなのに、また選挙に時間を取られるのはごめんです」(男性県会議員)

 衆議院・参議院選挙となれば、地方議員たちも地元から出馬する党員の応援にまわる。事務所へ足を運んだり、自分の支援者たちに呼びかけたりするなどの活動がプラスされることで、本来の職務である県会議員としての仕事が進まなくなることがあると懸念する。

 同じ自民党員でも、安倍首相に対する意見は分かれるようだが、少なからず影響を受けていることは間違いない。だが、地方議員は党内でも発言力は低く、国会の動きに左右されることも多い。「早く問題を解決してほしい」「自身の地位をおびやかすようなことはやめてほしい」という切実な意見は共通している。
(文=OFFICE-SANGA)

ニュースサイトで読む: http://biz-journal.jp/2018/05/post_23269.html

【出典】Business Journal 2018.05.10
【出典】日刊ゲンダイ 2018年5月9日/Business Journal 2018.05.10

天皇皇后の護憲発言と安倍改憲への危機感
宮内庁HPより

平成最後の憲法記念日に天皇皇后の護憲発言を振り返る! 平和への強い思い、安倍改憲への危機感…

LITERA 2018.05.03


 日本国憲法施行から71年になる今日は、平成の「象徴天皇」にとっても最後の憲法記念日だ。来年4月末日をもって退位する明仁天皇は、いま、どのような思いでこの日を迎えているのだろうか。
 というのも、周知の通り、今上天皇は平和と反戦の思いをもつ“護憲の天皇”。日本を戦争へと引きずりこむ安倍政権の改憲に対して、強い危機感を抱いているからだ。

 もともと即位後の朝見の儀でも「皆さんとともに日本国憲法を守り、これに従って責務を果たすことを誓い」と表明したように、今上天皇は以前から日本国憲法を遵守する考えを強調してきたが、第二次安倍政権以降はより強まって、美智子皇后とともに、これまでになく踏み込んだ発言・行動を起こすようになった。

 まず、第二次安倍政権が誕生した翌年2013年の10月には、美智子皇后が誕生日に際した文書コメントで明確にした。
 美智子皇后は、一年で印象に残った出来事を「5月の憲法記念日をはさみ、今年は憲法をめぐり、例年に増して盛んな論議が取り交わされていたように感じます」としたうえで、以前、あきる野市五日市の郷土館で「五日市憲法草案」を見たときの思い出をこのように語った。

「明治憲法の公布(明治22年)に先立ち、地域の小学校の教員、地主や農民が、寄り合い、討議を重ねて書き上げた民間の憲法草案で、基本的人権の尊重や教育の自由の保障及び教育を受ける義務、法の下の平等、更に言論の自由、信教の自由など、204条が書かれており、地方自治権等についても記されています。当時これに類する民間の憲法草案が、日本各地の少なくとも40数か所で作られていたと聞きましたが、近代日本の黎明期に生きた人々の、政治参加への強い意欲や、自国の未来にかけた熱い願いに触れ、深い感銘を覚えたことでした。長い鎖国を経た19世紀末の日本で、市井の人々の間に既に育っていた民権意識を記録するものとして、世界でも珍しい文化遺産ではないかと思います」

 日本国憲法と同様の理念をもった憲法観が日本の「市井の人々」によってもつくられていたことを強調し、基本的人権の尊重や法の下の平等、言論の自由、信教の自由などが、けっして右派の言うような「現憲法は米国の押しつけ」などではないことを示唆したのだ。

■ 天皇の護憲発言に、安倍首相のブレーン・八木秀次がイチャモン
 そして、同じ年の12月、今度は、今上天皇が80歳の誕生日会見でこれまでの歩みを振り返って「やはり最も印象に残っているのは先の戦争のことです」と語り、こう続けたのである。
「戦後、連合国軍の占領下にあった日本は、平和と民主主義を、守るべき大切なものとして、日本国憲法を作り、様々な改革を行って、今日の日本を築きました。戦争で荒廃した国土を立て直し、かつ、改善していくために当時の我が国の人々の払った努力に対し、深い感謝の気持ちを抱いています。また、当時の知日派の米国人の協力も忘れてはならないことと思います」

 日本国憲法を「平和と民主主義を守るべき大切なもの」と最大限に評価する明確な“護憲発言”だった。しかも、今上天皇はわざわざ「知日派の米国人の協力」に言及した。明らかに、安倍首相ら改憲右派ががなりたてる“押し付け憲法論”への反論の色彩を帯びていた。

 こうした天皇・皇后の発言に、官邸は眉をひそめた。翌2014年の4月、「正論」(産経新聞社)5月号に「憲法巡る両陛下のご発言公表への違和感」と題した文書が掲載された。
 執筆したのは、安倍首相のブレーンのひとりと言われる八木秀次・麗沢大学教授。〈両陛下のご発言が、安倍内閣が進めようとしている憲法改正への懸念の表明のように国民に受け止められかねない〉〈宮内庁のマネジメントはどうなっているのか〉。

 それは「改憲の邪魔をするな」という安倍側からの攻撃に他ならなかった。なお、官邸は2016年の生前退位に関する「お言葉」ビデオメッセージについても、一般公開前に八木氏へ内容をリークしていたことが判明している。

 陰に陽に圧力がかけられるなか、それでも天皇と皇后は、自分たちにできるやり方で、安倍政権による平和の破壊と改憲に強い疑義を呈すような姿勢を続けた。

 たとえば美智子皇后は2014年の誕生日文書コメントで「来年戦後70年を迎えることについて今のお気持ちをお聞かせ下さい」という質問にこう答えている。
「私は、今も終戦後のある日、ラジオを通し、A級戦犯に対する判決の言い渡しを聞いた時の強い恐怖を忘れることが出来ません。まだ中学生で、戦争から敗戦に至る事情や経緯につき知るところは少なく、従ってその時の感情は、戦犯個人個人への憎しみ等であろう筈はなく、恐らくは国と国民という、個人を越えた所のものに責任を負う立場があるということに対する、身の震うような怖れであったのだと思います」

■ 美智子皇后の“A級戦犯”発言は、安倍首相へのカウンターだった?
 この皇后発言の2か月前には、安倍首相がA級戦犯として処刑された元日本軍人の追悼法要に自民党総裁名で哀悼メッセージを送っていたことが報じられていた。連合国による裁判を「報復」と位置づけ、処刑された全員を「昭和殉難者」として慰霊する法要で、安倍首相は戦犯たちを「自らの魂を賭して祖国の礎となられた」と賞賛したという。そうしたタイミングで皇后は、A級戦犯に踏み込む異例のコメントを出したのだ。

 一方の天皇も、2015年の安倍首相による戦後70年談話が公開された翌日の8月15日、戦没者追悼記念式典で「さきの対戦に対する深い反省」を明言した。

「終戦以来既に70年、戦争による荒廃からの復興、発展に向け払われた国民のたゆみない努力と、平和の存続を切望する国民の意識に支えられ、我が国は今日の平和と繁栄を築いてきました。戦後という、この長い期間における国民の尊い歩みに思いを致すとき、感慨は誠に尽きることがありません。
 ここに過去を顧み、さきの大戦に対する深い反省と共に、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い、全国民と共に、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、心からなる追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」

 今上天皇が、戦没者追悼式典で戦争に対する「深い反省」を使ったのはこの年が初めてのことだった。そのため、憲法の平和主義を解釈改憲によって骨抜きにした安保法制関連法案に対する天皇からの「反論」ではないかとも取り沙汰された。以降、天皇は同式典で「深い反省」の言葉を用い続けている。

 そして、決定的だったのが2016年、人々に直接語りかけた生前退位の「おことば」だ。今上天皇はそのなかで、「象徴」という言葉をじつに8回も使い、最後は日本国憲法に言及しながらこう締めくくった。

「始めにも述べましたように、憲法の下、天皇は国政に関する権能を有しません。そうした中で、このたび我が国の長い天皇の歴史を改めて振り返りつつ、これからも皇室がどのような時にも国民と共にあり、相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう、そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ、ここに私の気持ちをお話しいたしました。国民の理解を得られることを、切に願っています」

■ 「象徴天皇」のあり方を模索し、反戦平和主義と護憲の姿勢を示し続けた天皇
 天皇は生前退位を長年温めてきたと言われるが、これは天皇自身の退位問題以上に重大な決意を示している。日本国憲法における「象徴」のあり方を何度も強調した「おことば」の内容は、天皇を「国家元首」に規定した2012年自民党改憲草案へのカウンターにもなっていたのだ。

 安倍首相を中心とする右派勢力が、天皇を戦中のような神話的存在にし、国民支配の装置として再び政治利用しようという意図をもっているのは明らかだが、それを、明仁天皇は国民に語りかけるかたちで、断じて否定したのである。

 なぜ、今上天皇がこれほどまでの護憲姿勢を見せたのか。そのルーツに自身の戦争体験があることは間違いないが、一般の国民と違うのは、明仁天皇が憲法で定められた「象徴天皇」として、戦後日本の平和主義、民主主義との両立を模索し続けてきたことだろう。

 言うまでもなく、日本国憲法第一条は天皇を「象徴」とし、その地位は主権者たる国民の「総意」に基づくと定めたが、憲法成立過程の研究において「象徴天皇制」は「戦争放棄」とセットだったという見方が強い。本来、「民主制」や「基本的人権」からもっとも遠い天皇制というシステムのなかで、いかにして人々とともに歩んでいけばいいのか。極めて特異かつ難解な自問自答を繰り返してきたはずだ。

「私」と憲法との関係をめぐる、気が遠くなるほどの省察、その最終地点として、明仁天皇は「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ」と、自らの言葉で国民に訴える決断を下したのだ。これは、天皇に許される目一杯の「反改憲宣言」に他ならないだろう。

 即位からずっと、反戦平和主義と護憲の姿勢を示し続けた明仁天皇と美智子皇后。その存在が、強い戦前回帰志向の安倍改憲に対する一種の“抑止力”となってきたことは、まぎれもない事実である。しかし、平成時代も残すところ約一年。危惧されるのは、この「平和主義の護憲派天皇」という逆説を失った国民世論が、一気に、政権によって好戦的な方向に流されてしまうことだ。

 実際、安倍政権と一部の保守勢力は長らく、現在の皇太子と雅子妃を今上天皇・皇后とは逆の方向に導くため、水面下で策動しているという見方も根強い。これについてはまた稿を改めるが、いずれにせよ、皇太子徳仁親王に明仁天皇のような在り方を漠然と期待するだけでは意味がないだろう。「平成の終わり」は、平和を望むわたしたちひとりひとりが、日本を戦争へと向かわせる改憲に、あらためて対峙すべき時代となるのだ。
(編集部)

【出典】LITERA 2018.05.03
天皇皇后両陛下のおことばなど (宮内庁HP)

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改憲を諦めない安倍に騙されるな
自由民主党HPより

改憲を諦めない安倍首相のソフト路線に騙されるな! 「戦争ができる国づくり」の本音はいまも変わらない

LITERA 2018.05.03


 きょう、憲法施行から71周年となる記念日を迎えた。この間、権力をカサに憲法をないがしろにしつづけてきた安倍政権だが、ここにきて、森友の文書改ざんや加計疑惑での「首相案件」文書の発覚、自衛隊の日報隠蔽、北朝鮮外交の失敗による「蚊帳の外」状態と、そのインチキな正体を次々に露呈させ、政権の土台が大きく揺らぎ始めた。

 しかし、驚いたことに、安倍首相はこの期に及んでもまだ憲法改正を諦めていない。産経ニュースによると、安倍首相は1日におこなわれた新憲法制定議員同盟の集会にメッセージを寄せ、憲法9条について「いまだに多くの憲法学者は『自衛隊を憲法違反である』といい、ほとんどの教科書にその記述があり、自衛官の子供も、その教科書で学ばなければならない現状がある」と述べたという。

 現在使用されている7社の中学生向け公民教科書は両論併記で、断定的に「自衛隊は違憲」と記述している教科書はない。この指摘は昨年からずっとされつづけているが、安倍首相はこの“自衛隊員の子どもがかわいそう”なる感情論でまたも煽り、こうつづけている。

「もとより戦後70年、わが国が堅持した平和主義の基本理念は今後も変わることはないが、憲法にわが国の独立と平和を守る自衛隊を明記し、違憲論争に終止符を打つことは今を生きる私たちの責務だ」
「いよいよ私たちが憲法改正に取り組むときが来た。主役は国民だ」

 違憲論争に終止符を打つ。これが改憲の目的だと言うのだが、そもそも安倍首相は2月5日の衆院予算委員会において「(改憲案が)国民投票で否定されても(自衛隊が合憲であることは)変わらない」と答弁しており、「違憲論争に終止符を打つ」ことが改憲の目的ではないことは明白だ。

 事実、本サイトがスクープしたように、安倍首相と安倍自民党が進めている9条に自衛隊を明記する加憲案は、安倍首相のブレーンであり、日本会議常任理事で政策委員の伊藤哲夫・日本政策研究センター代表が2016年から提案していたもの。日本政策研究センターの機関誌「明日への選択」16年9月号では、伊藤氏が加憲の狙いを“護憲派の分断”にあると開陳しているのである。

 その上、安倍首相の改憲案が恐ろしいのは、平和主義を具体化した9条の戦争放棄と戦力不保持を骨抜きにするものである、という点だ。改憲案では、自衛隊を「必要最小限度の実力組織」とする定義を変え、「必要な自衛の措置」をとるための実力組織として位置づけられている。この「必要な自衛」はいかようにも解釈でき、フルスペックの集団的自衛権の行使も可能になってしまうのだ。

 先日も政府は自衛隊のイラク派遣の日報に記載されていた「戦闘」という言葉を、自衛隊法上の「戦闘行為」の意味で用いられた表現ではないと閣議決定した。不都合な記載がある日報を隠蔽しつづけ、さらには戦闘があったことを現場が報告しても言葉を弄んで否定する──。公文書改ざんをはじめ、このような国民軽視、人命軽視の総理に、憲法に手を出す資格などもとよりない。

■ 読売新聞の改憲世論調査には、矛盾だらけの不可解な数字が!
 だが、こんななかでおこなわれた今回の憲法をめぐる世論調査では、危機感を抱かずにいられない数字が並んだ。

 たとえば読売新聞では、改憲について「改正する方がよい」が51%、「改正しない方がよい」が46%。NHKも憲法改正の必要について「必要」と答えた人が29%、「必要ない」が27%となった。毎日新聞は自民党改憲案に「賛成」すると答えた人が27%、「反対」が31%と反対が多いものの、拮抗していることに変わりはない。

 もちろん、この結果は半数近くの国民がいますぐの改憲を望んでいるということではない。たとえば、“安倍政権下での改憲に賛成か反対か”と具体的に質問した朝日新聞の調査では、「賛成」と答えた人は30%、「反対」は58%にもおよんでいる。また、NHKでは「いま憲法改正議論を進めるべきか? ほかの問題を優先すべきか?」という質問をおこなっているが、「ほかの問題を優先すべき」が68%となり、「憲法改正の議論を進めるべき」の19%を大きく上回っている。

 朝日でも、優先的に取り組んでほしい政治課題は「景気・雇用」が60%、「高齢者向けの社会保障」56%、「教育・子育て支援」50%とつづき、「憲法改正」は9つある選択肢のなかでもっとも少ない11%となった。

 さらに、御用マスコミの調査結果には不審な点がいくつもある。読売は「国会が憲法改正を発議する時期は、いつがよいと思いますか」という質問もおこなっているが、「2018年中」が11%、「2019年の参院選の前」が16%、「2020年まで」が22%、「2021年以降」が21%。

 合計すると、憲法改正発議に賛成した意見は70%になる。一方、「憲法改正を発議する必要はない」と答えた人は20%しかいない(「その他」「答えない」は合わせて10%)。前述の改正の是非を問うた質問では、憲法を「改正しない方がよい」と答えた人は46%だったはずなのに、数字がまったく合わない。

 これにはトリックがあって、その前の質問で「国会での発議について、あなたの考えに近いのはどちらですか。」と問うているのだが、その選択肢は「改正に前向きな勢力の賛成で、なるべく早く発議すべきだ」(27%)「時間がかかっても、なるべく多くの政党の賛成で発議すべきだ」(70%)「答えない」(3%)の3つだけで、「発議する必要はない」という選択肢がないのだ。

 読売は9条改正についても質問しており、「賛成」55%、「反対」42%となぜかこちらも賛成が憲法改正賛成の数字を上回っている。これは「戦争の放棄や戦力を持たないことなどを定めた今の条文は変えずに、自衛隊の存在を明記する条文を追加することに、賛成ですか、反対ですか」と誘導的な質問をしたためだろう。

 ちなみに、NHKでは「9条を評価するか」という質問で「評価する」と答えた人が70%に達しており、朝日も9条の改憲の是非は「変えるほうがよい」32%に対して「変えないほうがよい」は63%だった。
 同じ読売でも、戦争放棄を定めた第1項改正の必要の有無にかんしては「ある」が15%、「ない」が82%と高い数字となっている。

 安倍首相は「いよいよ憲法改正に取り組むときが来た」「主役は国民だ」と声高に叫ぶが、実際には国民のあいだで改憲への気運が高まっているという状況ではまったくなく、なかでも9条の平和主義を守りたいという思いは広く国民に共有されていることがよくわかる。
 だが、一方で、国民のあいだに「内容はよくわからないけど、変えられるなら変えたほうがいい」というざっくりとした意識がどんどん浸透していることは事実で、これは安倍政権や改憲勢力、御用メディアによるプロパガンダが徐々に浸透している結果だろう。

■ 「われわれは選挙で『戦争したっていい』と信任された」とうそぶく政府高官
 しかも、こうした動きはこれからさらに活発になっていくはずだ。つい最近も、日本青年会議所の「宇与くん」騒動では、改憲に向けて左翼、リベラル、護憲派を攻撃するなどの炎上マーケティングを狙ったネット工作を画策していたこともあきらかになったばかりだが、日本会議などが自らの正体を隠して新たな団体をつくり、憲法改正賛成を主張する街宣活動や署名集めを展開するのは必至だろう。

 また、先日、本サイトで元博報堂の広告マンである本間龍氏が指摘したように、自民党はすでに電通に大々的な改憲プロモーションを発注している可能性が高い。

 このような世論誘導と一方的な国会運営で、国民に満足な説明もないまま議論を進めていく。安倍政権は安保法制のときと同じように、ソフトな語り口で本質や本音を隠し、改憲の国民投票までもち込む気でいるのだろう。

 しかし、もう騙されてはいけない。じつは、本日付の西日本新聞の「デスク日記」では、こんな事実があかされているのである。

〈今から5年前。東京で政治取材を担当していたある夜のことだ。酔って帰宅した安倍晋三政権の政府高官が番記者たちに、こうつぶやいた。「極端なことを言うと、われわれは選挙で『戦争したっていい』と信任されたわけだからね。安全保障の問題とか、時の政権にある程度任せてもらわないと前に進めない」〉

 戦争していいと信任された──。これはちょうど特定秘密保護法案が国会に提出されていた時期のことだというが、安倍政権はこのころからしっかりと「戦争できる国づくり」を目指していたのだ。

 安保法制に批判が高まっていた際、安倍首相は「戦争法案と言うのは無責任なレッテル貼りだ!」と吠えたが、やはり安保法は「戦争法」だった。そして、憲法改正による「戦争できる国」の完成をいま目指しているのである。

 いまは安倍首相が進めようとする改憲案がいかに平和主義を打ち砕いてしまうものなのか、その事実を広めていくことが重要だ。
 いや、そもそも何度も言うように、公文書を改ざんして国民を欺くような人物に、憲法を弄ばせるようなことをやらせてはいけないのだ。憲法改正云々の前に、まずは総理の座から退いていただくほかないのである。
(編集部)

【出典】LITERA 2018.05.03
【出典】LITERA 2018.05.03

過労死法案のデータ“ねつ造” 主犯は紛れもなく安倍首相
早く撤回しろ!(C)日刊ゲンダイ

過労死法案のデータ“ねつ造” 主犯は紛れもなく安倍首相 日刊ゲンダイ 2018年2月26日

  裁量労働制をめぐる厚労省のデータ“捏造”問題の疑惑は拡大する一方だ。もはや、安倍政権が今国会の目玉と位置付ける「働き方改革」は空中分解寸前。一刻も早く法案提出を断念するべきなのに、安倍首相や加藤厚労相は「準備をしっかり進めていきたい」などと突っぱね、法案提出に固執しているから、正気の沙汰じゃないだろう。

 そもそも今回の問題は、裁量労働制の適用拡大で長時間労働や過労死が増える――という野党側の懸念に対し、安倍が反論答弁に使ったデータがインチキだったことがバレたのが始まりだ。
 安倍も、それを認めて謝罪、撤回したのに〈データを撤回すると申し上げたのではなく、精査が必要なデータに基づいて行った答弁を撤回した〉なんて意味不明な答弁をした揚げ句、オレは説明された資料を読んだだけ―――と、開き直りとも受け取れる説明を続ける姿は見苦しい限りだ。
 きのう(25日)のNHK日曜討論に出演した自民党の岸田政調会長も、「厚労省が悪い」みたいな口ぶりだったが、そうじゃない。今回の問題をめぐる“主犯”は紛れもなく安倍なのである。

■ 労政審の議論を形骸化させた安倍政権
 裁量労働制の適用拡大を含む労働法制関連の議論は、経済財政諮問会議や産業競争力会議などを踏まえ、安倍政権が2013年6月14日に閣議決定した「日本再興戦略」がスタートだ。
 そこには〈企画業務型裁量労働法制をはじめ、労働時間法制について、早急に実態把握調査・分析を実施し、本年秋から労働政策審議会で検討を開始する〉とあり、同時期に閣議決定された規制改革会議の規制改革実施計画でも〈企画業務型裁量労働制やフレックスタイム制等労働時間法制の見直し〉が盛り込まれた。

 経済財政諮問会議、産業競争力会議(16年9月廃止)、規制改革会議の所管はいずれも内閣府で、経済財政諮問、産業競争力の両議長は安倍だ。3会議とも財界関係者が委員に名を連ね、労働者団体の代表はほぼ皆無。

 何のことはない。最初から官邸と財界主導で結論ありきの議論が進められてきたワケで、安倍本人も“捏造”データの答弁直前に〈岩盤規制に穴をあけるには、やはり内閣総理大臣が先頭に立たなければ〉と威張っていた。だが、こうしたむちゃくちゃな形で進む労働法制議論に対し、猛反発していたのが日本労働弁護団だ。すでに17年3月には幹事長声明で、こう怒りの声を上げていた。

〈安倍政権は、これまで労政審(労働政策審議会)を事実上骨抜きにする方策をとってきた。経済財政諮問会議、産業競争力会議、規制改革会議などにおいて、労働政策の方針を決め、それを閣議決定することにより、労政審の外堀を埋めてしまうというやり方である。
 閣議決定の段階で、いつまでにどのような内容の改革を実施するかが決まっているため、労政審では、これらの閣議決定の枠内で議論せざるをえない。安倍政権は、労働者不在のままで労働政策を決定し、労政審の議論を形骸化することで、矢継ぎ早に様々な労働規制改革を実施しようとしてきた〉

 きのうのNHKの日曜討論でも、立憲民主党の長妻昭議員は〈最大の問題は、首相官邸に設置した、産業競争力会議という厚労大臣も労働者も入ってないところでドーンと裁量労働制の拡大を決めて閣議決定でおろしてきた。そのひずみがデータ問題などの現実無視のものとして噴出している〉と指摘していたが、その通りだろう。労働問題に詳しい法大名誉教授の五十嵐仁氏はこう言う。

「安保法など独断専行の安倍政権はこれまでも散々、国民を騙すような手法を繰り返してきましたが、今回もそれが表れた。最も責任があるのは安倍首相なのに、ウソがばれても何の反省もなく、押し通そうとしているから言語道断です。今回の問題は働く人の命にかかわる。こんな強権的で非民主的なやり方を認めてはいけません」

最初から結論ありき(C)日刊ゲンダイ

■ データ偽装問題とモリカケ問題の背景に横たわる構図は同じだ
 有識者と称する官邸直属の御用学者会議が「岩盤規制に穴をあける」「規制改革」の名の下に結論ありきで議論をまとめて閣議決定し、所管官庁でおざなりに審議する――。どこかで見た経過だと思ったら、安倍が議長を務める国家戦略特区諮問会議を経て閣議決定された加計学園(岡山理科大)の獣医学部新設問題とソックリだ。

 加計問題では、官邸サイドが文科省に執拗に設置認可を迫り、前川喜平前文科次官が「行政が歪められた」と批判したが、厚労省のデータ問題にも同じ構図が透けて見えるのだ。
 つまり、官邸主導で裁量労働制の適用拡大が決まり、厚労省が労政審にアリバイ的に諮ったら、労働団体の委員から反対の声が続出。労働時間の細かなデータ提示を求められ、独法の労働政策研究・研修機構(JILPT)に調査を委託すると、裁量労働制の労働時間の方が一般労働者よりも長い結果に。
 しかし、厚労省は官邸の意向を酌んで、JILPTの調査結果を労政審に報告せずにインチキデータを使い続けた――という流れだ。

 JILPTが調査報告書をまとめた2014年5月は、官邸が各府省の幹部人事を決める内閣人事局が発足した時期と重なる。厚労省が官邸の意向を“忖度”して政策立案を「歪めた」可能性は十分あり得るのだ。
 そして、その弊害は今も続いている。データ問題で矢面に立っている厚労省労働基準局の山越敬一局長は、JILPTが裁量労働制の労働時間を調査した時のJILPT理事で、同局ナンバー2の村山誠総務課長は、労政審にJILPTの調査結果をマトモに報告しなかった当時の労働条件政策課長だ。
 2人ともデータ問題の真相が分かっているのにダンマリ。森友問題でシラを切り続けた佐川国税庁長官と同じ。やはり、元凶は安倍なのだ。

■ 「労働は商品ではない」と国民も認識すべき
 それにしても、なぜ、安倍政権は裁量労働制の適用拡大を景気対策のごとく宣伝し、一時は連合に擦り寄るという“禁じ手”を使ってまでも導入したいのかといえば、答えは決まっている。何が何でも労働コストを削減したい財界から猛烈な突き上げを食らっているからだろう。

 23日付の日経新聞電子版は、今回のデータ問題を取り上げ、〈最悪のシナリオは06~07年の第1次安倍政権の労働改革の再来だ。経団連は脱時間給制創設を要望したが頓挫。一方で残業が一定時間を超えた社員に割増金を多く支払う内容が盛り込まれ、企業の負担増になった苦い経緯がある〉と報じていたが、これが大企業の“本音”なのだ。
 「働き方改革」なんて言っているが、あくまで大企業本位の「働かせ方改悪」。かつて年収400万円以上のホワイトカラーの残業代をなくすよう提言していた経団連の理想は、労働者全員を非正規にして残業代ゼロにしろ――なのだろうが、さすがにムチばかりではマズイからと安倍政権は「残業時間の上限規制」などのアメを抱き合わせしてゴマカしているだけ。法案さえ通せばこっちのもの、後は省令でやりたい放題になると踏んでいるのだ。

 労働者保護の法律は、1802年の英国の工場法が最初とされる。産業革命期、資本家が労働者を低賃金で長時間酷使したため、劣悪な労働環境が社会問題化。資本家も労働者保護の観点が必要――と判断するに至ったのだが、安倍政権の時計の針は産業革命時代に逆戻りしているのだ。

 埼玉大名誉教授の鎌倉孝夫氏(経済学)がこう言う。
「裁量労働制というのは簡単に言うと、すべてを労働者の自己責任でやってください、ということ。極論すると、労働者一人一人が独立した請負業のような形になり、(最悪の場合)企業は社会保険料も何も負担しないで済むかもしれません。企業にとって極めて使い勝手のいい雇用切り捨て策なのです。『同一労働同一賃金』も聞こえはいいが、年配であろうが扶養家族がいようが、一切無視して『同じ仕事だから賃金もこれだけ』という目的がミエミエです。まさに産業革命時代の資本家の思想と同じ。労働は商品ではありません。国民も労働とは何か、賃金とは何かを改めて考え直すべきでしょう」

 労働者を奴隷に追い込む改悪制度が成長戦略の柱なんて、冗談ではない。


【出典】日刊ゲンダイ 2018年2月26日
【出典】日刊ゲンダイ 2018年2月26日

デタラメ「働き方改革」  正体はブラック企業支援法案
口を開けば嘘八百(C)日刊ゲンダイ

デタラメ「働き方改革」 正体はブラック企業支援法案 日刊ゲンダイ 2018年2月16日

 スポンサーでもある財界の意向を受け、安倍首相が4年越しで成立させようとしている「働き方改革関連法案」は頓挫必至だ。「過労死促進法案」「定額働かせ放題法案」と悪評を買う裁量労働制の拡大をめぐり、厚労省の調査データをお手盛り使用。デタラメ答弁を垂れ流していたのが野党の追及でバレて、異例の答弁撤回・謝罪に追い込まれた。

 裁量労働制が長時間労働を助長するのは常識中の常識だ。にもかかわらず安倍は、1月29日の衆院予算委で厚労省の「2013年度労働時間等総合実態調査」を持ち出し、1日当たりの労働時間は裁量労働者9時間16分に対し、一般労働者9時間37分と明言。「裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般労働者より短いというデータもある」と言い張った。

 ところが、双方の算出方法は異なり、比較できる代物ではなかった。裁量労働者は1日の労働時間を調査していたが、一般労働者は1日の残業時間のみを調べ、この平均値に法定労働時間(8時間)を機械的に上乗せしていたのだ。野党から「人の命に関わるデータの捏造」と批判の声が上がるのは当然で、紛れもないデッチ上げだ。

 それで安倍は「精査が必要なデータを基に行った私の答弁は撤回するとともに、おわびを申し上げたいと思います」と渋々頭を垂れたわけだが、データの精査不足がデタラメ答弁につながったわけではない。安倍政権はこのデータを平然と使い回している。確信犯なのだ。

 15年7月の衆院厚労委で塩崎厚労相(当時)は同じデータに言及し、「むしろ一般労働者の方が平均でいくと長い」と答弁。17年2月にも同様の答弁を繰り返していた。
 連合の神津里季生会長の発言も意味深だ。働き方改革をめぐるダイヤモンド・オンライン(17年8月10日付)のインタビューで、〈安倍さんは、あまり知られていませんが、じつは「社労族」です。だから労働問題には詳しいし、関心も高い〉と一目置いている。イロハのイを分かっていながら、無理筋を通すため、恐るべき捏造データで黒を白にし、強行突破を図ったのである。過労死法案はかくもデタラメなのだ。

■ 収入要件なし、対象は20人に1人
  それだけ、裁量労働制は問題だらけだということ。実際の労働時間にかかわらず、一定時間働いたとみなして残業代込みの賃金を支払う制度のため、企業がどんなに従業員を酷使しようが、残業代の上乗せは不要。「過労死促進法案」「定額働かせ放題法案」と呼ばれるゆえんである。独立行政法人の労働政策研究・研修機構が14年に発表した「裁量労働制等の労働時間制度に関する調査結果」でも労働環境の厳しさは浮き彫りだ。

 公表データを基にアベノミクスの実態を痛烈に批判した「アベノミクスによろしく」(集英社インターナショナル新書)の著者で、労働事件に詳しい明石順平弁護士はこう言う。

「裁量労働制は過労死、過労自死、過労うつの温床で、労働者にプラスに働くことはあり得ません。〈裁量〉という単語が誤解を招いているようですが、裁量労働制は労働者側に裁量を与えるわけではなく、企業にとって都合の良い制度なのです。

 働き方改革は裁量労働制を営業職にまで拡大しようとしています。職責に関係なく、法人担当や企画管理に携わる営業マンまで含まれかねません。収入要件がないのが最大の問題点で、年収200万円の人も対象になってしまいます」

 全産業で営業職は342万人。20人に1人の割合だ。安倍は施政方針演説で「誰もがその能力を発揮できる、柔軟な労働制度へと抜本的に改革します」と労働者の味方ヅラしていたが、嘘八百。詐欺師政権のペテンはこれだけでは済まない。

■ 360日連続、24時間勤務OKの高プロもなし崩し拡大
加藤厚労相もシドロモドロ(C)日刊ゲンダイ

 安倍政権がこうまで働き方改革にこだわるのは、財界が労働法制の規制緩和を猛烈に要求しているからだ。経団連は05年にホワイトカラーエグゼンプションを提言。残業代ゼロ法案の元祖で、当初から非難ゴウゴウだった。政治献金の復活で経団連と蜜月関係になった安倍政権は、それを高度プロフェッショナル制度に衣替え。

 裁量労働制拡大とセットにした労基法改正案を15年4月に閣議決定し、国会に提出したが、野党の反対でたなざらしになった。それで残業時間の上限規制と抱き合わせ、8本の改正案をゴチャ混ぜにした働き方改革関連法案に一本化したのだ。10本もの法案を一括審議で済ませた安保法と同じやり方である。

 高プロも裁量労働制に匹敵する悪質さだ。これも残業代はゼロ。さらに労働時間、休日、休憩時間に関する労働基準法の規制がすべて外されてしまう。その代わりに企業は健康確保措置を求められるが、その内容はメチャクチャ。例えば、年間5日の有給休暇を取らせれば360日連続勤務OK。4週間で4日以上、年間を通じて104日以上の休日を確保させれば24時間勤務も合法になる。サラリーマンの奴隷化だ。

 対象は年収1075万円以上の高度専門職とされているが、他人事だと思ったら大間違い。悪法は「小さく産んで大きく育てる」のが権力者の常套手段だ。改正を重ねて年収要件のハードルをどんどん下げるリスクをはらむ。派遣法もそうしてなし崩しになった。ホワイトカラーエグゼンプションを持ち出した当時の経団連は、年収400万円以上のホワイトカラーをターゲットにしていた。

■使い潰した労働者はサヨウナラ
「安倍政権が進める働き方改革は自動車のブレーキを壊し、アクセルを全開に踏むようなもの。使えなくなった労働者はサヨウナラです。裁量労働制を拡大させ、高プロを創設させる残業代ゼロ法案が実現すれば、ブラック企業の壊滅どころか、ホワイト企業のブラック化を引き起こしかねません」(明石順平氏=前出)

 働き方改革法案の真相は、ブラック企業支援法なのだ。
 労働問題に詳しい法大名誉教授の五十嵐仁氏もこう言う。
「少子高齢化による人手不足が深刻化する中、労働者を使い潰せば、労働力を失う。そんなことは分かりきっているのに、目先の利益しか頭にない財界もどうかしている。まさに今だけ、カネだけ、自分だけですよ。合法的なブラック労働の助長で労災申請のハードルが上がり、認定を争う裁判で雇用者側が敗訴する可能性も懸念されます」

 労働者側に立つはずの連合はアテにならない。高プロ導入には表向き反対し、4週間で4日以上、年間通じ104日以上の休日を確保させ健康確保措置を提案したと胸を張るが、逆に24時間勤務を合法化する抜け道をつくってしまった。

 そもそも、連合に加盟する労組は公務員や大企業ばかり。昨年の春闘対象は全労働者のわずか5%に過ぎなかった。労働貴族クラブと化しているのである。
 一事が万事ですべてが怪しい「働き方改革」一括法案。成立を許せば、サラリーマンを待ち受けるのは地獄の奴隷労働だ。何が何でもブッ潰さなければ、この国はお先真っ暗だ。

【出典】日刊ゲンダイ 2018年2月16日

関連資料
【出典】日刊ゲンダイ 2018年2月6日

アベノミクス唯一の“成果”株高もパー 五輪前にバブル崩壊
5日、米国株急落を受け日経平均も大幅下落(C)日刊ゲンダイ

アベノミクス唯一の“成果”株高もパー 五輪前にバブル崩壊 日刊ゲンダイ 2018年2月6日


 安倍首相は真っ青になっていることだろう。

 株価の大暴落が止まらない。きのう(5日)、きょうと週明けから2日連続で東京株式市場の日経平均株価(225種)は全面安の展開だ。一時600円超というきのうの下げ幅は、2016年11月の米大統領選でトランプが勝利した直後の下落幅(1059円57銭)以来、約1年3カ月ぶりの大きさ。終値は昨年の大納会(12月29日)以来、約1カ月ぶりの2万3000円割れとなった。

〈あっという間に200万円も失った。信じられない〉。ネットの株式掲示板は個人投資家らの阿鼻叫喚の書き込みであふれ返っている。

 2日発表の米雇用統計(1月)で、賃金が09年以来の高値水準となり、長期金利の指標である米10年債利回りが2・85%と4年ぶりの水準に急上昇。リスクの高い株を避ける傾向が顕著になり、米市場のダウ工業株30種平均が600ドル超の急落。

 この流れは5日も止まらず、1100ドル超という過去最大の下げ幅を記録した。日本株暴落はおそらく、日本市場で約7割の売買シェアを握る外国人投資家が、米国株の損失を補うために売りまくったのだろう。

 米国内では雇用回復、賃金増加で利上げペースが加速し、さらなる長期金利上昇が株価下落を招く――との見方が広がっており、投資家心理を測る指標とされる「恐怖指数」=米株の変動性指数(VIX)も急上昇中。今後も日本株はそのあおりを受け、続落する可能性が高い。

■ 危うい思考停止状態の日本市場
 ついこの間まで、〈26年ぶりに2万4000円台を回復した〉と日本市場が大ハシャギしていたのがウソのよう。国会でアベノミクスの成否を問われた安倍首相が〈全国津々浦々で確実に経済の好循環が生まれている〉と胸を張り、“唯一の根拠”にしてきた株高もこれでパーだ。

 もっとも、今の相場は日銀が「異次元緩和」の一環で年間6兆円規模のETF(上場投資信託)を購入したり、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)や郵貯マネーなどの公的資金が投じられたりしてきた「官製相場」だ。異常な株高は実体経済に裏打ちされたワケでも何でもないから、いったんはじけたら、どこまで下落するのか分からない。

「いずれ『調整(再び株価が上昇)が入る』と楽観視する声もありますが、そうは思いません。今の株式市場は日銀の大量のETF購入や、GPIFマネーによっていびつに膨らんでいて、もはや(自由な取引市場という)本来の機能を完全に失っている。(中国政府の介入が度々、問題視される)上海市場と変わりません。1日で500円も600円も下がったら、日銀だって買い支えられないでしょう。調整どころか、いつ、どんなことが起きるか予想できない。危うい思考停止状態が今の日本市場。何かあれば、たちまちドカンと大きく下がりますよ」(経済評論家の斎藤満氏)

 日経平均株価は今年末には3万円台、20年の東京五輪までに4万円台突入―――なんて浮かれた声も出ていたが、「官製相場の限界」というアホノミクスの底が割れた今、五輪前からバブル崩壊にまっしぐらだ。

失敗を認めるべきなのに…(C)日刊ゲンダイ

■ 黒田日銀バブルが崩壊すれば真っ先に被害を被るのは国民だ
〈増す副作用にどう対処するか〉。4日付の読売新聞で、物価上昇率2%を掲げ、5年近く異次元緩和を続ける日銀の姿勢に対する社説が掲載された。安倍政権「応援団」とは思えないほど、中身は辛辣だ。

〈より柔軟に政策方針を見直す姿勢が問われよう〉〈大規模緩和の弊害は、多方面に表れ始めている〉〈日銀の金融政策頼みでは、脱デフレを確実にするのに限界があることは明らかだろう〉

 どの指摘もその通り。日銀が物価上昇率2%達成にこだわるあまり、市場経済が歪められ、数々の副作用が出ているのではないか、と警鐘を鳴らしているのである。

 とりわけ深刻な副作用が表れているのが16年2月から始まったマイナス金利政策だ。日銀は国債発行残高の4割にも達するほどジャブジャブにした緩和マネーを市中に“強制的”に循環させようと試みたが、メガバンクや地方銀行など国内銀行の17年末時点の貸出金の伸び率は2年前の4%増とほぼ変わらず。

 しかも、融資の内訳をみると、不動産業向けが全体の15%に達し、設備投資といった生産性を高めるような融資につながっていないばかりか、行き場を失った大量のカネが大都市圏の不動産に流れて「投機バブルを招いている」との懸念も出始めた。

 それでも不動産融資の需要があるメガバンクなどはまだマシで、高齢化と人口減少で経済規模が縮小している中小企業の多い地方銀行は最悪。金融庁のリポートでは、マイナス金利の長期化が収益力を圧迫し、〈25年3月期には約6割の地域銀行が本業で赤字になる〉と予想されている。

 もはやアベノミクス=「異次元緩和」が限界を露呈したのは明らかなのだが、日銀の黒田東彦総裁は、まるで反省しちゃいない。きのうの衆院予算委でも参考人として出席した黒田は異次元緩和について「道半ば。粘り強く続けていく必要がある」と平然と言い放っていたから唖然ボー然だ。アベノミクスの実態を痛烈に批判した「アベノミクスによろしく」(集英社インターナショナル新書)の著者、明石順平弁護士はこう言う。

「日銀はいつまで異次元緩和を続けるつもりなのでしょうか。世界の中央銀行でもこんな例はないし、どんな副作用が出てくるのかは誰にも分かりません。不自然に歪められた株価の上昇は必ずしっぺ返しがある。それは人類の歴史が示しています」

日経平均株価 2018年2月6日

■物価高と増税で個人消費はさらに冷え込む
 本来であれば、黒田日銀は「異次元緩和は誤り」と素直に認めて軌道修正を図るべきなのに、口が裂けてもそう言えないのは、もはや逃げるに逃げられなくなった――というのが本音ではないのか。

 なぜなら、GDPの6割を占める個人消費がメタメタだからだ。「異次元緩和」で円安・株高が進んで大企業が儲かれば、「トリクルダウン」が起きて庶民のフトコロが潤い、消費拡大につながる――と喧伝されたが、実際は1世帯当たりの実質消費支出は安倍政権誕生前の年間360万円から20万円もダウン。

 前出の斎藤満氏によると、この5年間で実質GDPが7・2%拡大したのに対し、個人消費は2・3%。個人事業主や持ち家世帯が架空の家賃を払ったとした「帰属家賃」を除く純粋な家計消費はわずか1・1%増だ。

 一方で、12月の全国ベースの消費者物価は生鮮食品を含む食料品と電気やガス、ガソリンなどの値上がりで1・3%上昇。2人以上世帯の可処分所得は1997年に月額49万円あったが、社会保険料の負担増などで2016年は約42万円と減り続けているから、この物価高は庶民にとっては実質的な負担増と同じだ。

 さらに18年度は庶民イジメの増税が目白押し。70歳以上の患者負担限度額の引き上げや、75歳以上の後期高齢者医療保険料の低所得者への特例軽減の縮小、介護保険の利用者負担の2割から3割への負担増も計画。「中間層狙い撃ち」といわれる年収850万円以上の会社員らの所得増税のほか、たばこ増税、森林環境税、国際観光旅客税もある。

 個人消費がますます冷え込むのは分かり切っているから、黒田日銀としては「異次元緩和」を継続しようがしまいが出口はないのだ。金融論が専門の相澤幸悦埼玉学園大教授がこう言う。

「株価連動政権と揶揄される安倍政権を後ろ盾にする黒田日銀としては、このまま突っ走り続けるしかないのでしょう。しかし、おそらく米長期金利はまだ上がる。そうなれば投機筋は『いよいよ株は手じまい』とみるから、株価は今以上に下落する。当然、日本株もつられて下がることになるでしょう。将来、サブプライムバブル崩壊のような現象が起きる可能性は否定できません」

 黒田バブルが崩壊すれば、真っ先に影響を受けるのは国民だということを忘れてはならない。

【出典】日刊ゲンダイ 2018年2月6日


付録
【出典】日刊ゲンダイ 2018年2月6日

大半の庶民は追いつめられる… 可処分所得の減少と負担増
生き残るのは“アベ友”だけ(安倍首相と加計孝太郎氏)(C)日刊ゲンダイ

大半の庶民は追いつめられる…可処分所得の減少と負担増 日刊ゲンダイ 2018年1月3日

 2018年は大増税元年。増税メニューが次々と国会で審議される。年収850万円以上の会社員らの所得増税に始まり、たばこ増税、森林環境税、観光促進税……と負担増ラッシュ。19年秋には消費税率10%引き上げも控えている。

 ただでさえ、サラリーマンの「手取り」は年々減り続けている。2人以上世帯の可処分所得は1997年の月額49万円をピークに、毎年引き上げられてきた社会保険料の負担増などで、2016年は42万9517円と月7万円も減ってしまった。年間84万円ものガタ減りである。

 円安政策で輸入物価の高騰に苦しみ、せっせと貯金に励んでも低金利政策の長期化で受け取れる利息はスズメの涙。家計全体の利子所得は1991年の38・9兆円をピークに、どんどんゼロに近づいている。
 カラッカラに干上がった庶民のサイフから、さらにフンだくるとは血も涙もない冷酷政権だ。
「日本経済は今、伸び悩む個人消費に本格的なテコ入れを図るべき時期です。それなのにサラリーマン狙い撃ちで負担増を押しつければ、さらに消費は冷え込み、景気は悪化の一途です。日銀の物価上昇目標も遠のき、異次元緩和の失敗策もズルズルと続くことになる。庶民から巻き上げたカネを安倍政権が何に使うのかといえば、米国から“爆買い”する、決して使うことのない高額兵器や、規制緩和や特区制度をネジ曲げて仲間内の利益に消えるだけでしょう。庶民の負担増と引き換えに、トランプ米大統領と“アベ友”たちを喜ばせるなんて、ムチャクチャな政権です」(斎藤満氏)

 安倍政権が続く限り、庶民生活は成り立たなくなる運命である。

【出典】日刊ゲンダイ 2018年1月3日

カリアゲが圧力でひるむわけなし 完全破綻の安倍シナリオ
ICBM「火星15」と発射実験の成功を喜ぶ金正恩朝鮮労働党委員長
(C)ロイター=共同

カリアゲが圧力でひるむわけなし 完全破綻の安倍シナリオ 日刊ゲンダイ 2017年12月1日

  75日間、鳴りを潜めていた北朝鮮が、再び「大陸間弾道ミサイル」(ICBM)をぶっ放した。しかも、発射した新型ミサイル「火星15」の飛距離は、過去最長の1万3000キロ。アメリカ全土が射程圏内に入る。

 改めて分かったのは、どんなに「圧力」をかけても、北朝鮮はアメリカを攻撃できるミサイル開発も、核開発も、やめるつもりはサラサラないということだ。北朝鮮が核・ミサイル開発を「60日間凍結」することを条件に米朝対話が進むという情報が流れ、期待が広がったが、北朝鮮が2カ月間沈黙していたのは、軍が作物の収穫に駆り出されたからだという。

 そもそも、圧力をかけたところで北朝鮮が核・ミサイル開発をやめるはずがなかった。ロシアのプーチン大統領も「制裁は無意味だ。草を食べても核開発はやめないだろう」と喝破していた。

 元韓国海軍少佐で拓大研究員の高永テツ氏がこう言う。
「核開発とアメリカに届くミサイルの開発は、金王朝3代にわたる悲願です。限られたヒト、モノ、カネを開発に集中させてきた。北朝鮮は、核保有国になれば、アメリカから攻撃されないと信じ込んでいます。最終目的は、核保有国として対米交渉に臨み、金体制の保証を取りつけること。だから、目的を果たすまで開発をやめないでしょう」

 それにしても、バカ丸出しなのが安倍首相だ。ロシアや中国が「対話が必要だ」と訴えていたのに、安倍は「対話は意味がない」「強い圧力が必要だ」と、トランプ大統領とともに国際社会を巻き込んで、ひたすら北朝鮮への強い「圧力」を要求してきた。その回答がICBMの発射である。

 安保理が9月に採択した北朝鮮への9回目の「制裁決議」は、かなり厳しいものだった。中国からのガソリン輸出まで、10月はゼロとなった。それでも北朝鮮のICBM発射をストップできなかった。「圧力」をかければ金正恩はギブアップするさ――という安倍シナリオは完全に破綻。圧力外交は、手詰まりとなっている。実際「打つ手」は、ほとんど残されていない。

■ 朝鮮半島は1年以内に最大の危機
 この先、北朝鮮危機はどうなるのか。どんなに「圧力」をかけても、核・ミサイル開発を止められないとなったら、あとは北朝鮮を軍事攻撃するしか手がなくなってくる。

 もちろん、正常な判断力があれば、リスクが大きすぎてアメリカが北朝鮮と戦争することはあり得ない。なにしろ、韓国軍49万人、民間人100万人、さらに10万人以上のアメリカ人が犠牲になるとシミュレーションされている。しかし、相手は予測不能のトランプと、制御不能の金正恩だけに、常識は通用しない。

 しかも、北朝鮮が核・ミサイル開発を加速させていることに、アメリカ国内は戦闘的になっている。米共和党の重鎮、グラム上院議員は28日、CNNテレビで「北朝鮮がアメリカを攻撃する能力を獲得するのは許されない。事態が変わらなければ、我々は戦争に向かう」と明言。トランプも、「ワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルスを守るためなら何でもする」と口にしている。

 もし、北朝鮮のICBMが実戦配備されるとなったら、容赦なく北朝鮮を攻撃する可能性が高い。コリア・レポート編集長の辺真一氏が言う。

「いずれ米軍が武力攻撃に踏み切る可能性は高いと思う。もはや平和的な解決は難しいでしょう。トランプ大統領も金正恩委員長も、一歩も引く気がないからです。どちらも引かなければ、必ずぶつかる。北朝鮮がICBMを実戦配備した後では手遅れなので、米軍はその前に攻撃するはずです。レッドラインは①北朝鮮がグアム周辺にミサイルを撃ち込む②太平洋上で水爆実験を行う③ICBMをロフテッド軌道ではなく通常の角度で発射する――でしょう。このうち1つでも北朝鮮が行ったら、トランプ大統領は動くと思います」

 ヤバイのは、朝鮮半島が戦地になることをトランプは屁とも思っていないことだ。上院議員に「戦争は現地で起きる。何千人死ぬとしても向こうで死ぬ。アメリカで死者は出ない」と言い放っている。

 あと1年もすれば、北朝鮮のICBMは実戦配備される可能性がある。朝鮮半島は、1年以内に最大の危機を迎えるのではないか。

■ 日本国民が犠牲になっても北攻撃を容認
まかせておけない(C)日刊ゲンダイ

 このままでは、日本はアメリカの軍事行動に巻き込まれかねない。

 もし、米・朝の軍事衝突が勃発したら、日本も無傷では済まない。北朝鮮が日本にミサイルを撃ち込んでくるのは間違いないからだ。

 北朝鮮政府が運営するポータルサイト「ネナラ」は11月21日、朝鮮中央通信を引用してこう記している。
<いったん、朝鮮半島で戦争が起これば日本も絶対に無事ではない/日本にある米国の侵略基地と共に戦争に動員される日本の全てのものがこっぱみじんになりかねない/日本が軍国主義の馬車に乗って暴走するほど、自滅のどん底にいっそう深く陥る結果しか得られない>

 北朝鮮は、日本を射程に収める中距離弾道ミサイル「ノドン」を300発も実戦配備している。一斉に撃ち込まれたら、日本は火の海になるだろう。発射から7~8分で着弾するから逃げることは不可能だ。

 それでも安倍は、バカの一つ覚えのように「強い圧力が必要だ」と口にしているのだから話にならない。なぜ「圧力」をかけても、核・ミサイル開発にストップをかけられないことに気づかないのか。

 さすがに、希望の党の長島昭久議員にまで、国会で「日本のメッセージは圧力一辺倒だ。戦争で被害を受けるのは日本だ」と指摘される始末だ。

 そのうえ、自民党の山本一太議員から「国民を守るために必要だと感じたら、トランプ大統領に『いまは攻撃を思いとどまって欲しい』と助言するか」と聞かれても、最後まで無回答だったのだから信じられない。この男は、たとえ日本国民が犠牲になっても、米軍の北朝鮮攻撃を容認するつもりだ。

 政治学者の五十嵐仁氏が言う。
「北朝鮮の弾道ミサイル発射は、今年15回目です。安倍首相は毎回『強い圧力が必要だ』と同じセリフを口にしている。しかし、日本に圧力をかける具体的な手段があるのですか。ないでしょう。典型的な思考停止ですよ。最悪なのは、『トランプ大統領と完全に一致している』と、米軍の北朝鮮攻撃をなかば容認していることです。トランプ大統領は『徹底的に圧力をかけ、その先には武力行使もあり得る』と明言している。このままでは、朝鮮半島で軍事衝突が勃発し、日本人が犠牲になりかねない。いったい、安倍首相は日本国民のことをどう考えているのか。危機を引き寄せているとしか思えない。“国難突破”などと豪語していますが、こうなると安倍首相の存在こそが国難です」

 もちろん、土壇場で米・朝が裏取引する可能性もゼロではない。トランプ大統領は、アメリカの安全さえ守られればいいからだ。

 アメリカ本土へ届くICBMの開発をストップさせる見返りに、北朝鮮を核保有国として認め、国交を結ぶことは考えられる。しかし、その時は、日本は北朝鮮の核の危機に直面するという最悪の事態になる。

 朝鮮半島の危機は迫っている。一刻も早く「国難首相」を排除しないと大変なことになる。

【出典】日刊ゲンダイ 2017年12月1日

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仏ル・モンド紙が「安倍首相の改憲の本質は、大日本帝国の復活」と喝破! 「天皇が安倍の歴史修正主義に抗っている」との記述も
「安倍晋三、受け継がれし歴史修正主義」と報じるル・モンド紙(10月20日電子版)

仏ル・モンド紙が「安倍首相の改憲の本質は、大日本帝国の復活」と喝破! 「天皇が安倍の歴史修正主義に抗っている」との記述も LITERA 2017.10.25

 衆院選で大勝した安倍首相は、「謙虚」をくり返し強気な言葉こそ控えているものの、このあと改憲に向けた動きを本格化させるのは明らかだ。安倍改憲の背後にあるもの、その危険性について海外メディアも大きく報じている。

 フランスのル・モンド紙は、今月20日の電子版に「安倍晋三、受け継がれし歴史修正主義」(Shinzo Abe, le révisionnisme en heritage)と題した特集記事を掲載。約3000語に及ぶ長文で、内容は安倍晋三の家系や生い立ちを紹介しながら、安倍の歴史修正主義の危うさを鋭く指摘するというものだ。海外から安倍首相がどう見えているのか、その視点を知るうえで極めて興味深い記事なので、部分的に訳しながら紹介してみたい。
 まずル・モンドは、北朝鮮との緊張関係や中国との対立によって、安倍の「国難」との主張が強化されていると指摘。興味深いことにル・モンドは、第二次安倍政権発足以来、防衛予算が増加し続けていることを指摘する一方、「安倍氏は、各国の多くの指導者と比べればとりわけナショナリストとは言えないし、再軍備に熱狂しているわけでもない」と評すが、「その代わり」と続け、こう強調している。

〈そのかわり、安倍氏は歴史修正主義者(révisionniste)である。たとえば、彼の礼賛する憲法改正は、日本の帝国主義の復興を目指し、1930年代初頭から第二次世界大戦終戦までの日本軍が犯した残虐行為の数々を過小評価ないしは否定しようとする広大な企てのなかの一つだ〉

 さらにル・モンドは、日本でも大正時代には民主化運動や反戦運動が盛んだったことに触れたうえで、戦後日本が大正デモクラシーと似た傾向に回帰したことを「日本の歴史の断絶」として否定的に捉える右派の文脈のなかに安倍を位置づけている。

〈1945年の敗戦は、日本の歴史の深い断絶となっている。しかしその断絶は、   1910〜1920年に日本が経験していた民主主義への回帰と軍国主義の拒絶を導いた。
 安倍晋三を生み落とした日本の右派は、国際社会におけるコンプレックス(劣等感)から解き放たれ、経済的にも軍事的にも強い、ある種のJapon éternel(引用者注:悠久不滅たる神国日本というような意味)を取り戻すため、戦後という“ページをめくって”この断絶を抹消したいのだ。「Japan is back!」。安倍氏は第二次政権初期の2013年(引用者注:2月、米ワシントンのシンクタンクSCICでの演説)に、そう宣言している。歴史的観点からみれば、安倍氏が権力にいたる道において目立った事実として残るであろうことは、激しい外交活動と経済政策よりも、その否定的な色彩を帯びた歴史修正主義だ〉

■ 大日本帝国の復権を狙う安倍首相と、それに抗う天皇というパラドックス
 その後、記事は岸信介が戦争を引き起こした政権の重要メンバーであったこと、戦後戦犯として逮捕されたことなど一族のヒストリーを紐解きながら、安倍晋三の右派政治家としての経歴を紹介。

 ネットを駆使したメディア戦略や報道に対する圧力の問題にも触れながら、森友・加計学園問題で支持率を急落させたが北朝鮮のミサイル問題で復調、これを奇貨として解散総選挙に打って出ると報じ、「勝てば修正主義のアジェンダ(行動計画)を続けることができる。それは、敗戦以来の右派のアジェンダではあるが、同時に安倍氏の家系的遺産の賜物でもある」と分析している。

 さらに、ル・モンドは安倍晋三という政治家が伸長したもうひとつの背景として、バブル崩壊による経済ナショナリズムへの致命的打撃と、その後の長引く不況を指摘。平和主義に対する疑念も膨むなかで、右派が、日本の“作られた神話”に遡る歴史に根差したナショナルアイデンティティの感覚をかきたてようと企てていると記している。

〈第二次世界大戦をめぐる歴史認識は常に左右の思想対立の中心にあったが、日本の精神の特異性に基づく神話的アイデンティティは副次的なテーマであった。それ以降、ネオ・ナショナリズムのアイデンティティは、論争の的となっている歴史の書き換えと組み合わされて、国家の最高レベルが示す統合の物語を志向している。それには二つの面がある。安倍氏の言う「美しい国」、起源への回帰と、軍国主義時代に犯した残虐行為を最小化どころか否定しながらなされる帝国日本の復権とである。逆説的だが、明仁天皇は、天皇という立場に課された制約上可能な範囲で、こうした歴史修正の動きに抗っている〉

 本サイトでも度々触れてきたように、安倍政権は単なる外交問題の一つとして歴史認識問題を位置付けているのではない。安倍が日本会議らと歩調を合わせ進める歴史修正主義は、復古調の国家主義と確かに対になっている。日本国内のマスコミが歴史修正主義と国家主義の綿密な関係をほとんど報じないなか、海外メディアがこうした指摘をしているのは極めて重要だろう。

 事実、2016年の伊勢志摩サミットの際、自らの強い意向により各国首脳を伊勢神宮に招いたが、周知のとおり、皇祖神とされる天照大神が祀られている伊勢神宮は、戦前・戦中の日本を支配した国家神道の象徴である。

 ル・モンドの記事では、わざわざ安倍首相が伊勢神宮に各国首脳を招いたことこそ、日本の右派が取り戻そうとしている「Japon éternel」であると強調したうえで、安倍が当選後すぐに身を置いた自民党の「歴史・検討委員会」とその系譜を継ぐ活動を支援していることに言及。〈日本の戦争は自衛であって侵略ではない〉という認識に積極的に加担してきたことを記している。

■ 愛国を謳いながら対米従属という右派の矛盾を体現する安倍政治
 記事の最後の章では、安倍政権の国際政治が、ナショナリストでかつ対米従属派であるという「右派の両義性」の象徴であると断じ、安倍の歴史修正主義も相まって、東アジア情勢にも悪影響を与えているとする。そのうえで、再度、安倍の悲願である9条改憲についてこう述べている。

〈日本が独自の権限を主張し、軍隊の法的地位を付与し、国際安全保障協力を促進する法的枠組みを有することを妨げるものは何もない。しかし、帝国日本軍の残虐行為(1937年の南京虐殺や「慰安婦」など)に関する立場を争う人物が憲法改正のタクトを振るっていることは、日本の世論に明らかに不安感を与えているのである。〉

 どうだろうか。ル・モンドといえば、これまでも戦後70年の安倍談話について、「安倍総理大臣個人として、過去の侵略や植民地支配に対する謝罪を一切行っていない」とはっきり指摘。サミットのときに安倍首相が“世界経済の現状はリーマンショック前の状況とそっくりだ”という趣旨の捏造発言を行なった際も、「安倍晋三の無根拠なお騒がせ発言がG7を仰天させた」と銘打ち、しっかり批判していた。

 ル・モンドだけではない。同じく仏高級週刊誌「ロブス」や英経済紙「エコノミスト」は、日本のマスコミが安倍政権と日本会議の関係に注目する前から〈経済的改革者のイメージとは程遠く、日本の総理大臣は大日本帝国への回帰を目指す極右、歴史捏造主義団体と一心同体である〉(ロブス)、〈(日本会議は)憲法改正に必要な国民投票の実施を目指し、100万人の署名を集めている。

 憲法9条を撤廃し、伝統的な家族観を大事にするような憲法を求めている。2012年に作成された自民党改憲草案は、こうした日本会議の主張をいくつも採用している〉(エコノミスト)などと報じていた。他にも、安倍首相がオバマの広島訪問を政治利用したときも、米紙「ニューヨーク・タイムズ」や英紙「ガーディアン」などは安倍政権に批判的に報じていた。

 一方の日本のマスコミはどうだろう。東京新聞など一部を除いては、安倍首相を名指しして歴史修正主義者と批判することもほとんどない。今回の選挙でも、「極右集会」「おとなの塚本幼稚園」と評された安倍首相の街宣の実態をまともに報じるメディアもほとんどなかった。

 海外メディアから安倍政権が「極右」「ナショナリスト」「歴史修正主義」などとたびたび批判されていることについても、ベタ記事で触れるだけだったり、わざわざ政権を擁護する文化人や学者のコメントを入れるなど、あからさまに“忖度”している。しかもこのままでは、衆院選に大勝した安倍首相が、憲法改正に動き出すなかで、今後、さらに国内マスコミが萎縮していくのは必至だろう。

 しかし海外メディアによる安倍政権批判の多くは、ネトウヨや右派が喧伝するような陰謀論的日本叩きなどではなく、今回のル・モンド紙がそうであるように、いずれもきわめて冷静かつ客観的な指摘だ。国内メディアにもなんとか気骨ある報道をのぞみたいのだが……。(編集部)

【出典】LITERA 2017.10.25

トランプが北朝鮮との戦争を始めない理由
(C)ニュース7web

トランプが北朝鮮との戦争を始めない理由 Mike Whitney  Counterpunch

 ドナルド・トランプは北朝鮮と戦争を始めるつもりはない。そういうことは起きない。アメリカ合州国が、そのような大規模作戦のための地上軍を持っていないのみならず、より重要なのは、北朝鮮との戦争が、いかなる戦略目標の役にもたたないことだ。
 アメリカは半島上に、望んでいる体制を既に確保している。

 韓国はアメリカ軍占領下にあり、経済・金融体制は、アメリカが支配する欧米体制に首尾よく組み込み済みで、北東アジア大陸における戦略的な位置が、急速に台頭しつつあるライバル、中国とロシアを包囲し、支配するために使用する重要な兵器システムを配備する極めて重要な場所となっている。
 そこで、戦争で一体何が実現できるのだろう?
 皆無だ。ワシントンに関する限り、現状こそ最高なのだ。

 そう、トランプが支配しているが、彼は北朝鮮との核戦争を引き起こしかねない何か常軌を逸したことをやらかしかねない衝動的な素人だと、多くの人々が思っているのを私は承知している。それは起こり得るが、可能性は極めて小さいと思う。

 お気づきと思うが、トランプは、外交政策を、将軍連中に事実上委譲しており、将軍連中は、何を言い出すかわからないというトランプの評判が大いに効果があるのを利用している外交政策支配体制の有力メンバーと緊密に協力している。

 例えば、激しい言辞(“炎と怒り”や“標的に狙いを定め、装填済み”などの)によって、トランプは“中国領をスパイするのに利用可能な強力なAN/TPY-2レーダーを有し、中国やロシアとの核戦争の際に、アメリカ軍基地と軍隊を防衛するよう迎撃ミサイルは設計されている”THAADミサイル・システム配備に対する大衆の反対を多少抑えるのに成功した。
 THAADは、ワシントンから見ればささいなものに過ぎない北朝鮮を狙ったものではないのは明らかだ。これは“アジア基軸”戦略を進めるため、アメリカが秘かに推進している軍備増強の重要な一環なのだ。

 トランプのけんか腰は、弾道ミサイルと核兵器の実験を加速するという北朝鮮の対応も促した。北朝鮮の対応は昔からの反目をかきたて、リベラルな文在寅大統領による融和の取り組みを損なうのに役だった。
 同時に、北朝鮮の振る舞いは、何よりも韓国に戦術核兵器を配備したがっている極右集団の立場を強化した。右翼受けを狙って、北朝鮮と韓国との間の敵愾心を悪化させ、トランプは両国統一の取り組みを受け流すのを助け、アメリカ軍による占領継続の正当化を強化した。言い換えれば.

 危機が、半島に対するワシントンの支配力を強め、アメリカ支配層陰の実力者の権益を拡大したのは明らかだ。トランプ自身が、この計画を彼自身で考えついたとは私には到底思えない。これは、彼の移り気な性格を、いかにして自分たちに有利に利用するか考え出した陰の政府ハンドラー連中の仕業だ。

北朝鮮の核兵器について一言
 国民が飢餓の瀬戸際にあるのに、北朝鮮指導部は核兵器と弾道ミサイルに浪費したいなど望んでいない。だが彼らにとって他にどのような選択肢があるだろう?
 あらゆる政府の主要責任は自国民の安全を保証することだ。過去70年にわたり、50カ国もの主権政府を打倒してきた、あるいは打倒しようとしてきた国家と依然、法律上戦争状態にある場合、国がそれを実現するのは困難だ。

 朝鮮戦争は条約を締結して終わったのではなく、休戦協定で止まっていて、つまり戦争は継続中で、いつ何時燃え上がりかねないのだ。しかも、ワシントンは、北朝鮮政府の形を軽蔑しており、彼らを権力の座から追い出す好機を待っているのに過ぎないので、北朝鮮と協定に調印する気はない。
 この点において、トランプも大半の前任者連中と差異はない。彼は平壌の指導部を憎悪しており、それを隠すつもりも皆無だ。

 結論はこうだ。アメリカは、戦闘を再開し、国民を殺害し、都市を灰燼に帰することはしないという、いかなる書面の保証も北朝鮮に与えることを拒否している。そこで当然、北朝鮮は自衛手段を講じたのだ。
 もちろん金正恩は、もし核兵器を侵略行為で使用すれば、コリン・パウエルがのんきに表現したように、アメリカ合州国が“北朝鮮を練炭に変える”ことを十分承知している。
 だが、彼には領土的野心も、火の玉に包まれたいという強烈な願望もないので、金正恩は北朝鮮の核兵器を使用しようとはしない。彼の核兵器は将来ワシントンとの交渉での切り札に過ぎない。唯一の問題は、ごく僅かな不十分なミサイル実験をハルマゲドン風のドラマに仕立て上げた方が、アメリカの地政学的権益に役立つので、トランプに取り引きする気がないことだ。ワシントン以上に危機をうまく利用する方法を良く知っているものはない。

 トランプは現在の危機に至った歴史を何か知っているのだろうか? 1994年に、もしアメリカが北朝鮮の控えめな要求に合意すれば、北朝鮮は核兵器開発計画を止めることに同意していたことを彼は知っているだろうか?

 アメリカがこれらの条件に同意したが、協定の責任は果たし損ねたことを彼は知っているだろうか? 北朝鮮は合意の下の誓約を守ったが、結局アメリカに裏切られるのにうんざりして、プルトニウム濃縮計画を再開したことを彼は知っているだろうか?
 アメリカ合州国が約束を破り、協定を終わらせたことが、現在北朝鮮が核兵器を保有している理由だということを彼は知っているだろうか?
 これは憶測ではない。歴史だ。

(C)ニュース7web

 以下は、いわゆる枠組み合意の概要を説明しているIndependent紙記事の抜粋だ。

 “1994年の枠組み条件下で、北朝鮮は“アメリカ合州国との政治・経済関係の完全正常化と引き替えに”核開発計画を凍結し、最終的に廃止することに同意した。これは下記の四つを意味していた。
 原子力の喪失を補うため、アメリカが率いるコンソーシアムが、2003年までに、北朝鮮に二基の軽水炉を建設する。
 それまでアメリカは北朝鮮に年間500,000トンの重油を供給する。
 アメリカは経済制裁を解除し、北朝鮮をテロ支援国家リストから外し、おそらく最も重要なのは、依然、1953年の朝鮮戦争休戦の条件に従っている政治関係の正常化だ。
 最終的に、双方が“核兵器使用の脅威”に対する“正式な保障”をすること(“1994年のアメリカと北朝鮮との協定はなぜ失敗したのか そしてトランプがそれから学べること”、Independent)



 これは双方の要求に合致する完全にわかりやすい協定だった。北朝鮮は、必死に要求していた国家安全の保障と並んで、いささかの経済的特典を得て、見返りに、アメリカは、あらゆる核施設を監視でき、それで大量破壊兵器の開発を防げる。
 全員がそれぞれ望んでいたことを得たはずだった。一つだけ問題があった。アメリカが、最初から怠慢を始めたのだ。軽水炉は基礎段階以上には決して進まず、重油供給は益々にまれになった。対照的に、北朝鮮は協定書を律儀に遵守した。
 北朝鮮は期待されていた以上のことまでした。実際、同記事によれば、協定が発効して四年後:

“アメリカも国際原子力機関も、北朝鮮による‘枠組み合意のあらゆる点で根本的な違反は無い’ことに満足した。しかし自らの誓約については、ワシントンは守り損ねた。” (Independent)


 おわかりだろう。北朝鮮は約束を守ったがアメリカは守らなかった。実に単純だ。
 実際には一体何が起きたのか、一体誰に責任があるのかについて、概してマスコミは誤って描き出すという事実を考えれば、これは重要な点だ。責任は平壌にあるのではなく、ワシントンにあるのだ。同じ記事を更に引用しよう。


 “自分の誓約について、ワシントンは守り損ねた。軽水炉は決して建設されなかった。重油出荷は遅延することが多かった。ずっと前から削除の範疇に合致していたのに、2008年まで、北朝鮮は国務省のテロ支援国家リストから削除されなかった。
 最も重要なのは、法律上、決して終わっていない戦争を、1953年の停戦協定を平和条約で置き換えることで、正式に朝鮮戦争を終わらせるためのいかなる行動も行われなかったことだ。アメリカは北朝鮮を攻撃しないという“正式な保証”は、六年後に枠組みが調印されるまで、なされなかった”(Independent)



 2000年に、ブッシュが大統領に当選した際、事態は更に悪化した。北朝鮮は、ブッシュによる悪の枢軸演説に含まれ、“アメリカが武力を行使するよう備えておくべきならずもの政権”のリストにも載せられ、ペンタゴンは韓国との共同軍事演習を強化し、火に油を注いだだけだった。最終的にブッシュは協定をすっかり放棄し、北朝鮮は核兵器開発を再開した。
 もちろん広報活動をのぞけば、ブッシュよりずっと良かった訳ではなかったオバマの登場となった。The Nationで秀逸な記事でティム・ショロックが指摘しているように、オバマは、六カ国協議を妨害し、より厳しい“検証計画”を受け入れさせるため北朝鮮に圧力をかけるべく、エネルギー支援を中断し、平壌との“直接対話という考え方を放棄し”、“韓国との一連の軍事演習に乗り出したが、これが彼が政権にある間に規模もテンポも拡大し、今や金正恩との緊張の核心となっている。”

 オバマは“仲裁人”というイメージによって、彼の残虐行為や侵略を隠すことこそできたものの、北朝鮮との関係は悪化し続け、状況は目に見えてひどくなった。
 一体何が起きたのか、そして、一体誰が悪いのかについての簡潔な記述であるショロック記事の以下抜粋を検討しよう。


 “同意された枠組みで、北朝鮮はプルトニウムによる核兵器開発計画、100発以上の原子爆弾を製造する前述の十分な濃縮を十年にわたって停止した。“人々が知らないのは、北朝鮮が、1991年から2003年の間、核分裂性物質を全く製造していないことだ。”
 “…枠組みは、ブッシュ政権まで有効だった。1998年、国務省のラスト・デミングは議会でこう証言した。“枠組み合意のいかなる点でも根本的な違反は無かった。”
 “平壌は全ての中距離、長距離ミサイルの開発、実験配備停止の用意があった。”
 “1997年には、アメリカ合州国が約束した石油提供をなかなかせず、敵対的政策を止めるという誓約を引き延ばしていると、北朝鮮はひどく文句を言っていた”
 “この背景で、アメリカは約束を果たさなかったという平壌の確信は深まり、1998年に、北朝鮮は“他の軍事的選択肢”を探し始めた。
 “ブッシュは枠組み合意を破棄して、一年前の2002年1月、彼が北朝鮮を“悪の枢軸”の一環と呼んで引き起こした関係悪化をさらに劣化させた。それに応じて、北朝鮮は、国際原子力機関査察官たちを追い出し、2006年に最初の原爆となるものの製造を始め、今日まで続いている第二次の核危機を引き起こした。” (“北朝鮮との外交は、かつて機能していたし、再度、機能可能だ”、ティム・ショロック、Nation)



 現在、北朝鮮は水素爆弾を保有し、ワシントンは、いまだに愚かなゲームを演じている。この似非危機丸ごと、ワシントンの帝国主義的謀略を隠すために考えられた巨大な煙幕なのだ。
 トランプは、金のミサイル実験を、アメリカが世界で最も急速に成長しつつある地域で支配的立場につけるよう、ペンタゴンの軍事的触手をアジアの奥深く広げる口実に利用しているのだ。
 ワシントンが過去百年間やってきたのと全く同じゲームだ。不幸なことに、連中はこれが大得意なのだ。


マイク・ホイットニーはワシントン州在住。彼は、Hopeless: Hopeless: Barack Obama and the Politics of Illusion (AK Press)にも寄稿している。Hopelessはキンドル版もある。fergiewhitney@msn.comで、彼と連絡できる。

記事原文


(C)テレ朝

軍事衝突か核容認か 打つ手なし安倍政権では“悪夢の結末”
ますますヒートアップ(右は空爆を示唆したマティス国防長官)/(C)AP

軍事衝突か核容認か 打つ手なし安倍政権では“悪夢の結末” 日刊ゲンダイ 2017年9月5日

  6回目の核実験を強行した北朝鮮をめぐって4日、日米韓英仏の要請で国連安保理の緊急会合が開かれた。生命線である石油禁輸と、外貨獲得手段の繊維製品の輸出制限や出稼ぎ労働者受け入れ禁止などが話し合われた。核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮に対する圧力を強め、さらに厳しい経済制裁を科そうというのである。

 日米が中心となって強める圧力をものともせず、北朝鮮は技術開発に傾倒してきた。米国は表向きは吠え立てているが、水面下で毎日のように北朝鮮サイドと接触。対話再開の糸口を探っている。だから金正恩朝鮮労働党委員長は米国の足元を見て、着々と実験を重ね、ついに米本土を射程に収めるICBM(大陸間弾道ミサイル)と核を手にし、交渉カードを増やしている。今さら経済制裁が効くものか。

元外務省国際情報局長の孫崎享氏は言う。
「制裁強化で北朝鮮の技術開発を止めることはできないでしょう。10年以上にわたる制裁は全く効果がなかったのはハッキリしている。制裁で北朝鮮の暴走を止めるなんていう幻想は捨てるべきです。北朝鮮が核とICBMを手にしたことを認め、その前提で対話を始め、核管理システムを構築するしかこの問題の解決策はありません」

 北朝鮮の言い分によれば、米国主導による金正恩の斬首作戦や金王朝の崩壊を恐れ、核武装に突っ走った。制裁を強めるより、挑発的な米韓合同軍事演習をやめた方がよっぽど効果が上がる。

■ 支持率回復、世論後押しでトランプ大統領が決断
  日本上空を通過した北朝鮮による中距離弾道ミサイル発射以降、トランプ米大統領は安倍首相と4回も電話会談。北朝鮮が水爆実験を実施した3日は午前、午後の2回に及んだ。安倍は「北朝鮮に対する圧力を高め、政策を変えさせていかなければならない点で完全に一致した」とイキリ立ち、圧力路線の強化を誇示。トランプと安倍がわめいたところで、金正恩には圧力が少しも効かなかった。それでもなお圧力を強調するのは、軍事力行使に向けた手順を踏もうとしているからではないのか。

 トランプは4日、ツイッターで「北朝鮮とビジネスをする全ての国との貿易停止を検討している」とつぶやき、独自制裁の大幅強化を表明。マティス国防長官も「北朝鮮の壊滅は望んでいないが、そうするための多くの軍事的選択肢がある」と異例の強い表現で警告。空爆を示唆した。

 高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)は言う。
「トランプ大統領はおそらく、北朝鮮への先制攻撃をシリア空爆と同程度に捉え、簡単にできると考えているのでしょう。支持率が回復し、世論の後押しさえ得られれば戦争をやりたいと思っているフシもある。しかし、軍事的圧力は外交が失敗した場合の最終手段。北朝鮮の応戦で長引けば議会の承認も必要になる。容易には踏み出せません。ただ、戦争になればもちろんのこと、脅威を煽るだけでも米国製兵器が売れ、軍需産業が確実に潤っています」

 米国の思惑通りに動き回っているのが、米国との一体化を望む安倍だ。安保法制で集団的自衛権行使を可能にし、米国と一緒に戦争のできる国へ作り替えた。安倍の再登板以降、防衛費は右肩上がりで増え、2018年度予算案の概算要求は前年比2.5%増の約5.3兆円と過去最大に膨らんだ。北朝鮮危機を口実に前倒し購入を決めた米製地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の2基分相当の1600億円相当は含まれていない。

 どの道を選んでも米国に損はないのだ。

■ 核開発も国民の死も全ては体制維持のため
核弾頭の開発現場をご満悦視察(C)朝鮮通信=共同


 水爆実験があった3日、菅官房長官は「北朝鮮の政策を変えるために圧力を強めていく」と語ったが、いくら圧力を強化しても北朝鮮が核開発をやめることはない。

 北朝鮮の狙いは、米国との交渉のテーブルに着き「核保有国」としての信認を得、体制を維持するという一点に尽きる。米国の脅威に対抗するには本土に届く核弾頭搭載ICBMを保有し、脅しをかけ続けるしかないのだ。

 北朝鮮は、将来的に国連安保理による石油禁輸措置が取られることを見据え、今年4月ごろ、年末までに石油を100万トン備蓄する計画を立てたとされる。資源が尽きる前に核・ミサイル技術を完成させる――そんな瀬戸際を行く北朝鮮が圧力に屈し「すみませんでした」と開発をやめるわけがない。

 さらに、北朝鮮が水爆実験に踏み切ったのは、中国主催のBRICs首脳会議の開幕日。最大の“後ろ盾”である習近平国家主席の顔に泥を塗った格好だ。先月25日付の朝鮮労働党機関紙の「労働新聞」は、「カエルがオタマジャクシの頃を思い出せない」と、国連安保理の対北制裁決議の履行に動く中国を批判。“血の絆”で結ばれた同盟国と決別するまでに腹をくくっている証拠である。遡ってみても、90年代の北朝鮮では、大飢饉で100万人規模の餓死者が出た。それでも、国民には目も向けず核・ミサイル開発に邁進してきたわけだ。

「最近も局地的に国内で餓死者が出ています。原因は、政府が国民の移動を制限したから。国民同士の接触を遮断し、統制することが目的です。統制も核開発も体制維持のため。国民の死はささいなことと考えているのでしょう」(デイリーNK東京支局長の高英起氏)

 圧力が通じる相手ではないのだ。

■ 軍事衝突なら反撃で大量の犠牲者、    核容認なら東アジアの緊張感は拡大
 米本土を射程に収める核弾頭搭載のICBMが完成――となれば、一気に現実味を帯びてくるのが米軍による北への軍事攻撃だ。一方で、米国内では、オバマ前政権で安全保障担当の大統領補佐官を務めたライス氏がNYタイムズ紙に〈北朝鮮が核兵器を放棄する見込みはほとんどない。歴史的に見て我々は北朝鮮の核兵器に耐えることができる〉と寄稿するなど、核保有を容認した上で交渉のテーブルに着かせる――といった声も出始めている。いわば最後の選択肢として、米国は軍事衝突か核容認かを迫られるワケだが、トランプ大統領がどちらのシナリオを選んでも日本にとっては地獄が待っている。

 米軍が軍事攻撃に踏み切り、核やミサイル施設に標的を絞ったとしても、北が自滅覚悟で直ちに反撃に出るのは想像に難くない。生物化学兵器や1000発を超すとされる弾道ミサイルが一斉に日本、韓国に降り注ぐことになるのだ。日本は海上配備型迎撃ミサイル「SM3」、地対空誘導弾パトリオット「PAC3」の2段構えを整えているが、飛来する全てのミサイルを撃ち落とすのは不可能。1発でも日本に着弾すれば大勢の犠牲者が出るだろう。核弾頭であれば阿鼻叫喚のちまたと化すのは言うまでもない。

 といって、トランプが北の核保有を認めた場合も最悪だ。おそらく北は米本土に届くICBMの開発を中止する条件として、米国との平和協定締結や在韓米軍の撤退を要求する。米国のリスクは軽減するが、日本や韓国の核兵器、ミサイル攻撃の脅威は残ったまま。日韓では対抗手段で核武装論が湧き起こり、今以上に朝鮮半島を取り巻く軍事的緊張が高まるのだ。外交評論家の小山貴氏はこう言う。

「どちらに転んだとしても、日本が最悪のケースを避けるためには、対話による平和外交しか手段がありません。戦争はもちろん、軍事的緊張を強めることは何があっても防がなければならないのです。これまでの対北戦略を練り直し、対話のための努力を続ける。米国の判断に国の将来が左右されてはなりません」

■ 単独訪問による日中会談ゼロ、    関係修復を怠ったツケが回ってきた
ナントカのひとつ覚えで「圧力!」「圧力!」(中ロは協調を確認)/(C)AP

 北朝鮮の伝統的な友好国であり、1480キロの国境を接する中国は、日米が拳を振り上げる対北制裁に難色を示している。トランプが貿易制裁で脅しても、習近平の腰は重い。しかし、核実験の強行はさすがに見逃せなかったのか、4日は駐中北朝鮮大使を外務省に呼びつけて抗議した。

 安倍はナントカのひとつ覚えのように圧力一辺倒だが、それが北朝鮮の核・ミサイル開発を止める効力がなかったのは、これまでの経過が示している。本気で北朝鮮の暴走を止める気があるなら、中国を動かすほかない。それなのに、安倍が電話首脳会談を繰り返すのは米韓ばかり。習近平とは一度も話をしていないのだ。そもそも、単独公式訪問による日中首脳会談はいまだゼロ。APEC(アジア太平洋経済協力会議)やG20の流れで会談した程度で、記念撮影では口角を上げる安倍を尻目に、習近平は仏頂面がお決まりになっている。

 前出の五野井郁夫氏はこう言う。
「北朝鮮をめぐる重要な関係国である中国と直接コミュニケーションが取れないのは非常に大きな問題です。関係修復を怠ったツケが回ってきたとしか言いようがありません。米国と中国という2つのライフラインを持てていれば、2国を両睨みしながら日本が押し引きし、北朝鮮情勢のより良い解決策を見いだせた可能性があった。安倍首相はプーチン大統領との親交を自負しているようですが、北方領土で経済協力までしていても、ロシアは見向きもしない。クリミア併合で欧米から経済制裁を食らっているロシアは対中接近を強め、中国との協調姿勢を崩そうとしません。要するに、地球儀俯瞰外交は看板倒れで、アベ外交は大失敗しているんです」

 国際社会の仲間割れは北朝鮮を利し、技術開発を進捗させる猶予を与えてしまうだけだ。

■ 日本が米本土防衛の砦にされる
「北朝鮮に対する圧力を高め、政策を変えさせなければならない。そのことで完全に一致をした」――。北朝鮮による核実験後に行われたトランプとの電話会談後、こう語った安倍。「米国は同盟国として100%日本とともにある」なんてトランプに声を掛けられ、舞い上がっていたようだが、冗談じゃない。このまま米国にひたすら隷従するばかりの日本がたどり着く先は決まっている。

 先の大戦と同様、国土が焼け野原と化すか、米本土の代わりに核の橋頭堡となるかのいずれかだ。4日、参院会館で開かれた、退役軍人らでつくる国際NPO「ベテランズ・フォー・ピース(VFP)」の日本組織の緊急集会。元自衛隊レンジャー隊員の井筒高雄氏は、今の安倍政権の対北に対する姿勢について「圧力の行き着く先は武力攻撃しかない。対北朝鮮制裁に関しアメリカに盲目的に追随することは、北朝鮮に戦争をする口実を与えるのみならず、中国やロシアに対して日本から誤ったメッセージを送ることになりかねない。冷静な外交的アプローチが今の日本に一番欠けている」と懸念を示し、こう締めくくっていた。

「(このままだと日本が)アメリカ本土防衛に使われてしまう」

 これが極めてまっとうな見方だ。集団的自衛権の行使を容認する安保法が国会で審議されていた2014年5月。イラク戦争時、米首席補佐官だったローレンス・ウィルカーソン氏は民放番組で「(戦争当時、日本に対して)我々は政治的支援か、軍隊の派遣を求める戦略をまとめていた。もし(日本が)軍隊をどこにでも派遣できる準備が整っていたら、日本から部隊を2つ送ると、その戦略に書いた」と振り返っていた。

 安保法が成立した今、米国が北とコトを構えたら最後、どこまでも奈落の底に引きずり込まれていくのだ。安倍政権に打つ手なし。この先に待ち構えているのは「悪夢の結末」だ。

【出典】日刊ゲンダイ 2017年9月5日

関連資料

朝鮮民主主義人民共和国

朝鮮民主主義人民共和国と外交関係を有する国々の一覧図

 緑色で塗られた諸国は、朝鮮民主主義人民共和国と国交を有し、灰色の諸国は国交を有さない。赤色の国家は国交を断絶している。(出典 Wikipedia)
1982年に落成した首都平壌の主体思想塔。
北朝鮮の地図
 朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮語: 조선민주주의인민공화국)、通称「北朝鮮」は、朝鮮半島北部を実効支配する東アジアの共和制国家であり、戦後の冷戦で誕生した分断国家である。
 最高指導者による事実上独裁体制を取る社会主義共和国。豆満江を挟んで中華人民共和国及びロシア連邦と、鴨緑江を挟んで中華人民共和国と接している。首都は平壌。人口は約2515万人とされる。


『概要』

 北朝鮮の政治は、朝鮮労働党を支配政党とし、他に衛星政党のみが存在するヘゲモニー政党制であり、朝鮮労働党の最高指導者の地位は、金日成・金正日・金正恩と親から子への移譲が続いている。実質的には独裁体制の世襲が北朝鮮の指導者選択として存在する。
 地理としては、軍事境界線(38度線)を挟み、同じく朝鮮半島南部を実効支配している朝鮮民族の国家大韓民国(韓国)の統治区域と対峙している。
 朝鮮民主主義人民共和国の憲法上は、朝鮮半島全体を領土と規定している。南半部を実効支配する韓国も、憲法上は朝鮮半島全体を領土と規定している。
 東西冷戦下で誕生した分断国家であり、朝鮮戦争において北朝鮮・中国軍両軍と米軍を中心とした国連軍の間で朝鮮戦争休戦協定が結ばれて以来、南北は現在に至るまで「休戦」中であるが、軍事的対立や小規模な衝突はその後も断続的に発生している。


『政治体制』

 政治体制はチュチェ思想(主体思想。即ち朝鮮民族の主体主義)に基づく社会主義体制(社会主義人民共和制)をとる。
 また2009年に改定された憲法序文で、軍事が全てに優先するという先軍思想が、主体思想と共に社会主義体制を建設するための中核思想と定められている。


『国際関係』

 朝鮮民主主義人民共和国と外交関係を有する国々の一覧図。緑色で塗られた諸国は朝鮮民主主義人民共和国と国交を有し、灰色の諸国は国交を有さない。赤色の国家は国交を断絶している。
 2016年9月現在、朝鮮民主主義人民共和国と国交のある国は164か国である。東西冷戦時代には、「朝鮮の正当な国家」として東側諸国が朝鮮民主主義人民共和国を国家承認し、西側諸国が大韓民国を国家承認する傾向が強かった。
 だが1991年に両国が国際連合へ同時に加盟してからは、ほとんどの国家が双方を国家承認する南北等距離外交をとっており、北朝鮮のみを国家承認しているのはキューバ、シリア、マケドニア共和国の3か国のみとなっている。
(出典 Wikipedia)

安倍政権で防衛費は青天井 シャレにならない北朝鮮破産
高額兵器を言い値で購入(C)日刊ゲンダイ

安倍政権で防衛費は青天井 シャレにならない北朝鮮破産 日刊ゲンダイ  2017年9月2日

  4年連続で過去最大を更新だ。防衛省が8月31日に決定した2018年度の概算要求は5兆2551億円。17年度の当初予算から1300億円(2・5%)増やした。現在の中期防衛力整備計画(14~18年度)で見込む年平均0・8%の増加を大幅に上回る水準だ。

 とりわけ目立つのが、北朝鮮の弾道ミサイルに対応するための「ミサイル防衛」関連経費の増加だ。今年度予算から1142億円アップの1791億円を計上している。

 8月17日に行われた日米外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)で“お買い上げ”を決めてきた陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の整備費も盛り込むが、驚くのは、要求額が「未定」ということ。米国との協議を経て、年末に金額を確定させるという。要するに米国の言い値で買うわけだが、米ロッキード・マーチン社製のイージス・アショアは本体だけで1基800億円といわれ、日本列島をカバーするには少なくとも2基が必要とされる。この最低1600億円分は今回の総額に反映されていないから、実際の予算増額は1300億円どころじゃない。3000億円規模になる。

 安倍政権は中国の海洋進出を口実に毎年、防衛費を増やしてきたが、北朝鮮のミサイル危機は「千載一遇のチャンス」とばかりに、ますますやりたい放題だ。海自のイージス艦に搭載する改良型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」の購入に472億円、空自の地対空誘導弾PAC3の改良型「PAC3MSE」に205億円。最新鋭ステルス戦闘機「F35」の6機買い増しに881億円。高高度無人偵察機「グローバルホーク」の取得に144億円、新型護衛艦2隻に964億円……。国内外で事故が多発しているオスプレイも4機の取得と関連経費に971億円を計上。これで配備予定のオスプレイ17機すべての取得経費計上が完了するが、その総額は3113億円に上る。

 見境ないまでの“爆買い”には、一体どこにそんなカネがあるのかと言いたくなるのだ。

憲法に反する経費もシレッと計上
  「軍事予算が聖域化し、何でもかんでも通るようになっている印象です。しかし、軍事費が膨らんだ分、国家予算はどこかを削ることになるのです。真っ先にカットされるのが、医療や年金などの社会保障費です。財政難だからと消費税を上げておきながら、国民の福祉を充実させるのではなく、米国製の高額武器を購入して、米国の軍事産業を喜ばせている。こんなの、どう考えてもおかしいでしょう。概算要求には、専守防衛の原則とする憲法9条に抵触するような危うい経費も計上されています。例えば、尖閣諸島などの離島防衛を名目にした『高速滑空弾』の研究費に100億円、長射程の『対艦誘導弾』の研究費に77億円を要求していますが、これらは敵基地攻撃能力に転用できるものです。国会で審議することもないまま、なし崩し的に敵基地攻撃能力を保有することには問題があると言わざるを得ません」(経済アナリスト・菊池英博氏)

 日本は軍国化に舵を切った――。国際社会がそう判断するのは当然かもしれない。30日付の米紙ニューヨーク・タイムズは「日本が数十年間の平和主義の後に軍事力を受け入れ始めた」と題する特集を組んでいた。憲法改正を目指す安倍政権が、北朝鮮情勢の緊迫化を受けたミサイル防衛の強化などで防衛予算を拡大させていること。国民の間から平和憲法との矛盾を感じる声が出始めていること。日本専門家の「日本人は憲法の平和主義と防衛政策の矛盾を考えないようにしている」というコメントも紹介している。
カリアゲの暴発は奇貨(C)AP


■ 集団的自衛権の行使容認で危機を高めるマッチポンプ
「安倍政権がやっていることは、マッチポンプとしか言いようがありません。集団的自衛権の行使を容認するなど、次々と戦争法を強行し、米国と一緒に戦争をする仕組みを整えたことで、地域の緊張を高めた。それによって、日本を敵視したことはなかった北朝鮮からも、標的にされるようになったのです。自分で危機を呼び入れておいて、北の脅威をことさら煽って軍拡を進める。米国の言い値で高額兵器を次々と購入する。米国の軍事産業と、戦争がしたくてたまらない安倍首相の利益が一致した結果が、際限ない軍事費の膨張ということです。その原資は、税金や国債なのですよ。国民が気づかないうちに、税金や預貯金が武器に化けている。たしかに国防は大切ですが、国民の不安を煽るのは目くらましに過ぎません。自分たちの社会保障は削られてもいいから、その分、ミサイルを買ってくれと頼んだ覚えはないはずです。こんな戦争屋首相は一刻も早く引きずり降ろさないと、この国は破滅に向かって一直線です」(菊池英博氏=前出)

 社会保障制度審議会初代会長を務め、国民皆保険や国民皆年金の創設などを答申した経済学者の大内兵衛は、大蔵省発行の「昭和財政史」の編纂に携わり、こう指摘している。

「軍備の拡大は、経済上の困難や不景気を一時的に先へ延ばすことはできても、経済上の困難を根本的に解決するものではなく、かえって困難を大きくし、問題を複雑にする」

「軍拡は必然的に戦争への道を促し、戦争はまたさらに次のより大きな戦争を不可避にするものである」

■ 政府債務のGDP比は敗戦直後と同レベル
 軍事増強は地域の緊張を生み、軍拡競争にはまって、軍事費は青天井になっていく。そして、最新鋭の武器を手に入れれば、使いたくもなる。北朝鮮がグアムに向けて弾道ミサイルを発射すると予告した際に、小野寺防衛相が迎撃に言及したのも、そういうことなのだろう。

 シグマ・キャピタルのチーフエコノミスト、田代秀敏氏が言う。

「ミサイルにも“消費期限”があり、予算獲得のためにも、いったん購入したら使い切る必要があります。米国が数年おきに戦争や爆撃を仕掛けるのは、武器消費のためともいわれている。公共事業と同じです。日本もミサイル防衛システムを導入すれば、常に新たな技術を購入し続けるというサイクルから逃れられなくなる。しかも、その迎撃システムが本当に役に立つかどうかも分からないのです。こんな防衛予算の編成に持続可能性があるとは思えません」

 冷静に考えてみれば、安倍政権が4年間でやってきたことは、アベノミクスと称して国債を大量に発行し、軍事費を増強してきただけではないか。その結果、庶民の生活は貧しくなり、一方で、大企業の内部留保は約124兆円も積み上がった。

 この政権がやっていることは、無謀な戦争に突き進んだ戦前の「戦時国債」と変わらない。庶民に負担を強いて、財閥を儲けさせた構図も同じだ。

「戦前の日本政府は、軍事費調達のために外貨建て国債を発行しましたが、不良債権処理や景気対策のために国債残高は増え続け、さらに軍事費の膨張にも歯止めがかからなくなった結果、国債残高は1920年以降、恒常的に国家予算を上回り、戦時中に3倍以上も膨張しました。敗戦より先に国家財政が完全に破綻していたのです。今の政府債務のGDP比も、敗戦直後とほぼ同じレベルになっています。17年度末の国債発行残高は865兆円を見込んでいて、これは税収の約16年分に相当します。さすがに、日経新聞も1日付の社説で『水膨れ予算に諮問会議は歯止めかけよ』と懸念を表していました。北朝鮮ミサイル危機を奇貨とする防衛予算の膨張を許すことは、財政破綻の引き金の安全装置を外すことになりかねません」(田代秀敏氏=前出)

 安全保障だ、国防のためだと国債を乱発し、軍事費を積み上げた結果、国家が破綻では元も子もない。

“北朝鮮破産”なんて、シャレにもならないのである。


【出典】日刊ゲンダイ  2017年9月2日

関連資料

防衛費だけは聖域化

高橋洋一、岸博幸、原英史… 加計問題を「岩盤規制突破」と正当化する安倍応援団が
裏で“特区コンサル”企業に協力していた
「衆議院インターネット審議中継」より

高橋洋一、岸博幸、原英史…加計問題を「岩盤規制突破」と正当化する 安倍応援団が裏で“特区コンサル”企業に協力していた LITERA 2017.08.12

 2015年4月から加計学園幹部が官邸訪問し首相秘書官と対面していた疑惑が発覚するなど、「安倍首相のご意向」を裏付ける証拠が続々と噴出中の加計学園問題。しかし、その一方で、ネット上では「加計学園問題は冤罪だ!」などという妄言がやたら拡散している。
 こうした主張の根拠となっているのが、規制緩和推進派論客たちによる「国家戦略特区による獣医学部新設は岩盤規制を打ち破ろうとしたもの。反対者は既得権益者にすぎない」という意見だ。このような主張をおこなう記事はいまも多く、安倍応援団やネトウヨたちはそれを反復して、「安倍おろしのための偏向報道だ」と必死になって叫んでいる。
 だが、「国家戦略特区で岩盤規制を突破」と安倍政権の加計疑惑打ち消しをはかる論客たちがじつは、揃いも揃って、その国家戦略特区を使ってビジネスを展開していたある会社にかかわっていた疑惑が浮上した。
 ある会社とは、「株式会社特区ビジネスコンサルティング」(以下、特区BC社)。現在、HPは消されているが、アーカイブに残っていたものを確認すると、特区BC社の業務内容にはこう書かれている。

〈国家戦略特区をはじめ、規制改革を伴う民間企業のビジネス展開において、行政に対する提案から事業開始までのコンサルティングおよびロビイング活動を行います〉
 説明を読むと、どうやら特区BC社は、国家戦略特区をはじめとする規制改革を利用しようとする地方自治体および民間企業に対し、企画提案にはじまり事業の構築、さらには広報・PR活動のサポートまで請け負うらしい。

 また、会社設立は2015年1月だというが、特区BC社の「会社案内」を読むと、すでにかなりの実績があることがわかる。たとえば2015年度だけで、「新型美容能力試験の地域限定導入」「クールジャパンと外国人材」「港区旅館業務法特例」「外国人就労に関する特区提案」などの実績が並び、「国家戦略特区WGヒアリング済」と説明されている実績はじつに11にもおよぶ。

 国家戦略特区は、安倍首相が経済政策の目玉に掲げ、2013年12月に法案が成立。特区BC社はそこから1年で国家戦略特区への提案にかんするコンサルタント事業を始動し、たった2年でここまでの実績を誇るとは目を見張るものがある。

■ 高橋洋一氏は特区コンサルタント会社の「顧問」だった
 しかし、問題はここからだ。じつはこの特区BC社の「顧問」に、「獣医学部新設は岩盤規制を突破しただけ」と繰り返し主張し、安倍政権を必死に擁護してきた、経済学者の高橋洋一氏が就いていたのだ。

 高橋氏といえば、元大蔵省官僚で、小泉内閣で竹中平蔵経済財政政策担当相の補佐官となり、第一安倍政権では内閣参事官を務めるなど、規制緩和推進派の人物。今回も、〈参入障壁は有害無益〉〈規制緩和に反対する立場の人は、一般に既得権側〉などと述べ、「行政が歪められた」と告発した前川喜平・前文部科学事務次官に対しては文科省の「挙証責任」論をぶってきた“獣医学部新設擁護”の急先鋒となってきた論客である。

 だが、実際には高橋氏は、国家戦略特区に提案しようとする自治体や事業者をサポートするコンサルティング会社の顧問、つまり、国家戦略特区という枠組みによって儲けている会社にかかわる、利害関係者だったのである。

 しかも、高橋氏と同様に「獣医学部新設は岩盤規制を突破しただけ」と声高に叫んできた論客が、この“国家戦略特区ビジネス”を展開する特区BC社にはかかわっていた。それは元経産省官僚で慶應義塾大学教授の岸博幸氏だ。

 岸氏の主張も高橋氏とほぼ同じで、「一連の手続きに違法性はない」「内閣府と文科省が交渉して文科省が負けただけ」と主張。なかでも産経ニュースのインタビューでは、前川氏のことを「官僚のクズ」と口汚く罵り、『ニュース女子』(DHCシアター)では「てめえが行政歪めてたくせに、そのこと何も言わないで、今回の問題だけ行政が歪められたって書く新聞の神経がわかんない」とメディア批判もおこなってきた。

 しかし、この岸氏も、特区BC社が「企画協力」する「少人数セミナー」で講演していることが、同社の会社案内の資料にはしっかり写真入りで紹介されているのだ。

 この会社案内によると、同社は特区申請の手続き1案件につき「150万円〜」の料金を取っていたようだが、もうひとつ、同額で〈有識者ネットワークを活用した各種シンポジウム・セミナー/各種メディア・媒体活用〉をおこなう「広報・PRサポート」のサービスも用意している。岸氏や顧問の高橋氏は、そうしたセミナーで講演を引き受けていたことが資料には記載されているのである。

 だが、驚くのはまだ早い。なんとこの特区BC社には、国家戦略特区の決定プロセスにかかわる「当事者」までもが関係していた。国家戦略特区の「生みの親」であり、国家戦略特区諮問会議の民間議員である竹中平蔵氏だ。

■ 竹中平蔵、原英史氏ら当事者である特区選定の当事者たちも
 竹中氏もまた、同社の会社案内にシンポジウムで講演会をおこなう模様が写真付きで紹介されている。竹中氏については、既報の通り、自身が取締役会長を務めるパソナグループが、国家戦略特区が認定した神奈川県の家事支援外国人受入事業の事業者に選ばれているほか、兵庫県養父市の農業改革でも、竹中氏が社外取締役を務めるオリックスの子会社・オリックス農業が参入。これは明白な利益誘導だが、特区BC社の講演会で利益を得ていたとなれば、特区を決定する民間議員としてあり得ない問題だ。

 いや、特区BC社の「広報・PR活動」に一役買っていた国家戦略特区の関係者は竹中氏だけではない。会社案内には、国家戦略特区WGの委員であり、先月10日・24日に開かれた閉会中審査にも参考人として答弁をおこなった原英史氏の名前も出てくるからだ。
 特区BC社の会社案内では、前述した〈各種メディア・媒体活用〉の例として、原氏が「SAPIO」(小学館)で2014年9月から15年4月まで連載していた『おバカ規制の責任者出てこい! 改革の現場を「歩く・見る・聞く」』のページが貼られている。この連載は、原氏が国家戦略特区などの規制改革の具体例を紹介するものだったが、これも特区ビジネスをおこなう特区BC社の〈媒体活用〉例だったわけだ。

 しかも、この原氏は「株式会社政策工房」なる政策コンサルティングの会社の代表取締役社長を務めているのだが、代表取締役会長は前述の高橋洋一氏だ。特区認定の決定プロセスにかかわるWG委員が、国家戦略特区の提案や広報をサポートする会社で「PR活動」の要員となっていたこともさることながら、その原氏とともに会社を経営する高橋氏が、顧問という要職に就いていた──。

 高橋氏は特区のステークホルダーといえるが、その高橋氏と会社を一緒に経営する原氏がWG委員を務めていたという事実は、竹中氏と同じく、特区選定の場で利益誘導がおこなわれていたのではないかという疑念も浮かんでくる。

 そして、この原氏もまた、加計学園問題では「岩盤規制」を強弁してきた。現に、参考人として国会に招致された際には、獣医学部の定員抑制を「あまたの岩盤規制のなかでも、かなり異様な規制」と断言。

 加計学園は石破4条件をクリアしているとし、「ワーキンググループでは、この問題を何度も議論してきた。新規参入を一切禁止する合理的な根拠を求めてきたが、十分な説明がなされなかった」「(WGでは)判断に至る議論の過程については公開しており、中立性、公平性についても担保している」と強調してきた。

 その主張は高橋氏や岸氏と同じものだが、なかでも原氏は安倍首相擁護派のネトウヨから「天才」「切り札」と崇められ、いまや加戸守行・前愛媛県知事とともに「なぜ原氏の答弁をテレビや新聞は取り上げない!」と“偏向報道”の拠りどころとなっている。

 しかし、現実はどうだ。結局、岩盤規制だと先頭に立って主張してきた者は、こうやって民間の特区ビジネスにかかわり、国家戦略特区という仕組みを利用していたのだ。

■ 旗振り役のNPOには国家戦略特区WG座長の八田達夫氏も
 くわえて、この特区BC社が主催したシンポジウムや講演会などでは、「NPO法人万年野党」なるNPOが協力をおこなっているのだが、このNPOの理事には岸氏と原氏が就いている。
 さらに、アドバイザリーボードを務めている人物には、竹中氏や高橋氏のほか、国家戦略特区WG座長の八田達夫氏や、前川氏の出会い系バー通いについて『そこまで言って委員会NP』(読売テレビ)で“前川氏がお金を渡した女の子に取材した”“ホテルに行ったと言っている”と話したジャーナリストの須田慎一郎氏や、やはり前川氏批判をおこなっている評論家の屋山太郎氏やコンサルタントの城繁幸氏の名前が出てくる。

 加計学園問題の焦点は、国家戦略特区という枠組みを安倍首相が私物化し、「お友だち」に便宜をはかるべく行政を歪ませたのではないかという点にある。だが、その背景には、安倍首相のみならず竹中氏が自分の関係企業に利益誘導してきたように、そうした私物化を許してしまう構造的な問題があるのだ。

 そして、今回発覚したように、国家戦略特区の誕生によって、この特区BC社のような特区ビジネスという新たな事業が生まれ、そこには特区の選定プロセスにかかわった人物までもが群がっていたのだ。

 高橋氏をはじめ、規制改革派は口癖のように「反対するのは既得権益者」と言うが、実際のところ、自分たちが新たな利権をつくり出していただけだったのではないか。

 周知のように、国家戦略特区WGのヒアリングをめぐっては、新たに加計学園幹部が同席していながら、その名前も発言も議事要旨からは消し去られていたことがわかった。原氏が主張してきたような「議論の過程は公開されている」状態ではまったくなかったのだ。
 挙げ句、選定プロセスの透明性を主張してきた特区擁護派の切り札となっている原氏自身が、こうした裏側では特区ビジネスにかかわっていたのである。とてもじゃないが、そんな人物の言い分を信用できるわけがない。マスコミがもっと報道していたら、逆に失態を重ねる結果になっただろう。

 ともかく、このような擁護派が蠢く国家戦略特区の隠された裏側を洗いざらい問題にしなければ、第二、第三の加計学園問題は今後も繰り返されることは間違いない。
(編集部)


【出典】LITERA 2017.08.12


安倍政権巨大汚職関連資料

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佐川国税庁長官を引っ張り出せ 国民愚弄政治との最終攻防(日刊ゲンダイ)


安部晋三と北村滋の密会現場の写真を 安倍昭恵記者がスクープ
北村滋・内閣情報官が『官邸のアイヒマン』と呼ばれる理由!安倍晋三のナチス私兵

安部晋三の支持率が更に急落?
 自民党の参議院議員で元SPEEDの今井絵理子と堺市議の橋本健議員の新幹線グリーン車の「恋人繋ぎ」で寝ている姿の写真を撮影するなんて。何らかの情報があって、週刊新潮の記者は二人を見張っていたのでしょうか。週末に控える横浜市長選挙に少ながらず影響があるのは言うまでもありません。

安部晋三の支持率低下の原因は?
 ・安部晋三の内閣支持率低下の原因として考えられるのは、
 ・安倍昭恵夫人が名誉校長の森友学園の国有地問題
 ・「腹心の友」の加計孝太郎の加計学園問題
 ・姉の友達が昭恵夫人という元TBSの山口敬之の準強姦疑惑
 ・南スーダン日報問題、白紙領収書問題の稲田朋美防衛大臣
 ・豊田真由子議員の「このハゲ~」
 ・週刊新潮が報じた元SPEEDの今井絵理子参議院議員の不倫疑惑

 これらが全て影響して支持率が低下しているのは言うまでもありません。

北村滋とは?
 そんな中、元TBSの山口敬之の準強姦疑惑の件で、週刊新潮に誤送信してしまったメールに山口敬之が記載していた「北村さま」こと北村滋内閣情報官の北村滋と思われる写真を安倍昭恵夫人がブログ「安倍昭恵のスマイルトーク」に投稿していたことがわかりました。

 北村滋とは、「官邸のアイヒマン」と呼ばれ、民進党の蓮舫代表の二重国籍問題、東京都知事選挙での鳥越俊太郎のスキャンダル、そして、山口敬之を記者会見で告発した詩織さんに対し誹謗中傷のネット工作を図ったと噂される人物で、毎日発表される首相動静によると、安部晋三と一番接触している人物だそうです。

北村滋 内閣官房ページ

リテラの記事
 蓮舫問題も仕掛けた? 安倍が重用する“官邸のアイヒマン”北村滋内閣情報官は特高警察を称賛する危険思想の持ち主

安倍昭恵夫人のスクープ写真
 投稿していたのは「2008年4月30日」という今から9年前の山梨県の別荘で行われていたと思われる安部晋三主催の親睦会的なBBQパーティー。

「焼きそば」と題して投稿されたブログには以下の記述が。
 河口湖でバーベキュー。
 最後はいつも主人が焼きそばを作ります。
 普通の焼きそばにタバスコをたっぷり。
 お酒の後にこのピリ辛焼きそばは好評で、「うまい!」の声に主人もニッコリ。


 先日、日本テレビ系の報道番組「ニュースZERO」で放送された安部晋三、萩生田光一、加計孝太郎が一緒に映っていた動画と同じ場所で写された写真ではないかと思われます。
 「安部晋三 やきそば」、「安倍昭恵 やきそば」で検索すると、安部晋三が焼きそばを調理している写真が複数見つかります。

 その中の一点にこの写真が…。
安部晋三と北村滋の密会現場の写真を安倍昭恵記者がスクープ

【出典】ライブチケット.COM

共謀罪強行採決へ 野蛮な暗黒政治を止める方法はあるのか
安倍首相(C)日刊ゲンダイ

共謀罪強行採決へ 野蛮な暗黒政治を止める方法はあるのか 日刊ゲンダイ 2017年6月14日

 世紀の悪法「共謀罪」法案は、国民の理解が全く進んでいないのに、与党は強行採決に突き進む。それを阻止するため、民進党と共産党は13日、金田法相に対する問責決議案を提出した。与党はそれを織り込み済みで、きょうの本会議で問責案を否決。内閣不信任案が出されても数の力で押し切り、たとえ小幅延長することになろうとも、今国会中の共謀罪成立を強行する。

「加計問題に蓋をするため、何としてでも逃げ切るつもりなのでしょう。嘘と恫喝。ここまで酷い政権はこれまでなかった。日本の議会政治は危機的な状況です」(上智大教授・中野晃一氏=政治学)

 23日には東京都議選が告示を迎える。それまでに国会を閉じ、有権者の意識から政権にとって不都合なあらゆる疑獄を消し去ろうということなのだ。

 加計問題だけじゃなく、9億円の国有地がタダ同然で売り渡された森友学園疑惑だって、財務省の悪事は不問で真相はヤブの中だ。安倍首相に近い元TBS記者のレイプ事件もみ消し疑惑もある。いずれも安倍による安倍のための国家の私物化疑惑。それら全てを頬かむりして逃げ切る魂胆だ。そんなやりたい放題の暴力政権が、ついに「平成の治安維持法」を手にすることになるのだ。これがどれほど恐ろしいことなのか。背筋が寒くなってくる。

 共謀罪での捜査対象は、組織的犯罪集団に限られると政府は国会答弁で繰り返していたが、法律には「一般人は対象にしない」とは書かれていない。当局のサジ加減で、一般人も「犯罪集団」にされてしまうし、安倍政権なら恣意的な捜査だってやりかねない。
 権力者にとって共謀罪の最大の効果は、国民を萎縮させることだ。余計な運動には加わらない方が身のためだという空気がつくられていく。共謀罪には自首すれば減刑措置もあるから、密告が行われ、疑心暗鬼も広がることになる。通信傍受やGPS捜査によって、知らないうちに会話やパソコンは丸裸にされる。息苦しい監視社会になり、国民生活はジワジワと蝕まれていくことになる。

 共謀罪法案に詳しい弁護士の小口幸人氏もこう言う。
「共謀罪法案が成立すれば、計画段階での監視が必要になります。警察官の増員や必要な設備の予算措置などが進められていくでしょう。そうして得られた壮大な情報を安倍政権は操れるようになり、圧倒的な権力をますます強大化することになる。警察は国会議員の監視情報も握るので、警察国家になる恐れもあります。全国30万人の最強実力組織が力を持つ怖い社会になりかねません。ドラマみたいな話ですが、そのことを国会議員はどれだけ分かっているのでしょうか」

 公益に資すると内部告発した官僚について、国家公務員法(守秘義務)違反で処分する可能性を平然と口にする文科副大臣がいるのが今の安倍政権だ。共謀罪成立は、なんとかに刃物、というおぞましさなのである。

前川前事務次官(C)日刊ゲンダイ

 11日の東京新聞のコラムで、法政大教授の山口二郎氏が、このところの国会審議のあまりの酷さについて、〈日本の議会政治の崩壊は最終段階に入ったと痛感した〉〈私は文明か野蛮かの戦いだと訴えたい〉と書いていた。

 山口氏の言う〈野蛮〉とはこうだ。
〈野蛮人の支配する王国では、公私の区別がなく、国の財産は権力者の私物であり、権力はえこひいきのために行使するのが当たり前で、役人は権力者に隷属する使用人であった。これはまさに安倍政権が支配する日本の現状である。あったことをなかったことにするのが野蛮国である〉

 国会答弁では、マトモに質問に答えず、ダラダラ時間を浪費し、ヤジを飛ばすなと言いながら、自分はヤジを飛ばす。人間としての基本的な礼儀作法ができていない。それでいて、身内や友だちには甘く、当たり前のように特別扱いする。そんな首相が支配するこの国は、野蛮な国だというわけだ。

 このままアベ王朝に文明を奪われたままでいいのか。山口氏はコラムの最後をこう締めくくる。
〈ようやく権力者の下僕ではなく、法に従う文明人でありたいという公務員の声が政府内部で上がっている。われわれも文明人でありたいなら、黙っていてはならないのである〉
 では、国民が安倍政権に対してNOの意思表示をするにはどうしたらいいのか。国政選挙はない。だが、支持率を下げるという方法がある。
 安倍首相に関する著書もある政治評論家の野上忠興氏は、「安倍首相の唯一のよりどころは支持率です。支持率が下がればガクッといく」とみる。確かに安倍が民進党をけなす場面で毎度口にするのは支持率だ。

「誰もそういう姿勢は支持しない。それが民進党の支持に表れている」
 5月の国会審議でも、こう言って勝ち誇ったような顔を見せた。都合の悪いことを聞かれた際の言い訳なのだが、それでも自らの支持率が高いことが安倍の自信の源泉になっているのは間違いない。

「国民は安倍政権の政策を評価しているわけではありません。『他にいない』という消極的理由が高い支持率の維持につながっている。しかし、加計問題での不誠実な対応にさすがに多くの国民が呆れている。もり(森友)の次はかけ(加計)。そばが続いて、食傷気味です」(野上忠興氏=前出)

 TBS系列のJNNが3、4日に行った世論調査では、加計疑惑への政府のフザケた態度が支持率を直撃、前回5月調査と比べ、8・9ポイントもの大幅下落となった。その傾向は、9~11日に行われたNHKの世論調査でも同様で、「支持する」は先月より3ポイント下落の48%、「支持しない」は6ポイント増えて36%。支持と不支持の差は縮まってきている。

 文科省文書について「あったものをなかったとは言えない」と証言した前川前事務次官の登場、そしてそれを、あざけるように突っぱねた菅官房長官の態度を見て、国民の多くが安倍政権の欺瞞に気付いた。野蛮な人間性を目の当たりにした。それでNOの意思を示した結果が、JNNやNHKの調査に表れたと言える。

 これがさらに進めば、安倍政権は確実に倒れる。不支持が支持を逆転すれば、体調悪化が懸念される安倍は持たない。

 前出の中野晃一氏がこう言う。
「安倍政権はメディアを支配し、いまや大本営発表ばかりです。国民は情報を遮断され、現実が歪められている。いわゆる“ポスト真実”の政治が行われている。そうした状況下で、国民は正常な判断ができない心理状態にある。DV夫と暮らす妻や犯罪者に監禁された被害者のような状態です。『この道しかない』と言われて、安倍首相しかいないと思わされているわけです。しかし、加計問題での前川証言などがあり、正気に戻る人が出てきた。最新のNHKの世論調査では、安倍内閣を支持しない理由のトップは『人柄が信頼できない』でした。異常な心理状態から目を覚ます人が出てきたのは朗報です。『こんな道しかない』はずないのですから」

 前川前次官をピエロにするのか、それともアリの一穴にするのか。野蛮人の国に成り下がるのか、それとも文明人として民主主義を高らかに掲げる国にとどまるのか。まさに今、歴史的な分水嶺にある。

【出典】日刊ゲンダイ 2017年6月14日

関連資料
際限ない捜査、警察は求める 「共謀罪」青木理氏に聞く
青木理さん(写真)朝日新聞

際限ない捜査、警察は求める 「共謀罪」青木理氏に聞く 聞き手・後藤遼太 2017年5月15日07時06分 (朝日新聞 DIGITAL)
 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改正案が国会で議論されている。政府は「テロ対策に必要」との立場だが、捜査当局による乱用や「表現の自由」などの侵害を危惧する声もある。

 長く公安警察を取材してきたジャーナリストの青木理さんは、あえて「捜査する側」の視点に立って、法案の問題点を指摘する。
 《政治や社会の矛盾に声を上げる人が疑われる社会は健全か。》

 公安警察を長く取材してきた。警察官の立場から「共謀罪」を見てみよう。
 「共謀罪ができればテロを防止できる」と政府が言う。真面目な警察官であれば何を考えるか。犯罪が起きる前だから、供述が立証の柱になる。それだけに頼っては冤罪(えんざい)だらけになる。もっと物証が欲しい。

 「通信傍受を縦横無尽に使いたい。司法取引も」と考えるだろう。テロリストが重要な話し合いをメールや電話だけで済ませるとは思えない。アジトなどの室内を盗聴する「密室盗聴」もさせてほしいとなる。真面目に捜査しようと思えば思うほど、「もっと武器をください」となる。

 日常的に、捜査当局が「こいつは罪を犯す可能性がある」と見なす個人や団体を監視しなければならなくなる。事前に取り締まろうとすれば、そうせざるを得ないからだ。

 本来は「一般市民が対象になるから危険だ」という議論はしたくない。「普通の人」だろうが、そうでない人だろうが、罪を犯してもいない段階で取り締まるということ自体が異常だからだ。お上にまったく盾突かない、政権に無害無臭な人は対象にならないかもしれない。しかし、社会に異議申し立てする人が片端から捜査対象になる社会は、断じていい社会ではない。

 2010年に、警視庁公安部の内部資料と見られる情報がインターネット上に流出した。国内に住むイスラム教徒が捜査対象になっていた。イスラム教徒というだけであらゆる情報が吸い上げられていた。

 警察がモスク前で24時間態勢で監視し、出入りする人を片端から尾行。電話番号や銀行口座記録から接触した人や家族の交友関係まで調査していた。そのような手法を、ある公安警察幹部は「点が線になり、線が面になる」と説明してくれた。

 治安組織とは古今東西、社会体制の左右問わずそういうものだ。アメリカの国家安全保障局(NSA)は、わずか10年で世界中の電話や通信を盗聴するような化け物に育ってしまった。

 警察は全国津々浦々に30万人の人員を配置し最強の情報力を持った強大な実力組織だ。仮に秘密法や共謀罪のような武器を与えるなら、何かあったときに暴走しない仕組みをきちんと作るのが政治の役目だ。警察という実力装置の怖さに政治が無自覚であるということは、政治の劣化だ。

 共謀罪を導入しても、テロが起きる可能性はある。そのときが怖い。社会がファナチック(狂信的)になり、メディアや社会も一緒になって「もっと捕まえろ」「もっと取り締まれ」と暴走するのではないか。オウム事件を取材していた時を思い出す。警察はあらゆる法令を駆使して信者を根こそぎ捕まえた。当時、幹部が「非常時だから、国民の皆様も納得してくれる」と話していた。

 公安警察的な捜査対象が際限なく広がる。誰だって安心して暮らしたいが、日本人1億数千万人を24時間徹底的に監視すればいいのか。安全安心を究極的に追い求めれば、自由やプライバシーは死滅する。果たしてそれでいいのだろうか。(聞き手・後藤遼太)  ◇

 〈あおき・おさむ〉 共同通信記者を経てフリーに。公安警察の取材が長く、著書に「日本の公安警察」「ルポ 国家権力」など。


タイで広がる市民弾圧に見た 「共謀罪」成立後の日本の姿
バンコクでは政治集会を開いた学生らが連行されたことに抗議のデモが
(C)共同通信社

タイで広がる市民弾圧に見た「共謀罪」成立後の日本の姿 日刊ゲンダイ 2017年5月10日

 共謀罪が成立した後の日本社会を見ているようだ。国際人権連盟(本部・パリ)が8日発表したタイの「不敬罪」に関する声明によると、不敬容疑で逮捕された同国民が100人を突破したという。

 タイの刑法ではもともと、国王や王妃を中傷すると不敬罪に問われ、1件当たりの最高刑は禁錮15年が科せられる。さらに、2014年にタイ陸軍によるクーデターが起きたことを受け、タイ政府は翌15年に治安維持を目的として、新たにどんな命令でも下せる「暫定憲法44条」を制定した。当時のタイ政府は「善意の市民は影響を受けない。これは悪事をたくらむ人間を取り締まる法律だ」と、共謀罪とそっくりの説明をしていたが、施行されてみると実際は全く違った。

■ 政権に対する批判者の取り締まりを強化
 例えば、タイで政治犯の弁護に当たってきた人権派のプラウェート弁護士。先月末、バンコクの自宅で軍人や警官に不敬容疑で拘束されたのだが、理由はネットでタイ王室や政権に批判的な書き込みをしたからだという。仮に裁判で有罪になれば、最高で禁錮150年だ。これを受け、国連人権高等弁務官事務所は5日、「政治的な活動をした人物に対する恣意的な拘束だ。不敬罪の適用は、表現や言論の自由に反する」と声明を発表したが、タイ当局の不当拘束は不敬罪にとどまらない。

「当局は14年のクーデター以降、騒乱や名誉毀損、コンピューター犯罪法などさまざまな法令を活用し、政権に対する批判者の取り締まりを強化しています。逮捕や訴追を覚悟しなければ、対話や集会にすら参加できない風潮が生まれつつあります」(アムネスティ・インターナショナル日本の山口薫氏)

 昨年4月には、政府の新憲法案批判をネットに書き込んだ数十人が捕らえられた。日本でも共謀罪が成立すれば、後は当局のやりたい放題。タイの状況は将来の日本の姿でもあるのだ。政治評論家の山口朝雄氏が言う。

「今の日本はタイとは違って不敬罪は廃止されている上、軍事政権でもありません。しかし、何らかの口実をつくって、市民を取り締まっているタイの現状を見ていると、共謀罪成立後の日本社会も決して他人事ではない。政権に従順な人を“一般人”と見なし、そうでない人を監視対象にする。いずれタイのような恐怖社会が現実になるかもしれないのです」

 やはり共謀罪は何が何でも廃案に追い込まないとダメだ。


【出典】日刊ゲンダイ 2017年5月10日
「安倍首相は今までで最悪の総理です」 ノーベル賞物理学者 益川敏英さん

浜矩子氏が警鐘  「安倍首相は幼児的凶暴性の強い人」
浜矩子氏(右)と安倍首相&日銀・黒田総裁(左)/(C)日刊ゲンダイ

浜矩子氏が警鐘 「安倍首相は幼児的凶暴性の強い人」  2017年3月19日

 日経新聞で先ごろ「日本国債」という連載があり、その2回目(7日掲載)を読んで驚きました。昨年秋、安倍首相が与党議員に次のように語ったというのです。

「政府と日銀は親会社と子会社みたいなもの。連結決算で考えてもいいんじゃないか」

 私は1年以上前から、「今や日本銀行はチームアホノミクスの中央銀行支部と化してしまっている」と書いたり、発言したりしてきました。だから、「私が安倍首相に妙な知恵をつけてしまったのか」と、手前味噌で笑ってしまったのですが、そもそもこの考え方は法律違反です。日銀法では日銀は独立の存在であり、財政法第5条にも、日銀は直接、政府にお金を貸してはいけないと書いてある。それなのに、こんなことを平気で言うなんて言語道断。いよいよこのオッサンは、大日本帝国会社という名の国策会社の総帥になっているつもりなのかと驚きましたよ。

■ますますひどくなる誇大妄想
 安倍首相らは、アホノミクスが実体経済の基盤強化につながっていないことがわかり焦っている。くだんの記事の見出しは〈シムズ理論の甘い誘惑〉です。浜田宏一内閣官房参与を筆頭に「シムズ理論」(クリストファー・シムズ米プリンストン大教授が唱える「財政赤字により物価水準を押し上げる」という考え方)を首相に説いているようですが、非常に問題がある。

 シムズ理論とは、「意図的無責任財政のススメ」なのです。財政と金融を一体運営しなければうまく行かない。なぜなら、無責任財政でインフレを起こすといっても、そのために発行する国債を誰かに買ってもらわなければならないからです。しかし、民間の投資家は、そんな国債は踏み倒される恐れがあり、買わない。つまり、中央銀行に給金してもらうしかないわけです。

 政府が本気でシムズ理論で行くなら、財政と金融の一体化が不可欠です。だから安倍首相が、「日銀は子会社でいいんじゃない」と口走ってしまう。これって、恐ろしいことですよ。

 森友学園問題に絡む国会答弁を見ていて、面白いなと思ったのは、人間は焦ると防御的になるあまり、言わなくてもいいことを口走ってしまうということです。安倍首相が「私は公人だけど、妻は私人」と発言したことで、首相夫人の立場についての問題に火がついた。「私の妻を犯罪者扱いするとは不愉快」という発言もありましたが、誰もそんなことしていない。どこかで「犯罪者だと思われかねない」と不安になっているから、素知らぬふりができずに、逆上して言わなくてもいいことを口走ってしまうのです。非常に幼児的凶暴性の強い人ですよね。

「日銀は子会社」発言にしろ、国会での逆上ぶりにしろ、いずれもその背後に「自分は偉い」感覚が感じられます。誇大妄想がひどくなっていると思います。誇大妄想と幼児的凶暴性は表裏一体。これらを総合的に見ると、1月の施政方針演説にも出てきた「世界の真ん中で輝く国づくり」に行きあたる。強権的な帝国づくりに、ますます燃え上がって来たように感じます。我々は一段と警戒心を強めなければなりません。

【出典】日刊ゲンダイ 2017年3月19日
出典:日刊ゲンダイ 2017年3月19日

安倍政権が年金数兆円をトランプに献上!  国民には運用失敗のツケを押し付け 年間14万円も年金カットしておきながら

安倍政権が年金数兆円をトランプに献上! 国民には運用失敗のツケを押し付け年間14万円も年金カット しておきながら  LITERA 2017.02.04

 一体、どれだけトランプの犬になるつもりなのか。そう思わずにいられないニュースを2日、日本経済新聞が報じた。なんと、日本の公的年金をアメリカのインフラ事業に投資、それによってアメリカにおける数十万人の雇用創出につなげる経済協力をおこなうというのだ。
 安倍首相は今月10日にトランプ大統領との首脳会談をおこなうことを発表したが、トランプにとって1兆ドル規模を投資するインフラ整備計画は選挙戦から訴えてきた目玉政策のひとつ。つまり、首脳会談で日本の公的年金を使った経済協力を提案することでトランプ様のご機嫌を取ろう、というわけだ。

 一方、この報道に対し、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の高橋則広理事長は「そのような事実はない」と否定したが、大手新聞社の記者は「今回の日経の情報源は官邸でしょう」と話す。

 しかも、GPIFは昨年7月初旬に約5兆3000億円もの運用損が発覚したときも、本来なら7月上旬におこなわれていた運用成績の公表を参院選後の7月29日に変更。これも選挙戦への影響を抑えるために安倍政権がGPIFに横やりを入れたためと見られるが、今回のアメリカのインフラ事業へ投資するという安倍首相の方針にGPIFが抵抗することなどできるはずもないだろう。

 実際、高橋理事長は3日の国会審議で「結果としてアメリカのインフラへ投資されることもあり得る」と一転、その可能性を認めている。

 だが、こんな馬鹿な話が果たしてあるだろうか。そもそも、アメリカへ投資するという金は、言わずもがな国民が老後のために捻出してきた保険料だ。そして、厚生年金保険法や国民年金法に〈積立金の運用は、専ら被保険者のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行う〉と定められているように、第一に被保険者のために積立金は運用されなくてはならない。

 そんな年金を、自国でもなく世界一の経済大国であるアメリカの「雇用捻出のため」に投資するというのである。経済協力という日米関係の強化のために年金を使う──安倍政権は国民の年金を自分たちの私有財産だとでも考えているのだろう。

 実際、安倍政権はこれまでも年金の運用を自分たちのために“利用”してきた前科がある。アベノミクスの成長戦略として安倍首相は年金運用の変更を掲げ、2014年には国内・外国株式の運用比率をそれぞれ12%から25%に引き上げて株式運用枠を20兆円まで増やしたが、そこでおこなわれたのは、年金積立金を株式市場に投入することで株価を吊り上げるという見せかけだけのアベノミクスの「演出」だった。

 そして、前述したように2015年度には約5兆3000億円の運用損を出し、わずか15カ月でじつに10.5兆円もの国民の年金を溶かしてしまったのだ。
 そして、そのツケを安倍政権はよりにもよって国民に押し付けた。年金支給額が国民年金で年間約4万円減、厚生年金ではなんと年間約14.2万円も減る「年金カット法案」を強行採決で成立させてしまったのである。

 ちなみに、安倍首相は「消えた年金」問題が発覚した第一次政権時、「最後のひとりにいたるまでチェックし、年金はすべてお支払いすると約束する」と言ったが、何の約束も果たさないまま退陣。結局、持ち主がわからない年金記録は約2000万件も残っている(15年5月時点)。さらには、安倍首相は「消えた年金」問題について、2008年1月に開かれたマスコミとの懇談会で「年金ってある程度、自分で責任を持って自分で状況を把握しないといけない。何でも政府、政府でもないだろ」と語ったという。

 年金を運用の改悪によってパーにしてしまった責任など微塵もなく、挙げ句の果てに、トランプへの貢ぎのために年金を使う──。国民の保険料を自分の財布と勘違いしたこの男に年金を任せていること、その事実こそがわたしたちにとって最大の「老後の心配」と言うべきだろう。 (編集部)

【出典】LITERA 2017.02.04
出典:LITERA 2017.02.04

失政のツケをまた… 安倍政権が4月から“年金支給額カット”
(C)日刊ゲンダイ

失政のツケをまた…安倍政権が4月から“年金支給額カット”   日刊ゲンダイ 2017年1月27日

  昨年末に成立した年金カット法の施行は2021年だが、それを待つまでもなく、容赦ない年金支給額の削減が始まった。政府は3年ぶりに支給額を引き下げる。

 年金支給額は、物価や賃金の変動に応じて毎年決められることになっている。厚労省は、27日に公表した1年間の消費者物価指数をもとに、新年度(今年4月から)の支給額を決定。下げ幅は16年度より0.1~0.2%の減額になる。

 厚労省の試算によれば、0.1%引き下げた場合、夫婦2人の標準的な世帯で、国民年金が満額で月額67円減って6万4941円に、厚生年金が227円減って22万1277円に。0.2%の引き下げだと、国民年金が満額で125円減、厚生年金は437円減だ。年間では6744円の減額になり、その影響は決して小さくない。

「年金支給額は毎年、物価や賃金の変動に応じて決められることになっています。昨年1年間で、物価水準が前年より顕著に下落したと思われるため、支給額も引き下げる方向です」(厚労省関係者)と言うのだが、ちょっと待て。

 ことあるごとに、「デフレから脱却した」「賃金も上がった」と喧伝してきたのが安倍首相だ。施政方針演説でも、安倍首相は「べースアップが3年連続で実現」「経済の好循環を前に進めていく」と成果を誇っていた。それなのに、物価下落で年金支給額も減額? それはすなわち、物価上昇を目的にしたアベノミクスの失敗を自ら認めることになるのではないか。

「語るに落ちるとはこのことで、賃金は上がっていないし、デフレ脱却も程遠いのが現状だということです。年金支給額の引き下げは、政府の失策のツケにほかなりません。しかも、安倍政権は株価を吊り上げるために、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のポートフォリオを変更し、株式投資の比重を高めた。その結果、この2年間ですでに約8兆円の損失を出しています。昨年10~12月期の実績はまだ公表されていませんが、国民の虎の子をギャンブルに突っ込み、それで支給額を減らされるのでは、国民は到底、納得できません。勝手に支給額引き下げを決める前に、なぜこんなことになるのか、きちんと国民に説明すべきでしょう」(経済ジャーナリスト・荻原博子氏)

 自分の失敗を庶民に押しつけるのは、いい加減にしてもらいたい。


【出典】日刊ゲンダイ 2017年1月27日



年金問題と私 石川栄一

 国民年金の未納者(1号期間滞納者)が全体の4割以上いるようですが、そのような人達は老後、どのようにして生活するのでしょうか。
 「国民年金が破綻するかもしれないので払わない」、あるいは「払うお金がない」などの理由ですが、本当に心配です。

 また交通事故などで身体障害者になったときも、未納者には1円も支給されませんので、高額な掛け金を必要とする民間の保険にでも入らなければ、野垂れ死にしてしまうでしょう。
グリーンピア
グリーンピア南阿蘇
 グリーンピアは、日本列島改造論を掲げる田中角栄内閣の計画のもとで厚生省(当時)が被保険者、年金受給者等のための保養施設として、旧年金福祉事業団が1980年から1988年にかけて13ヶ所設置したが、2005年度までに廃止することが2001年12月に閣議決定された。年金保険料1,953億円を投じたグリーンピアの売却総額は、わずか約48億円であった。

 更に困るのは、旧社会保険庁によるグリーンピアなどの施設運営の失敗や、年金保険料が給付以外の目的に「流用」された問題など、6兆円(公表された分のみ)にも昇る巨額な無駄遣いです。

社会保険庁(現・日本年金機構)幹部が集めた年金保険料で購入したもの

■職員の外国出張費(1億6500万円)
■ゴルフクラブの購入費(20本、6万6000円)
■ゴルフボールの購入費(700個、1万8000円))
■校内のテニスコートや体育館の維持費(計409万円)
■東京の社会保険業務センター内のテニスコート建設費(422万円)
■バスケットコート建設費(354万円)
■全国の社会保険事務所に導入した利用ゼロの印刷機(921台、1億5030万円)
■社会保険庁(現・日本年金機構)の年金広報費(10億600万円)
■年金資金運用基金への支出、交付金(計3兆3600億円)
■グリーンピア建設費と借入金利息・管理費(3800億円)
■年金福祉施設や老人ホームの建設・維持費(1兆5700億円)
■職員の健康診断費(3億7000万円)
■年金関連施設の職員向け宿舎(28億800万円)
■職員の事務費充当(5300億円)
■社保庁職員宿舎の整備・維持費(42億円)
■社会保険庁(現・日本年金機構)長官の交際費(250万円)
■社保長官香典費(1年につき28~50万円)
■社保庁職員の交通事故賠償金(15件、1800万円)
■保養基地運営法人への支出(2兆円、総額5兆6000億円の使途判明)
■年金資金運用基金や厚生年金事業振興団総裁の退職金(各4000万円)
■厚生年金病院の建設費(全国68カ所、112億1900万円)
■大規模年金保養基地(グリーンピア)の職員向け宿舎建設費(15億2600万円
■年金資金運用基金(旧年金福祉事業団)の職員向け宿舎建設費(2億6500万円)
■社会保険庁(現・日本年金機構)職員用のマッサージ器(6070万円、計395台)
■社会保険庁(現・日本年金機構)職員でライオンキング観戦(500万円)
■千葉の社会保険大学校内にあるゴルフ練習場の建設・維持費(1200万円)
■社会保険庁(現・日本年金機構)本庁所有の公用車2台()(180億円)
■社会保険庁(現・日本年金機構)公用車247台(4億円)
■社会保険庁(現・日本年金機構)が新築した職員宿舎(10億円)
 ※家賃は東京都心3DKで2万円
■年金資金運用基金へグリーンピア建設や住宅融資資金の名目で出資金(1兆800億円)

 このような無駄遣いを招いた元凶は、年金保険料を自由に使えるような法律(小泉内閣の時代に「財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律」を通した自民党議員を中心とする当時の与党議員であると思いますので、厚生労働省の官僚とともに責任を取って頂きたいものです。責任の取り方は、国民に対し、最低でも6兆円の損害賠償をすべきです。


 また、国会・地方議員年金は愚の骨頂であると考えます。

 議員年金:ウィキペディア
 市民の公的年金とは、かけ離れたお手盛りの議員年金制度は、2006年に国会議員の 議員年金は廃止されました。しかし、掛け金は停止になったものの、すでに支払った掛け金に関しては、減額をして年金を支給することを盛り込んでいるため、国会議員の議員年金が完全に廃止されるのはしばらく先のこととされています。

 年金制度の抜本的改革ですが、たとえば高齢でも年収1千万円以上の高所得者や何億何十億円といった資産家の高齢者には、年金の受給を遠慮していただくか、受給年齢を引き上げることも一つの案かと思います。

 しかし公的年金への信頼が失墜し、自分の老後は自分で準備する必要がでてきたことは事実です。若いうちから老後のために、少しずつでも貯蓄するのが最も確実で賢い方法だと思います。準備不足は、自分自身のみじめな老後をまねくだけです。


 老後の生活費は、ライフスタイルにもよりますが、贅沢しなくても、夫婦で一月25万円から30万円が必要だそうです。やはり定年退職するまでの数年間は、貯蓄に専念するしかなさそうです。

 仮に月7万円足りなければ、今のうちから、その分を貯蓄するのです。少なくとも10年分(840万円)できれば20年分(1680万円)貯めましょう。

 (公益財団法人)生命保険文化センターの簡易生命表によりますと、2015年の日本人の平均寿命は男性が80.79歳 、女性が87.05歳ですから、65歳で定年退職した場合を考慮して、現役のうちから老後のための足りない生活費を、20年分貯蓄すれば、何とか生活できると思います。
 また、定年退職後も数年間、基礎年金分くらいしか支給されませんので、使わずに老後の生活費にまわしましょう。

定年退職後も ”贅沢は敵だ!ほしがりません死ぬまでは!”・・の精神で頑張りましょう!
 もし、老後の生活資金が尽きたら、家庭菜園でも作って、食べて生き抜くしかないでしょう。しかし病気になれば、幾らお金が あっても足りなくなります。暴飲暴食を慎み、健康第一で行きましょう。

2017年1月29日 年金問題と私 石川栄一





年金無駄遣い 過去にツイッターに投稿した短文

<年金無駄遣い 最大の戦犯は近藤元次官>
 繰り上げ償還で4兆4千億円の莫大な借金のツケを国民の金で支払わせた。グリーンビアと年金住宅融資で既に1兆3千億円の穴を空けてしまっているが、その責任も全くとることなく任期満了で円満退職。http://bit.ly/w3Zo38

<年金無駄遣い:調べれば責任者が分かる>
 彼らの資産を没収するのも良かろう。他人の金で無駄遣いした人間をのうのうと養っておく道理は無い。当然、これまで流用された経費については職員から全額返還させるべきである。「年金という名のあぶく銭」http://bit.ly/v9zasc

<年金の無駄遣い、1兆円以上。誰も責任を取らず>
 かつて廃止、売却が決まった年金福祉施設は412物件。これらの施設の建設には国民年金および厚生年金の保険料1兆4千億円が投じられた。しかし、これらの施設の資産価値は全部合わせても約2千億円しかなかった。しかも二束三文で売却された。

<テレビや大新聞は旧社保庁の無駄遣いを問題にしない>
 将来の年金資金不足ばかりを取り上げる。サラリーマンが年金保険料を幾ら払っても、役所が無駄に使っていては、穴の空いたヤカンに「水」を入れているのと同じようなものと思う。

<「公的年金流用問題」:ジャブジャブ無駄遣い容認法>
 小泉内閣の時代に「財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律」が成立。これは国民年金事業に伴う事務費(徴収に係る経費から職員給与、福利厚生費等々)に関して、社会保険料(国民のお金)の一部を財源として充当できるとした法律。
出典:失政のツケをまた…安倍政権が4月から“年金支給額カット 日刊ゲンダイ 2017年1月13日

残業なし、賃上げ、経済成長という バラ色の虚構が安倍政治
日本商工会議所の三村会頭(左写真・左)と経団連の榊原会長(同・右)
(C)日刊ゲンダイ

残業なし、賃上げ、経済成長というバラ色の虚構が安倍政治 日刊ゲンダイ 2017年1月13日

 大メディアによると、20日召集の通常国会での最大のテーマになるらしい。安倍首相が「断行の年」と意気込む「働き方改革」のことである。

 昨年末に安倍政権は、非正規労働者と正社員の不合理な格差をなくすための「同一労働同一賃金」のガイドライン案を公表。通常国会には時間外労働に上限規制を設けるため、労働基準法の改正案を提出する。

 5日の経済3団体共催の新年祝賀会でも、安倍は「仕事と子育てや介護を無理なく両立できるようにする」と訴え、並み居る企業トップを前に「4年連続のベア」も要請した。

 すっかり野党のお株を奪うような労働者の味方ヅラなのだが、一方で安倍は「アベノミクスをしっかりふかす」と年頭会見でも断言。いまだ「2020年ごろにGDP600兆円」という途方もない目標を下ろさず、あくまで経済成長を追求している。とことん欲張り過ぎな男である。

 異次元レベルの金融緩和を4年近く続けても、物価上昇率目標2%を一度も達成できず、消費は凍りついたまま。1世帯当たりの消費支出(実質)は昨年2月の「うるう年効果」を除けば、実に15カ月連続で前年同月比マイナス。庶民のフトコロも冷え込みっ放しで、安倍のベア要請も空しく、実質賃金はこの3年で年17万5000円も減ってしまった。

 安倍が国を挙げて低成長を受け入れる成熟社会づくりを打ち出したのなら、いざ知らずだ。アベノミクスの完全破綻で日本経済をメタメタにしておきながら、残業をなくし同一労働同一賃金を実行し非正規差別を撤廃させ、賃上げ、経済成長も成し遂げる。そんな“四兎”も“五兎”も追いかける夢物語をどうやって実現するというのか。

 我が身を省みず、バラ色の未来を吹きまくる安倍のオツムはどうかしているし、空しい理想論を無批判に垂れ流す大メディアも同罪だ。確かに、電通の若手女性社員の過労自殺以降、長時間労働是正の機運は高まっているが、その流れに便乗しただけのようなペテン政権の口八丁、三百代言のたわごとをマトモに受け取るわけにはいかないのだ。

連合はどっちの味方なのか(C)日刊ゲンダイ

労働者の待遇改善拒む政権のデフレ元凶説
 ハッキリ言って安倍の掲げる「働き方改革」なんて単なる虚構に過ぎない。そう言いきれる理由もハッキリしている。そもそも安倍の経済政策は根本からトチ狂っているからだ。

 安倍は首相就任以来、事あるごとに「デフレ」をやり玉に挙げ、諸悪の根源のごとく忌み嫌ってきた。年頭会見でも「鳥が大空をかけるように颯爽と『デフレ脱却』に向けて3本の矢をうち続けていく」と強調。異次元緩和の継続もデフレ退治のため。日本経済がデフレに陥ったのは金融緩和が足りないからとの認識で、黒田日銀のケツを叩き、市場にジャブジャブ金を流し込んできた。

 安倍たちの認識が間違っているのは、マイナス金利の“禁じ手”まで導入しながら、一向に「デフレ脱却」を宣言できないことが証明している。三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査本部長の五十嵐敬喜氏は昨年7月、日経新聞にこう寄稿していた。

〈デフレは諸悪をもたらす元凶ではなく、低迷する日本経済が鏡に映る姿だ。今なおデフレから抜け出せないのは、わが国企業がグローバル競争の中でジリ貧を続けてきたからに他ならない〉

 つまりデフレとは、安倍がオツムに描くような景気や企業業績低迷の「原因」ではなく、むしろ「結果」に過ぎない。なるほど、「罪のないデフレ」をいくら叩いても、安倍の期待通りに景気は上向かないわけだ。経済評論家の斎藤満氏はこう言った。

「安倍政権が本気で働き方を改革したいのなら、まず景気や企業の競争力を高める環境づくりを優先すべきです。企業の競争力が低下し、売り上げが伸び悩む現状で、収益維持を求めればコストを削るしかない。非正規雇用がこんなに増えたのも、最大コストの人件費に手を付けたくても正社員の賃金カットやクビ切りはめったにできないから、置き換えてしまえという企業の論理です。異次元緩和の円安政策で見かけだけの利益を増やしても一過性の現象に過ぎないことは企業側も熟知しています。景気拡大を確信できない限り、人件費抑制のマインドは消えない。その結果が、大企業に貯め込まれた過去最大400兆円に迫る内部留保です。安倍政権が根本から発想を切り替えない限り、真の働き方改革は実現しません」

 アホノミクスのトンチンカン政策が続く限り、「働き方改革」は絵空事に過ぎない。いくら安倍がいきんでも、画餅に終わるのみだ。

■ 見境なく手を出し頓挫する毎度のパターン
 日本経済の“稼ぐ力”が高まらなければ、安倍政権の「働き方改革」が企業側に悪用される恐れだってある。

「業績が改善されず、人件費のパイが増えないのに、企業に『同一労働同一賃金』を無理やり押し付けるのは愚の骨頂です。非正規労働者の賃金が正社員の6割弱にとどまる中、正社員の賃金を非正規労働者の水準に引き下げる口実に使われかねません」(筑波大名誉教授・小林弥六氏=経済学)

 前出の斎藤満氏は「働き方改革は、企業の競争力向上の地ならしという基本政策を怠り、面倒だから手っ取り早く成果を挙げたいという政権側の焦りの表れ」と語ったが、この政権はいつだってそうだ。

 政権浮揚につながりそうなテーマが目先にブラ下がると、後先のことは深く考えずパクッと食いつくのが、毎度のパターンだ。しかも、その実現性が「ひょっとして」という低レベルでも見境なく手を出してしまう。ロシアとの北方領土返還交渉が、いい例だ。
 安倍も一時は北方領土問題を解決し、“歴史的偉業”を前面に打ち出し一気に解散だと夢見たのだろう。だが、夢はやはり夢だ。成果を焦った前のめり姿勢がアダとなり、プーチン大統領に足元をみられて、3000億円の経済協力をふんだくられたのは記憶に新しい。

「安倍首相に『残業なし』『賃上げ』『非正規の待遇改善』などと、労働者に耳当たりの良いことを熱っぽく訴えられたら、野党だって批判しにくい。しかも、いざ実現できなくとも“政権は本気だが、企業経営者の本気度が足りないからだ”との逃げ口上で、責任をなすりつけられるのだから、タチが悪い。働き方改革は酉年解散をにおわす首相のイメージアップ戦略にはなれど、実効性は極めて薄い。経済失政のゴマカシと政権与党の選挙対策の域を出ません」(小林弥六氏=前出)

 アベノミクスの完全破綻で労働者の待遇を悪化させている張本人が、臆面もなく労働者の味方を気取る“世紀の国民だまし”。そんなペテン首相は日本最大の労組「連合」にも手を伸ばし、働き方改革の協力を要請。本来なら労働者の味方であるはずの連合も、神津会長一派を中心に安倍官邸にスリ寄り、結果的に野党分断に手を貸しているのだから末期的だ。

 2017年もサラリーマン受難の時代が続きそうだ。
 

【出典】日刊ゲンダイ 2017年1月13日

出典:日刊ゲンダイ 2017年1月13日

「TPP恥ずかしくないのか!党としてウソをつく」 北海道がんセンター名誉院長:西尾正道氏の 国会意見陳述を紹介
2016年12月2日、北海道がんセンター名誉院長の西尾正道氏が
参議院のTPP特別委員会で意見陳述をしました。

お役立ち情報の杜(もり)2016年12月4日

 日本国民が知っておくべき重要な事実が多数含まれています。ビデオが見られない環境の人もいると思いますので、以下に陳述内容の書き起こしを記します。
 参考にしてください。
書き起こし始め
***********************
 かつて自民党は、「ウソはつかない!TPP断固反対!」って言ってました。
 稲田防衛大臣はかつて、「TPPのバスの終着駅は日本文明の墓場だ」という発言をしてるんですけれども、コロッと個人がウソをつくとかいうレベルではなくて、党としてウソをついてる、180度態度を変えちゃう。

 国民は一体誰に投票したらいいんですか?党の公約も破棄しちゃう。修正どころか180度変えちゃう。これはウソとしか言い様が無い。倫理的・道義的な問題はどうなっているんでしょう。恥ずかしくないんですかね!TPP断固反対と何年か前に言っていたのに。この様に息を吐くようにウソをつかれたら、やってられません!国民は。

自民党の選挙公約「ウソはつかない!TPP断固反対!」

 そもそも6000ページにも及ぶ内容を本当に皆さん読んでるんですか?情報出して下さいといっても海苔弁当の段階です。知らないで、赤信号みんなで渡れば怖くないって言って、皆さん賛成しようとしている訳です。

 冗談ではない。条文をまともにチェックもしてない訳ですから、実際には赤信号も見ないで渡ろうとしている訳です。これが今の現実です。TPPってのは基本的には、昔戦争、今TPPです。昔は戦争を仕掛けて国益を取りました。

 ところが公然と核兵器を持つ時代になったら、お互い面と向かって戦争は出来ない。地域紛争は勿論起こりますけども、国家として国同士がぶつかり合えないですから、国益を取る。むしろグローバル企業ですけれども、国を動かしているグローバル企業の利益を取る為に、貿易上の仕組みを変えて利益を取ろうってのが正にTPPでございます。これがTPPの本質でございます。

 米国の医療はとんでもなく高い。日本のGDPの20%以上を占めてますし、日本の7倍の医療費が使われてる。TPPになるって事は、結局アメリカナイズされた医療になるという事でございます。もうお互いに助け合うとかですね、共に生きるなんていう発想は無いんです。とにかく、医療も完全に金儲けの道具になるというふうに考えて下さい。

 米国のロビー活動費見たら、何がターゲットですか?農業とかそういうものじゃないです。最大のターゲットは保険も含めた医療業界の仕掛けなんです。2013年の3月4日付けのタイムスに28ページに渡る、米国医療の驚愕・医療ビジネスという特集号が出てました。正にこの中から取った記事であります。

 こういう事によって日本の医療は多分、かなり大幅に変わると思います。ちなみに米韓FTAが2012年に締結されましたけど、韓国の医療費は2年間で2倍になりました。日本は韓国の医療規模の4倍位ありますから、恐らく、あっという間に膨大にお金が飛び上がる。今オプシーボ(新型がん治療薬)で、半額にしようなんて議論やってますが、そんな話じゃ全然なくなります。本当に深刻です。

 1985年以来、とにかく日本の医療市場を解放する様に、アメリカはずっと働きかけて参りました。最近では新薬創出加算の様なものを作ったりして、一様に製薬会社が有利な形で日本市場に参入して参りました。しかしTPPが正にこういったですね、米国が日本の医療産業の解放を行う最後の仕上げがTPPだと僕は考えております。ちなみに米国業界と保険業界の標的は日本市場であるという事は、全国保険団体連合会の寺尾さんの論文からサマリー(要約)を取ったものです。

 私が医者になった頃は、1ヶ月の抗がん剤は数千円でした。90年代になって数万円になりました。21世紀になって数十万円になりました。そして3年前の免疫チェックポイント阻害剤が出たら数百万円になりました。桁3つ違ってますけども、TPPが締結されればどうなるか?要するに、アメリカの製薬会社の殆ど言いなりの値段になりかねない。

 中医協(厚生労働大臣の諮問機関)ではチェック出来ません。中医協のやってる事が透明性とか公平性を欠くとISD条項で訴えられたら出来ませんので、かなり製薬会社の意向を汲んだ価格になる。ダントツで日本の医療費は飛び抜けます。最終的にはですね、皆保険も実質的に崩壊するというふうに考えております。

 患者負担が増大し、混合医療が解禁されます。民間医療保険が拡大します。営利産業が医療に入ってきます。このままでは日本の医療は崩壊し、日本人の健康は守られません。新技術が保険診療に出来ない事態が考えられますし、実際の術式(外科手術の方式)までですね、特許料を取るというような事態になります。医療費も高くなりますので、国民はみんな医療保険に入らざるを得ない社会にもなりかねない。


 TPPの本質は、グローバル企業が一般国民を犠牲にした金儲けでございまして、自由貿易は善であるという前提なんですけど、国の状況とかですね、経済格差を考えてやるべきであって、これ自体が本当に良いかどうかは話が別ですね。産業革命以来、富の源泉ってのは労働力でした。今はロボットも使える、AI(人工知能)も使える。

 そしたら何が富の源泉かっていうと、科学技術を持つか持たないかです。そうすると、科学技術の負の側面は隠蔽するという事になりますし、そういう事が金儲けになっちゃうと、とんでもない格差が出来ます。それをどういうふうに公平性を保って再配分するかっていうのが本当の意味での政治家の仕事だと思います。

 こういった本質的にやるべきことをきちっとやらないで、どんどん企業が儲けるようなところに世界を誘導していくってのは、とんでもない事だと思います。

 一人の人間として、共に生きる社会をどう作るかっていう事を本当に真剣に考えて頂きたい。最後になりますが生命を脅かすTPPの2つの大きな問題がございます。医療問題を言いました。もう一つは健康問題です。

 例えばこの40年間、ホルモン依存性のガン、女性は、僕医者になった頃、乳ガン15000人でした。今90000人です。前立腺ガンも殆どいなかったけど、今90000人で、男性の罹患者数のトップになりました。卵巣ガンもどんどん増えてる。子宮体ガンも増えてる。ホルモン依存性のガンが5倍になってるんですよ。

 この40年間でアメリカの牛肉消費量は5倍になりました。正にエストロゼン(女性ホルモン)入のエサを与えて1割生産性を高めて、そういう肉を食べている日本人もアメリカ人も5倍になってるんです。ホルモン依存性のガンが。それから耐性菌もそうですね。豚や鶏には抗生物質入りのエサを与えて生産を高めてる。

 そのため、人間が肺炎になっても薬がなかなか効かないという問題もございます。それから残留農薬が世界一緩和されてる。とんでもない話だ。今一番使われてるネオニコチノイド系の農薬が自閉症の原因であることが突止められてます。WHOでは発ガンにも関係しているとBランクにランキングされました。

 それから認知症にも関係している。鬱病にも関係しているという報告がどんどん出てきている。このままいけばアメリカの子ども達が、二人に一人が自閉症になるよという論文が、ハーバード大学から去年出ました。本当に、こういう事が深刻なんですね。

 遺伝子組換えを日本人が一番食べてる。アメリカにとって、大豆やトウモロコシは家畜のエサです。ところが日本人は納豆で大豆食べます。味噌や醤油の原材料です。一番食生活で、遺伝子組み換えの影響を受けるのは日本人の食生活なんです。こういう事が全くチェックされないで、世界一、遺伝子組み換え食品が普及してる。

 日本人の健康そのものが保てません。ガンの患者さんが増えてるのは高齢者だけじゃないです。食生活を含めて増えてるし、更にもっと深刻なのは、昔60以上になってガンになってたのが、今は40代はザラです。約20年、若年化してガンになってます。これが現実です、僕の実感として。

 自分達の国で農薬を規制したり、遺伝子組み換えを表示したりする事が、TPPに入った場合に出来なくなっちゃうんです。日本の国の決まりよりもTPPの方が上位にある訳です。こういう現実を冷静に考えて頂きたい。

 最近では遺伝子組み換えで、鮭も5倍位大きいものが作られてますよね。これも規制しなくていいの?ってことですよね。本当に何があるか分かりませんよ。子宮頸がんワクチンだって、今まで不活化ワクチンか弱毒化ワクチンで作ってたんです。だから大きな問題は起きなかった。子宮頸がんワクチンは遺伝子組み換え技術で作ってるんです。

 更に効果を高める為に、アルミニウムの様なアジュバント(補助剤)を加えて作ってるから、ああいう予期しない問題が起こっちゃう訳です。もう少し冷静に、命を重視する、お金よりも命を大事にするっていう発想に切り替えるべきだと思います。

 最後に、大変深刻なのは、今、福島から出ている放射性物質、これは微粒子として浮遊してます。残念ながら。そういうものと、農薬も含めた化学物質が人間の身体に入った場合、相乗的に発ガンするって事が動物実験で分かってます。こういう多重複合汚染の社会になって来て、恐らく2人に1人がガンになるっていわれてますけども、多分20〜30年経ったら3人のうち2人はガンになります。

 僕はとっくに死んでますから、若い議員さんは是非確かめてください。この場で西尾が嘘を言ったかどうか確かめて欲しい。本当にガンがどんどん増える社会になります。自分たちの国でキチッと法律で、ある程度規制出来る様な体制を作る為には、決してTPPに加入すべきではないと私は思っております。
****************************
書き起こし終わり
以上

【出典】お役立ち情報の杜(もり)2016年12月4日

出典:お役立ち情報の杜(もり)2016年12月4日
安倍政権がTPPに続き年金カット法案を強行採決! 国民の関心が朴槿恵とトランプに向いているうちに 騙し討ちする狙い
与党が25日夕刻、衆院厚生労働委員会でいわゆる年金カット法案を強行採決した。
(写真上)ことについて、蓮舫代表は記者団の取材に応じた。(写真)BLOGOS

安倍政権がTPPに続き年金カット法案を強行採決! 国民の関心が朴槿恵とトランプに向いているうちに騙し討ちする狙い LITERA 2016.11.25

 まさにどさくさ強行採決というしかない。本日、安倍政権が衆院厚生労働委員会で公的年金改革法案、いわゆる“年金カット法案”を強行採決した。

 この法案は、物価と賃金で下落幅がより大きいほうに合わせて年金も減額するというもので、年金支給額は現在より5.2%も減少。
 国民年金は年間約4万円減、厚生年金ではなんと年間約14.2万円も減るという。安倍政権は、年金運用の方式を変えた結果、わずか15カ月で10.5兆円の年金をパーにしてしまったが、その責任をとることなく国民にツケを回そうとしているのだ。

 しかも、そのやり口も卑劣きわまりないものだった。衆院厚労委でこの法案が審議入りしたのは11月4日、ちょうどTPP承認案および関連法案を衆院TPP特別委員会でだまし討ち強行採決した日だ。

 TPP法案は13時から衆院本会議で「パリ協定」の承認案を採決する予定だったが、衆院TPP特別委委員長である塩谷立元・自民委員長職権で本会議後に予定されていた特別委をいきなり開催。自公の賛成多数で可決してしまったのだが、実は同じ日に衆院厚労委でも、野党の反発のなか、委員長職権で審議入りしてしまった。

 その後、TPP法案の余波で審議がストップして、年金カット法案についてはろくな審議も行われていない。そのため野党は徹底審議を求めていたが、またも与党は委員長職権で本日の大臣質疑を決定。一気に強行採決にもっていったのだ。

 さらに、である。本日の同委に出席した安倍首相は、野党が法案の不安を煽っているとし、こうがなり立てた。
「みなさんの信用が上がることはありませんよ。はっきりと申し上げとくけど! それで民進党の支持率が上がるわけではないんですよ!」

 法案の問題点が追及されているのに、なぜか「支持率」をもちだす。……逆に言えば、この総理は支持率のために政治をやっているのか?という話だ。
 だが、どうやらこれは安倍首相の偽らざる本音だったらしい。今回の強行採決について、自民党関係者はこう語る。

「マスコミが朴槿恵大統領のスキャンダルや、トランプの話題でもちきりですからね。支持率も上がっていますし、いま、強行採決をしても国民から反発を受けないから、一気にやってしまえ、ということだったんでしょう」

 支持率さえ高ければいい。議会運営のルールなんてはなから無視、数の力があれば何でも押し切れるという横暴──。
 しかし、テレビのワイドショーは、この自民党関係者の言うように朴大統領問題一色。年金カット法案についてはまったく触れようとせず、ストレートニュースで少し伝える程度。NHKも安倍政権に都合の悪い法案のときのパターンで、国会審議中継はなしだ。
 隣の国の大統領のスキャンダルにはしゃいでいるうちに、国民の社会保障、将来の年金がどんどん削減されていいのか。

 本サイトは安倍首相がこの年金カット法案成立に意欲を見せた10月15日、この法案の問題点やこれまでの安倍政権お年金政策のデタラメを批判する記事を掲載した。以下に再録するので、本会議で強行採決される前にぜひ読んでほしい。(編集部)

試算も詐欺まがい 安倍政権「年金カット法」のイカサマ
2016年10月20日 日刊ゲンダイ

 またも安倍政権が公的年金をズタズタにしようとしている。安倍首相は公的年金改革法案について、一昨日13日の参院予算員会で「今国会で審議し成立させてほしい」と明言した。
 
 この法案は「年金カット法案」と呼ばれている通り、年金支給額を抑え込むものだ。2015年より安倍政権は年金カットのために「マクロ経済スライド」を適用したが、それでも物価が上昇しても賃金が下落した場合、年金は据え置きとなっている。

 だが、現在国会に提出している年金法案では、物価と賃金で下落幅がより大きいほうに合わせて年金も減額するというもので、民進党の試算では、年金支給額は現在よりも5.2%も減少。2014年のデータにこの新たなルールを当てはめると、国民年金は年間約4万円減、厚生年金ではなんと年間約14.2万円も減るのだという。

 それでなくても、安倍政権はこの4年のあいだに公的年金を3.4%も減らし、医療面でも70~74歳の窓口負担を2割に引き上げるなど高齢者の生活に追い打ちをかけてきた。今年3月には高齢者の25%が貧困状態にあるというデータも出ており、年金カット法案によってさらに貧困高齢者を増加させることは必至だ。

 安倍政権は年金の第二次政権行こう、損失15カ月のあいだに10.5兆円もの公的年金積立金の運用損失を出した。
 だが、老後の心配などない安倍首相には、苦しい生活を迫られている高齢者の現状など知ったことではないのだろう。現に、安倍首相は年金を削減する一方で、年金積立金10.5兆円を「消して」しまったのだから。

 既報の通り、安倍政権は2014年12月、「株式市場を活性化する」などというまったくインチキな口実で、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用計画を見直して株式比率(国内株、外国株)を50%まで高めたが、その結果、たったの15カ月のあいだに10.5兆円もの公的年金積立金の運用損失を出してしまったのだ。

 しかも、今年4月には2015年度の運用損失が5兆円超に上ることが囁かれていたが、安倍政権は例年7月上旬に実施されていたGPIFの前年度の運用成績の公表を参院選後の7月29日まで遅らせるという姑息な手段で事実を隠蔽。それでも選挙前に不安になったのか、6月27日に安倍首相は公式Facebookで、こんな“デマ”を流している。

〈「株価下落により、年金積立金に5兆円の損失が発生しており、年金額が減る」といった、選挙目当てのデマが流されています。しかし、年金額が減るなどということは、ありえません。このことを明確に申し上げたいと思います〉

 もちろん、5兆円の損失はデマではなく事実であり、実際、7月29日にGPIF は損失額を5.3兆円と公表した。そして、運用損による年金削減についても、当の本人が今年2月15日の衆院予算委で「想定の利益が出ないなら当然支払いに影響する。

 給付に耐える状況にない場合は、給付で調整するしかない」と言及。損失損によっては年金額を減らすと安倍首相自らが答弁していたのだ。安倍首相の投稿こそれっきとしたデマゴギーだろう。

 だが、さらに呆れかえったのは、今月6日の参院予算委でこの巨額損失問題を追及されたときの安倍首相の態度だ。なんと安倍首相は「平成16年度から25年度までの10年間について、現行のポートフォリオで運用したと仮定すれば、従前よりも1.1%高い収益率が得られる」と強弁。

 つまり“10年前からやっていたらうまくいっていた”などと言い出し、10.5兆円をパーにした責任を知らんぷり。挙げ句の果てに「不安を煽るような議論は慎むべき」とまで付け足したのだ。煽るも何も、年金積立金を10兆円も消しておいて、不安を覚えない国民はいないだろうという話である。

 だいたい、安倍首相は「消えた年金」問題が発覚した第一次政権時、「最後のひとりにいたるまでチェックし、年金はすべてお支払いすると約束する」と言ったが、何の約束も果たさないまま退陣。

 さらに昨年には、安保法制のどさくさに紛れて「消えた年金」の発覚後に設置した国民からの申し立てを審査する総務省の第三者委員会を15年6月末に廃止してしまった。結局、持ち主がわからない年金記録は約2000万件も残っている(15年5月時点)。「最後のひとりまで」と言いながら、2000万件も未解決なのだ。

 安倍首相はこの「消えた年金」問題について、2008年1月に開かれたマスコミとの懇談会で「年金ってある程度、自分で責任を持って自分で状況を把握しないといけない。何でも政府、政府でもないだろ」と語ったという。

 年金記録は政府の管理の問題であり国民は何も悪くないのに、ここでもやはり“自己責任”。──こんな人間に「年金は100年安心」などと言われて安心できるはずがないどころか、現状は改悪の道をただひたすらに走っているだけだ。
(水井多賀子)

【出典】LITERA 2016.11.25

出典:LITERA 2016.11.25

TPP崩壊に右往左往 世界が見えない安倍政権と大メディア
TPP離脱を明言(公式フェイスブックから)

TPP崩壊に右往左往 世界が見えない安倍政権と大メディア 日刊ゲンダイ 2016年11月24日

 トランプ次期大統領がTPP離脱を正式に宣言したことで、日本の大手メディアは「打ち砕かれたTPP」「日本苦境に」「安倍政権に打撃」――と大騒ぎだ。

 トランプは21日、ユーチューブに動画を公開。来年1月20日の就任初日から着手する6項目について説明した。その1項目目で「TPPはアメリカをぶち壊す可能性がある」「就任初日にTPP離脱を通告する」と明言したのである。わざわざ1項目目に掲げたのだから、TPPから離脱するのは確実である。

 安倍首相は赤っ恥もいいところだ。なにしろ、TPPを唯一の“成長戦略”にしている安倍は、なんとかアメリカにTPPに参加してもらおうと、つい1週間前、ニューヨークまで飛んで行ってトランプと会談し「信頼できる指導者だ」とヨイショしたばかりである。

 しかも、トランプがユーチューブを公開したのは、安倍が訪問先のアルゼンチンで「TPPはアメリカ抜きでは意味がない」と記者会見でアメリカの参加を熱望した1時間後である。メンツ丸つぶれ。完全にコケにされた形だ。アメリカが参加しなければ、TPPは発効されない。

 しかし、トランプがTPP離脱に動くことは分かっていたことだ。TPP離脱は、トランプの金看板である。

 なのに、淡い期待を抱き会談までしながら、コケにされた安倍はいい面の皮だが、どうかしているのは大マスコミも同じだ。この期に及んで「まずトランプ氏に再考を促す努力を続ける必要がある」「引き続き米国に対して粘り強くTPPの意義を説くことが重要だ」と、社説で主張しているのだから、信じられない。

 説得すればトランプが「はい、そうですね」と応じると本気で思っているのか。だとしたら、安倍と同じく、まったく世界が見えていない。

■ グローバリズムは終わりを迎えた

 TPPを推し進める安倍と大手メディアは、いまだにグローバリズムが世界の潮流だと思い込んでいるようだが、大間違いである。
 イギリスがEUから離脱したのも、アメリカ国民がトランプを大統領に選んだのも、行き過ぎたグローバリズムに対する反乱である。

 いま世界は〈グローバルからローカル〉〈自由貿易から保護主義〉へと大きく転換しはじめている。自分たちが目にしているグローバリズムは、終わりを迎えようとしている可能性が高い。経済評論家の斎藤満氏がこう言う。

 「この先、グローバリズムは、急速にしぼんでいく可能性があります。というのも、グローバル化を推し進めてきたコングロマリット企業が、稼げなくなっているからです。これまでグローバル企業は、大衆を犠牲にして巨万の富を得てきました。ところが異変が起きている。

 通常、世界のGDPが3%成長すると、貿易は4・5%成長するが、オランダのシンクタンクの調査によると、GDPは3%成長しているのに、貿易はゼロ成長となっているのです。グローバリズムが限界に達してしまったのか、貿易が伸びなくなっている。すでに、行き過ぎたグローバリズムが大衆を豊かにしないことは証明されています。

 過去40年、企業収益と株価は実質5倍に膨らんでいるのに、アメリカの製造業の労働者の実質賃金は、ほぼ横ばいです。要するにグローバリズムは、一般大衆はもちろん、大企業にも恩恵を及ぼさなくなりはじめている。トランプ次期大統領は、直感的にグローバリズムの行き詰まりに気づいたのかも知れません」

 グローバルからローカルへと歴史的な転換が起きているのに、安倍政権は、グローバリズムの権化のようなTPPを推し進めようとしているのだから、トンチンカンもいいところだ。
「信頼」ガタガタ/(内閣広報室提供・ロイター)

TPPの欠陥に気づかない大マスコミ

 大新聞テレビがどうかしているのは、世界の趨勢が見えていないだけでなく、いまだにTPPにメリットがあると訴えていることだ。
 成長戦略の材料がTPPしかない安倍が固執するのはまだしも、大新聞まで「TPP離脱は誤った判断だ」「米国の利益にもならぬ」と社説で声高に説いているのだから救い難い。

 なぜ、TPP協議が難航し、トランプが離脱を宣言したのか。TPPが欠陥条約だからだ。TPP協議には12カ国が参加しているが、TPPをスタートさせても、どの国の国民も豊かにならないだろう。なのに、日本の大新聞テレビは、欠陥条約だということに気づかないのだから情けない。

 「グローバリズムを進めれば、景気が上向くという考え方は、もはや時代遅れです。もちろん、国際社会が保護主義を強めたら、貿易が滞って景気が悪化し、失業者が増加する悪循環に陥ってしまうでしょう。ただ、グローバル資本主義の限界が露呈したのも、紛れもない事実です。

 少なくても、一般大衆の暮らしが良くならないことはハッキリしています。グローバリズムを推奨するエコノミストは、TPPによって大企業が儲かれば、貧困層まで恩恵が広がる“トリクルダウン”が起きると主張していますが、トリクルダウンは、世界中どこにも起きていません」(斎藤満氏=前出)

 大手メディアは、TPPが発効したら日本のGDPは13兆6000億円押し上げられ、79万5000人の雇用が生まれると、日本政府の試算をそのままタレ流しているが、とても信じられない。3年前の2013年には、政府はGDPは3兆2000億円増えると試算していたからだ。いつのまにか4倍以上に膨れ上がっている。

 どうせ、安倍政権の言い分をそのまま信じ、TPPを推進する提灯報道をしてきた手前、いまさら方針転換できないのだろうが、いったい大手メディアは誰の味方なのか。

 TPPが空中分解しても、株式市場はまったく失望していないぞ。

■ トランプを説得できるという大甘

 トランプのTPP離脱でハッキリ分かったことは、安倍政権の外交無策ぶりである。安倍は「地球儀を俯瞰する外交だ」などと、エラソーなことを口にしてきたが、無能外交もいいところだ。

 「安倍政権の外交失策は、本来、総辞職もの。トランプ次期大統領と会談した直後にハシゴを外されるなんて失態もいいところです。それもこれも、アメリカ追従のツケが回った結果です。もともと自民党は野党時代、TPPに反対していた。なのに、安倍首相は政権に就いた途端、オバマ大統領に迫られてTPP推進に百八十度転換し、最後はTPP反対のトランプ次期大統領に翻弄され、醜態をさらしている。

 どこに信念があるのか。しかも、TPP推進に1年以上時間をかけたのに成果はゼロです。驚いたのは、安倍さんの周辺から、『TPPがアメリカの利益になると説明すれば、ビジネスマン出身のトランプは翻意するはずだ』などと甘い見通しが流れていたこと。トランプ次期大統領は、海千山千、百戦錬磨のビジネスマンですよ。
本気で説得できると考えていたとしたら、問題外です」(元外交官の天木直人氏)

 ハシゴを外されるとも知らずに、大手メディアは、安倍―トランプ会談を「首相 信頼築けると確信」「大統領就任前、異例」「各国首脳で初 1時間半」などと大ハシャギして伝えていたのだから、あまりにもおめでたい。会談内容は非公開なのに、よくも無責任に「信頼関係築けた」などと報じられたものだ。

 この先、世界はますます混乱していくだろう。先見の明があるリーダーでないと乗り切れない。なのに、まったく世界が見えていない安倍政権と大手メディアでは、日本はどうなるのか。進む道を大きく間違えることになるだけだ。


【出典】日刊ゲンダイ 2016年11月24日

出典:日刊ゲンダイ 2016年11月24日

安倍はトランプに まさか初対面でカネの話をしたんじゃないだろね。 大変なことになるよ。:藤原直哉氏
全世界注目!アメリカ大統領選挙290vs228でトランプ大統領共和党圧勝と民主党大敗退のウラで!イタリア金融危機とEU離脱 ウィズダムスクール 2016年11月の最新世界経済予測 ダイジェスト藤原直哉

安倍はトランプにまさか初対面でカネの話をしたんじゃないだろね。 大変なことになるよ。:藤原直哉氏

 今の日本は何でも金で解決できると思っている人が多いね。
沖縄でも原発でカネでも。でもね、世の中そういう人ばかりじゃない。
 
 海外の税関でいちゃもんつけられたときに、わいろ渡すと通してくれる国と、わいろ渡したら逮捕される国があるでしょ。何でもわいろが通用するわけではない。
 ロシアの経済相が日ロ交渉の前に拘束されたでしょ。あれはプーチンがやったんじゃないのかな?
 ロシアは武力で脅されると非常に強いが、カネで誘惑されたらソ連崩壊の時のようにあっという間に国が崩壊する。カネこそ最大の侵略だということで大統領を17年やっているのがプーチン。まったくカネを止めると飯食えないから、ある程度はやらせるけど、ラインがあって、そこは決して超えさせない。

 米国ではクリントン一家がカネで何でもできるという人たちの集まり。逆にそれだからどんな民族でも宗教でもチームになれた。でもその挙句の果てがこの国家・世界びん乱。トランプはカネでは動かないと思うよ。ものすごい強硬派を国防諜報関係に置いている。
 クリントン一家のカネで動いてきた連中をトルコのエルドアンみたいに一掃する気ではないだろうか。ウォール街も同じ。

 ウォール街と共になんていう大金持ちやら金融機関は足場を失っている。
規制も抜け穴なしに作り変えでしょ。
 トランプは減税を言っているが、本人も果たしてそれで景気が良くなるとは思ってないのではないかな。

 レーガンの時の減税でそのあとの米国がどれだけ大変な赤字大国になり、産業がメルトダウンしたか、あの年なら実感で知っているはずだ。
 同時にレーガンの時にウォール街にソロモンをはじめとした金融テクノロジーを持った連中が入ってきて、根本的に市場の力学を変えてしまった。

 それまで株価は実体経済にリンクして動いていたが、80年代以降は実体経済はそこそこ関係ある程度で、FRBの資金供給とウォール街の金融操作で株も債券も動く時代になった。
 70年代の米国ダウ平均は1000ドル。それが今18000ドル。この40年間に米国が18倍も強くなったかい? 
 あの頃の米国と今の米国を比べたら、増えたのはカネだけ。今は実体経済は地域でも産業でも疲弊の極致。まだよほど80年ころのほうが米国は底力があった。だからウォール街の最初は共和党。70年代のサウジとの付き合い開始以来。

 しかしクリントン政権になって民主党に乗っ取られて今日がある。
トランプは民主党のウォール街は徹底的に壊すだろうし、もうこの連中がいる限りまともな金融は不可能だから、これも実体経済で動く株式市場に戻す気ではないかな しかし結果的に案の定、金利が急騰しちゃったからすべては終わり。

 ただでさえ今年はドル債の債務不履行が大変多いのに、もう来年以降はえらいことになる。当然企業も銀行もサブプライムローンも新興国も潰れだす。
その時に、共和党の伝統として市場は放置するのでしょ。

 ブッシュのような間の抜けた大富豪ではないし、トランプは救済に動かないのではないか。全責任をFRBのイエレンとグリーンスパン以来のFRBのOBに追わせてシステムをひっくり返す気でしょ。

 トランプは債務不履行を何度もやっているから、こういうときの戦略的債務不履行は相当な業だと思う。安倍はトランプにまさか初対面でカネの話をしたんじゃないだろね。大変なことになるよ。敵になるよ。いずれにしろ動乱だ。

どうやったってハードランディングだ。
みなさん、腰を抜かしなさんなよ。


藤原 直哉(ふじわら なおや、1960年 - )は、経済アナリスト(経済評論家)。株式会社あえるば会長、認定非営利活動法人日本再生プログラム推進フォーラム理事長。
東京都生まれ。1983年東京大学経済学部卒業。住友電気工業入社、電線ケーブルの海外輸出業務および企画部門に従事。1985年経済企画庁経済研究所に出向、世界経済モデルを用いた短期経済予測・構造分析・計量経済分析の信頼性向上のための研究に従事。1987年、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券入社、投資戦略調査部で債券・株式の数理分析に従事。のち独立、1996年シンクタンク藤原事務所(株式会社あえるばの前身)設立。




国防長官に「狂犬」マティス元司令官検討 トランプ氏 ワシントン=佐藤武嗣 2016年11月21日00時41分

19日、トランプ次期米大統領(左)
と会談したジェームズ・マティス元中央軍司令官=AP

 米国のトランプ次期大統領(70)は20日、新政権の国防長官にジェームズ・マティス元中央軍司令官(66)の起用を検討していると明らかにした。一方、19日には国務長官候補の一人として名前があがっているミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事(69)と会談し、外交問題で意見交換。近く両ポストを発表するとみられる。

 トランプ氏は19日、トランプ氏が経営するゴルフ場にマティス氏を招き、約1時間会談した。20日朝、自らのツイッターで「マティス大将は非常に印象的だった。大将のなかの大将だ」と語り、国防長官の最有力候補であると明かした。

 マティス氏は軍歴44年の元海兵隊大将。イラク戦争などでの戦闘指揮経験が豊富で、「狂犬」の異名を持つ。イランとの核問題の合意に強く反対している。

 一方、トランプ氏は19日にロムニー氏とも約1時間半会談した。ロムニー氏は会談後、記者団に、ポスト就任の打診があったかは明言を避けつつ、「様々な世界情勢に関し、広範な議論を交わした」と強調。「トランプ氏と話す機会が得られて光栄だ。次の政権が誕生するのを楽しみにしている」と語った。

 ロムニー氏は2012年の大統領選の共和党候補。今回の選挙ではトランプ氏を「ペテン師で大統領になる資質も判断力もない」と痛烈に批判して不支持を表明し、対立していた。

 選挙後、ロムニー氏は国務長官候補として浮上。20日にはペンス次期副大統領もテレビ番組で「積極的に検討している」と語った。ただ、米ロ関係の改善を模索するトランプ氏に対し、ロムニー氏は対ロシア強硬派で、外交方針が合うかどうかは不透明だ。

 国務長官候補には、ルドルフ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長やジョン・ボルトン元国連大使、サウスカロライナ州のニッキー・ヘイリー知事らの名前も取り沙汰されている。(ワシントン=佐藤武嗣)

【出典】晴耕雨読 2016年11月21日 / 朝日新聞2016年11月21日

出典:晴耕雨読 2016年11月21日 / 朝日新聞2016年11月21日

いきなりトランプにスリ寄る安倍首相の 無定見と危うさ
急がなきゃ (Photo: AP)

いきなりトランプにスリ寄る安倍首相の無定見と危うさ 日刊ゲンダイ 2016年11月15日

 一国のトップとして節操がなさすぎる。米大統領選から10日足らず。安倍首相が17日にニューヨークでさっそくトランプ次期大統領と相まみえる。

 いくら大統領選を制したとはいえ、まだ就任前の人物のもとに日本の首相が駆けつけるのは極めて異例。「どうぞよしなに」と言わんばかりの卑屈な態度は、安倍政権がトランプ勝利を想定せず、人脈も皆無という異常事態の裏返しだ。

 今年9月に安倍が訪米した時も、外務省はヒラリーとの“押し掛け会談”をセットしただけで、トランプはスルー。まさかの大番狂わせに安倍は狼狽しきり。外務省に「話が違うじゃないか!」といら立ちをぶつけたというから、子どもじみている。

 なぜ、ダダをこねるほどトランプとの“コネ”を欲しがるのか。

 ハッキリ言ってトランプなんて「次期大統領」の肩書がなければ、尊大で傲慢な人種差別主義者の成り金ジイサンではないか。とことん威張り散らすスタイルと、法を軽んじる独裁者然とした振る舞いは欧米社会でも嫌悪の対象で、ヒトラーになぞらえて批判する人も多い。

ロジャー・ウォーターズ氏 (Photo: GETTY)

 元ピンク・フロイドのメンバーで、ミュージシャンのロジャー・ウォーターズ氏もその一人だ。
 ウォーターズ氏は「全体主義国家になる方法はいつも同じ。いつも他者を敵として設定するんだよ。ヒトラーにとってはユダヤ人であり、トランプの場合、メキシコ人やイスラム教徒がそう」と訴え、世界に警鐘を打ち鳴らしている。全世界が危ぶむ排外主義者だと知りながら勝った途端、馳せ参じてしまう安倍の判断にも危うさが漂う。 

■ あぶり出された「ポチ外交」の節操のなさ

 「まずは“危うい問題児”の懐にいきなり飛び込まず、相手の出方を探るのも、それなりの了見のはず。ところが、安倍首相は次期大統領がいかなる人物だろうと、お構いなし。“新たな主人”とのパイプを求めて大慌てです。暴言大統領の誕生は、ひたすら対米従属一辺倒という“ポチ外交”の無定見をあぶり出しました」(政治学者・五十嵐仁氏)

 安倍は10日朝、あえて外務省の手を借りず、われ先にとトランプに自ら電話。そして会談を取りつけた際にはヨイショしまくり。

 「たぐいまれなリーダーシップにより、米国がより一層偉大な国になることを確信している」とほめちぎったのも、トランプの選挙スローガン「メーク・アメリカ・グレート・アゲイン(米国を再び偉大にする)」を、わざわざ織り込んだメッセージだ。“たいこ持ち”さながらの挨拶は、そうまでしてでも次期大統領にスリ寄り、ネンゴロになりたいと願う安倍の悲哀すらにじむ。

 頭越しの会談実現にも外務省は安倍の軽挙妄動をいさめるどころか、岸田外相は「電話会談が全世界で4番目に実現した」と大威張り。政権内部からは「首相とトランプの会話は打てば響くようなテンポの良さだった」「オバマ大統領よりウマが合うかも」という軽はずみな声も聞こえてくる。つくづくマトモな了見の持ち主が、ひとりもいない政権である。

フランスも危うい(ルペン党首)(Photo:AP)

一国の命運を「猛獣使い」に預けていいのか
 ロコツな手のひら返しで新しい“ご主人さま”に尻尾を振る前に、安倍政権は現実を直視すべきだ。
 なぜ、米国民はトランプのような「怪人物」に絶大な権力を与え、核ミサイルのスイッチを握らせてしまったのか──。その原因を冷静かつ真剣に検証した方がいい。

「革命は続いている」
 トランプの勝利を受け、米ブルームバーグの取材にそう言い放ったのは、イギリスのEU離脱派の急先鋒だった英独立党のナイジェル・ファラージ党首代行だ。イギリスのEU離脱もトランプ・ショックも勝因は同じ。「保護主義」と「反移民」という内向き思想の大勝であり、それをもたらしたのは、弱肉強食の新自由主義に根ざした経済のグローバル化の弊害である。

 「特に米国は国際金融資本に有利な減税や規制緩和に舵を切り、狂乱のマネーゲームを誘引。ゲームに興じた一握りの1%と、乗り遅れた99%との間に激烈な所得格差を生み出したのです。経済のグローバル化は国民生活を幸福にしないことに多くの人々が気付き、フランスなどでイスラムテロが相次いだこともあって、欧米社会で反グローバリズムと反移民・難民の流れが一気に渦巻いた印象です」
(経済アナリスト・菊池英博氏)

 ヒト、モノ、カネが自由に行き交うグローバル化への大反発が招いたのは「国境の警護」と、市場を閉ざす「保護主義」への大きな揺り戻し。行き着く先は経済的にも政治的にも明日が見えないカオスの時代である。

 しかも、反グローバル化の嵐は今後も次々と危ういリーダーを産み落としそうだ。
向こう10カ月の間にイタリア、オランダ、ドイツ、フランスで国政レベルの選挙を控えているが、おしなべて「保護主義」と「反移民」を掲げる政党が躍進する見込みなのである。
レンツィ伊首相が大型減税を発表 (Photo: Reuters)

■ 反中国のためなら独裁国家にも大盤振る舞い

 イタリアでは来月4日に憲法改正の是非を問う国民投票を実施。レンツィ首相が公約する「否決なら辞任」という事態になれば確実に早期選挙だ。EUに批判的な新興政党「五つ星運動」には追い風で、来年早々には毒舌お笑い芸人のベッペ・グリッロ党首率いる反EU政権が誕生する可能性は高い。

 来年3月実施のオランダの総選挙は反イスラムを掲げる「自由党」が第1党に躍り出る勢い。5月のフランス大統領選も、下馬評では反移民の極右政党「国民戦線」のマリーヌ・ルペン党首に「当選の目がある」と伝えられる。反グローバル化の波はドイツにも例外なく押し寄せ、反移民感情をあおる極右政党「ドイツのための選択肢」が、あらゆる地方選で躍進。来年秋の総選挙の結果次第では、メルケル首相の「寛容な難民政策」だって転換しかねない。

 隣国・韓国で死に体の朴槿恵に取って代わる次期大統領の有力候補、野党第1党「共に民主党」の文在寅・前党首も厄介な人物だ。すでに竹島上陸を果たし、民族主義をあおる典型的なポピュリストである。

 つまり今後1年以内で先進国のトップが次々と「ヤバイやつ」に代わる恐れがあるのだが、本当に怖いのはそのつど、安倍が「悪そうなやつは大体友達」といった軽いノリで、スリ寄る姿が容易に想像できることだ。

 産経新聞はロシアのプーチン大統領やフィリピンのドゥテルテ大統領とウマが合うことから、安倍を「猛獣使い」と持ち上げていたが、冗談じゃない。安倍は国際社会から「独裁者」の烙印を押されているトップとも平気で親交を深めてしまう。1年前には中央アジアの独裁国トルクメニスタンに2兆円強もの経済支援の手を差し伸べた。

 「ひと言で言えば無節操な外交方針には、『中国憎し』で凝り固まる安倍首相の頑迷さが透けて見えます。中央アジアの独裁国家への大盤振る舞いは、中国包囲網の一環ですし、トランプ氏にすがり付くのも中国と対峙するうえで、米国の“後ろ盾”だけは絶対に失いたくないからです」(五十嵐仁氏=前出)

 世界全体が混迷の時代に差し掛かっているのに、これだけ無節操で単細胞な首相を抱える不幸を呪うしかないのか。
 無定見な“猛獣使い”に支配されている限り、この国には国際社会からの孤立化が待ち構えている。


【出典】日刊ゲンダイ 2016年11月15日

出典:日刊ゲンダイ 2016年11月15日

トランプが引導 TPP頼みのアベノミクス惨めな幕切れ
TPP頼みのアベノミクス惨めな幕切れ (日刊ゲンダイ)

トランプが引導 TPP頼みのアベノミクス惨めな幕切れ 2016年11月12日 日刊ゲンダイ

終わりは近い…(C)AP
 
「TPPに入ってどうなるか。行き先が分からないバスに国民を乗せないでいただきたい」
 2011年10月の衆院外務委員会。外務大臣に向かってこう絶叫していたのは、当時、野党議員だった自民党の稲田朋美防衛相だが、今や「行き先不明」どころか「出発」すら絶望的になったバスのハンドルにしがみつき、アクセルを思い切り踏み込んで空ぶかししているのが安倍政権だ。

 「TPP脱退」を宣言しているトランプの米大統領就任が決まったにもかかわらず、大統領選の翌日にTPP承認案と関連法案を衆院で通過させ、きのう(11日)は参院で法案審議が始まった。本会議で、野党議員から審議を急ぐ必要性を問われた安倍首相は「保護主義の蔓延を食い止める力になる」「我が国が主導することで早期発効に向けた機運を高めていく」なんて答弁していたが、いつまでトンチンカンなことを言っているのか。

 安倍は17日にNYで行われるトランプとの会談で“口説ける”と思っているのであれば、身の程知らずにもホドがある。

■ 「TPP脱退」 トランプの公約

 何せ相手は4回の自己破産をはね返して巨万の富を築いた海千山千の実業家だ。「テフロン(加工のように傷つかない)・トランプ」と呼ばれる本物のタフネゴシエーターである。
 昼間の大臣室でワイロまがいの金を受け取っていたことがバレ、睡眠障害を理由に国会をズル休みした自称タフネゴシエーターの甘利明前TPP担当相とはモノが違うのだ。ビジネス経験はもちろん、何の苦労も知らない世襲政治家のボンボンが、揉み手ですり寄り、「日本はTPP法案を決めたよ。米国もよろしくね」なんて口にしようものなら、「おまえはケンカを売りに来たのか」と一蹴されるのがオチだ。

 大統領選の結果をみても、トランプを勝利に押し上げた一因は、オハイオやペンシルベニアなどの「ラストベルト(衰退した工業地帯)」と呼ばれる中西部の労働者票だった。NAFTA(北米自由貿易協定)などによって新興国と激しい競争にさらされ、雇用環境の悪化にあえぐ彼らにとって、トランプの「TPP脱退」は公約同然。あっさり翻されれば、それこそ暴動が起きるだろう。

 8300ページに及ぶTPP協定書を分析し、「アメリカも批准できないTPP協定の内容は、こうだった!」(CYZO)を出版した元農相の山田正彦弁護士も「トランプ大統領就任で米国のTPP批准は不可能」と言っていた。これがまっとうな見方であって、安倍がどんなにTPPの旗を振ろうが空中分解は必至なのだ。経済アナリストの菊池英博氏はこう言う。

 「トランプ氏に限らず、米議会で過半数を占める共和党の重鎮、マコネル上院院内総務も『年内に議会で採決することはまずない』と断言しています。米国がこの状態ではTPP発効はムリです。それなのに安倍政権がなりふり構わずTPPに突き進むのは、『我々は米国に従ってきたのだ』という忠誠心を示すためとしか思えません。

 しかし、そんな姿勢をヘタに見せれば『米国第一主義』を唱えるトランプ氏は、米国の方針をTPPから日米2国間のFTA(自由貿易協定)に切り替え、日本に対してさらなる規制緩和や市場開放を求めてくるでしょう。FTAになれば、TPP以上に日本は米国に富を収奪されることになります」

 トランプがFTAにかじを切るのを見越して、安倍政権が地ならしの意味でTPPにシャカリキになっているのだとすれば最悪だ。

日銀もお手上げ(C)日刊ゲンダイ

「成長戦略の柱」折れてアベノミクスは崩壊した

 そもそも、TPPに参加する12カ国のうち、シンガポールのように議会承認が不要な国を除くと、協定承認を終えたのはマレーシアだけ。
 米国際貿易委員会(USITC)のTPP影響評価報告で「確実に経済成長する」と見込まれているベトナムでさえ、国会審議を先送りしている。それなのに日本だけが前のめりになっているのは、安倍政権がTPPを「成長戦略の柱」と位置付けてきたからだ。
 安倍政権の経済政策「アベノミクス」は、「金融緩和」「財政出動」「成長戦略」の“3本の矢”が看板だった。ところが「金融緩和」では、黒田日銀が2013年4月に「2年間でインフレ目標2%達成」を掲げ、「国債購入年間80兆円」や「ETF購入年間6兆円」によって市場をカネでジャブジャブにしたものの、いまだに目標達成はホド遠い。その上、国の借金は今や過去最大の1062兆5800億円まで膨らんでいるから、オイソレと「財政出動」もできない。要するに2本の矢はとっくに折れていて、最後の頼みの綱がTPPだったのだ。

■ 対中政策も見直し必至

 さらに日本にとって、中国が参加していないTPPは「安倍政権が強調している『中国包囲網』の砦」(前出の菊池英博氏)だった。中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に対し、米国と歩調を合わせて参加を見送ったのも、TPPという後ろ盾を見込んでいたからだ。安倍政権にとってTPPは単なる経済協定ではなく、アベノミクスや対中政策の要であり、今さら引くに引けないのが実情なのだ。

 追従してきた米国にハシゴを外されるのも皮肉な話だが、いよいよ安倍政権もオシマイだ。

 「日銀の政策の行き詰まりが露呈したように、すでにアベノミクスは事実上の破綻状態です。安倍政権はそれをTPPなどで脚色したり、演出したりしてごまかしてきましたが、結局、経済の好循環も成長戦略も何もなかったわけです。
 トランプ大統領になって、その失敗がいよいよハッキリしてくると思います」(経済評論家の斎藤満氏)

 安倍はトランプとのNY会談で、あらためて「米国のTPP脱退」を確認させられるだけじゃなく、「アベノミクス」についても引導を渡されに行くようなもの。見るも無残で、ナントも惨めな結末だ。「保護主義の蔓延を食い止める」なんて内政的に強がりのポーズを見せているだけで、おそらく“泣き落とし”以外に外交戦略はない。

 トランプもそんなことはとっくに承知しているだろうから、新たな無理難題を押しつけてやろうと、手ぐすね引いて待ち構えているだろう。

 もはや安倍政権に残された道は退陣しかない。


【出典】 日刊ゲンダイ 2016年11月12日

出典:日刊ゲンダイ 2016年11月12日

日本が財政破綻を起こすのがいつになるか 現実的に予想してみる
(絵)東京幻想

日本が財政破綻を起こすのがいつになるか現実的に予想してみる Submitted by WEB情報屋 on Mon, 10/03/2016 - 05:41

 日本は、国債の償還に国家予算の40%を必要としていて、更に社会保障費がこれから毎年2.5兆円ずつ増大していくという計算がなされています。この借金が作り出された原因は、バブル崩壊後に国の財政が上手にコントロールされなかった事でした。

 今後の選択肢としては(1)大増税(2)社会保障費の削減(3)大増税と社会保障費の削減のどちらも行うという事になります。何故か政治家は『消費税を上げよう』という議論になりますが、消費税というのは、ホイホイ簡単に上げられません。

 日本の国の財政のほとんどが国債の償還、社会保障費用として使われているのは、意図せずとも、日本は国がお金を集めてそれを国債償還と社会保障に使わなければならないという状況で、計画経済のようになってしまっていることが分かります。

 シンプルに計算した場合には、日本が財政的に危機的状況になるのは、2020年代になると予想できます。遅くとも、2020年後半頃になると日本の財政はどうしようもない状況になっているでしょう。それは、今から10年後に起きてしまう事です。


債権者は誰で債務者は誰なのか

 債権者(取り立ての権利を行使できる人)というのは、『国から今すぐに年金・医療費の支給が受けられる高齢者』という事になります。そして、その社会保障費が上昇した分だけ『毎年のように税収が必要になる』という事になります。

 過去の国家破綻と異なるのは、日本国内に『債権者と債務者が混在している』という事です。言い換えれば、高齢者の多くが年金・医療を20年~30年間ほど『国家から受け取る権利を有する』という債権を持っており、それを国家は何としても支払う義務が生じている訳です。

 国債にしても同じことが言えて、債権を保有しているのは日本の銀行・年金基金などに当たるので、これらの債権を保有している銀行・年金基金にお金を預けている人は、国家からお金を受け取る権利を有していると言えます。そして国家は、銀行・年金基金に対してお金を何としても支払い続けなければいけません。


増税の限界と社会保障費の削減

 消費税を8%に上げた時の経済失速を見ると、増税がいかに危ういものかという事が分かります。これ以上、国民の財布の紐が閉まるようになってくると、経済が一段と冷え込んで、税収が減少する事で、日本の財政状況が更に厳しくなることが予想されます。政府は、外債の発行を行う事になっていきますが、外国債の発行を行う事は、通貨を外国にコントロールされやすくなるので、日本国内で通貨がコントロールできなくなる危険を伴う事になります。

 日本の場合には、外債を発行して外国に購入して貰うと言っても、その金額が莫大なので、そもそも『購入できる国がほとんどない』という事になります。また、外債を発行するまでになった『安全性も高くない』かつ『金利も低すぎる』外債を買う人など世界中のどこにもいません。

 言い換えれば、外債を発行するのであれば、金利3~5%にしなければならず、そんな高い金利を付けていたら、日本の財政はあっという間に破綻してしまいます。簡単に言えば、外債を発行するというプランが現実的ではないことが分かります。


年金積立金が2033年に枯渇する

 年金の積立金は、厚生年金が2033年に枯渇、国民年金が2037年に枯渇すると予想されています。この年金枯渇を避けるためには、支給年齢を引き上げるしかありません。


 厚生年金の積立金は、2038年に枯渇する予定ですが、これを支給年齢70歳に引き上げることによって、2054年まで引き延ばすことができるとされています。更に75歳まで支給年齢を引き上げることによって、枯渇を引き延ばせるとされています。

 しかし、問題にされているのは、多くの人が65歳~70歳までに必要な生活費である500万円~1000万円の退職金を全て使い果たしてしまう事になってしまいます。その後の人生というのは、年金がないままで老後を過ごさないといけないので、大変な人生を過ごさざる得ないという事になります。


急激なインフレが起こる可能性

 歴史上に何度か急激なインフレが起こっており、例えば1991年ロシアで急激なインフレが起こり、物価が1年で25倍になるような状況が起こりました。

 お金が価値を失うので、札束を抱えて日用品を買うような状況になってしまったという事でもあります。こうなってくると、誰もお金をほしがらないので、労働に対する対価は現金支給となり、必要なものは、お米などを使って交換するというような状況が発生しました。

 通貨の信用が失われた事によって、ロシアは外貨を返済する事もできなくなり、1998年8月17日にロシアはデフォルト(債務不履行)宣言して、国営銀行の営業を停止(預金封鎖)を行なう事になりました。


【出典】 WEB情報資産の研究ブログ

出典:WEB情報資産の研究ブログ

安倍首相が14万円減の「年金カット法案」! 運用失敗で 10.5兆円をパーにしたのを隠し国民にツケ回す厚顔

安倍首相が14万円減の「年金カット法案」! 運用失敗で 10.5兆円をパーにしたのを隠し国民にツケ回す厚顔    LITERA 2016.10.15

 またも安倍政権が公的年金をズタズタにしようとしている。安倍首相は公的年金改革法案について、一昨日13日の参院予算員会で「今国会で審議し成立させてほしい」と明言した。
 この法案は「年金カット法案」と呼ばれている通り、年金支給額を抑え込むものだ。2015年より安倍政権は年金カットのために「マクロ経済スライド」を適用したが、それでも物価が上昇しても賃金が下落した場合、年金は据え置きとなっている。

 だが、現在国会に提出している年金法案では、物価と賃金で下落幅がより大きいほうに合わせて年金も減額するというもので、民進党の試算では、年金支給額は現在よりも5.2%も減少。2014年のデータにこの新たなルールを当てはめると、国民年金は年間約4万円減、厚生年金ではなんと年間約14.2万円も減るのだという。

(出典)株式会社アゴラ研究所

 それでなくても、安倍政権はこの4年のあいだに公的年金を3.4%も減らし、医療面でも70?74歳の窓口負担を2割に引き上げるなど高齢者の生活に追い打ちをかけてきた。今年3月には高齢者の25%が貧困状態にあるというデータも出ており、年金カット法案によってさらに貧困高齢者を増加させることは必至だ。

 だが、老後の心配などない安倍首相には、苦しい生活を迫られている高齢者の現状など知ったことではないのだろう。現に、安倍首相は年金を削減する一方で、年金積立金10.5兆円を「消して」しまったのだから。

 既報の通り、安倍政権は2014年12月、「株式市場を活性化する」などというまったくインチキな口実で、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用計画を見直して株式比率(国内株、外国株)を50%まで高めたが、その結果、たったの15カ月のあいだに10.5兆円もの公的年金積立金の運用損失を出してしまったのだ。

 しかも、今年4月には2015年度の運用損失が5兆円超に上ることが囁かれていたが、安倍政権は例年7月上旬に実施されていたGPIFの前年度の運用成績の公表を参院選後の7月29日まで遅らせるという姑息な手段で事実を隠蔽。それでも選挙前に不安になったのか、6月27日に安倍首相は公式Facebookで、こんな“デマ”を流している。

〈「株価下落により、年金積立金に5兆円の損失が発生しており、年金額が減る」といった、選挙目当てのデマが流されています。しかし、年金額が減るなどということは、ありえません。このことを明確に申し上げたいと思います〉

 もちろん、5兆円の損失はデマではなく事実であり、実際、7月29日にGPIF は損失額を5.3兆円と公表した。そして、運用損による年金削減についても、当の本人が今年2月15日の衆院予算委で「想定の利益が出ないなら当然支払いに影響する。給付に耐える状況にない場合は、給付で調整するしかない」と言及。損失損によっては年金額を減らすと安倍首相自らが答弁していたのだ。安倍首相の投稿こそれっきとしたデマゴギーだろう。
 だが、さらに呆れかえったのは、今月6日の参院予算委でこの巨額損失問題を追及されたときの安倍首相の態度だ。なんと安倍首相は「平成16年度から25年度までの10年間について、現行のポートフォリオで運用したと仮定すれば、従前よりも1.1%高い収益率が得られる」と強弁。つまり“10年前からやっていたらうまくいっていた”などと言い出し、10.5兆円をパーにした責任を知らんぷり。挙げ句の果てに「不安を煽るような議論は慎むべき」とまで付け足したのだ。煽るも何も、年金積立金を10兆円も消しておいて、不安を覚えない国民はいないだろうという話である。

(出典)株式会社アゴラ研究所

 だいたい、安倍首相は「消えた年金」問題が発覚した第一次政権時、「最後のひとりにいたるまでチェックし、年金はすべてお支払いすると約束する」と言ったが、何の約束も果たさないまま退陣。さらに昨年には、安保法制のどさくさに紛れて「消えた年金」の発覚後に設置した国民からの申し立てを審査する総務省の第三者委員会を15年6月末に廃止してしまった。結局、持ち主がわからない年金記録は約2000万件も残っている(15年5月時点)。「最後のひとりまで」と言いながら、2000万件も未解決なのだ。

 安倍首相はこの「消えた年金」問題について、2008年1月に開かれたマスコミとの懇談会で「年金ってある程度、自分で責任を持って自分で状況を把握しないといけない。何でも政府、政府でもないだろ」と語ったという。年金記録は政府の管理の問題であり国民は何も悪くないのに、ここでもやはり“自己責任”。──こんな人間に「年金は100年安心」などと言われて安心できるはずがないどころか、現状は改悪の道をただひたすらに走っているだけだ。
(水井多賀子)

【出典】 LITERA 2016.10.15

出典:LITERA 2016.10.15

安倍首相が自民党改憲案を 「僕ちゃん知らない、谷垣くんだもん」と大嘘!  安倍は改憲案にこんなに関わっていた
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安倍首相が自民党改憲案を「僕ちゃん知らない、谷垣くんだもん」と大嘘!  安倍は改憲案にこんなに関わっていた LITERA 2016.10.04

 どこまで国民の権利を軽んじれば気が済むのか。そう思わずにはいられない発言が、会期中の臨時国会で次々に安倍首相の口から飛び出している。9月30日の衆院予算委員会では、基本的人権を《侵すことのできない永久の権利》と定めた憲法97条が自民党憲法改正草案ではそっくりそのまま削除されていることを民進党の細野豪志議員より問われると、安倍首相はしれっと「条文の整理にすぎない」と明言した。

 さらに、昨日3日の同委員会では、今度は民進党の長妻昭議員が、同じように基本的人権について定めた憲法11条の、《現在及び将来の国民に与へられる》という部分が憲法改正草案では削除されていることなどを挙げ、「自民党の責任者として、なぜこういう改正草案を出されたのか、基本的人権に関わる条文をこういうふうに変更されたのか。それをご説明いただきたい」と追及した。

 すると安倍首相は、長妻議員を指差しながら「事実誤認がありました」と言い、こうつづけた。
「その事実誤認というのはですね、私が自民党憲法改正草案を出したと言うが、どこに出したんですか? 世に出したのは私ではありません。谷垣総裁のときに出されたわけでありまして。これは屁理屈じゃなくて」

まるでコント!長妻氏「僕ちゃん知らないと聞こえた」⇒
安倍首相が大激怒!「デマゴーグだ」(写真)情報速報ドットコム

 いやいや、安倍首相本人が「憲法改正草案をベースに議論をする」と言ってきたのに、「谷垣時代のものだから」なんて言い逃れが通用するはずがない。これには長妻議員も「『谷垣総裁のときに世に出したものだから、ぼくちゃん知らないよ』というように聞こえた」と応戦したが、安倍首相はこれに激昂したのか、感情的になったときに必ずみせるいつもの早口で、とんでもない話をはじめたのだ。

「『谷垣さんのときに決めたんだから、ぼくちゃん知らない』なんて、私、一言でも言いました? まったく言っていないことを言ったかのごとく言うっていうのは、これはデマゴーグなんですよ。これ典型例ですね」

「ぼくちゃん知らない」というのは、まるで幼稚園児のような道理の通らない責任逃れをするから「ぼくちゃん」と表現しただけだ。それを「デマゴーグだ!」とがなり立てるとは……。これが宰相の発言かと思うとつくづく情けなくなる。

しかも、安倍首相は「(憲法改正草案を)世に出したのは私ではない」と言うが、これこそ大いなる屁理屈だ。たしかに憲法改正草案を自民党が発表したのは2012年4月であり、谷垣総裁時代にあたる。だが、その中身は、完全に安倍マターでつくりあげられたものなのである。
(写真)ANN NEWS

 そもそも自民党は、小泉首相時代に「新憲法制定推進本部」を立ち上げて05年に新憲法草案をまとめたが、09年に「憲法改正推進本部」と改組。このとき、安倍氏は最高顧問として参加している。

 だが、当時は麻生内閣がガタガタの状態で、自民党内も改憲議論を行うような雰囲気ではなかった。そんななかでひとり息巻いていたのが安倍氏であり、安倍氏は集団的自衛権の行使容認を自民党のマニフェストに掲げるよう強固に主張していた。

 そして、ついに政権交代が起こり野党に下野し、自民党内の保守本流が弱体化する一方で、右へ心おきなく振り切れた安倍氏は、稲田朋美氏や加藤勝信氏、礒崎陽輔氏などといった現在の右腕となった腹心たちを束ねて、憲法改正を声高に叫びはじめるのである。
(写真)TBS NEWS23

 実際、当時の安倍氏および周辺の発言は、憲法改正草案に通じる物騒なものばかりだ。たとえば当時、安倍氏が会長となった創生「日本」の研修会(12年5月10日)では、稲田氏は「国民の生活が大事なんて政治はですね、私は間違ってると思います」と言い、第一次安倍内閣で法務大臣を務めた長勢甚遠氏は「国民主権、基本的人権、平和主義、これをなくさなければ本当の自主憲法ではないんですよ」とさえ言い切っている。

 そして、こうした戦前回帰路線の安倍氏が急速に力を強めるなかで憲法改正のための草案づくりは行われていった。しかも、12年2月に提示された原案では、小泉時代の新憲法草案でも保守色が強すぎると見送られた日本の歴史、伝統、風土などに触れていただけではなく、国旗国歌の尊重規定や、天皇の「元首」明記、安倍氏がずっと訴えてきた集団的自衛権の容認も織り込まれている。

自民党の憲法改正案がヒトラーと類似していると指摘!
緊急事態条項と全権委任も (写真)真実を探すブログ

 もちろん、ここまで露骨に安倍氏の意向が反映されたのには理由がある。それは、この原案執筆者が安倍氏の側近である礒崎氏だからだ。

 現に、原案に対しては公明党の山口那津男代表が集団的自衛権行使を容認している点を「(従来の政府方針を)変更すべきではない」と述べて不快感を表し、福田康夫元首相らも疑義を呈していたというが、安倍氏は批判などどこ吹く風で「日本の伝統を踏まえた自民党らしい憲法草案だ。

 他党に配慮するのではなく現行憲法の問題点を直視し、日本の伝統、国柄を踏まえたものを堂々と出していくべきだ」と手放しで賞賛している。

しかも、原案では自衛隊を「自衛軍」としていたが、これを安倍氏は「自衛軍などという恥ずかしい名称はやめて国防軍とすべきだ」と強調。結果、安倍氏の主張を反映し、12年4月に公表された憲法改正草案では「国防軍」に改められている。

自民党の憲法改正案がヒトラーと類似していると指摘!
緊急事態条項と全権委任も (写真)真実を探すブログ

 どうだろうか。「世に出したのは私ではない」と言って憚らない安倍首相だが、その実体はどう考えても「安倍様の、安倍様による、安倍様のための憲法改正草案」ではないか。
 それを、いざ中身を突っ込まれると、「谷垣総裁のときのものだから俺に訊くな」と言わんばかりの態度で、「デマゴーグだ」などと論点をずらしていく。こうやって安倍首相は、国民の基本的人権をはじめ、自身が憲法改正草案の内容についてどう考えているのかを一切明かすことなく、憲法論議を進めようとしているのである。無論、それは、本音を話せば国民がドン引きすることを本人も重々承知しているからだろう。

 このままでは、安倍首相は解散権を濫用し総選挙に打って出て、憲法改正のための盤石の体制をつくるだろう。そうさせないためにも、今国会を通してしっかりと、野党は徹底して憲法改正草案の恐ろしさを周知させるべきだ。
(水井多賀子)

【出典】 LITERA 2016.10.04

出典: LITERA 2016.10.04

安倍政権も待望、 米軍の「北朝鮮核施設・先制攻撃」が引き起こす悪夢のシナリオ! 沖縄への報復攻撃、泥沼の地上戦、9条改正

安倍政権も待望、 米軍の「北朝鮮核施設・先制攻撃」が引き起こす悪夢のシナリオ!  沖縄への報復攻撃、泥沼の地上戦、9条改正 リテラ 2016.09.13


 北朝鮮が5回目の核実験を強行したことを受けて、在韓米軍がアメリカの超音速戦略爆撃機B1Bを13日に韓国に派遣した。米軍が韓国防衛の決意を強調し、北朝鮮に対する強い姿勢を示したことは間違いないだろう。

 しかも、これはただの牽制では終わらないかもしれない。米国、韓国、そして日本政府の一部には、米軍による北朝鮮の核ミサイル基地への「先制攻撃」を主張する動きがあり、メディアからもそれを煽り、期待する声が出てきているのだ。

 国際社会が束になって批判してもまるで聞く耳を持たない。金正恩という若くクレージーな3代目が率いる“ならず者国家”を説得しても無駄である。だったら、先にやってしまうしかない。そのわかりやすくて勇ましい理屈は、手詰まり状態に不安を抱えている国民にある種の説得力をもって広がっている。
 しかし、実際に強硬策に及んだときに、どんな悲惨なことが起きるのか、私たちは本当にわかっているのだろうか。

 たしかに今回の核実験は、東アジアの平和にとてつもない脅威をもたらす暴挙だ。爆発規模は1月に実施した4回目核実験の約2倍。しかも、初めて弾道ミサイルに搭載できる核弾頭の爆発実験に成功したと北朝鮮は主張している。もし本当ならば、いつでも核ミサイルを発射できる体制が整ったということになる。SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)を使えば、アメリカ本土も射程に入ることになる。

 しかし、これはけっしてメディアが叫んでいるような「金正恩の狂気」の結果ではない。むしろ、米国、韓国、日本の対北朝鮮政策がもたらした必然の結果と見るべきだ。
 この間、オバマ政権はアジア太平洋地域の軍事プレゼンスを高めるためと称して、北朝鮮に激しい圧力をかけ続けていた。米韓合同軍事演習は年々エスカレートして、ついには先制打撃や金正恩体制の崩壊、領土占領、韓国による吸収統一狙った演習にまで発展している。北朝鮮はそのたびに反発していたが、アメリカも国際社会も聞く耳を持たなかった。この動きが、金正恩に大きな「やらなければやられる」という恐怖を与えたのは間違いない。

日本に点在する米軍の核攻撃基地

 金正恩をとくに震え上がらせたのが、米韓合同軍事演習にステルス戦闘機を参加させて行った秘密訓練ではないかといわれている。これは、レーダーに捕捉されないステルス戦闘機を平壌上空に送りこみ急降下や急上昇で威嚇する「5030」と呼ばれる作戦で、米軍は金正日体制時代の2000年代から行ってきたといわれているが、夕刊フジ(2013年4月7日付)によれば、金正恩体制の2013年にも同様の作戦を展開した可能性があるという。

 今年に入ると、米軍の圧力はさらに強まった。3月には、大量の核兵器を搭載できるステルス爆撃機B2を3機、アジア太平洋地域に配備したしたことを公表。そして、今年の8月には、米空軍がグアムのアンダーセン空軍基地に核爆弾を投下できる超音速戦略爆撃機B1Bを配備することを明らかにした。

 これによってアメリカの脅威が一気に増した北朝鮮は、8月22日から始まる米韓合同軍事演習に向けて、再三の警告を発していた。同月23日には、米韓合同軍事演習が朝鮮半島を「戦争の瀬戸際に追いやる許しがたい行為」だとして国連代表部を通じて安全保障理事会の緊急会合を開くよう求める書簡を議長国のマレーシアに送ったが、北朝鮮の要請は無視された。

 金正恩が核開発を本格化させていったのは、こうした強硬政策の結果であり、そのやり方は完全に裏目に出たというわけだ。

 アメリカの失敗はそれだけではない。北朝鮮のコントロールには中国の協力が不可欠で、今年1月の核実験の時には、その中国も日米韓に同調して制裁強化に踏み出す気配だった。ところが、在韓米軍が最新鋭迎撃システムTHAAD(最終段階高高度地域防衛)ミサイルの配備を決めたことで中国、ロシアの反発を招き、北朝鮮包囲網の連携を壊してしまった。


 一方、日本はこうした緊張の最前線にいながら調整に乗り出すでもなく、独自の外交ポリシーもなく、一方的にアメリカに追随してきた。安倍政権による日米軍事同盟強化によって、かえって危険が増したといっても言い過ぎではない。アメリカと北朝鮮がことを構えることになれば、アメリカに同調する日本が標的になることが明らかだからだ。
 もちろん、本サイトは北朝鮮の核実験を支持しないし、擁護するつもりもさらさらない。だが、武力に対して武力で対抗しても、さらに状況をエスカレートさせるだけで、むしろ解決をどんどん困難にしていくことにしかならないのは明らかなのだ。

 ところが、日米韓の政府の一部や保守メディアはそうした強硬策への反省はまったくなく、それどころか前述したような「先制攻撃論」を叫び始めている。これがいかに非現実的な対応策であるかは、少し考えただけでわかる。

 たとえば、米軍が前述のグアム・アンダーセン空軍基地から超音速戦略爆撃機B1Bを出撃させ、北朝鮮の核ミサイル基地を空爆したとしよう。
 金正恩はどう出るか。報復として直ちに在韓米軍基地、在日米軍基地へのミサイル攻撃を指示するのは確実だろう。日本では、在日米軍施設の約74%が集中する沖縄などが攻撃目標とされる。


 日本はミサイル防衛システムでこれを迎撃することになるが、本当に撃ち落とせるかどうかは疑問だ。たとえば、北朝鮮が8月3日、弾道ミサイル2発を秋田沖に落下させた際、日本政府が発表したのは1時間以上経った後。破壊措置命令も出されなかった。9月5日、3発が北海道沖に落下させた際も、海上保安庁から船舶へ情報が出されたのは19分後で、落下した後だった。1兆5千億円以上の予算をつぎ込んできたミサイル防衛だが、まともに機能していないのである。

 しかも、米軍は核基地空爆と同時にステルス機を使って平壌に迫り、さらに韓国軍の地上部隊が38度線を超えて平壌に侵攻、金正恩を抹殺する計画もあるというが、こんなことを強行すれば、泥沼状態になるのは確実だ。

 軍事力の差を考えれば、平壌は数日で制圧できるかもしれないが、両軍ともに多数の犠牲者が出て、さらに大量の難民流出が起きることになるだろう。しかも、首都を制圧しても、金体制の残党によるテロが頻発する可能性もある。


 事実、過去アメリカのこうした軍事介入はことごとく失敗している。アフガニスタンではタリバン政権転覆に成功したが、その後、同国内はバラバラになり、再びタリバン勢力が盛り返し、米軍は撤退を余儀なくされた。オサマ・ビンラディンを暗殺しても、テロはむしろ増えている。甚だしいのがイラクである。アメリカの軍事介入によって、「イスラム国」という手のつけられないテロリスト集団を生んでしまった。

 北朝鮮でも同様に、軍事的威圧作戦は問題解決にならないばかりか、ますます制御不能の“化け物”を成長させてしまう危険すらある。
 まさに、悪夢のシナリオというしかないが、さらに最悪なのが、安倍政権がこの状況を警戒しているどころか、むしろ積極的に政治利用しようと手ぐすねをひいていることだ。
北朝鮮の平壌で開かれた朝鮮人民軍の式典(労働新聞より)

「今のところ、緊急事態条項からの改憲考えている安倍政権ですが、もし北朝鮮情勢が動けば、一気に本丸9条改正に向けて動き出すのは確実です。衆議院を解散し、北朝鮮危機を煽って議席の大半を独占。そのまま発議、国民投票にまで一気にもっていく。すでに、そのシミュレーションはできていると思いますよ」(政治評論家)

 そして、今の日本のメディアや世論の状況を見ていると、実際に事態が動いてしまったら、これに抗することはかなり難しいだろう。新聞もテレビも先制攻撃論と9条改正一色に染まり、北朝鮮への武力行使に反対するものは「非国民」「反日」扱いされて排除される。そんな事態が現出するはずだ。

 これはけっして、妄想ではない。金正恩が安倍首相の戦前回帰の野望実現の最大の協力者になる可能性はけっして低くない。
(野尻民夫)

【出典】 リテラ 2016.09.13

出典: リテラ 2016.09.13

またアベノミクスの嘘を証明する統計が!  増えたのは企業の内部留保と役員報酬、株主配当だけ、 賃金はさらに減少

またアベノミクスの嘘を証明する統計が! 増えたのは企業の内部留保と役員報酬、株主配当だけ、 賃金はさらに減少 LITERA 2016.09.07

またアベノミクスの嘘を証明する統計が! 増えたのは企業の内部留保と役員報酬、株主配当だけ、 賃金はさらに減少 LITERA 2016.09.07
 国民はこの数字をもっとしっかりと見るべきだろう。そう、アベノミクスはインチキだったことを改めて証明する統計結果が明らかになったのだ。
 財務省が9月1日に発表した法人企業統計によると、2015年度の企業の利益剰余金が前年度より23兆円あまり増えて377兆8689億円となり、4年連続で過去最高を更新した。法人企業統計は営利企業の実態などを把握するために財務省が企業の決算内容をまとめたものだ。利益剰余金とは、企業が稼いだ利益から株主配当などを差し引いた、いわゆる「内部留保」だ。

 グラフにするとよくわかるが、この内部留保は安倍政権発足後から右肩上がりで激増している。2011年度と比べると実に100兆円近くも、さらに10年前と比べると175兆円も膨らんでいるのである。それだけ企業がお金を貯めこみ、肥え太ったというわけだ。
 安倍晋三首相が念仏のように唱えるアベノミクスは、まず企業が肥え太って儲かれば、やがて富の雫が下々にまで滴り落ちてくるという理屈だった。トリクルダウンという理論だ。ところが安倍政権発足後、一般会社員の賃金は一部の超大手企業を除けば減少している。

 それは前述の企業統計でも明らかだ。「しんぶん赤旗」の計算によると、資本金10億円以上の大企業の場合、従業員へ支払った賃金の総額こそ前年度より増えたものの、1人当たりは年間1.8万円減の561.7万円だった。総額が増えているのに1人当たりの賃金が減っているというのは、要するに非正規労働者など賃金の安い従業員が増えたからだ。これが安倍が自慢する「雇用の拡大」の現実なのだ。しかも、賃金総額自体も安倍政権発足時(2012年10月〜12月期)と比べると、3%も減少している。

 つまり、待てど暮らせど、トリクルダウンはやってこないということだ。
 企業や金持ちばかりが儲かって、貧乏人はいつまでも這い上がれないというのが、これまで本サイトが散々指摘してきたアベノミクスの正体だ。いい加減、国民も目を覚ますべきである。


 しかも、従業員の賃金が減らされる一方で、役員の報酬は増加している。同じく10億円以上の大企業では、総額(8600億円)でも一人当たり(1865万円)でも前年度を上回っているのだ。1億円を超える報酬を取っている経営者は上場企業で昨年443人だったが、今年は503人に増えた。格差はどんどん拡大している。さらに、株主への配当金は前年度の1.4倍を超える17.3兆円、株を持っている人はウハウハだ。そして、大儲けした企業から国が徴収する3税負担額は前年度を200億円も下回った。

 もう、おわかりだろう。安倍の言う「世界でもっとも企業が活動しやすい国」というのは、「下々」にしわを寄せ、格差をつくることで成り立っているのである。にもかかわらず、安倍首相は「アベノミクスのエンジンをブンブン吹かす」などと、ふざけたことを言っているのだ。


 かつて日本は一億総中流と呼ばれ、企業と従業員が一丸となって国際競争に打ち勝ってきた。ジャパンアズナンバーワンと呼ばれた時代だ。それを支えていたのが、世界でも最高水準の労働分配率の高さだった。労働分配率とは、企業が儲けたカネをどれだけ従業員に還元していたかという数値である。

 OECDの調査によれば、1970年代の日本の労働分配率は70%台後半で先進5カ国(G5)の中ではフランスに次いで高かった。
 ところが、この数値がアベノミクスによって、どんどん低下しているのだ。財務省の発表では、2015年度の労働分配率は66.1%だが、これはリーマン・ショック前のミニバブルが起きた07年度(65.8%)以来の低さだという。


 しかも、OECDと財務省の労働分配率の計算式は違っていて、財務省の数値の方が10%前後、高くなる傾向がある。
 それで66.1%ということは、OECDの計算式では、15年の労働分配率は50%台まで低下しているということになる。すでに11年の段階で、OECD方式で算出された日本の労働分配率は60.6%にまで転落し、アメリカを下回って、G5最低になっていたが、状況はさらに悪化。企業が儲けたカネの半分ちょっとしか賃金に回ってこなくなっているのである。

 しかも、一方で、上位1%の高額所得者が占める割合は増えている。日本は今、かつてないほどの格差社会、階層社会に陥っているのだ。
 日本経済の本当の強さを引き出そうとしたら、この問題を是正する施策を打ち出すしかない。だが、アベノミクスは格差拡大、つまりはまったく逆行することをやっている。それで、一億総活躍などといっているのだから頭がおかしいと言うしかない。
(野尻民夫)

【出典】LITERA 2016.09.07

【出典】LITERA 2016.09.07

 

安倍首相のワシントンポスト報道否定こそ大嘘だ!

安倍首相のワシントンポスト報道否定こそ大嘘だ! 過去にも核武装発言を「発言してない」と虚偽の弁明 LITERA 安倍晋三編集部 2016.08.21

 オバマ大統領が現在、検討しているとされる「核兵器の先制不使用宣言」をめぐって、安倍首相がハリス米太平洋軍指令官に反対の意向を示していたことを先週、各紙が報じた。元となったのは15日付けのワシントンポストの報道だ。
 だが、昨晩、安倍首相は記者団に対し、「ハリス司令官との間において米の核の先制不使用についてのやりとりは全くない。どうしてこういう報道になったか分からない」と、ワシントンポストの報道を全否定した。

 しかも、この安倍首相の否定を受けてネット上では安倍応援団が、ワシントンポストにそういうくだりはなく報道を後追いした朝日や毎日が記事を捏造した、などとわめき立て始めた。


 「ワシントンポストの原文を読んできて下さい。反対を示す言葉はどこにも書かれていません」「朝日は英語も読めないのか」「完全にマスゴミの仕業だな」「反日どもがいつものように大嘘を喚いているだけ」
 まったく、バカに構うと日が暮れるとはこのことか。調べればすぐわかるのに嘘ばかり垂れ流すネットの安倍応援団は、元となったワシントンポストの記事をとくと読めばいい。以下が原文と翻訳したものだ。

〈Japan, in particular, believes that if Obama declares a “no first use” policy, deterrence against countries such as North Korea will suffer and the risks of conflict will rise. Japanese Prime Minister Shinzo Abe personally conveyed that message recently to Adm. Harry Harris Jr., the head of U.S. Pacific Command, according to two government officials.〉

〈もしもオバマが核の「先制不使用」を宣言したら、北朝鮮のような国に対する抑止力が損なわれ紛争のリスクが高まると、日本は信じている。2人の政府官僚によると、日本の安倍晋三首相は、このメッセージを最近ハリス太平洋司令官に直接、伝えた。〉

(写真)伊達直人ブログより

 ワシントンポストは、安倍首相が直接、ハリスに「抑止力が損なわれ紛争のリスクが高まる」と伝えた、しかも、2人の政府官僚が証言したとはっきり書いているのだ。これを読んで「反対とは書いていない」と言うのは、もはや英語力以前の問題だろう。これでもまだ捏造と言うのなら、寝言は寝てから言え、という話である。

 だいたい、怪しいのは「ハリス司令官との間において米の核の先制不使用についてのやりとりは全くない」という安倍首相のほうだ。

 実は、安倍首相が7月26日にハリス司令官と会談し、反対の意志を伝えたことは、日本の官邸、外務省関係者も一部のメディアにオフレコで認めていた。日本のメディアは自主規制して報道しなかったが、今回はアメリカ側がそれを報じたため後追いしたのである。
 さらにいえば、日本は国連で一貫して「核兵器禁止条約」の交渉開始決議に棄権しており、核軍縮の進展を目指す国連作業部会の会合でも、佐野利男軍縮大使は安全保障上の問題を理由に核が必要とし「核兵器を削減・廃絶するのはほとんど非現実的」と主張。「核兵器禁止条約」の締結に対して反対し続けている。オバマ大統領が打ち出そうとしている核兵器の先制不使用宣言についても、外務省や政府高官は非公式に反対の意志を示してきた。


 また、安倍首相自身も、2006年に「核兵器であっても、自衛のための必要最小限度にとどまれば、保有は必ずしも憲法の禁止するところではない」と答弁書に記すなど、積極的な核武装論者であることは論を待たない。

 ワシントンポストの記事以前に、こうした事実を総合するだけでも、安倍首相が直接、ハリス司令官に反対の意志を伝えていたと可能性は極めて高いといえるだろう。ようするに、安倍はワシントンポストの報道で、世論から予想外の批判を受けたため、慌てて「発言していない」など得意の二枚舌で否定しただけではないのか。ましてや背後でこれだけの動きをしておきながら、「どうしてこういう報道になったか分からない」などと嘯くのはサイコパスとしか言いようがない。

 実は、安倍は、以前も“核武装”をめぐって発言したことを「発言していない」と大嘘をついたことがある。発端は、官房副長官時代の2002年、早稲田大学で開かれた田原総一朗氏との学生向けシンポジウムのなかで、こんなことを語ったことだった。
「憲法上は原子爆弾だって問題ではないですからね、憲法上は。小型であればですね」

(写真)伊達直人ブログより

 まさに明確な核武装を肯定する発言で、「サンデー毎日」(毎日新聞出版)がこれをスクープしたのだが、安倍はなんとそんな発言はしていないと完全否定したのだ。「サン毎」編集部はこの講演会の録音テープを入手しており、そのテープの内容を詳細に公開していた。にもかかわらず、この発言を追及された国会では、安倍は「使用という言葉は使っていない」と主張しながら、こんなことを言いはじめたのだ。

 「本来静かな学びやであるべき大学の教室にサンデー毎日が盗聴器とまた盗撮ビデオを仕掛けて、そしてそれによってセンセーショナルな話題にするということは、私はそれは学問の自由を侵すことにはならないかと、強い私は危惧を持つものでございます」

 自分にとって不都合な報道には「盗聴器と盗撮ビデオを仕掛けられた」とメディアを一方的に犯罪者扱いする──。もちろん、「サン毎」が盗聴器や盗聴カメラを仕掛けていたという事実はまったくなく、この発言もまた大きな問題になったのだが、保身のためならどこまでも嘘をつき通し、卑劣な罵倒を繰り出す性格は、このころから何も変わっていないのだ。今回のワシントンポストの報道を否定しているのも、それで逃げ切れると考えているのだろう。

 しかし、先日も夏季休暇中に日枝久フジテレビ会長とゴルフに興じていた安倍首相だが、海外メディアを国内メディアのようにゴルフや会食で手なずけることも、官邸が圧力をかけることもできない。実際、国内と違い安倍政権を“忖度しない”海外メディアは安倍首相の極右思想を客観的事実に基づいて冷静に分析、報道してきた。

 だが、そんな報道に対して、首相は「捏造された」と言わんばかりの態度をとっている。今回の問題だって、記事を否定するのであれば核兵器の先制不使用に対する自身の考えをあきらかにするべきだが、それさえしていないのだ。そして、ネット右翼が「反日の捏造だ」と沸き返り、反知性主義丸出しの安倍首相擁護を繰り出す──。つくづく、この国のレベルはどうなっているのか、と溜息をつくほかない。
(編集部)

【出典】LITERA 安倍晋三編集部 2016.08.21

【出典】LITERA 安倍晋三編集部 2016.08.21

 

株買い支えの無意味 黒田日銀が踏み込んだ悪魔の選択

株買い支えの無意味 黒田日銀が踏み込んだ悪魔の選択 日刊ゲンダイ 2016年8月2日
イカサマ相場を維持しようと躍起(写真は黒田日銀総裁)/(C)日刊ゲンダイ

 連日続いた嵐のようなテレビの「都知事選ショー」番組の裏で、亡国の経済政策がどんどん進行している。
 先月29日の金融政策決定会合で、日銀が公表した追加の金融緩和策。ETF(株価指数連動型上場投資信託)の買い入れを、現在の年3・3兆円から年6兆円に倍増させる――とてもじゃないが、中央銀行が打ち出すマトモな金融政策とは言えない。


〈物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する〉

 国内唯一の中央銀行である日銀がホームページで掲げている理念だ。
 「セントラルバンク」と呼ばれる中央銀行は銀行券の独占発行権を有し、金融政策の運営にあたる。当然、政府機関から高い独立性が維持されなければならない。
 ところが、今の黒田日銀は、高い独立性どころか安倍政権の手足となって株価維持にせっせと励んでいる。

 今回のETF購入額の増額なんて象徴的で、株価維持の目的以外に〈国民経済の健全な発展に資する〉意味はどこにもない。黒田日銀はなぜ、こんなバカげた緩和策を打ち出したのか。経済評論家の斎藤満氏はこう言う。

「日銀は、追加緩和に踏み切った理由に英国のEU離脱問題などによる海外経済の不透明感や国際金融市場の不安定さを挙げていますが、不安定どころか安定しているというのがマーケットの認識です。それなのになぜ、日銀が追加緩和したのかといえば、何らかの策を出さないと株価が大暴落するのが分かっていたから。今のマーケットは日銀の独立性など全く信じておらず、安倍政権の『金庫番』と見ている。
 今回も麻生財務相が決定会合前に『(日銀に)引き続き最大限の努力を期待したい』などと発言したため、市場の期待はかなり膨らんでいました。黒田総裁はETF購入増の効果は期待薄と承知しつつも、やらざるを得なかったと思います」

 最近の決定会合は、黒田総裁が何らかの「サプライズ」を演出して市場を円安・株高に誘導するのではないかとの期待感が広まり、前後に円相場や株価が乱高下する事態が常態化している。
 今回は「期待外れ」として市場に失望感が広がったわけだが、よくよく考えると、「日銀の政策=株価」と捉えられている現況そのものが極めて異常と言っていい。


■ 「戦力の逐次投入は行わない」は大ウソ

 あらためて振り返れば日銀が「異次元緩和」と称して「量的・質的金融緩和」に踏み切ったのが2013年4月。「アベノミクス第1の矢」として、「デフレ脱却」「2年間で2%の物価上昇」を目標に掲げ、国債を年60兆~70兆円、ETFを年1兆円、REIT(不動産投資信託)を年300億円それぞれ買い入れることを決定した。

 黒田総裁は当時の会見で「戦力の逐次投入は行わない」「必要な政策は全て講じた」と胸を張ったが、わずか1年半後の14年10月には、国債買い入れ額を年80兆円に増やすことや、ETF、REITともに買い入れ規模を3倍に拡大することを公表。
さらに今年1月には“禁じ手”とされるマイナス金利政策の導入を打ち出した。

 「戦力の逐次投入は行わない」なんて嘘っぱちで、しょっちゅう戦力を「小出し」にしてきたのだが、肝心の「2%の物価上昇」の達成は3年3カ月経っても実現せず、直近の消費者物価指数(6月、生鮮食品を除く)も前年同月比0・5%下落し、4カ月連続マイナスとなった。
 もはや異次元緩和は誰の目から見ても失敗なのに、いまだに“株価連動内閣”といわれる安倍政権を買い支え、イカサマ相場を維持しようと躍起になっている。これが今の黒田日銀なのだ。
 「物価や経済の安定を重視するという本来の日銀の役割を忘れ、株価重視の政府に唯々諾々と従っている。このまま政府と一体となって突き進めば、恐ろしい状況になります」(前出の斎藤満氏)


万策尽きてバブルを招く悪魔の選択にすがる
国民生活がズタズタになる(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

〈政府の取り組みと相乗的な効果を発揮する〉

 今回の追加策で、こう声明を公表した黒田日銀。「相乗的」なんて言葉でゴマカしているが、要するにこれまで以上に安倍政権と日銀がタッグを組んで突っ走る――と宣言したのに等しい。しかし、すでに万策が尽きたとみられる中で、果たしてアベクロ・コンビが打つ手はあるのか。

 埼玉大名誉教授で経済学博士の鎌倉孝夫氏はこう言う。
「金融緩和策をいくら繰り返しても2%の物価上昇は達成せず、今の手法の限界を露呈しています。すでに日銀が買い入れた国債保有残高は約380兆円と国債発行残高の4割にも達しており、これ以上、国債の買い入れ額を増やすのは難しいでしょう。
となれば、あってはならない最悪の事態ですが、考えられる策はバラマキしかない。いわゆる『ヘリコプターマネー』(ヘリマネ)に向かうと考えられます」

 ヘリマネとは一言で言えば、中央銀行が通貨、紙幣をバンバン刷って政府の財源を賄うことだ。財政法で原則禁止された、政府の借金を中央銀行が直接肩代わりする「財政ファイナンス」と言っていい。
 貨幣の流通量が増えれば、当然、通貨価値が下落するため円安になり、物価高につながる。しかし、ヘリマネは資産バブルや急激なインフレ(物価上昇)を招く“悪魔の選択”だ。


■ やるべきことは異次元緩和の軌道修正

 1969年に論文でヘリマネを発表した米国の経済学者ミルトン・フリードマンも「所得増を伴わないマネーの増加は、悪性インフレを通して社会に災いをもたらす」と警告している。
 前出の斎藤満氏も「国民は『タダでカネがもらえればいい』とヘリマネを安易に考えがちですが、とんでもない」と言い、こう続ける。
「財政需要と貨幣価値の大幅低下でハイパーインフレが起き、国民の実質所得、実質資産は大きく目減りします。つまり、『インフレ大増税』となって国民生活に跳ね返ってくるのです。戦時中も日銀が戦費調達のために国債の引き受けを行った結果、戦後に家計の貯蓄を紙くずにして生活を破壊しました。
 黒田日銀は9月の次回会合で、緩和策の『見直し』を示唆し、政府と組んで危険なバクチに出ようとしているように見えます。政府が需要をつくり、日銀がマネーを供給する“連携”は広義のヘリコプターマネーになる。大変な一歩を踏み出すことになります」

 すでに出口戦略が見えない中で国債の“爆買い”を続けている日銀は事実上の「ヘリマネ状態」にあると言っていい。アベクロ・コンビのこれ以上の悪辣を許せば国民生活の破滅は必至だ。
 「今やるべきことは一刻も早く『異次元緩和』を総括し、軌道修正を図ること。さらに『ふかす』なんてとんでもありません。国民生活は取り返しのつかない状況に追い込まれます」(前出の鎌倉孝夫氏)
 こんな暴挙が許されていいわけがないが、大メディアは沈黙だから怖くなる。

【出典】日刊ゲンダイ 2016年8月2日

【出典】日刊ゲンダイ 2016年8月2日

 

小池百合子が都知事になったら安倍首相と手を組み 「改憲」の扇動役になる!“お試し改憲”提案の過去も

小池百合子が都知事になったら安倍首相と手を組み 「改憲」の扇動役になる!“お試し改憲”提案の過去も LITERA 2016.07.29

 東京都知事選も最終盤。候補者レースで優勢といわれるのが元防衛相・小池百合子氏だが、本サイトでは、彼女の“本質”が極右ヘイト政治家であり、ゴリゴリのマッチョ思想の持ち主で“女性の敵”であること、東京に核ミサイルを配備するトンデモ計画を語っていたこと、他にも表現規制推進やネトサポの総指揮官だったことなど、様々にその“危険性”をお伝えしてきた。

 だが、そのなかでももっとも危惧されるのが、都知事に就任した小池氏が、安倍首相とタッグを組んで、「改憲」の旗振り役を務める可能性だ。
 本サイトでも何度も指摘してきたように、小池氏はバリバリの改憲派で、以前から日本国憲法への敵視をむき出しにしてきた。たとえば、自民党の広報本部長を務めていた2011年にはこんなツイートを発している。

〈本日、サンフランシスコ講和条約発効日である4月28日を主権回復記念日として祝日とする議員立法を総務会で承認し、衆議院に提出いたしました。祝日が多すぎるというなら、借り物の憲法記念日5月3日を祝日から外します。〉


 さらに遡ると、2000年11月には国会で“現行憲法の廃止”まで肯定していた。衆院憲法調査会で参考人として承知された石原慎太郎都知事(当時)が“いまの憲法には歴史的正当性がない”などと述べたのを受けて、このように発言したのだ。

「結論から申し上げれば、一たん現行の憲法を停止する、廃止する、その上で新しいものをつくっていく、私はその方が、逆に、今のしがらみとか既得権とか、今のものをどのようにどの部分をてにをはを変えるというような議論では、本来もう間に合わないのではないかというふうに思っておりますので、基本的に賛同するところでございます」(国会会議録より)

 日本国憲法を「借り物」と攻撃する小池氏は、信じられないことに、改憲ならぬ“廃憲”を主張しているのである。念のため確認しておくが、現行憲法は99条で議員など公務員の憲法遵守擁護の義務を規定している。だが、小池氏は“そんなものどうでもよい”と言わんばかりに「憲法の停止、廃止」を謳いあげ、その更地のうえに新憲法を作ろうというのだ。


 また、今、安倍政権や自民党がしきりに口にしている緊急事態条項などから着手する「お試し改憲」についても小池氏はいち早く提案していた。2011年、右派論客である渡部昇一・上智大学名誉教授との対談では、“本丸は9条だが、まずは他の条項を変えてアレルギーを抜くべきだ”として、このように示唆している。

「九条を前面に出すとこの国はすぐ思考停止に陥り、右だ左だと言い合うばかりで何も進まないという事態が何十年も続いてきました。塩野七生さんもおっしゃっているのですが、まずは誰が聞いても『いい』と言えるような憲法から改正して、『憲法は改正できるものだ』という意識を共有するところからはじめたほうが、結果的には早く憲法を改正できるのではないかと思うんです」
(『渡部昇一、「女子会」に挑む!』ワック、2011年)

 そして、第二次安倍政権が成立し、与党内で具体的に“改憲の手順”が話し合われていた昨年2月の段階では、国会という場を使って“16年参院選後の改憲”をアピール。安倍首相への質問のかたちで、財政の権限を定めた憲法83条から「お試し改憲」すべきだと水を向けた。

「例えば、緊急事態に関して、八十三条、財政に関して(の改憲)といったような形を想定しておられるのか、総理の今のイメージをお聞かせいただきたいと思います」
「いきなり全部のメニューを最初からというよりも、ひとつそのような形で進める、九十六条(改憲の発議要件)よりも私は八十三条から始めるべきではないだろうか、このように思っております」

 自民党の改正案によれば、この83条改憲は、現行の「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて、これを行使する」という条項に、「財政の健全性は、法律の定めることにより確保されなければならない」という条項を加えるというもの。一見、どうでもいいような改憲に見えるが、実際は、増税や社会保障費切り捨ての根拠になる可能性もある十分に危険な改憲案だ。


 小池氏から質問を受けた安倍首相は、慎重に言葉を選びながらもときおり小さく笑みを浮かべるなどまんざらでもない様子だった。実際に、「お試し改憲」が83条になるのか、96条になるのか、あるいは緊急事態条項の新設になるのかはわからないが、この時に見せた阿吽のやりとりからもわかるように、小池氏が都知事になった暁には、安倍首相とがっちり手を組み、改憲のスピーカー役を務める可能性が極めて高いのだ。

「世間では小池氏と安倍首相の仲が悪いという印象で捉えられていますが、実は自民党で小池氏を毛嫌いしているのは森喜朗氏など安倍首相の周辺で、総理自体は別に小池氏とウマが合わないわけではない。実際、今回の都知事選でも安倍首相は周囲に『小池さんでいいんじゃないかな』と漏らしていたといわれています。もちろん、表向きは増田寛也氏支持ですが、それはあくまで建前。一時は明日の応援演説に入るという情報も流れましたが、やはり見送る可能性も高いと伝えられています。いずれにせよ安倍首相は、実際には二股をかけていて、選挙後は勝ち馬に乗るでしょう」(全国紙政治部記者)

 また、小池氏のほうも、第一次安倍内閣時に女性初の防衛相に任命してもらったことに多少なりとも恩義を感じているという。事実、今回の選挙戦でも、当初はあれだけ“反・自民都連”を打ち出していたものの、支持が高まるにつれて安倍首相に秋波を送るようになってきた。

たとえば日刊ゲンダイ27日付インタビューで小池氏は、告示前に自民党に「進退伺」を提出したことなど党本部との関係について質問され、完全に安倍首相の顔色を伺うような発言をしている。

「(進退伺の)返事はいただいておりませんが、私は自民党と戦っているわけじゃなく、都連の一部と戦っているんです。ひょっとしたら、(相手は)ひとりです。官邸でも、上の人はこの事態をよくお分かりだと思います」

 さらに言えば、安倍首相から見れば、小池氏が都知事になるメリットは“極右世論形成”の意味でかなり大きい。そもそも都知事は、国務大臣や国会議員よりも、党是や立場に拘束されずに自由に発言することのできるポストだ。またマスコミもその発言を取り上げるうえで野党のような対抗勢力に気配りする必要がほとんどないから、都知事の思想は非常に世の中に浸透しやすい。

 その最たる例が石原慎太郎氏だろう。石原氏の度重なる極右発言はマスコミに大きく取り上げられ、近年の社会の右傾化のバックグラウンドになったのは間違いない。また、在職中に「尖閣諸島を東京都が買う」などと明言した際には中国政府との激しい軋轢を生み、結果、収拾を図ろうとした当時の民主党政権が国有化するなど、日中関係にも多大な悪影響を及ぼした。その意味では、都知事というのは国会議員や大臣よりもはるかに国内外の世論に影響を与える役職なのだ。


 そして小池氏は、今回の選挙戦でも「韓国人学校への都有地貸与の白紙化」や外国人参政権への反対を強く打ち出しており、都知事になれば社会を右に傾ける極右路線を邁進することは火を見るより明らかだ。さらに、かねてから日教組を“反日教育をしている”と敵視してきた小池氏は、都を発端に教育の改悪に着手する可能性も高い。たとえば憲法遵守を訴える都立学校の教員たちを取り締まるように仕向けるなどということもやりかねないだろう。もちろん、日本の中枢である都行政の“改憲教育”は、地方にも波及していく。安倍首相としては願ったりかなったりの状況なわけだ。

 私たちは、このまま小池氏を都知事にさせて、安倍首相との“憲法破壊タッグ”を結成させてもいいのだろうか。有権者は投票前に、今一度よく考えてみてもらいたい。
(編集部)

【出典】LITERA 2016.07.29

【出典】LITERA 2016.07.29

 

戦前か! 自民党がHPで“「子供たちを戦場に送るな」という 偏向教育を行う教員”の通報を呼びかける密告フォーム

戦前か! 自民党がHPで“「子供たちを戦場に送るな」という 偏向教育を行う教員”の通報を呼びかける密告フォーム LITERA 2016.07.09

自由民主党公式サイトより(削除済み)
「学校教育における政治的中立性についての実態調査」のページ

 18歳選挙権を解禁させた初の国政選挙である参院選当日を控えたこのタイミングで、自民党が身の毛もよだつような“呼びかけ”を行っていたことがわかった。
 それは、自民党のホームページに設けられた、「学校教育における政治的中立性についての実態調査」というタイトルのページだ。

 そこには、げに恐ろしい文章が書かれてある。
《党文部科学部会では学校教育における政治的中立性の徹底的な確保等を求める提言を取りまとめ、不偏不党の教育を求めているところですが、教育現場の中には「教育の政治的中立はありえない」、あるいは「子供たちを戦場に送るな」と主張し中立性を逸脱した教育を行う先生方がいることも事実です。
学校現場における主権者教育が重要な意味を持つ中、偏向した教育が行われることで、生徒の多面的多角的な視点を失わせてしまう恐れがあり、高校等で行われる模擬投票等で意図的に政治色の強い偏向教育を行うことで、特定のイデオロギーに染まった結論が導き出されることをわが党は危惧しております。》


 「子供たちを戦場に送るな」と主張することが、政治的中立性に反する逸脱した偏向教育……!?
 生徒のことを思う教員ならば、「子供たちを戦場に送るな」と考えるのはごく自然、当然の話だ。逆にいえば、「子供たちが戦場に送られるのも仕方なし」と考える教員がいたら、そっちのほうが教師失格だろう。

 だが、自民党は、それを「特定のイデオロギー」だと糾弾しているのだ。
 しかも、自民党はこの文面のあとに、《そこで、この度、学校教育における政治的中立性についての実態調査を実施することといたしました。皆さまのご協力をお願いします。》とつづけ、投稿フォームを設置。

 氏名や性別、連絡先などとともに、《政治的中立を逸脱するような不適切な事例を具体的(いつ、どこで、だれが、何を、どのように)に記入してください。》という書き込みができる入力欄を設けているのだ。
 つまり、自民党は「子供たちを戦場に送るな」と言っている学校や教員を“密告”させ、個別的に“指導”を行う気なのだろう。

 これは、学校に思想教育を強制し、子どもたちに「お国のために」と洗脳して戦場に駆り出した戦前戦中の教育体制と、なんら変わらないではないか。さらに、“密告”というやり口もまた、市民を監視させ合うという戦時体制そのままのものだ。
 この“密告”フォームを自民党が設けたのがいつなのかは不明だが、7月7日に自民党文部科学部会長である木原稔衆院議員は、以下のようなツイートとともに投稿を呼びかけている。
〈残念ながら教育現場に中立性を逸脱した先生がいます。18歳の高校生が特定のイデオロギーに染まった結論に導かれる事を危惧してます。そこで、学校教育における政治的中立性についての実態調査を実施します。皆さまのご協力をお願いいたします。〉

 木原議員といえば、あの「マスコミを懲らしめるには広告料収入をなくせばいい」発言が飛び出した「文化芸術懇話会」の代表を務めていた人物。この投稿も、まるでテレビメディアに電波停止と放送法をちらつかせて圧力をかけて黙らせたように、さながら18歳選挙権の解禁とともに学校側に“監視対象”であることを意識させ、萎縮を促すような書き方だ。

 少なくとも、木原議員がこうツイートした7日にはこの“密告”フォームが公開されていたようだが、その後、SNS上で問題視する声があがりはじめると、8日夜に自民党はこのページを削除。さすがに参院選を目前にして批判が高まるのを恐れたのだろうが、こんな実態調査を堂々と公開した自民党の“戦前脳”には、つくづく背筋が凍る。

 しかし、これで自民党の現在の考え方がどんなものなのか、よくおわかりいただけただろう。今回は削除したものの、参院選で改憲勢力3分の2の議席を獲得すれば、彼らは今後、もっと本性を剥き出しにして、愛国心教育とともに“国のために血を流すのが国民の務め”などという価値観を教育現場に再びもたらそうとするはずだ。

「そんな極端な」と思う人は、もう一度、上記の自民党の文言を読んでみてほしい。
自民党は、「子供たちを戦場に送るな」という声を偏向教育だとして取り締まろうとしているのである。これを戦前回帰と言わずして、何と呼べばいいのか。
 一体、参院選で安倍自民党を勝たせたらどうなるのか。投票前によく考えてほしい。
(編集部)
【※7月9日午後3時、続報公開→(リンク)】

【出典】LITERA 2016.07.09

【出典】 LITERA 2016.07.09

 

増税延期会見の支離滅裂で心配される首相のアタマと神経

増税延期会見の支離滅裂で心配される首相のアタマと神経 日刊ゲンダイ 2016年6月2日

失敗認めず(C)日刊ゲンダイ
 いやはや、恐るべき感覚、感性と言うしかない。消費税増税延期を決めて、1日、記者会見した安倍首相のことである。

 厚顔、恥知らずだということはとっくの前から分かっていたが、それが病的なレベルに達している。多くの国民は「この人、大丈夫か?」と心配になったのではないか。それくらい支離滅裂、むちゃくちゃな会見だったのである。

 安倍が表明した消費税増税延期の理由とは、要するに、今はリーマン・ショックの時とは違うし、東日本大震災と熊本地震は同レベルではないが、世界的な需要の低迷、成長の減速が懸念されていて、サミットでもあらゆる政策を総動員することを決めた。議長国として、その責任を果たすために消費税増税を延期する――というものだ。

 よくもまあ、ぬけぬけと……ではないか。先のサミットでは世界経済危機という認識の共有ができずに、安倍官邸は前代未聞の赤っ恥をかいたのである。官邸は新興国の投資伸び率など、重箱の隅をつつくようなデータを用意して、「リーマン危機前と酷似」という認識を各国首脳に植え付け、それを共同宣言に盛り込もうとした。

 もっと言うと、サミット前に安倍は欧州各国を歴訪、合意を取りつけようとした。しかし、米英独仏が反発。キャメロン首相からは「危機とまで言うのはいかがなものか」とたしなめられ、オランド仏大統領には「我々は危機の中にいない」といなされた。

 かくて、共同宣言の表現は大幅にトーンダウンし、英フィナンシャル・タイムズには「安倍氏が説得力のないリーマン・ショックとの比較を持ち出したのは増税延期計画だ」とまで書かれた。日本の大マスコミもいつになく、内幕に踏み込み、安倍の強引なサミット政治利用を批判した。つまり、国民はみーんな、サミットでの安倍独り相撲を知っている。世界経済危機がデッチアゲだとわかっている。


■ 不自然極まりない意味不明会見

 それなのに、イケシャーシャーと「世界経済危機懸念」を持ち出して、増税延期を正当化、アベノミクスの失敗を糊塗するとは、ビョーキ以外の何ものでもない。

 ゴマカすなら、もっとうまくやってほしいものだ。バレバレのネタで、黒を白と言う神経。ここにゾッとするのだが、果たして、経済評論家の荻原博子さんはこう言った。

「最初に、選挙のために増税凍結ありきなんでしょう。でも、前回、増税を見送った時に『次は必ず上げます』と言っちゃたものだから、慌てて理由を探して後付けした。だから、取って付けたような話しかできない。増税を先送りして、『社会保障の財源はどうするんだ』と突っ込まれても、抽象的な話しか出てこない。不自然極まりない記者会見でしたね」

 政治評論家の野上忠興氏は「誠意のカケラもなかった」と斬り捨てた。

「増税の公約を果たせなかった以上、その財源で賄うはずだった社会保障はカットされるわけです。まずは『すみませんでした』と詫びるのが筋でしょう。しかし、アベノミクスの非は認めず、逆にズラズラ数字を挙げて成果を誇った。例によって、野党批判まで口にした。失政を全く認めず、経済減速はすべて世界経済のせいにした。『先のG7ではあらゆる政策をやることになった』などと誇張して、増税延期を正当化した。しかし、こんな説明にはムリがあるから、麻生財務相などが延期に反対したのでしょう? それなのにむちゃな理屈を押し通して恥じない。会見での話し方もどこか高揚していて、マトモには見えず、心配になりましたよ」

 これが国民大多数の感想ではないか。


世界のリーダーは失笑(C)AP

回避したいのは経済危機ではなく政治責任だろう

 経済の専門家の見方はもっと手厳しい。

「安倍総理は会見で『今そこにあるリスクを正しく認識し、危機に陥ることを回避するため、しっかりと手を打つべきだ』と言いましたが、サミットで首脳に配った資料は『今そこにない危機』を誇張するものでした。回避するのは経済危機ではなく、安倍首相の政治責任なのでしょう。安倍首相は世界経済のリスクを説明する際、新興国の経済減速を挙げていましたが、日本が消費税増税を回避したところで、中国の債務危機が解消するわけではない。百歩譲って、日本がマイナス成長を回避できても、1%未満成長がせいぜいですから、世界経済の成長にほとんど寄与しない。それよりも、世界経済にとっての最大のリスクのひとつは、日本の財政危機なのです。つまり、安倍首相がやっているのは世界経済危機を煽っているようなものです」(シグマ・キャピタルのチーフエコノミスト、田代秀敏氏)

 安倍首相は会見で、有効求人倍率が全県で1を超えていることや、パート賃金の上昇を力説、アベノミクスの失敗を認めるどころか、これでもかと自慢話をしていたが、これも田代氏に言わせると噴飯ものだという。

「日銀が発表している資料、『需給ギャップと潜在成長率』を分析すると、日本の企業は国内での資本投入、つまり、設備投資が不足で、その分を労働投入、雇用で補っていることが分かります。本来であれば、設備投資も雇用も増えてこそ経済は回るのに、極めていびつな構造なのです。これが意味するところは、日本企業が設備投資を怠り、老朽化した設備をそのままにして、単純労働者の雇用を増やしているということです。こうした労働者は景気が悪くなれば、イの一番に切られてしまう。切れるからこそ、企業は設備投資ではなく、雇用で調整しているのです。アベノミクスで雇用が改善としたとしても、実態は決して喜べないのです」


■ 完全にイカれている三百代言首相のオツム

 アベノミクスが成功しているというのであれば、なぜ実質賃金が上がらないのか。雇用が改善しているのなら、なぜ内需に火がつかないのか。バブルを煽るだけのアベノミクスの限界、失敗なのであって、消費税増税延期は当然だとして、このアベノミクスのエンジンをさらにふかしたところで、どうにもならない。抜本策を先送りし、日銀の異次元緩和を加速化させれば、取り返しのつかないことになる。やっぱり、この内閣は総辞職させるしかないのである。

「もともとアベノミクスは幻想ですから、宗教のように『この道しかない』と言い続けるしかない。今さら『失敗でした』とは言えないのでしょうが、そこに持ってきて、世論がますます、安倍さんを勘違いさせているんです。アベノミクスの失敗は歴然なのに、それを頑として認めない安倍さんの支持率が下がらない。サミットでの我田引水もひどかったのに、また支持率が上がった。そのため、安倍さんは『弱気を見せたらダメ』『むちゃな論理でも強いリーダーを演出することが大事』だと思い込んでいるのでしょう。有権者がきちんとした判断を示さないと、勘違い首相の間違った感覚がますますエスカレートすることになります」(コラムニスト・小田嶋隆氏)

 自己愛の激しい首相が支持率に浮かれて、ますます増長、常軌を逸しているのが今の姿だということだ。異様で異常な強気の三百代言はオツムがイカれているか、真の詐欺師のどちらかだ。この会見でも支持率が下がらないようなことがあれば、日本全体が安倍同様、イカれていることになる。


【出典】日刊ゲンダイ 2016年6月2日

【出典】 日刊ゲンダイ 2016年6月2日

 

こっそり政策転換の安倍政権 戦犯リフレ派の放逐が必要

こっそり政策転換の安倍政権 戦犯リフレ派の放逐が必要 日刊ゲンダイ 2016年5月10日

首脳会談を終え共同記者会見する安倍首相とメルケル首相
(4日、ベルリン郊外)/(C)AP
「コイツ、頭は大丈夫か?」
 欧州の首脳はこう思ったのではないか。連休中にイタリア、フランス、ドイツ、英国などを回って、「機動的な財政出動の協調」を呼びかけた安倍首相のことである。

 ドイツのメルケル首相や英国のキャメロン首相は「金融政策や構造改革の重要性」を強調、冷ややかな反応だったと報じられたが、当たり前の話である。

 日本人だってビックリだ。いつから、安倍首相は積極財政出動派になったのか。財政危機はどこに消えたのか。というより、いくら財政出動をやってもデフレから抜け出せないから、異次元緩和という禁じ手を持ち出したのではなかったのか。それでちょっと株が上がったものだから、鼻高々になり、「バイ・マイ・アベノミクス」などと米国で演説、悦に入っていたのは誰なのか。

 それなのに、いきなり、「積極財政出動の協調」を訴えるのであれば、「異次元緩和は失敗でした」「悪うございました」と謝ってからにしてほしい。連休中の訪欧で、こっそり政策転換なんて、こすっからいったらありゃしない。


■いきなり財政出動を言い出したワケ

「その通りです。アベノミクスは当初、3本の矢といわれた。異次元緩和と財政出動、構造改革のはずだった。でも、それは表向きで、実際は異次元緩和しか矢は放たれなかった。財政出動なんて、ちょぼちょぼの補正予算を組むだけだったし、構造改革も不発に終わった。ま、強い者を富ませるだけのバカげた規制緩和が行われなかったのはよかったのですが、唯一の看板政策である異次元緩和も失敗が歴然となったので、こっそり積極財政政策に転じたのでしょう。とはいえ、財源がなければ財務省はウンと言わない。消費増税は先送り、財政出動だけ先行では抵抗される。そこで『世界が財政出動で協調している』という仕掛けをつくろうとしたのでしょう」(経済評論家・菊池英博氏)

 もうひとつ、米国が安倍首相にメルケル・ドイツに財政出動をさせるべく「説得してこい」と命じたという説もある。利上げをもくろむ米国にしてみれば、世界経済の急減速は困る。日本や欧州が金融緩和を拡大させて、ドル高になるのも困る。だから、G7各国に財政出動させるべく、サミット議長国の安倍首相に「説得役」を担わせたんじゃないか、という見方だ。


■ こすっからさと無定見にはア然

 いずれにしたって、欧州にしてみれば、安倍首相の唐突な言動は支離滅裂に映ったのではないか。
 世界有数の借金大国の日本が何を言っているのか、そんな金がどこにあるのか。大体、ドイツの経済は好調で、財政刺激の必要はない。世界経済の成長率予測も3・2%で、危機とは言えない。

 それなのに、安倍ひとりが「(世界経済は)予見しがたい大きなリスクを抱えている」とか言って騒いだ。伊勢志摩サミットでも議論を引き継ぎ、協調政策をまとめようとシャカリキなのだ。

 そこに見え隠れするのは、自らの失政を糊塗し、米国にもいい顔をして、伊勢志摩サミットで成果を見せたいという自分勝手なエエカッコしいだ。この浅ましさにも各国首脳はのけぞったのではないか。しかも、安倍首相は訪欧の後、その足で、欧米が経済制裁を科しているロシアに行って8項目の経済協力プランを提示している。
 恐るべき無定見には背筋が寒くなってくるのである。


答弁する黒田日銀総裁(C)日刊ゲンダイ

この期に及んでリフレ派跋扈の異常な国

 何度も言うが、いまさら各国に積極財政の協調を求めるのであれば、異次元緩和の総括をしてからにして欲しいものだ。
 そのうえで、落とし前をつけてもらう。安倍首相も黒田日銀総裁も、その周辺の経済ブレーンの学者たちもみんな辞めなきゃウソである。

 ところが、リフレ派の学者たちはいい気なものだ。2年で2%の物価目標を達成できなければ「辞職する」とタンカを切った岩田規久男日銀副総裁は「説明責任を果たすという意味だ」などと居直り、本田悦朗内閣官房参与はスイス大使に栄転だ。

 浜田宏一エール大教授も内閣官房参与のままで「金融緩和を止めたら元のもくあみになってしまう」などと言い続けている。恐ろしいのは日銀審議委員で、この期に及んで、リフレ派の論客、原田泰早大教授が昨春、就任したのに続き、今年の6月に新任される新生銀行執行役員の政井貴子氏もマイナス金利容認派なのである。いまだにリフレ派跋扈だから、怖くなる。

 断っておくが、リフレなんて、マトモな経済学者ならば相手にしなかった異端の学説なのだ。伊東光晴京大名誉教授はかつて本紙の取材に「議論するのもアホらしい」とこう言っていた。
「異次元緩和が正しいとか正しくないとか、そんなもんは議論の余地もありませんよ。なぜ、通貨量を増やすと物価が上がるのか。何の関係もないし、意味もない。物価は需給関係で決まるのであって、通貨量とは関係ない。加えて、物価が上がることがなぜ、好景気になるのか。物価が上がらず、売り上げの数量が増えることが大事なのは言うまでもありません」

 これが経済学の常識で、実際、物価は上がらず、日銀は2年で2%という物価目標を先送りし続けている。
 過去3年間の実質経済成長率は1.4%、0%、0.5%で、民主党政権の12年1.7%よりも低い。そんな中、リフレ派の代表的学者、ポール・クルーグマン氏も日銀の限界を認め、リフレ派の理論的支柱が崩れたのは周知の通りだが、日本だけがいまだにリフレ派天国なのである。こんなバカげたことが許されるのか。


■ 頭を丸めて辞任するのが当たり前

 著書「リフレはヤバい」で早くから異次元緩和の危うさを指摘してきた慶大准教授の小幡績氏は「純粋に学問的な議論をしてきたので、彼らに責任を取れ、取らないという話ではない」と語った。しかし、リフレ派が景気が上向かない理由に消費増税を挙げていることについてはこう言った。
「消費増税はもちろん、景気にはマイナスですが、駆け込み需要もあったわけだから、プラスの面もある。増税があったから、景気が真っ暗闇に冷え込んだわけではないのです。金融緩和はバブルを起こした。バブルは山が高ければ谷も深くなる。今後はさらに緩和のツケが回ってきます」

 異次元緩和なんて、刹那のバブルを引き起こしただけで、日本経済は後遺症に苦しみ、日銀は出口なき袋小路に追い込まれた。
 こうなることはわかっていたのだから、その政策責任者は断罪されなければおかしいのである。

「そもそも、なぜ、インフレを起こす必要があったのか。国民は望んでいないのです。インフレになれば借金漬けの国が楽になる。金融緩和で儲かる連中がいる。不純な動機で、とんでもないことをしでかした。揚げ句がマイナス金利で金融機関を苦しめている。米国の顔色をうかがい、為替介入もできず、市場に翻弄されている日本経済はどうにもならない。その反省もせずに今度は財政出動ですか。日本が言い出しっぺですから半端なことはできない。この財政事情でどうするのか。安倍政権がやっているのは経済の破壊活動です。そんな首相がサミットの議長でリーダー気取り。身の程知らずにもほどがあります」(経済評論家・斎藤満氏)

 こんな連中をのさばらすなんて、狂気の沙汰だ。国民が怒りの声を上げて、安倍首相を引きずりおろす。黒田総裁にも頭を丸めさせて辞めてもらう。リフレ派を政権から一掃して、やり直す。財政出動は否定しないが、戦犯を放逐しなければ、ムダ金になるだけである。

【出典】日刊ゲンダイ 2016年5月10日

【出典】 日刊ゲンダイ 2016年5月10日

 

“死の商人”外交も大失敗 破綻はアベノミクスだけではない

“死の商人”外交も大失敗 破綻はアベノミクスだけではない 日刊ゲンダイ 2016年4月30日

被災地を見捨てて外遊へ(C)日刊ゲンダイ
 熊本県・大分県を中心とした地震は収まる気配がない。発生から2週間で震度1以上の地震は1000回超。29日も由布院温泉などの観光地を抱える大分県中部で震度5強の地震があった。予断を許さない状況が続いているが、安倍首相は素知らぬ顔で、5月1日から7日間の日程で欧州5カ国とロシアに外遊を決め込んでいる。

 岸田外相は29日から中国と東南アジアへの外遊をスタートさせた。30日、北京で王毅外相、李克強首相らと会談。日本の外相が国際会議への出席以外で訪中するのは4年半ぶりだ。
 「去年4月以降行われていない安倍首相と習近平国家主席との首脳会談実現に向けて話し合うとされていますが、何の成果も得られないでしょう。なにしろ、安倍首相は来月のサミットで、習主席が最も嫌がる南シナ海における中国の軍事拡張反対の共同声明を出そうとしている。それに対して、中国側は相当な譲歩を要求してくるでしょうが、そこで安倍首相が譲歩できないから、今の冷え切った関係に陥っている。安倍首相がトップでいるかぎり、日中関係の改善は見込めません。さらに言えば、日本がオーストラリアの次期潜水艦の受注を逃したことから、外交面で中国に力負けしていることはハッキリしました」(元外交官の天木直人氏)


■ 武器輸出を勝手に解禁してこのザマ

 日仏独が競うなかで、日本が「大本命」といわれていたオーストラリア(豪州)の次期潜水艦共同開発計画は、結局、仏造船大手DCNSが受注することに決まった。

 安倍政権は2014年4月、武器輸出を事実上禁じてきた「武器輸出三原則」に代えて「防衛装備移転三原則」を閣議決定。大型武器の輸出を解禁した。安倍は豪州のアボット前首相との友好関係をテコに、豪州を「準同盟関係」に格上げ。

 豪州との潜水艦の共同開発を足掛かりにして輸出を拡大する方針だったが、そのもくろみは見事にポシャってしまった。赤っ恥もいいところだが、「日本が受注できなかった最大の要因は安倍首相その人ですよ」と、経済アナリストの菊池英博氏がこう言う。

「私はかつてシドニーに駐在していたことがあるので、今でもオーストラリア大使館とはつきあいがあるのですが、今回の潜水艦の受注先について、大使館関係者は『広い視野でバランスを取った』と言っていました。要するに、安倍政権がシャカリキになっている対中国包囲網に巻き込まれることを嫌ったのです」

 安倍が豪州を重視するのは、南シナ海での中国の活動を牽制する目的があるからだ。機密の宝庫である潜水艦の共同開発に海上自衛隊は難色を示していたし、赤字必至のメーカーも消極的だったが、官邸主導で強引に進めた。
 タカ派のアボット前首相は安倍とウマが合ったようで、アボットの在任当時、官邸関係者は「豪州のアボット首相、ロシアのプーチン大統領、トルコのエルドアン首相が総理の世界3大トモダチ」と話していた。

 ところが、昨年9月に発足したターンブル政権は豪州歴代で最も親中派とされている。今月、1000人もの企業関係者を引き連れて中国を訪問したばかりだ。ビジネス使節団としては豪州で過去最大規模という。


プーチンは安倍首相よりサッカー優先(C)AP

中国を敵に回したい国などないのにイキリ立つ

 「オーストラリアにとって、中国は最大の貿易相手国です。鉱石など資源の主な輸出先も昔は日本でしたが、今は中国に移っている。中国の国土と人口はケタが違いますから、経済的な影響を考えれば、中国とケンカしたい国などありません。昨年、日本がインドネシアの高速鉄道の受注で中国に敗れたのも、同じ理由です。対中国包囲網などといってイキリ立っているのは、安倍首相だけです。このままでは世界の中で日本は孤立してしまいます。破綻しているのはアベノミクスだけではない。原発や武器の輸出拡大で中国を牽制するという“死の商人”外交も完全に破綻しています」(菊池英博氏=前出)
 国是として守られてきた武器輸出三原則を閣議決定だけで勝手に変えて輸出を解禁しておいて、世界から異端視されているのでは、どうにもならない。
 中国を敵視し、アホみたいにコブシを振り上げるしか能がないのは分かったが、その前に、やるべきことがあるだろう。アベノミクスは掛け声倒れで、国内の景気はメタメタになっている。本気で経済対策を考えたらどうなのか。

 28日に公表された3月の経済指標は深刻きわまりない。消費者物価は2年11カ月ぶりの下落幅を記録した。家計調査によると、1世帯(2人以上)当たりの消費支出は30万889円で、実質で前年同月比で5.3%も減少。2月は若干増加していたが、それはうるう年で1日多かったからで、その影響を除けば7カ月連続のマイナスである。
 実質賃金が4年連続で減少している現状では、庶民のサイフの紐が固くなるのは当たり前で、モノは売れず、小売りや外食産業は値下げ競争に走らざるを得ない。それでは収益が上がらないから、賃上げなど到底できない。日本経済は、そういう負のスパイラルに陥っている。


■ オトモダチのプーチンもつれない態度

 なにが「デフレ脱却」だと言いたくなる惨状で、経済はボロボロ。外交も大敗北。そんな安倍が、いま欧州を歴訪して、果たして相手にされるのか。真っ先に日程が決まったプーチン大統領との会談だって、すげない扱いをされている。

 「当初は昼から夜まで時間を設けるということで、晩餐会も予定されていたのですが、急に昼間2時間程度の会談のみに変更されてしまった。その理由が、プーチン大統領が当日の夜、モスクワで行われるサッカー大会に出席するから、というのです」(外務省関係者)
 安倍との晩餐会よりサッカーの方を優先するなんて、ずいぶん軽く見られたものだ。オトモダチのプーチンがこのありさまでは他の首脳の対応は推して知るべしだろう。

 「大メディアはプーチン大統領が大歓迎しているように報じていますが、晩餐会も開かれないようでは、手厚いもてなしとは言い難い。安倍首相がわざわざ来るというなら、米国を揺さぶるのに利用してやるか、くらいのものでしょう。それにしても、欧米諸国が距離を置くロシアとの接近をサミットでどう説明するつもりなのでしょうか。対米従属でありながら、ロシアにもいい顔をする安倍首相の無定見な外交方針は理解不能と思われているはずです。中国との関係も改善は見込めず、安倍外交は行き詰まっている。それでも、サミットに合わせたオバマ大統領の広島訪問をメディアがもてはやし、歴史的偉業のように称えられて、安倍外交の成果として語られるのでしょう。そういう目くらましで、失態の数々が糊塗され、無能政権がズルズル続いてしまう。それが一番の問題です」(天木直人氏=前出)

 安倍政権の3年余りで経済も外交もメチャクチャにされてしまった。これ以上、任せていたら、本当に取り返しのつかないことになる。


【出典】日刊ゲンダイ 2016年4月30日

【出典】 日刊ゲンダイ 2016年4月30日

 

すべてが裏目…「サミット」と「五輪」で日本は沈むゾ

すべてが裏目…「サミット」と「五輪」で日本は沈むゾ 日刊ゲンダイ 2016年4月14日

ヨコシマな企みがすぐ露呈(C)日刊ゲンダイ
衰え知らずの円高圧力だ。
  円相場は今週明けに、いきなり1ドル=107円台後半まで上伸した。直近になって「買い」がようやく一服し、109円台まで下がる場面もあるとはいえ、昨年12月半ばには1ドル=120円台前半で推移していたのだ。目を疑うような円高進行である。
 3月調査の日銀短観によると、大企業製造業の想定為替レートは1ドル=117円46銭。現状とは10円近い開きがある。例えば、トヨタ自動車だと1円の円高で400億円の営業利益が吹き飛ぶとされる。

 異次元緩和の円安マジックによる輸出企業の収益改善が、アベノミクスの前提条件だ。急ピッチの円高によって3年以上に及んだインチキ経済政策も、いよいよ引導を渡されそうだが、安倍首相は自らの発言で円高に弾みをつけたのだから、マヌケもいいところだ。

 安倍首相は6日掲載の米紙ウォールストリート・ジャーナルのインタビューで、こんなキレイ事を語っていた。
「通貨安競争は絶対に避けなければならない」
「恣意的な為替市場への介入は慎まなければならない」

 先のG20では、通貨安の競争的引き下げを回避するという合意がなされたばかり。それを踏まえた安倍首相の“優等生発言”は、1ドル=110円のカベを試そうとしていたマーケットに「円売り介入に及び腰」と受け止められた。


■ アベノミクス見切り売りは止まらない

 生き馬の目を抜くような投機筋に「どうぞ円をジャンジャン買ってください」と言わんばかりのアホ発言で、6日に110円のカベがあっさりと崩れると、一気に円高は加速。安倍首相本人は伊勢志摩サミット前のPR気分で、海外メディアの取材に応じたのだろうが、完全に裏目に出た。つくづく間抜けな男である。

 経済評論家の斎藤満氏はこう指摘する。
「最近の円高・株安の背景に横たわるのは、成果の上がらないアベノミクスへの失望です。過去3年の円安と株高は、海外勢の旺盛な日本株買いと、その為替ヘッジによる円売りに支えられてきました。年明けから海外勢が一斉にアベノミクスの幻想に見切りをつけ、一気に逆流。日本株を売って、円を買い戻す動きが猛烈に強まっています。すでに海外勢は3月までに5兆円ほど売り越しましたが、14年度までに16兆円も買い越したことを考えれば、まだまだ株を売って円を買う流れは止まりません。とはいえ、サミット議長国として『通貨安誘導だ』との批判を招く為替介入には踏み切れず、加えて米国もドル高を望んでいない。市場に『介入はできっこない』とますます見透かされ、来月末のサミットに向けて1ドル=100円突破の局面も覚悟しなければなりません」

 そうなると、輸出企業を中心に莫大な為替差損が発生。日本経済は総崩れだが、誇大妄想首相のアタマを支配するのは、伊勢志摩サミットでカッコつけることだけ。議長として世界のリーダーを気取ることしか考えていないのだから、最悪だ。
これ以上、世界に恥をさらし続けていいのか

 円高・株安が続き、凄まじいスピードで落ち込む景気に、安倍首相も表面上は経済対策のための財政出動をにおわせている。ただ、どこまで日本経済の行く末を真剣に考えているかは極めて怪しい。

 何しろ、常に優先するのは自分の任期と人気取りだけで、景気や国民の暮らしは二の次、三の次という首相である。サミット直前に財政出動をあおったところで、実現は最短でも参院選が終わってから。秋以降の臨時国会で補正予算案を成立させた後のことだ。
 大新聞が報じる経済対策の中身も、典型的なバラマキ策のオンパレード。景気を押し上げる効果は疑わしいシロモノばかりである。

「中身薄の経済対策を打ち出したところで株価を多少、つり上げる効果しかありませんが、それこそが安倍首相の狙いなのでしょう。サミット開催や参院選を控え、可能な限りアベノミクスの失敗ムードを食い止めたい。そのためだけの財政出動で、安倍政権は株価こそが命。実体経済がどうなろうと、知ったことではないという態度です。大量に保有する日本株の売り場を模索する海外勢を喜ばせるだけで、マーケットは付け焼き刃の財政出動を逆手に取ろうと虎視眈々です」(斎藤満氏=前出)

 ただでさえ、人口減少社会の到来で経済のパイのシュリンクが危ぶまれる中、デタラメ首相の手によって景気はますます冷え込んでいく。今こそ改めて問われるべきは、2020年の東京五輪開催の妥当性だ。

 招致演説で世界をだました安倍首相の「汚染水アンダーコントロール」という無理なプレゼンに始まり、何もかも嘘まみれ。エンブレムのパクリ騒動や、メーンスタジアムの新国立競技場の建設をめぐる数々のトラブルなど、世界に大恥ばかりをさらしてきた。

■ すべてがウヤムヤのインチキ興行


またミソをつけた(C)日刊ゲンダイ

 新たなエンブレムの選定だって、またミソをつけている。8日公開の最終候補4作品に「次点未満の繰り上げ作品」が含まれていることが判明。選考の公正さを疑う意見が相次いだ。

 大会組織委によると、当初選んだ最終候補作を念入りに商標調査のフルイにかけたところ、次々と類似デザインの存在が見つかった。選定やり直しさえ考えられたため、いったん選外となった作品1点を繰り上げで選んだという。要するに、ネット住民らにまたケチをつけられないかと戦々恐々、新たなパクリ疑惑を恐れるあまり、審査の透明性を疑わる事態を招いたのだから、本末転倒だ。アホらしい限りである。

 大会運営費だって、当初見込みの3013億円から、すでに昨年11月には、組織委の試算で約6倍の約1兆8000億円に膨れ上がる見通しになっていた。スポンサー収入だけでは賄えず、1兆円を超す財源不足が生じるとも報じられたが、恐ろしいことに大会運営費には競技施設の新設・改修費や、インフラ整備費は含まれていない。

 昨年夏に組織委の森会長は「最終的に2兆円を超すことになるかもしれない」と語り、舛添都知事は昨年末に「3兆円は必要だろう」と言った。招致活動での「コンパクト五輪」という国際公約は嘘八百。こんなイカサマ興行を続けたところで、数億円規模に及ぶ大バカ都知事の血税大名外遊の「口実」に使われるだけ。即刻、中止すべきだ。法大名誉教授の五十嵐敬喜氏(公共事業)はこう言った。

「2兆円、3兆円と気前のいい数字が飛び出しますが、その積算根拠は不透明でハッキリしません。聖火台の置き場所を忘れていた問題に象徴されるように、大会運営の責任の所在も依然として曖昧なままです。すべてがウヤムヤのうちに“世紀の祭典”だからと野放図に開催費をつぎ込み、後は野となれ山となれ。五輪が終われば、巨額のツケを国民に負わせるのは目に見えています。官邸内で消費増税の再延期を検討し、財政再建の道筋を遠のける中、財政負担が莫大に増す五輪を開催する意義はあるのか。大いに疑問です」

 安倍首相の手によるサミットと五輪開催で日本が沈んでしまったら、元も子もない。国民も天下の愚行を止める手段を真剣に考えるべきだ。


【出典】日刊ゲンダイ 2016年4月14日

【出典】 日日刊ゲンダイ 2016年4月14日

 

失言では片づけられない 「妄言集団」自民党の醜悪な正体

失言では片づけられない 「妄言集団」自民党の醜悪な正体 日刊ゲンダイ 2016年3月31日

正体見たり(C)日刊ゲンダイ

 来年度予算成立までの前半国会は、甘利前経再相の口利き辞任に始まり、ゲス不倫議員の辞職、「保育園落ちた」の匿名ブログ批判、「巫女さんのくせに」発言などなど、閣僚を含む自民党議員らの醜聞や失言がとにかく目立った。

 当然、内閣支持率にも影響し、下落傾向だ。で、焦った安倍首相は、28日の自民党役員会で「おごっていると思われると国民の信頼は一瞬にして失われてしまう」と党内を引き締めたのだが、今の自民党を「おごり」や「緊張感のなさ」で片付けると、コトの本質を見誤る。
 自民党議員の口から発せられる妄言、暴言の類いは、根っこのところで、どれも繋がっている。ゴロツキ政党の醜悪な正体を如実に表していると受け止めた方がいい。
 その正体とは何か─―。

 例えば、高市総務相の「テレビが政治的に公平性を欠いた報道をすれば、電波停止もあり得る」という発言。言論弾圧だと猛批判を浴びても高市大臣が撤回しないのは、これが本心だからである。表現の自由よりも民主主義よりも、国家権力が優先されるという思考だ。まさに高市大臣は、「表現の自由の優越的地位」という憲法の基本を答えられなかった安倍首相の忠実な僕である。

 4月の補選や参院選を谷垣幹事長は「民共との戦い」と位置付け、自民党は野党統一候補を「民共合作」と攻撃するビラまで作製した一件。安倍政権は共産党について、「破防法対象」という政府答弁書まで閣議決定した。
 時代錯誤極まりない“赤狩り”は、選挙対策の反共キャンペーンであり、野党共闘潰しだが、それだけではない側面もある。

 「これまでも共産党を封じ込めようとする時、政府が必ず持ち出すのが、『赤攻撃』と『暴力革命による武力闘争』でした。ただ、最近はあまり表に出すことがなかった。古色蒼然とした表現を持ち出すのは、安倍政権だからこそ。日本国憲法の下の平和をひっくり返そうとし、民主主義を尊重する考えがない。『権力に反抗するものは潰す』という脅し。そういう図式の中で出てきた発言だと思います」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)


■ 「自民党改憲草案」を先取りする安倍政治

 「巫女さんのくせに」という発言も、低レベルのチンピラ議員による女性蔑視と単純に捉えてはいけない。
 この発言が出たのは北海道5区補選の応援先でのこと。「~のくせに」の裏にある本音は、「神社は自民党の支援団体であり集票マシン。巫女さんは自民党を支持するのが当然」という上から目線が透けて見える。政教分離を定めた憲法20条に違反する恐れがあるのに、そんなの関係ない、というのが今の自民党だ。

 もっとも女性蔑視という観点では、この政権は筋金入りだ。安倍首相は2年前、「社会保障の制度改革で、3世代の近居や同居を促しながら、現代版家族の絆の再生を進める」という趣旨の発言をしているのだ。家父長制の復活、女は家にいて子供を育てるものという考え方。そんな前時代的な家族観が横たわる。

 「改憲を目指す安倍内閣は、すでに日本国憲法を捨て、戦前の明治憲法に倣ったような『自民党改憲草案』を先取りした政治をやっています。高市発言は、『公益及び公の秩序を害しない』という、表現の自由に制限を加える改憲草案21条を先取りしたもの。表現の自由は、公益、つまり政府の利益が優先されるという考えです。社会保障改革で、介護を自宅でという方向になってきていますが、これは自宅で女性が高齢者の面倒を見るということ。改憲草案24条の『家族は互いに助け合わなければならない』の先取りです」(金子勝氏=前出)

 つまり、失言、暴言の根底にあるのは、安倍政権が目指す国家主義であり、戦前回帰への蠢きなのである。


宗教と政治が深く結びついた時、全体主義へ突入


13年の靖国神社参拝(C)日刊ゲンダイ

〈将来に向かって自由の制限に繋がるかもしれないどんな兆候に対しても、厳しく監視する必要があります〉
〈再び歴史の魔性に引きずられることがないために、われわれは憲法の言うように「不断の努力」をもって自由を大切にし、日本社会の活力を守ろうではありませんか〉


 これは故・宮沢喜一元首相の発言である。自民党もかつてはマトモな首相がいたのだ。ところが、今や専制君主のような首相に、上から下まで右向け右の自民党だ。そこに権力に対する謙虚さは微塵もない。
 特に安倍政権になってからの3年間の右傾化のすさまじさ。反韓や反中を煽って、国民の愛国心を呼び覚ます。そのバックには、政権と一体化して安倍首相をサポートする日本最大の右翼組織「日本会議」の存在がある。

 先日、朝日新聞が「日本会議研究」を連載していたが、〈いまほど日本会議が政権中枢と接近し、注目された時代はなかった〉と書いていた。政権との蜜月を背景に、日本会議は憲法改正を“牽引”する役回りだ。
 改憲のための国民投票を見据え、すでに全国で「1000万人」を目標とする改憲賛同の署名運動を進めている。最前線で運動するのは、神社本庁だ。

 「日本会議の中枢は宗教団体の『生長の家』出身者です。自民党の支援団体である神社本庁と一緒になって、願わくば『国家神道の復活』を目指している。現在の平和憲法下では、神社は単なる宗教法人のひとつに過ぎませんが、憲法改正により、天皇制を復活、9条を破棄して、再び軍国主義国家に戻す。そういう究極の願望を持っているのです」(政治評論家・本澤二郎氏)


■ 75年前と同じ歴史が繰り返される

 今月13日、安倍首相は自民党大会の後、「日本会議」の地方議員連盟の総会にわざわざ顔を出した。昨年11月に日本武道館で行われた「日本会議」の1万人大会にもビデオメッセージを寄せている。いかに「日本会議」を大事にしているかの証左だが、政治と宗教の接近ほど恐ろしいものはない。2月末に本紙の「注目の人直撃インタビュー」に登場した中島岳志・東工大教授が、次のように激しく警鐘を鳴らしていた。

〈偏狭な愛国心が、宗教と深く結びついたときになにが起こるのか。戦前の日本では、国家神道などの宗教が、天皇や日本という祖国を信仰の対象とすることで、ナショナリズムを過激化させ、全体主義の時代になだれ込んでいき、大きな戦争にまで突入していきました〉
 中島氏は“75年周期論”とも呼べるような歴史の繰り返しを主張している。明治維新から太平洋戦争突入までが75年間。戦後から現在が70年間。ほぼ同じ年月を似たような歴史過程で歩んでいるというのだ。さらに75年を25年ごとに3つの時代に区分すると、現在は第3期。戦前に照らし合わせると、こんな時代だ。

〈恐慌があり、血盟団事件、五・一五事件、二・二六事件などテロ事件が相次ぎ、全体主義にのみこまれていった。このときドライブをかけたのが、国家神道などと結びついた宗教ナショナリズム、いわゆる「国体論」です〉(中島岳志氏)

 歴史は繰り返すのか。背筋が寒くなる話ではないか。ここまでで明らかなように、自民党の失言、暴言を軽く見てはいけないし、「女性活躍」などの安倍首相の奇麗事に惑わされてはならない。
 戦前回帰を標榜する宗教と結びついた安倍政権を止めなければ、この国が暗黒の時代に逆戻りすることになるのは間違いない。


【出典】日刊ゲンダイ 2016年3月31日

【出典】 日刊ゲンダイ 2016年3月31日

 

経済失敗を認めない混迷政権 増税強行ならばオシマイだ

経済失敗を認めない混迷政権 増税強行ならばオシマイだ 日刊ゲンダイ 2016年3月30日

16年度予算成立でご機嫌の安倍首相(C)日刊ゲンダイ

 2016年度予算が29日、参院本会議で可決・成立。これを受けて安倍首相が会見を行ったが、よくぞここまでデタラメが言えるものだと唖然とする内容だった。
 冒頭、例によって「この予算によって、1億総活躍社会の実現に向けた新しい取り組みが始まります」と大風呂敷を広げてみせたのだが、中身を聞いてみると、威勢のいいスローガンとは裏腹に、心躍るようなメニューは何も出てこない。

「介護休業給付金を賃金の40%から67%へ引き上げる」「不妊治療を初めて受ける人には、治療費のほぼ100%に相当する30万円を助成する」「保育の受け皿を10万人分以上つくる」「幼児教育の無償化を進め、所得の低い世帯では第2子は半額、第3子以降は無償にする」――。
「アベノミクスの暖かい風を全国津々浦々に届けていく」
とエラソーに吹きまくる割には、安倍首相の口から出てきたのは弱者対策のセーフティーネットの話ばかりだ。

「どれも必要な政策ですが、目新しさはありません。これまで放置してきた格差や介護、育児といった問題が無視できないほどの社会問題になり、尻拭い的にやらざるを得なくなった。選挙前だから少しは対策を出しておこうということでしょう。票目当ての弥縫策だから、あれもこれもで、切り張りになる。そもそも国民生活をどうするかという哲学がないから、政策に一貫性がないのです。待機児童の問題などは典型で、今まで関心も示さなかったのに、批判の声が大きくなると、その場しのぎの付け焼き刃的な政策でゴマカそうとする。そういうやり方では実効性も期待できません」(経済評論家の斎藤満氏)
 少子高齢化への対策が必要なことは、ずっと前から分かり切っていたのに、ムチャな金融緩和で株価を吊り上げることだけに腐心してきたのが安倍政権だ。


■ 選挙目当ての一時しのぎ政策

 今頃になって対策に乗り出すのでは遅過ぎる。それも、選挙目当ての一時しのぎ。本気でこの問題に取り組む気があるとは思えない。

 不妊治療の助成や幼児教育の無償化はいいが、それ以前に、低収入で結婚できない若者や、共働きでないと生活していけないカップルを増やしたアベノミクスの責任はどうなのか。思いつきみたいに保育所拡充を打ち出したところで、子育て世代の怒りのデモが収まらないのは当然だ。
 会見では、相変わらずアベノミクスの成果を誇張していたが、こういう時に安倍首相が必ず持ち出す例が、有効求人倍率だ。

「有効求人倍率は24年ぶりの高い水準です。就業地別で見れば、47の都道府県のうち46で1倍を超えている。1人の求職者に対して、1つ以上の仕事がある状態となっています」と、ナントカのひとつ覚えで繰り返すのだが、この数字をもって景気が良くなったというのは無理がある。この数字は構造変化の産物だからだ。
いわゆる「2012年問題」である。

 ここ数年で団塊世代が65歳に達し、労働力人口は急激に減っている。12年までは10万人台だったのが、13年以降は年間100万人以上も減少。分母の求職者が減っているのだから、有効求人倍率が1倍を超えるのは当たり前なのだ。
 大体、この人口減時代で1人の求職者に対して1つ以上の仕事がない方がおかしい。求職者の減少によって有効求人倍率が上昇を続けるのは数字のトリックでしかない。46もの都道府県で有効求人倍率が1を超えたのは、むしろ労働力人口の減少で、地方経済が縮小している表れといえる。


戦争法施行の当日に成立した予算で防衛費が5兆円突破


ママたちは欺瞞に気づいている(C)日刊ゲンダイ

「安倍首相は、『今世紀に入ってもっとも高い水準の賃上げが3年続いている』とも言っていますが、これだって、一部の大企業が政権へのゴマすりでベアに応じただけで、厚労省の統計で実質賃金は減り続けている。庶民の給料が上がらないから消費も増えない。29日に発表された2月の家計調査も、うるう年による1日分の押し上げ効果を除くと1.5%のマイナスでした。消費が落ち込めば、企業は国内で設備投資をしないし、先行き不安から内部留保を積み増して、ますます労働者に分配しなくなる。そういう悪循環です。現状では、15年10~12月期に続いて16年1~3月期のGDP速報値も、マイナスに落ち込む可能性が高い。どう見ても、アベノミクスは失敗なのです。人間は一度ウソをついてしまうと、無理矛盾を繕うためにウソを重ね、最後は破綻するものですが、安倍政権の経済政策は、まさしくそういう陥穽にはまっているように見えます」(斎藤満氏=前出)

 ウソも100回言えば本当になるとでも思っているのか。国民をバカにするにも程があるが、実体経済は妄想通りにならない。どんなに調子のいいことを言われても、国民生活は疲弊している。これが事実だ。もはや口先や小手先の対策ではゴマカし切れないところまできている。間違った経済政策の根本を改めなければ、どうしようもない。


■ 消費税引き上げで法人税減税の愚

 安倍首相は会見で「(経済対策は)この予算を早期に執行することが必要で、可能なものから前倒し実施するよう財務相に早速指示する」と言っていた。
 語るに落ちるとはこのことで、アベノミクスが成功しつつあるのなら、予算の前倒し執行も、新たな補正予算の編成も必要ないはずだ。「リーマン・ショックや大震災のような事態が発生しない限り、消費税は来年、予定通り引き上げる」と言い続けているのも、アベノミクスの失敗を認めることになるから、増税延期を自分からは言えないのである。
 経済アナリストの菊池英博氏が言う。
「景気低迷は誰の目にも明らかなのに、失敗を認めることができず、『アベノミクスは成功している』と強弁する首相に経済の舵取りなど任せられません。この期に及んで『1億総活躍』などと絵空事を語るのは正気の沙汰ではない。これだけ内需がへたっているのに、消費税増税を強行すれば、日本経済はオシマイです。消費税より、儲けている大企業の法人税を上げるべきなのに、国民からあまねく召し上げて大企業にくれてやるという。企業はさらに内部留保を積み上げ、その一部が自民党に献金として還流される。庶民生活は干上がり、ますますデフレが進行してしまいます」

 16年度予算の一般会計総額は過去最大の96兆7200億円に上るが、重要なのは規模ではなく使い道だ。議員定数削減はどうなった? 身を切る改革はどこへ消えた? デタラメ予算成立のペテン会見には虫唾が走る。

「安倍首相にとっては、政策も予算も延命の道具でしかないのです。少しでも長くやりたいだけで、日本経済のことなど考えていない。くしくも戦争法が施行されたその日に成立した予算で、防衛費が初めて5兆円を超えたことが象徴的です。デフレが続き、国民所得が低いままだと人々は戦争に向かう。これは大げさな話ではありませんよ。実際に大手メーカーは国内でモノが売れないからといって、軍需産業化し始めているじゃないですか。政府も武器輸出を『防衛装備移転』と言い換えて奨励している。このままでは、日本は破滅の道まっしぐらです」(菊池英博氏=前出)

 ノーベル経済学賞受賞のクルーグマン教授を招いた「国際金融経済分析会合」で、麻生財務相は「米国がデフレマインドから脱却した原因は戦争だ。第2次世界大戦が解決策になった。日本もそのきっかけを求めている」と発言したという。
 経済失政を戦争でチャラにしようとしているのか。この政権なら、やりかねない。
目先の弱者対策に惑わされてはいけないということだ。

【出典】日刊ゲンダイ 2016年3月30日

【出典】 日刊ゲンダイ 2016年3月30日

 

安倍首相が防衛大卒業式で自衛隊を「私兵」扱い…

安倍首相が防衛大卒業式で自衛隊を「私兵」扱い… 裏では任官拒否者の隠蔽工作や自衛隊“皇軍化”も進行中 LITERA 2016.03.26

防衛大学校の卒業式で訓示した安倍晋三首相(YouTube「ANNnewsCH」より)
 さる3月21日、幹部自衛官を養成する防衛大学校(神奈川県横須賀市)で卒業式が行われ、“最高指揮官”である安倍晋三首相が得意満面で訓示した。
 しかし、その内容は「恐怖」さえ感じさせるものだった。いつものスクランブル7倍増加話や日露戦争賛美に加えて、わずか十数分の話の間に4回も、自らを「最高指揮官」と呼び、こんなことを語り始めた。
将来、諸君の中から、最高指揮官たる内閣総理大臣の片腕となって、その重要な意思決定を支える人材が出てきてくれることを、切に願います

 つまり、軍人を片腕にすることを宣言したのだが、もっと不気味なのはこんなフレーズだった。
『事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託に応える』。この宣誓の重さを、私は、最高指揮官として、常に、心に刻んでいます。(中略)諸君は、この困難な任務に就く道へと、自らの意志で進んでくれました。諸君は、私の誇りであり、日本の誇りであります
「私の誇り」って、自衛隊はあんたの私兵なのか、と思わず突っ込みをいれたくなるではないか。
 しかし、こうした安倍の自己陶酔的演説とは裏腹に、この卒業式では安倍が国民に知られたくない“不都合な事実”も露呈した。それは、卒業後に自衛官にならない任官拒否者が昨年の倍近い47人も出たことだ。

 防衛大学校の学生は入学と同時に防衛省の職員とみなされ、入学金・授業料約250万円が免除されるほか給料も支給される。毎年数人の任官拒否者は出るが95%以上は幹部自衛官候補として任官する。今年は全卒業生419人で任官拒否が47人。拒否者が10%を超えるのは異例中の異例だ。しかも、これでも、数字を低く抑えたのだという。防衛省担当記者が解説する。

実は、もっと多くの任官拒否者が出ると聞いていました。ところが、今年の卒業生は『集団的自衛権第1期生』といわれ世間の注目が集まっていた。任官拒否が急増すると政権批判の材料になりかねないので、官邸からの指令もあって例年に比べて引き止め工作が凄かったんです。中には教官が10人がかりで説得したという話もあるほど。もっとも、この段階で説得されて自衛官になってもすぐに辞める可能性が高いので、結果は同じことなんです。47人は氷山の一角に過ぎません

 表に数字が出てこないのであまり知られていないが、防大卒業後1年もしないうちに自衛隊を離れ、民間企業に転職する“隠れ任官拒否”も毎年数十人はいるらしい。それが今年はさらに倍増する見込みだという。それはそうだろう。日本の国を守るために危険を顧みない覚悟はできていても、アメリカの戦略にために命を危険に晒したくないと思うのは普通だ。ましてや「安倍の私兵」になんかなりたくないというのが偽らざる気持ちだろう。

防衛大学校

 安倍は「日米同盟は血の同盟」「米兵が日本のために血を流しているのに、自衛官が血を流さないのはおかしい」と真顔で言える人間なのだ。

 そんな安倍を象徴するもうひとつの事実がこの卒業式で垣間見えた。
 任官拒否者に対する仕打ちだ。任官を拒否した学生は正式な卒業生でありながら卒業式への出席が許されなかった(したがって、帽子を放り投げる“ハレの場”に出られなかった)。私服に着替えさせて、裏門から帰宅させたのだ。
 これは、第2次安倍政権の始まった一昨年からの方針なのである。当日の取材をした防衛大卒の毎日新聞記者で『自衛隊のリアル』(河出書房新社)などの著書のある瀧野隆浩氏がラジオでこう訴えていた。

私が卒業した30年前からごく最近まで、(任官拒否者も)一緒に帽子を投げたんです。いまの世の中の雰囲気というんでしょうか。同じ防大卒業生に線を引いて分断するような。とても残念で、寂しい。コソコソ卒業させるというのは、やっぱり違うと思うんです
 つまり、“最高指揮官”である私(安倍)の支配下に入り、命を投げ出さない者は徹底的にいじめてやろうという魂胆なのだろう。だが、そんな姑息な手段を使っても「アメリカのため戦わされる」自衛官の流出が止まるとは思えない。

 そこで安倍はとんでもない計画を進行させている。それはズバリ「自衛隊の皇軍化」だ。
 これはどういうことかというと、自衛隊の制服組トップである統合幕僚長や陸上幕僚長を任官にあたって天皇の認証が必要とされる「認証官」へ格上げしようというのである。集団的自衛権の行使容認や自衛隊の「国防軍」への転換などを見越して、制服組幹部を国家機構の中枢に位置付ける狙いがあるというのだ。


防衛大学校卒業式

先の防衛省担当記者は言う。
これは降って湧いた話ではありません。安倍さんを筆頭とする右派議員が『制服組の地位向上』として以前から目論んでいたことです。防衛省の内部文書には『国家としてその職責に見合う名誉を付与することが必要』と明記されており、集団的自衛権の行使容認とリンクしていることは間違いありません。幹部が認証官になることで自衛隊の政府内での権威・発言力が大幅に強まるばかりか、現行憲法下での天皇=象徴、自衛隊=専守防衛の関係を乗り越え、天皇の権威を自衛隊に直結させる非常に危険な思想といえます
 現在、認証官は首相を除く国務大臣、副大臣、内閣官房副長官(政務・事務)、特命全権大使、宮内庁長官、最高裁判事などで、これに陸海自衛隊の最高幹部である幕僚長や陸幕長を加えようという話だ。実現すれば、防衛大臣と自衛隊幹部が「天皇の認証」という意味で形式上、同格になる。

 軍人と天皇が直結するとどうなるか。これは大日本帝国憲法下で「統帥権の独立」をたてに陸軍大臣、海軍大臣を無視して陸軍の参謀本部、海軍の軍令部が暴走したのと同じ構図といってもいい。まさに自衛隊を皇軍(天皇の軍隊)にしようという動きともいえる。このままいくと軍事が政治に優先する危険すらある。

 実は、自衛隊における制服組(軍人)優位の動きは安倍政権下、すでに国民に見えない形で着々と進められている。自衛隊の運用に関する意思決定についてはかつては内局官僚(背広組)が自衛官(制服組)より優位にあるとされてきたが、昨年6月の防衛省設置法改正で「文官統制」制度が全廃され、背広組と制服組が対等になっている。さらに具体的な作戦計画策定についても、制服組が背広組に大幅な権限移譲を要求しているという。安倍が望む“戦前回帰”がすでに現場レベルで進行しているというわけだ。

 幕僚長、陸幕長らの認証官問題はまさにこの流れに沿ったものなのだ。
 軍人の地位を高めるために安易に“天皇の権威”を利用しようとする安倍のやり口は、保育士の地位向上に叙勲を持ち出すのと同じアナクロな精神構造だ。

 新安保法制の施行で自衛官の戦死リスクは確実に高まるにもかかわらず、殉職自衛官の遺族に対する経済的補償を充実させるわけでもなく、天皇の政治利用でごまかそうとする。
 こんなことを続けていたら、そのうち、安倍が「私の軍」と思っているその自衛隊の中から安倍批判の動きが出てくるかもしれない。
(野尻民夫)

【出典】LITERA 2016.03.26

【出典】 LITERA 2016.03.26

 

大企業も春闘失速…中小企業と弱者の惨状

大企業も春闘失速…中小企業と弱者の惨状 日刊ゲンダイ 2016年3月23日

安倍首相(C)日刊ゲンダイ
 世間は桜の開花にはしゃいでいるが、この間にも恐ろしい勢いで、日本経済はヘタっている。それに拍車を掛けているのが、安倍政権のトンチンカンな経済政策だ。
 ズバリ、弱者を切り捨て、消費を完全に冷え込ませ、経済の血を止めてしまうような政策である。
 こんなデタラメを続けさせていたら、庶民はあっという間に奈落の底に沈んでしまう。北朝鮮のミサイルは将来の脅威だとして、経済の方は今、現実に起こっている人災なのである。
 たとえば、安倍首相が今年も「賃上げ」を呼びかけた官製春闘。結果はトヨタでさえ、要求額の月3000円ベアに対して1500円という渋チンに終わった。大メディアは「ベア失速」なんてのんきに書いていたが、日本企業の99%は中小企業なのである。こちらの方はどうなっているのか。新聞はちっとも書かないが、悲惨の一語だ。

 信金中央金庫の調査では昨年、中小企業の賃上げ実施率はたった28%だった。昨年は官製春闘の効果もあって東証1部の上場企業の9割が賃上げしたのに、中小は違った。今年は、その上場企業さえヘタっている。トヨタの社長まで「経営環境の潮目が変わった」(豊田章男氏)などと言いだしている。中小企業はボロボロなのだが、安倍政権は昨年11月、最低賃金を今後、毎年3%ずつ引き上げることを明言した。
 そうしないと、2020年にGDP600兆円に達しないからだ。自分で花火を打ち上げ、そこから逆算したのである。

 さあ、そこで何が起こるか。減収減益の企業がどうやって賃金を上げるのか。
 最低賃金が上がれば、それに伴ってパートの時給が上がる。世の中、全体の人件費が上がっていく。上げなければ、人材が逃げてしまう。
 いずれにしても、企業の負担は増して「間違いなく倒産が増える」(東京商工リサーチ情報本部長の友田信男氏)ことになる。


■減収減益企業に退場を迫る冷血政治

 最低賃金の引き上げは一見、弱者にやさしい政治に見えるが、現実は違う。ない袖は振れない企業に退場を迫る冷血政策なのである。
与党から消費税10%凍結発言が相次いでいることからも分かるように、景気の先行きは非常に厳しい。だから、大企業も賃上げできないのですが、中小企業はもっと厳しい。昨年9月の段階で、資本金1億円未満の中小企業5万社のうち、増収増益は28・1%しかなかった。27.7%が減収減益でした。これがさらに悪化しているわけですから、賃上げを迫っても、どだい無理な話なんです」(友田信男氏)

 こうなる理由はハッキリしている。大企業は自社の社員の給料は上げても、部品メーカーにはコストカットを迫る。だから、中小企業は減収減益になる。社員をリストラし、給料を下げざるを得なくなる。政治が切り込まなければならないのはここであって、大企業の春闘だけ見ていたってしょうがないのだ。

 それなのに、安倍政権は儲かっている大企業には法人減税という果実を与えて、見返りにガッポリ政治献金をせしめた。その一方で、赤字企業からも税金をふんだくる外形標準課税を強化、拡大した。
 今のところ対象は資本金1億円超の中堅企業だが、政府与党の税制大綱にはバッチリ、次のように書かれている。
(資本金1億円以下の中小企業への外形標準課税の拡大を)引き続き慎重に検討していく
 参院選が終われば「待ってました」で資本金1億円以下の企業にも外形標準課税をかけてくる。そうなれば、中小企業はまず持たない。人件費高騰と課税強化のダブルパンチだ。
 政府の試算によると、資本金1億~10億円の中堅企業の場合、赤字の4800社が平均300万円の負担増になるという。所得1億円以下の6000社も平均300万円の負担増になる。一方、資本金10億円超所得10億円超の大企業は平均6700万円の減税になるというから、ふざけた話だ。血も涙もないというか、正義もヘッタクレもありゃしない。

最低賃金デモ(C)日刊ゲンダイ


大豪邸減税のトンチンカンで見えた正体

 安倍首相は倒産件数が24年ぶりに1万件を割ったことも自慢しているが、従業員5人未満の零細企業の倒産は過去20年間で最悪になっている。これがアベノミクスの現実で、要するに金持ち優遇、大企業優先、弱者切り捨てそのものだ。
 これでは個人消費も増えないし、景気も上向かないが、安倍は平気だ。GDPは金持ちや大企業が引っ張っていけばいい。そんな魂胆だからである。
 それを物の見事に表しているのが、昨今問題になっている3世代同居減税だ。

 安倍の肝いりで国交省の最優先事項になった減税で、風呂、トイレ、台所、玄関のうち2種類以上の設備を複数にするリフォームには費用の10%(最大25万円)が所得税から戻るというもの。
 どでかい2世帯住宅減税だ。若い女性は親との同居なんて望んじゃいないし、そもそも誰がこんな豪邸を建てられるのか。

 笑っちゃうようなデタラメ減税なのだが、安倍は「社会保障をはじめ、あらゆる社会システムの中、その負担を軽減する制度改革を議論すべきだ。3世代の近居や同居を促しながら、現代版家族の絆の再生を進めていきたい」と2年前に語っていた。
 この発言からは、家父長制度を復活させて、家にいる女性が子供を育てるべきだという安倍流「美しい国」が透けて見える。安倍の頭の中には、子供を保育園に預ける発想そのものがないのだろう。貧乏人や弱者は「美しい国」の足を引っ張る「コスト」という感覚なのではないか。

 このトンチンカンや無知、冷血ぶりは犯罪的と言ってもいいくらいなのだが、折も折、同志社大教授の浜矩子さんが毎日新聞のコラム、「危機の真相」(3月19日)でこんなことを書いていた。日本は「地下経済化している」というのである。


■庶民が不条理を放置していいのか

人々は自己防衛のために地下に逃げ込まざるを得なくなるかもしれない。善良な人々による地下経済の誕生だ。現に今の日本でその兆候が表れている。日銀によるマイナス金利政策が発表されるや、人々は金庫の購入に走った

カネは、天下の回りものでなくてはいけない。ところが、人々が不安に駆られると、カネの回り具合は悪くなる。(中略)そこにマイナス金利時代到来のニュースが追い打ちをかけた。もはやこれまでと、人々は地下に潜ることを考え始めている

 金庫が売れる、金も人気だ。こうした人々の言動は戦中戦後の預金封鎖を連想させる。その背景で共通しているのは、政府の経済政策や貨幣への拭い難い不信感だ。
 それが人々を地下経済へ、闇市へと走らせるのか。

まさしく、その通りだと思います。このままではどんな目に遭わされるか分からない。マトモな人であれば、みんなそう思っていると思います。それは国が財政破綻する、円の信用が毀損する。そういう話だけではなく、“保育園落ちた、日本死ね”という怒りに象徴されるように、この政権に対する不信です。人を人と思わない。関心がない。ただ、強い国家を目指す。一握りが引っ張る強い経済を目指す。それに役立つものだけを引き立て、そうでない人やモノは切り捨てる。そういう政権の正体が見えてしまった。だから、何をされるか分からないと皆が身構え、地下に潜ろうとしているのです
(浜矩子氏)

 浜氏のコラムは〈真面目で普通な市民たちが、地下経済づくりに追い込まれる。こんな不条理が起こっていいのか〉と締めくくられていたが、その不条理がまさしく今、起こっている。この政権を続けさせ、夏の参院選で勝たせたら、それこそ日本の庶民はオシマイだ。

【出典】日刊ゲンダイ 2016年3月23日

【出典】 日刊ゲンダイ 2016年3月23日

 

女性活躍も大ウソ 満天下に晒された 舌先三寸の冷血政治

女性活躍も大ウソ 満天下に晒された舌先三寸の冷血政治 日刊ゲンダイ 2016年3月14日

13日の第83回自民党大会で演説する安倍首相(C)日刊ゲンダイ
 まさか「保育所」と「保健所」を間違うとは――。「保育園落ちた日本死ね」という匿名ブログが火をつけた「保育園」騒動。日本中の母親が、安倍首相に対して怒りの声を上げている。

 ところが、安倍首相は先週末の参院本会議で、「子どもが生まれたのに“保健所”に預けられない、大変な苦労」などと、保育所と保健所を混同しているのだから、どうしようもない。人間、誰でも言い間違いはあるだろうが、子育てをしている母親の大変さに心を砕いていたら、「保育園」というキーワードは絶対に間違えないはずだ。この問題に関心がない証拠である。

 本はといえば、この問題に火がついたのも、悲鳴を上げる母親を、安倍首相が冷たく突き放したからだ。国会で「保育園落ちた日本死ね」というブログについて質問された首相は、ウンザリした表情で「実際に起きているか確認しようがない」と切り捨てた。安倍首相の答弁に怒りを募らせた母親たちが決起し、国会前でデモを行ったというのが一連の流れである。

経済ジャーナリストの荻原博子氏がこう言う。
小さな子どもを抱える母親にとって、保育園問題は本当に切実です。都内では2人に1人しか認可保育園に入れない。認可、認証、認可外保育所と片っ端から申し込んでも、空きがなく、途方に暮れている母親がいっぱいいます。『保育園落ちた』と匿名ブログを書いた女性も、4月から職場に復帰するつもりだったのに、認可も認可外も全滅し、思い余って〈何だよ日本。一億総活躍社会じゃねーのかよ。私、活躍出来ねーじゃないか〉とつづったといいます。なのに、安倍首相は『受け皿づくりは、政権交代前の倍のスピードで進めている』と、半ば胸を張って釈明しているのだからどうかしています。いま困っている母親にとっては、民主党政権の100倍頑張ろうが関係ない。いますぐ、子どもを預けられる保育所が欲しいのです。なぜ、そうした声を素直に聞こうとしないのか。自民党は甘く考えているようですが、母親たちの怒りは簡単には消えませんよ。“アラブの春”のように大きなうねりになっていくと思う

 実際、この問題が騒ぎになった途端、安倍内閣の支持率は急落し始めている。もう、安倍内閣はオシマイではないか。保育園問題は、安倍内閣に致命傷を与える可能性がある。

完全に火が付いた(C)田中龍作


看板政策が実現しないのは当たり前

 そもそも「1億総活躍」や「女性が活躍する社会」は、安倍内閣の目玉政策だったはずだ。政府が総力を上げて取り組む政策だったはずである。【出来の悪い男性ほど女性活用・活躍せよという!出来る男を指名すると自分の馬鹿さ加減が鮮明になるのを恐るからだ。】
 なのに、子どもが1歳になり、職場に復帰しようとした女性が「私、活躍出来ねーじゃないか」と、ブログに書かざるを得なかったのは、目玉政策がまったく実現していないからだ。
「1億総活躍」や「女性が活躍する社会」だけじゃない。アベノミクスによる「トリクルダウン」も、「デフレ脱却」も、看板政策は、ことごとく失敗に終わっている。トリクルダウンどころか、労働者の実質賃金は4年連続のマイナス。今年の春闘の要求額は、昨年の半額だから話にならない。

 なぜ、安倍首相が掲げる政策は、少しも実現しないのか。それは、庶民生活の実態も知らないくせに、美辞麗句を並べているからだ。
安倍首相は庶民の暮らしに疎すぎます。主婦のパート代を月収25万円と国会で発言した時は、仰天しました。なぜ、待機児童が増えているのかも分かっていないと思う。もちろん、自分の能力を発揮して活躍したいという女性もいるでしょう。でも、夫の収入だけでは生活が苦しいため、働かざるを得ないという女性も大勢います。なのに、待機児童が増えていることを、安倍首相は『女性の就業者が増えたから無理もない。うれしい悲鳴だ』と国会答弁しているのだから話になりません」(荻原博子氏=前出)

 最近、“雇用格差”を解決する切り札だと、安倍首相が得意げに掲げている「同一労働、同一賃金」にしても、肝心の非正規労働者はあまり喜んでいない。彼らが望んでいることは、正社員と同一賃金にしてもらうことではなく、正社員になることだからだ。一事が万事、安倍首相のやっていることは、庶民感覚とことごとくズレている。
安倍首相は「1億総活躍だ」「女性が活躍する社会だ」などと、もっともらしいスローガンを掲げているが、本当は庶民生活に関心などないのではないか。


■3年間騙されていた国民も気づき始めた

 待機児童の増加や、賃金アップ、雇用は、庶民が最も苦しみ、政府に一番期待している問題である。そうした切実な問題で「女性が活躍する社会だ」「トリクルダウンだ」と庶民に期待を抱かせながら、実現する見込みがまったく見えないのだから、こんな詐欺みたいな話はないだろう。

 しかも、安倍首相は、国民に謝罪しようともせず、「政権交代前の倍のスピードで進めている」などと、また民主党を貶めることで国民の不満をそらそうとしているのだから、いくらなんでも酷すぎる。こうなったら、国民は安倍内閣に鉄槌を下さないとダメだ。

 筑波大名誉教授の小林弥六氏(経済学)はこう言う。
庶民のためという発想は、安倍首相には最初からなかったのだと思います。“女性が活躍する社会”というキャッチフレーズも、女性のためではなく、女性を労働者として利用しようという発想でしょう。3年連続、ゴリ押ししている“官製春闘”にしても、どこまで賃金アップに本気なのか怪しいものです。もし、本気なら“ホワイトカラー・エグゼンプション”などといった、庶民の報酬が減るようなことは考えないはずです。結局、安倍首相には、“国家”はあっても“国民”はないのだと思う。国家を強くするには、庶民を犠牲にしてでも、大企業を強くして国力を高めるしかないと考えているのでしょう。“女性が活躍する社会だ”“トリクルダウンだ”という掛け声は、しょせん国民の支持をつなぎとめるための呪文に過ぎない。でも、3年間、騙されてきた国民も、今回の“保育園騒動”で、安倍首相が庶民生活に関心がないことに気づいたと思う。甘利大臣の“政治とカネ”が発覚した時も下がらなかった支持率が急落しているのが、何よりの証拠です

 国民の反旗を懸念し始めた安倍政権は、慌てて、参院選は「自公VS民共」の対決だ、などと頓珍漢な目くらましを始めている。国民の共産党アレルギー【今の国民にはもう無い!】をかき立てれば、保育園問題で火がついた母親たちの怒りも鎮火すると考えているらしい。国民は絶対に策略に騙されてはダメだ。


【出典】日刊ゲンダイ 2016年3月14日

【出典】 日刊ゲンダイ 2016年3月14日

 

金融体制はテロより大きな脅威
マスコミに載らない海外記事

金融体制はテロより大きな脅威 (マスコミに載らない海外記事) Paul Craig Roberts 2016年3月8日
 21世紀、アメリカ人は、途方もなく金のかかる“対テロ戦争”で邪魔されている。
何兆ドルもの納税者負担が増やされ、タリバンのように取るに足りない外国の“脅威”との戦いで、何十億ドルもが軍安保複合体利益の利益になったが、タリバンは15年後もうちやぶられていない。この間、金融体制は政治家と協力して、アメリカ人に対し、テロリストが与え得るものより遥かに大きな損害を与えた。

 連邦準備金制度理事会と、アメリカ財務省のゼロ金利政策の目的は、規制されない金融体制が絶えず作り出す、借り入れすぎの詐欺的金融商品の価格を維持することだ。
もしインフレを適切に評価すれば、このゼロ金利は、マイナス金利で、つまり退職者は、退職後の蓄えから収入が得られないのみならず、貯蓄が意味を失いつつあるのだ。貯蓄の利子を受け取る代わりに、利子を払わされ、貯蓄の本当の価値は減少する。

 中央銀行、ネオリベラル経済学者と売女経済マスコミは、人々に、貯蓄せずに、消費するよう強いるため、マイナス金利を擁護している。経済実績のまずさは、経済政策の失敗のためではなく、 人々がお金をためるせいだという考えかただ。

 連邦準備金制度理事会とお仲間の経済学者や売女マスコミは、連邦準備金制度理事会自身、アメリカ人の52%が、個人財産を売却するか、お金を借りることなしには、400ドル用立てることができないという報告書を発行しているにもかかわらず、貯蓄のし過ぎという虚構を維持している。

Economic Well-Being


 スイスなどの国々で既に導入され、他の国々でも導入されようとしているマイナス金利は、銀行預金に対する税金を避けるため、人々が自分の貯蓄を銀行から高額紙幣で下ろすようになっている。スイスでは、例えば、1,000フラン紙幣(約1,000ドル)の需要が急増している。今やこうした高額紙幣が、流通しているスイス通貨の60%を占めている。
 マイナス金利に対する預金者の反応から、ラリー・サマーズなどのネオリベラル経済学者たちが、人々が銀行外で現金を保持するのを困難にすべく、高額紙幣廃止を要求する結果となっている。

 ケネス・ロゴフのような他のネオリベラル経済学者は、現金をすっかりなくし、電子マネーだけにしたがっている。電子マネーは、使う以外には、銀行預金から下ろすことができない。電子マネーが唯一のお金になれば、金融機関は、預金者たちから貯蓄を盗むため、マイナス金利が使えるのだ。

 人々は、金、銀や、他の形の私的通貨に逃げようとするだろうが、他の支払い方法や貯蓄方法は禁止され、厳しい処罰で電子マネー回避を弾圧すべく、政府がおとり捜査を行うようになるだろう。
 この構図が示しているのは、国民が個人貯蓄で、何らかの財政的自立を実現しないよう、政府、経済学者と売女マスコミが同盟しているということだ。政治家連中は狂気じみた経済政策を進め、あなたの人生価値観に対する支配力を持つ連中には、あなたの福祉よりも、自分たちの構想のほう重んじている。

 これが、いわゆる民主主義における人々の運命だ。自分たちの暮らしに対して残されて持っている支配力も、奪われつつある。政府は、ごく少数の強力な既得権益集団のために仕えており、彼らの狙いは、宿主経済の破壊をもたらすことになる。

 中流階級雇用の海外移転は、収入と富を、中流階級から、企業幹部や所有者へと移転するが、海外移転された商品とサービスの国内消費者市場も殺してしまう。マイケル・ハドソンが書いている通り、それは宿主を殺す。経済の金融化は、宿主も企業所有者も殺す。上場した企業株を買い戻して、株価と自分たちの業績手当てを押し上げるために、企業幹部が銀行から借金すると、将来の利益は銀行への利子支払いに転換される。

 企業の将来収入の流れが金融化されるのだ。もし将来収入の流れが途絶えれば、住宅所有者同様、企業も担保差し押さえられる可能性があり、銀行が企業の所有者になる。
 雇用の海外移転と、益々多くの収入の流れが銀行への支払いに転換することにより、商品やサービスに使える金額は益々減少する。かくして経済は成長し損ね、長期的低落に落ち込む。

 現在多くのアメリカ人は、クレジット・カード未払い分の最少金額しか支払えない。結果は、決して完済できない未払いの膨大な増加だ。こうした人々は、過酷な手数料に見舞われて、到底、債務返済できないのだ。今のクレジット・カード会社のやり口は、もしも、一度支払い遅延をするか、支払いが銀行から返された場合には、以後六カ月間、29.49%という懲罰的年率を課されることになる。

 ヨーロッパでは、全ての国々が担保を差し押さえられつつある。ギリシャとポルトガルは、国有財産と社会保障制度の精算に追い込まれた。そこで多数の女性が貧困と売春を強いられ、売春婦の時給は4.12ドルにまで押し下げられている。

 欧米世界の至る所で、金融制度は、人々の搾取者、経済に対する重荷になっている。ありうる解決策は二つだ。一つは、大銀行を、規制緩和が助長した集中の前にあったような、より小さな地方の組織に分割することだ。もう一つは、大銀行を国有化し、もっぱら国民一般の福祉のためになるよう運用することだ。

 銀行は、いずれかの解決策が行われるには、現在余りにも強力すぎる。だが政府に支援され、ほう助された、欧米金融体制の強欲、詐欺、利己的な振る舞いは、経済活動の破綻をもたらしかねず、将来、私的金融制度という考え方は、現在ナチズムがそうであるように、忌まわしいものになるだろう。


Paul Craig Roberts

 元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。
彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、とThe Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。


記事原文の URL


宗主国の干渉はテロより大きな脅威

 暴力団抗争やら北朝鮮核兵器の小型化より、大本営広報部電気洗脳箱が全くウソしか報じないTPPが恐ろしい。暴力団抗争やら北朝鮮核兵器とは違って、大変なとばっちりから、日本人全員逃げられないこと確実。
 2016/03/07 日本農業新聞を含むほぼすべての大手メディアが取り上げないTPPの衝撃の真実! 岩上安身による山田正彦・元農水大臣インタビュー(動画)


農協、日本農業新聞も完全に取り込まれている深刻悲惨な状況

 インタビュー内容、生きる気力がなくなる、とは言わないが何とも恐ろしい売国政治家・官僚。こういう情報を隠している大本営広報部、本当に罪深いと思う。同罪だ。
会員になられて、全編をご覧になるよう強くお勧めする。
 全く意見があわない知人の一人に、山田正彦氏の『TPP秘密交渉の正体』、強引に郵便ポストに投げ込んでおいたところ、さすがに「TPPはまずいな」と言い出した。


【出典】Paul Craig Roberts 2016年3月8日

【出典】 Paul Craig Roberts 2016年3月8日

 

消費増税凍結ではダメだ 減税しなければ恐慌への道
アベノミクスは最悪の結末

消費増税凍結ではダメだ 減税しなければ恐慌への道
日刊ゲンダイ 2016年2月29日

 

アベノミクスは最悪の結末
  予想されたことだが、上海で開かれた「G20」は成果ゼロに終わった。年初からつづく金融市場の動乱をG20が沈静化できるのか、世界中が注目していたが、結局、なにひとつ具体策を打ちだせずに閉幕してしまった。
 世界のリーダーが雁首を揃えながら、結論は「世界経済の安定のために、すべての政策を動員する」という、まったく中身のないもの。

「金融政策のみでは経済成長につながらない」「機動的な財政出動も必要」「構造改革の推進を図る」ことも声明に織り込まれたが、どれも当たり前のモノばかりで、わざわざG20を開く必要があったのか、という結論である。インパクトある政策は、ひとつもなかった。
 ハッキリしたのは、もはやG20には打つ手がない、ということだ。逆に言うと、この世界不況はそれほど深刻ということである。経済評論家の斎藤満氏がこう言う。

「いま世界経済は『原油価格の暴落』や『中国経済の低迷』に翻弄され、年明け以降、マーケットが乱高下している。G20に集まったリーダーも、大急ぎで対策を打たないと世界経済が大荒れになると分かっています。それでも有効策を打ちだせなかった。ドイツや中国を念頭において『機動的な財政出動』や『構造改革の推進』を決めましたが、実施はどれも各国任せのうえ、数値目標も、ペナルティーもない。これでは、実効性が上がるはずがない。要するに、掛け声だけで、なにも決められなかったということです」
 支離滅裂というか、お笑いなのは、いまG20各国は「通貨安競争」に血道を上げているのに、自分たちで「通貨安競争はしない」と再確認したことだ。どの国も景気が悪化し、通貨を安くして輸出を伸ばそうとしている。それしか策がないからだ。マイナス金利を導入した日本は最たるものである。「通貨安競争はしない」と決めても、守れるはずがない。


米、欧、中、露と総崩れ

 G20も打つ手が見つからない世界経済は、この先、どうなってしまうのか。
 ヤバイのは、中国だけでなく、経済不況が全世界に広がり始めていることだ。産油国のベネズエラはデフォルトの懸念が囁かれ、南米の大国ブラジルは格付けを「投機的」に下げられてしまった。ロシアも通貨ルーブルをどんどん売られている。

 債務危機のギリシャを抱えるヨーロッパは、ドイツ経済までおかしくなり始めた。ヨーロッパ最大規模のドイツ銀行が、8400億円の赤字に陥り、株価は1年前の半値近くまで下落している。ヨーロッパを支えていたドイツ経済が崩れたら、世界経済はただではすまない。

いつもは楽観的なIMFやOECDが、2016年の経済見通しを下方修正しています。2016年の世界経済は、2015年より悪くなるのは間違いないでしょう。世界的にゼロ金利が蔓延しているのも、経済が弱い裏返しです。深刻なのは、どの国も、副作用が起きるほど財政政策と金融政策を目いっぱいやっていて、これ以上、追加策を打つ余地がないことです。ただ一国、経済が好調だったアメリカも、利上げをした途端“ドル高”と“原油価格の下落”に苦しめられている。グローバル化が進み、独り勝ちは難しくなっている。ある国の経済が悪化すると、次々に他の国に波及してしまう状況です
(斎藤満氏=前出)
 混沌とする世界経済は、いよいよ迷走し始めている。



特効薬は消費税を5%に戻すことだ

 世界経済が音を立てて崩れるのは、もはや時間の問題だろう。ただでさえ日本経済は悲鳴を上げているだけに、このままでは国民生活は大変なことになる。一刻も早く、効果的な景気対策を打たないとダメだ。
 年明け以降、株価は一時、4000円も下落したのに、危機感のない安倍首相は「日本経済のファンダメンタルズは良好だ」などと答弁しているのだから、話にならない。

 しかし、金融政策も、財政政策も、すでに限界に達している。
 こうなったら、消費税増税を「凍結」するしかないのではないか。この際、凍結だけでなく、現在の税率8%を、元の5%に戻すことも考えるべきだ。

 安倍政権がマイナス金利を導入しても、公共事業をばらまいても日本経済が上向かないのは、GDPの6割を占める個人消費が冷え込んでいるためだ。消費税増税を強行し、庶民から巨額なカネを吸い上げているのだから当たり前である。消費税率1%は、ざっと2兆5000億円だから、5%から8%に3%アップさせただけで7兆5000億円ものカネが奪われた計算である。


 消費税増税を凍結し、さらに税率を5%に戻したら、景気は一気に回復するはずである。筑波大名誉教授の小林弥六氏(経済学)はこう言う。
もし予定通り、来年4月、消費税率を10%にしたら、日本は大不況になりますよ。たとえ軽減税率を実施したとしても、1世帯、年間4万6000円の負担増になるという試算もあります。いまでも庶民はカツカツの暮らしをしているのに、これ以上、負担増を強いられたら、生活が立ち行かなくなる。当然、景気も冷え込むでしょう。消費税増税を凍結したら、福祉予算の財源はどうするのか、という声もあるようですが、消費税増税をしても、どうせ安倍政権は、大企業を減税し、防衛費を増額するだけです。福祉予算の財源が不足するのなら、5兆円に膨らんだ防衛費を削ったり、富裕層に負担してもらえばいいのです



海外への責任転嫁は許されない

  安倍政権がスタートしてからすでに3年。もはや、アベノミクスが失敗に終わったことは、誰の目にも明らかなはずだ。

 3年間「財政出動」と「金融緩和」をつづけても、GDPは517兆円から527兆円へと2%しか増えず、個人消費はむしろ308兆円から304兆円へ減っている。3年たっても結果を出せなかった安倍政権では、目の前に迫っているこの世界不況は乗り越えられない。潔く失政を認めて、いますぐ辞任するのが当然である。
 なのに、株価が下がっても、二言目には「原油安が」「中国経済が」と外国のせいにしているのだから、どうしようもない。

世界経済が揺れているのは確かです。でも、この3年間、日本経済がゼロ成長に落ち込んでいるのは、海外が原因ではありません。アメリカも、欧州も、プラス成長をつづけています。年明けに株価が下落しているのも、GDPの6割を占める個人消費を活発にしてこなかったからです。アベノミクスは『大企業が潤えば、貧乏人も豊かになる』などと、ありもしないトリクルダウンを喧伝し、庶民生活を無視し、大企業と富裕層だけを潤わせてきた。日本経済を支える大衆を貧しくして、景気が良くなるはずがない。なのに、株価が上がった時はアベノミクスが成功したからだ、株価が下がった時は海外要因だなんて、そんな都合の良い話は許されませんよ」(小林弥六氏=前出)

 なにも打つ手がないのに、「政策総動員」を打ち出したG20。危機は迫っている。日本に残された時間は少ないと考えた方がいい。


【出典】日刊ゲンダイ 2016年2月29日

【出典】 日刊ゲンダイ 2016年2月29日

 

亡国の犯罪 ― 甘利疑惑で問題の 〈あっせん利得罪〉とはどのような犯罪なのか―
 
亡国の犯罪 ―甘利疑惑で問題の〈あっせん利得罪〉とはどのような犯罪なのか―
園田寿 | 甲南大学法科大学院教授、弁護士(2016年1月21日 20時50分配信)


■はじめに
 権力の一部を担う者が、その権力を悪用し業者から賄賂(わいろ)を受け取ったりして甘い汁を吸い、法の執行や公務の執行をゆがめると、国民の政治不信を招き、ひいては国民の道徳心や法を尊重する精神の低下につながり、最終的には国家の存立じたいも危うくしかねません。汚職の影響は、はかり知れないものがあります。

 しかし、賄賂罪は、殺人や強盗などと違い直接の被害者がいませんし(国民全体が被害者です)、また賄賂を贈る側と受け取る側が持ちつ持たれつの関係にあるため、警察に発覚することが難しく、風呂場のカビのように不正が社会の深層で深く広がるおそれがあります。
人間が社会生活を営み、統治する者とされる者がいる限り、時代や政治体制を問わず汚職は存在します。

 わが国でも古代から汚職はみられ、すでに文武4年(700年)に制定された大宝律令には、汚職に手を染めた役人を最高で死罪とするといった大変重い処罰規定がありました。ただし、このような重い罰則を作らなければならないほど、汚職が深刻であったのかどうかは分かりません。国の存立にかかわる重大な犯罪であるために、重い威嚇効果を狙ったのかも知れません。


■公務員が〈顔〉を効かせる不当なあっせん(口利き)の処罰は難しい

 今の刑法ができたのは明治40年ですが、そのときの賄賂罪は実に単純なもので、(1)単に賄賂を要求したり、受け取ったりする単純収賄と、(2)その結果、不当な職務行為があった場合の枉法(おうほう)収賄を規制する刑法197条、それに賄賂を贈る贈賄行為を処罰する刑法198条だけでした。

 その後、昭和16年に公務員の職業倫理を強化する意味で、さらに次のような派生類型が整備されました。


■事前収賄罪(公務員になる予定の者が、就任後に担当する職務に関する依頼を受けて賄賂を受け取ったり、その要求・約束をしたりする罪。
公務員になった場合に成立する)
■事後収賄罪(公務員であった者が、在職中の職務行為に関して賄賂をもらう場合)
■受託収賄罪(公務員が職務に関する依頼を受け、これを了承したうえで賄賂を受取ったり、要求、約束したりした場合に成立する。依頼のない場合は単純収賄)
■第三者供賄罪(公務員がその職務に関して、依頼を受けて賄賂を受け取る、直接本人がもらわないで第三者に与えるようにした場合)
■加重収賄罪(公務員がその職務に関して、依頼を受けて賄賂をもらって不正な職務行為を行った場合=枉法収賄)



 このようにして、賄賂罪のほとんどの類型が整備されたのですが、そのときに唯一立法化されなかったのが〈あっせん収賄罪〉なのです。


 時代劇でよく見るように、昔から、役人が業者から賄賂を受け取って、自分の〈顔〉を利(き)かせて権限のある他の役人に働きかけるというようなことがあります。
 しかし、賄賂罪というものは、具体的な職務権限のある公務員が、不正な職務行為を行う見返りとして金品を受け取るものです。
 権限ある公務員に働きかける不当な口利きの場合は、自分には具体的な職務権限がないので単純に収賄だとは言いにくい面があるのです。

 また、政治家の活動には、一般国民や住民に代わって行政機関に権利や利益を主張することも含まれますので、口利き一般がすべて不当だとは言えない面もあります。とくに〈口利き〉というのは日本の伝統的な政治手法とされていますから、適法と違法の境界線をどのように引くのかでなかなか意見が一致しなかったのでした。

 そして、数回にわたって法案が出されながらも、その都度廃案になるということを繰り返し、難産のすえついに昭和33年に刑法197条の4としてあっせん収賄が犯罪化されたのでした(これに対する贈賄も198条に追加されました)。


あっせん収賄罪(刑法197条の4)の基本的な要件は、

■依頼(請託)があること、
■公務員が、他の公務員に対して不正な職務行為を行うか、あるいは正当な職務行為を行わないようにあっせんすること、
■その見返りとして賄賂を受け取ったり、要求したり、約束したりすること
です(法定刑は5年以下の懲役)。

 ここでの賄賂は、不正な職務そのものに対するものではなく、あくまでもあっせん行為(不当な口利き)に対する不正な報酬である点で、他の収賄罪と異なっています。



■あっせん利得処罰法とは

 その後、平成4年に 公正取引委員会が調査していた独占禁止法違反事件に関して刑事告発されるのを回避する目的で、大手ゼネコン副社長らが衆議院議員に対し公正取引委員会委員長に働きかけてもらいたい旨依頼し、同議員が多額の賄賂を受け取ったという事件がありました。

 この摘発を契機に、特に政治家が役人に不当な口利きを行って賄賂を受け取ることを処罰すべきだとの意見が高まり、国会でも議論されましたが、法律にはなりませんでした。そのような中、元建設大臣による受託収賄事件が摘発され、紆余曲折をへて、平成12年に「公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律」(あっせん利得処罰法)が成立したのでした。


公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律

この法律では、公職者と国会議員秘書によるあっせん利得罪(第1条、第2条)と、
これらの者に対して利益を供与する利益供与罪(第4条)が処罰されています。


〈あっせん利得罪〉と刑法上の〈あっせん収賄罪〉との違い

 あっせん利得処罰法では、公務員に対するあっせん行為の対価としての賄賂の授受が処罰されている点で刑法上のあっせん収賄罪と類似していますが、あっせん収賄罪では、公務員の職務の公正さに重点が置かれ、公務員の廉潔性やこれに対する社会の信頼をも保護する趣旨と解されますが、あっせん利得罪では、公職にある者等のクリーンな政治活動に重点が置かれ、政治に対する国民の信頼を確保するために、政治に携わる公務員の政治活動のルールを定めたものとされています。
このような趣旨・目的の違いは、処罰の対象や範囲にも影響を与えています。

 まず、あっせん利得罪では、公務員の範囲を〈政治に携わる公務員(及び国会議員秘書)〉に限定しており、衆参両議員、地方公共団体の議会の議員、地方公共団体の長、さらに衆参両議員の秘書に限られています。

 また、対象となるあっせん行為の内容については、あっせん収賄罪では、あっせんの内容が、〈他の公務員に職務上不正な行為をさせ又は相当の行為をさせないこと〉を要するのに対して、あっせん利得罪では、クリーンな政治活動を保持し、政治に対する国民の信頼感を確保することが目的ですから、「国若しくは地方公共団体が締結する売買、貸借、請負その他の契約又は特定の者に対する行政庁の処分に関」するものであれば、あっせんの内容がかりに〈他の公務員に適法な職務行為をさせ又は不当な行為をさせないこと〉であっても、依頼を受けて、その政治家としての権限に基づく影響力を行使して不当な金銭を得ている限り処罰の対象となります。この点では、あっせん利得罪の方が刑法よりも広い行為を対象としています。

あっせん利得罪として処罰される典型的なケースとしては、たとえば次のようなケースが考えられます。
■議員が、公共工事の入札に関し、公務員に特定の者を指名業者にするように働きかけて建設業者から報酬を得た場合
■議員が、公務員の採用、任用、昇格、降格、転勤、罷免などについて、公務員に対して働きかけて報酬を得た場合
■議員が、道路工事等に関する補償交渉に関して業者から依頼を受け、担当公務員に解決を働きかけて、業者から多額の現金を得た場合



■将来の課題
 あっせん利得罪については、次のような課題が残されています。
 第1は、地方議員の秘書が対象とはされていないことです。不当な口利きがなされる可能性があるという点では、国会議員秘書であろうと、地方議員秘書であろうと区別はありません。

 第2は、第三者供賄(賄賂を受け取る者が議員本人ではなく、他人であったり法人であったりする場合)です。まずは刑法上のあっせん収賄罪を改正して、不当なあっせん行為によって本人以外に賄賂が及ぶ場合を追加すべきだと思います(刑法197条の2の第三者供賄罪は、公務員がその〈職務に関して〉行った場合です)。そして、特別法のあっせん利得罪においても、第三者供賄のケースを追加すべきでしょう。(了)



園田寿氏 甲南大学法科大学院教授、弁護士

 1952年生まれ。関西大学大学院修了後、関西大学法学部講師、助教授をへて、関西大学法学部教授。2004年からは、甲南大学法科大学院教授(弁護士)。
 専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、青少年有害情報規制などが主な研究テーマ。現在、兵庫県公文書公開審査会委員や大阪府青少年健全育成審議会委員、モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)諮問委員会委員長などをつとめる。
 主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『インターネットの法律問題-理論と実務-』(2013年新日本法規出版、共著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)など。趣味は、囲碁とジャズ。
【出典】 Copyright (C) 2016 園田寿 2016年1月21日

 

鉄火場と化した株式市場  「年金マネー」が溶けていく
 

 鉄火場と化した株式市場 「年金マネー」が溶けていく
 2016年1月9日 日刊ゲンダイ

 下がり続ける相場を呆然と眺めているしかないのか。8日の日経平均株価は、大発会から5日続けての下落を記録。これは戦後初めてのことだ。株価が下がれば日銀やGPIFが買い支える官製相場に慣れっこになっていたマーケットはパニック状態に陥った。
 ところが、この異常事態に、麻生財務相は「中国の市場の影響が大きかったと思いますけど、日本の経済自体のファンダメンタルズが悪いわけではない」とお気楽なことを言い、甘利経財担当相も「外的要素が非常に大きい」とまるで他人事だった。

 株価が上がれば「アベノミクスのおかげ」と胸を張り、下がれば原油安と中国株のせいにするのがお決まりのパターンとはいえ、今回はさすがに危機感がなさすぎるのではないか。8日は中国株が反転上昇したにもかかわらず、日本株は続落したのである。ここが深刻なところだ。


 シグマ・キャピタルのチーフエコノミスト、田代秀敏氏が言う。

「年初からの5日続落も異例の事態ですが、下落幅はより深刻です。日経平均株価は5日間で7.01%も下落してしまった。大発会から4日連続で下落した95年は、5日間で1.12%の下落でした。バブルが崩壊した90年だって、大発会からの5日間の下落率は3.13%にとどまっていた。
 当時を大きく上回るスピードで株価が急落している。しかも、8日の東京市場は値動きが荒く、取引開始直後に前日比257円安になったと思ったら、切り返して一時は前日比207円高まで上昇し、最後は69.38円安の1万7697円で引けた。

 前月16日に日銀が補完措置をした際に、当日の高値が前日の高値を更新したにもかかわらず、終値は前日の安値を下回る『キー・リバーサル・ダウン』現象が起き、おっかなくて鉄火場相場に手を出せなくなった投資家が手じまいに向かった。
 日本株の売買は空売りが急激に増え、8日の空売り比率は40.8%で、今年に入って5日連続で40%を超えています。これは株価の下落局面に顕著な現象です」


■リーマン・ショックに匹敵する危機

 世界の貿易量を示すバルチック海運指数(BDI)も急激に下がっている。
 世界経済の先行指数とされるBDIは、リーマン・ショック前の08年5月に過去最高の1万1793を記録。しかし08年12月には663まで暴落した。
 それが、昨年11月に584ポイントに低下して世界中の市場関係者は騒然となったのだが、今年に入ると、1月6日になんとリーマン・ショックを大きく下回る467ポイントまで下がってしまった。

 世界経済は停滞。リーマン・ショックに匹敵する経済危機に直面している。頼みの綱だった中国がコケれば、世界中が株安に転んでしまう。さらには中東の緊張。ヤケクソの北朝鮮は“水爆”実験を強行するし、世界中の火薬庫で導火線が不気味に蠢き、世界市場の混乱に拍車をかける。年初から、世界はキナ臭いムードに覆われている。


やみくもに株価だけを膨らませてきたツケに苦しむ

 昨年、IMFは中国の人民元をSDR(特別引き出し権)に採用することを決定した。中国にとっては元建ての取引が拡大するメリットがある一方、これが足かせにもなっている。政府が大っぴらに市場や為替に介入できなくなった。
 為替と資本の自由化を進めることがSDR入りの条件だからだ。年明けから2回も取引停止のサーキットブレーカーを発動したり、急きょこの制度を中止したりとドタバタしているのは政府が制御不能に陥っていることの表れだ。

「政府の完全なコントロール下に置かれていた中国市場は、SDR入りで風穴が開いてしまった。人民元の取引は、当局の管理下のオンショア市場と、より自由なオフショア市場とで行われていますが、オフショア市場では人民元が大きく売られています。
 おかげで14年には4兆円近くあった外貨準備が目減りし、外貨建て債務の返済負担も経済を圧迫する。制度的にみても人民元を支えるのは容易ではなく、それが中国経済や株式市場に波及して、中国株が大きく下落している。
 そうした動きに日本政府は機動的に対処できないから、円は一気に120円台を突破し、117円まで上昇。株価も死守したかった1万8000円をあっさりと割り込んでしまったのです」(経済評論家・斎藤満氏)

 憲法改正をもくろむ安倍政権は、今夏まで株価を維持し、ダブル選で一気に勝負をつけたかったはずだが、出はなをくじかれた格好だ。
 中国経済の不調は日本政府が何とかできる問題じゃない。それは、同様にマーケットに影を落とすサウジアラビアとイランの対立激化にしても同じこと。アベノミクスの終焉はぶざまなものだ。

■アベノミクスの無理矛盾が露呈

 「産油国の間でトラブルがあると、普通は原油価格が高騰する。ところが、今回は暴落し、ドバイでは30ドルを割り込んでしまった。
 サウジとイランの国交断絶のニュース以降、イスラム国への空爆の報道がなくなるなど、不自然な混乱が仕掛けられている感もあります。これまで、オイルショックなど原油高による不況は何度もありましたが、今年は原油安による世界的なリセッションという初めての事態に陥る可能性があります。
 実際、原油価格が下がると米国株が下がるというイレギュラーなことが現実に起きている。今の日本には、この苦境を乗り切るだけの地力がありません。実体を伴わない株高だから、ちょっとした不安材料で下落してしまう。やみくもに株価だけを膨らませてきたツケと言っていい。アベノミクスの無理矛盾に苦しめられることになりそうです」(斎藤満氏=前出)

 内需拡大のための努力を地道に続けていれば、また話は違ったのだろうが、3年間に及ぶアベノミクスの株価至上主義が日本経済を完全に空洞化させ、体力を奪ってしまった。しかも、株価維持のために、なりふり構わず公的マネーをつぎ込んできた。
 そうやって無理やり作ってきた円安・株高のトレンドが逆流し始めたら、止める手立てはない。政府は無策。日銀にもう打つ手がないことは、昨年末に発表した「補完的措置」の苦し紛れが如実に物語っている。前出の田代秀敏氏が言う。

「アベノミクス開始以来、円の実力を示す実効為替レートは下がり続け、ついには1970年代初めの水準まで下がってしまった。株価バブルがはじけ、実体経済と釣り合う水準まで株価が戻るとすれば、せいぜい日銀が異次元緩和に踏み切った13年4月時点の1万2000円台が妥当なラインでしょう。そうなると、高値で日本株を大量に買い増したGPIFも日銀も、大きな損失を覚悟しなければなりません。
 そもそも、基礎年金の半分を株式市場で運用すること自体が狂気の沙汰なのです。目先の株価維持のために国民の大切な資産をリスクにさらすなんて、あり得ない選択です。株価が暴落すれば将来世代に甚大なツケを回すことになる。いったい誰が責任を取るのでしょうか」

 張り子の株価はもろい。鴻毛のごとく世界情勢に翻弄されるのは、無理をして市場にひずみをもたらした報いだ。その結果、市場につぎ込んだ国民の年金はどんどん目減りしていく。安倍首相と日銀の黒田総裁には、この責任をきっちり取ってもらわなければならない。

(出典)日刊ゲンダイ 2016年1月9日
【出典】 日刊ゲンダイ 2016年1月9日

 

 

政治が恣意的に線引きする 軽減税率こそ利権である
 

庶民の味方ヅラの大偽善

 2017年4月に消費税を10%にする際、どこまで軽減税率をかけるかでモメていた与党協議は対象品目を生鮮・加工食品とする方向で決着しそうだ。
 新聞は「公明党が譲らず、自民も譲歩」なんて書いていて、あたかも両党が「庶民のために」歩み寄ったかの印象だが、ふざけてもらっちゃ困る。

 軽減税率を生鮮食品にだけ適用すれば税収減は4000億円、加工食品(菓子類・飲料除く)も入れると8000億円、食料品全般にすると1兆円などという数字が出回り、最後になって拡大するのは「大盤振る舞い」という印象を植え付けたい“演出”だろう。それによって、庶民もありがたがって、来年の参院選は与党安泰――。
 こんな魂胆なのだろうが、そこに見え隠れするのが「減税してやる」という上から目線だ。軽減税率は「庶民への施し」くらいに思っているのではないか。

 そういえば、麻生財務相は財務省がマイナンバーを使った軽減税率適用をぶち上げた際、沸き起こった批判に対し、「マイナンバーカードを持ちたくなければ持っていかなくていい。その代わり減税しないだけだ」と言い放った。これが与党の本音であって、この間の与党協議は庶民に恩に着せるための茶番劇。それにまんまと乗っかり、協力したのが大メディアという構図なのである。

 庶民はペテン政権に騙されてはダメだ。この間の与党が出してきた理屈はことごとく、ふざけている。国民をなめるのもいい加減にしろ、という話ばかりだ。
 まず、軽減税率が庶民のためという理屈がおかしい。食料品への軽減税率は金持ちにも貧乏人にも適用される。贅沢でいいものをたらふく食っている金持ちほど恩恵が大きくなるのは子供でも分かる理屈である。民間税調共同座長で青山学院大教授の三木義一氏はこう言う。
 
一部の品目にたった2%の軽減税率を適用したところで、消費税の逆進性を解消することはできないのです。このことはヨーロッパの事例でも明らかだし、我々の試算からも歴然です。それどころか、何に軽減税率を適用するかは政治家の腹ひとつだから、業界団体は陳情する。税